ユーカリ・ポポラスは、丸みを帯びたハート型の葉っぱが特徴的な植物です。ゆらゆらと風に揺れる葉の様子は、眺めているだけでも楽しめます。
「ユーカリ・ポポラスの特徴が知りたい」「自宅で育ててみたい」そんな方のために、この記事ではユーカリ・ポポラスの特徴や育て方、剪定など手入れのコツを解説します。
ユーカリ・ポポラスの特徴
植物名 | ユーカリ・ポポラス |
学名 | Eucalyptus polyanthemos |
科名 / 属名 | フトモモ科 / ユーカリ属 |
原産地 | オーストラリア |
開花期 | 4月~5月 |
花の色 | 白 |
花言葉 | 再生、新生 |
樹高 | 1m~20m |
特性 | 成長スピードが早い、乾燥に強い |
ユーカリ・ポポラスはオーストラリアが原産地の「フトモモ科ユーカリ属」の植物です。
1mから大きなものでは20m近くまで育つのが特徴で、庭のシンボルツリーとして楽しむのはもちろん、切り取った枝を部屋に飾ったり、室内で観葉植物にしたりするなど、楽しみ方が豊富な植物です。
品種が多いユーカリのなかでも、香りが穏やかなため、強い香りが苦手な人にも好まれています。
ハート型の葉っぱが人気
ユーカリ・ポポラスは丸くてかわいらしいハート型の葉っぱをつけるのが特徴です。
ユーカリ属の多くの品種は、規則的な葉を枝に生やしますが、ユーカリ・ポポラスは不規則に生えます。肉厚でやわらかく、小さく枝分かれした枝に重ならないよう生えた葉は、風に揺られると涼しげな印象を演出します。
またブルーグレイ色の葉は、どんな建物の外観とも相性がよいため、建物本来の雰囲気の邪魔になりません。
珍しい形の花も特徴的
ユーカリ・ポポラスは花も咲かせます。ただし高さが「2m以上」にならないと、咲きません。そのため花を楽しみたい人は、大きく育ててみましょう。
まるで木の実のようなつぼみは「ポポラスベリー」とも呼ばれており、めずらしい形をしています。クリスマスなどのリースにも使われているので、見かけたことがある方もいるでしょう。
開花期は「4〜5月」です。つぼみは小さく白い花をたくさん咲かせます。細長く線状の花びらがまとまった姿は、原産地のオーストラリアの南国を思わせることでしょう。
花言葉は「再生」と「新生」
ユーカリ・ポポラスの花言葉は「再生」と「新生」です。これらの花言葉はユーカリ全般の花言葉としてつけられており、ほかにも以下のような花言葉が存在します。
- 思い出
- 記憶
- 慰め
- 追憶
ユーカリの原産国であるオーストラリアでは山火事が頻繁に発生します。山火事を偲ぶ思いや、山火事が発生しても再起を図って成長していくその姿から、数々の花言葉がつけられました。
さまざまな呼び方が存在
ユーカリ・ポポラスには、さまざまな呼び名が存在しています。例えばフラワーショップなどでは「ポポラス」や「ポリアンセモス」などと表示されて販売されていることがあるでしょう。
呼び名の違いは和名や学名による違いで、いずれもユーカリ・ポポラスのことを指しています。
また葉の形状から「ハートリーフユーカリ」と呼ばれることも。フラワーショップなどでユーカリ・ポポラスを探す際は、これらの名前もチェックしてみるとよいでしょう。
知らずに育てて後悔!?ユーカリは成長スピードが速い
観葉植物として人気のユーカリ・ポポラスですが、育てる前に知っておいて欲しい注意点があります。
それは「ユーカリは成長速度がとても速い」ということです。プランターで栽培すれば1~2mで成長が止まりますが、庭で地植えをすると10m以上も成長する可能性があります。
成長スピードが速いと高所での剪定作業が増えるため、剪定業者に依頼する必要が出てきます。
「こんなはずじゃなかった」と後悔しないよう、ユーカリの苗を購入する前に以下の点を確認するとよいです。
- 何mまで成長するのが理想か
- 鉢植え/地植えのどちらにするか
- 剪定の費用はいくらか
ユーカリ・ポポラスは、ユーカリの中でも成長速度が緩やかであるため、観葉植物として育てやすいでしょう。
ユーカリ・ポポラスの育て方
ユーカリ・ポポラスを育てるうえで欠かせないのが、栽培に適した環境です。湿気が苦手な特性を持っているため、栽培場所や水やりには特に注意するようにしましょう。
育て方のポイントを抑えておけば、成長スピードも早いのでグングンと育っていきます。
栽培に適した場所
ユーカリ・ポポラスは日光を好みます。そのため、育てる際には日当たりのよい場所を選んで栽培するようにしましょう。
また風通しがよくないと、湿気がこもって病気になってしまいます。ユーカリ・ポポラスは日当たりと風通しがよい場所を選んで育てるのが大切です。
また香りやインテリアグリーンを楽しむために、観葉植物として販売されていることもありますが、屋内では大きく育ちません。
コンパクトなサイズ感を楽しみたい場合は鉢植えで栽培し、大きく育てたい場合には屋外で育ててあげるとよいでしょう。
苗から植えるのが一般的
ユーカリ・ポポラスは、種からではなく苗から植えるのが一般的です。苗を購入できる場所は、以下の通りです。
- 通販サイト
- 花屋
- ホームセンター
ほとんどの通販サイトでは、1,000~2,000円ほどで苗が販売されています。
植え付けるときの土と方法
ユーカリ・ポポラスは湿気が苦手です。そのため植え付ける場所の土が湿りやすい場合には、水はけのよいものに入れ替えておきましょう。
花や野菜用の培養土は保水性が高いため、観葉植物用やハーブ用の培養土がおすすめです。
また地植えの場合は、土壌改良剤を使用するのもよいでしょう。土壌改良剤は通気性や保水性を改善して、植え付けに適した性質の土にするための役割があります。少し盛り土にするなど、湿気が溜まらないように工夫しましょう。
加えて鉢植えには、鉢底石を敷くことも忘れてはいけません。土の排水性や通気性を高めてくれます。
水やりはほどほどに
ユーカリ・ポポラスは湿気が多いと弱ってしまうため、水を与えすぎないように心掛けましょう。水やりの流れは以下の通りです。
|
地植えの場合は、基本的に水やりしなくても問題ありません。ただし長期間にわたって雨が降らない時期には必要となります。
ユーカリ・ポポラスは乾燥に強