適切な節税対策を行うことは、事業の成長と安定のために不可欠です。しかし税法は非常に複雑で改正も多く、日々変わり続けているものです。効率よく節税対策をするためには、税理士のサポートが欠かせません。税理士に相談することで、合法的かつ効果的な節税を実現できます。
しかし、どの税理士にどこまで依頼できるのか、どのようにして選ぶべきかがわからないという方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、税理士にどこまで節税対策をしてもらえるのかや、節税に強い税理士の特徴、依頼するメリットなどをわかりやすくまとめました。後半では依頼時のポイントや注意点についてもご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
税理士は節税対策の相談に乗ってくれる?
税理士は多くの場合、節税に関する相談に乗ってくれます。これは、税理士が持つ専門知識と経験を活かして、顧客にベストな節税策を提案する役割を持っているためです。
ただし、節税対策には法律の解釈や適用範囲にグレーゾーンが存在することも事実です。そのため、税理士によっては同じ事例に対して異なる判断を下すこともあります。
例えば、ある税理士は攻めの節税策を提案してくるかもしれませんが、別の税理士はリスク回避を優先し、より保守的なアプローチを取るかもしれません。
節税を希望する際には、その程度と期待する効果を事前に税理士にしっかりと伝えることが大切です。税理士選びにおいても、節税を重視する場合は積極的に提案してくれるスタンスの税理士を選ぶと良いでしょう。
節税に強い税理士の特徴
続いて、節税に強い税理士の特徴を見てみましょう。
- 税法の最新情報に詳しい
- 積極的にアドバイスしてくれる
- デメリットやリスクも説明してくれる
- 自社の業種に詳しい
それぞれについて解説していきます。
税法の最新情報に詳しい
税法は年々変化しており、その変化に対応できるかどうかが重要です。例えば、最近導入されたインボイス制度などはその典型です。
最新の税法に詳しい税理士であれば税法の改正に伴い、これまで控除の対象外だった部分を新たに控除対象とする提案ができたり、新制度の恩恵を最大限に活用した節税策を提案してくれたりする可能性が高いです。
一方、最新情報に疎い税理士の場合、従来通りの税金を支払うことになり、さらには法律の変更に気づかずに税金を多く支払ってしまうリスクもあります。
税法の変化を常に把握している税理士なら、節税対策においても非常に頼りになる存在です。
積極的にアドバイスしてくれる
節税を重視するなら、ただ依頼された業務をこなすだけでなく、積極的に提案をしてくれることも重要です。
提案をほとんど行わない税理士は、最新情報を仕入れていない可能性があり、必要最低限の業務しか行わないことも少なくありません。
しかし、いくら会社側が「節税をしたい」と思っていても、税に関する知識がなければ、適切なタイミングで相談することすらできない可能性があります。節税のチャンスを逃さないためにも、自ら提案してくれる税理士を選びましょう。
デメリットやリスクも説明してくれる
節税には、リスクが伴う場合もあります。
例えば節税を過度に行った結果、税務署からの監視が厳しくなり、税務調査が入りやすくなるリスクがあります。また、脱税かどうかの最終判断は税務署が決めるため、税理士が「問題ない」と判断した場合であっても、場合によっては節税策が認められない可能性もあります。
こういったリスクをきちんと説明した上で、最適な節税策を提案してくれる税理士を選ぶことが重要です。また、税務調査が行われる際は税理士が一緒に立ち会い、対応してくれるかどうかもチェックしておきましょう。
自社の業種に詳しい
自社の業界に精通している税理士を選ぶことも重要なポイントです。
例えば業界特有の法律や規制がある場合、それらに対応した節税策が求められます。例えば、不動産業界なら「小規模住宅用地の特例」、飲食業界なら「酒税法」といったように、業界ごとの特例や法律があります。
自社業界についての知識が豊富な税理士であれば、節税だけでなく、税理士目線での経営に関するアドバイスや今後の展開について助言してくれるかもしれません。業界に詳しい税理士は、経営者にとって心強いパートナーとなります。
税理士に節税対策を相談するメリット
続いて、税理士に節税対策を相談するメリットを見てみましょう。
- 合法で節税対策できる
- 経理業務の負担を軽減できる
- 経営のアドバイスをもらえる可能性も
それぞれについて解説していきます。
合法で節税対策できる
税理士は税務のプロなので、合法的に節税対策を実践するためのアドバイスをしてくれます。税に関する知識が乏しいまま自己流で節税を試みると、後々になって税務署から指摘を受け、問題が発覚するリスクが高まります。
最悪の場合、法律違反として刑事罰が科されることもあります。こうしたリスクを避けるためにも、節税に不安がある場合は税理士に相談することが大切です。
税理士ならではの視点から、自社にとってベストな節税策を提案してくれるでしょう。
経理業務の負担を軽減できる
税理士に節税を依頼することで、社内の経理担当者の負担を大幅に軽減することができます。社内で節税を行おうとすると、人的リソースが取られ、その分コストもかかります。また専門知識が求められる節税対策においては、経理担当者だけで実践するには限界があります。
税理士を雇うことで、効率的に税務処理を進められるようになります。もちろん税理士費用は発生しますが、経理担当者を新しく雇用したり、社内のリソースが割かれてしまったりすることと比べると、外部の専門家に任せた方が総合的にコストパフォーマンスが高くなることも多いです。
経営のアドバイスをもらえる可能性も
税理士との契約内容や対応範囲にもよりますが、税理士に相談することで経営に関するアドバイスをもらえる可能性もあります。
税理士は他の企業の事例や業界の動向に精通していることも多く、同業種での事例を元にしたアドバイスが期待できます。経営者自身では見えにくい部分を税理士が第三者の視点から指摘し、改善を促してもらえる可能性もあります。
節税に強い税理士を選ぶポイント
ここからは、節税に強い税理士を選ぶポイントについてご紹介します。
- 税法の最新情報に詳しい
- 積極的にアドバイスしてくれる
- デメリットやリスクも説明してくれる
- 自社の業種に詳しい
それぞれ解説していきます。
節税対策に関する実績が豊富かどうか
税理士選びでは、節税対策に関する実績を確認することが重要です。
例えば事務所のホームページや広告などで節税事例を公開している税理士であれば、節税に強い可能性が高いです。事務所ごとに得意分野や対応できる税目が異なるため、自分のニーズに合った税理士を見つけることが大切です。
また、過去の事例を参考に、自分の業界や規模に合った節税策を提案できる税理士を選ぶことで、より効果的な節税が期待できます。可能であれば、事前に過去の成功事例やユーザーの声をチェックして、税理士の実績を確認しましょう。
節税のアドバイスの内容が具体的かどうか
節税に関するアドバイスが具体的かどうかもチェックしましょう。
曖昧な説明だけではなく、「どの部分にどの制度を活用することで、具体的にどれだけの節税効果が期待できるか」といったように、数字や事例を交えて説明してくれる税理士を選ぶとわかりやすいです。
グレーな節税提案をしてこないか
前向きな節税を提案してもらえることも大切ですが、グレーな節税を提案してくる場合は注意が必要です。節税に関する知識が豊富な税理士であっても、グレーゾーンに踏み込むような節税提案をされると、後々のリスクが高まる可能性があります。
法令に準拠した、適切な節税提案をしてくれる税理士を選ぶことが重要です。長期的に見て、安全で確実な対策を取ってくれるかどうかという点も着目してみましょう。
料金が明瞭かどうか
税理士に依頼する際、料金が明瞭に提示されているかどうかも重要なポイントです。顧問料や確定申告代行費用など、何にどれくらいの費用がかかるのかを明確に示している事務所を選ぶようにしましょう。
事務所によっては料金表を公開していないことも多いので、初回の無料相談時にしっかりと見積もりを依頼しましょう。その際、料金に何が含まれているのか、オプションごとに加算されるタイプなのかなどを確認し、総額を把握しておくことが大切です。
税理士に節税を相談するときの注意点
ここからは、税理士に節税を相談するときの注意点を見てみましょう。双方にとって無駄のないやり取りをするためにも、以下のポイントを意識することが大切です。
- 無料相談の回数や内容の制限を確認する
- 事前に相談内容をまとめておく
無料相談の回数や内容の制限を確認する
税理士事務所の多くは顧客呼び込みのために「無料相談」を提供していますが、何度も相談に乗ってもらえるわけではありません。回数や時間に制限がある場合がほとんどです。
一般的には初回30分無料が多いものの、中には15分のみ無料の事務所も存在します。時間制限がある中で効率的に相談を進めるために、無料相談の回数や内容の制限を確認しておきましょう。
また、オンラインでの相談が可能か、直接会っての相談が必要かなど、相談の方法についても確認しておくとスムーズです。
事前に相談内容をまとめておく
限られた無料相談の枠を最大限に活用するためには、事前に相談したい内容を整理しておくことが鍵となります。
たとえば、法人税の確定申告書や財務諸表、給与支払い明細書など、具体的な資料を用意しておくことで税理士からの的確なアドバイスを受けやすくなります。
税理士に依頼する場合の費用相場
税理士に依頼する場合の費用相場はどのくらいかかるのでしょうか。あくまで一般的な目安となりますが、以下に費用をまとめました。
- 顧問契約の場合は月額約1万~3万円が相場
- 確定申告書・決算申告書の対応費用は約10万~20万円が相場
それぞれ解説していきます。
顧問契約の費用相場は月2万〜4万円
定期的に節税に対するアドバイスが欲しい場合は、顧問契約を結ぶと良いでしょう。税理士との顧問契約を結ぶ場合、月額費用として1万~3万円が一般的な相場です。
契約内容や業務の範囲により費用が異なるため、事前にしっかりと確認しておくことが大切です。特に税務相談や記帳代行、税務調査対応などのオプションが含まれているかどうかもしっかりチェックしましょう。
顧問料の例
- 法人の場合:25,000円〜40,000円程度
- 個人事業主の場合:20,000円〜35,000円程度
確定申告書・決算申告書の対応費用は約10万~20万円が相場
顧問料に加え、確定申告書や決算申告書のような大きな業務が発生する場合、別途で費用が発生するケースがほとんどです。
法人の場合は月額顧問料の4か月~6か月程度が目安とされており、約10万円〜20万円程度が相場であるといえます。ただし会社の売上規模が大きいほど工数が増加して複雑になるため、顧問料も高くなりやすい傾向にあります。
税理士の節税対策に関するよくある質問
最後に、税理士の節税対策に関するよくある質問をご紹介します。
- 税理士が節税対策をしてくれない場合はどうすればよい?
- 節税相談は違法?
- 税理士に資産形成の相談も依頼できる?
税理士が節税対策をしてくれない場合はどうすればよい?
もし税理士が節税対策をしてくれないと感じた場合、まずはその旨を明確に伝えることが大切です。節税対策の提案内容は契約内容や税理士の経験によって異なるため、事前にどの程度の節税を期待しているかをすり合わせておきましょう。
節税相談は違法?
節税相談をすること自体は違法ではありません。ただし、税務に関する具体的なアドバイスや計算は、税理士の独占業務とされています。税理士以外の者が有償・無償を問わず、これらの業務を行うことは法律で禁止されており、違法となります。
そのため、節税相談をする場合は必ず税理士に依頼しましょう。
税理士に資産形成の相談も依頼できる?
資産形成の相談は、税務の範囲を超えて幅広い知識を必要とします。そのため、すべての税理士が詳しいとは限りません。資産形成についてのアドバイスも求める場合は、税理士の専門分野を確認し、必要に応じて別の専門家との連携を検討しましょう。
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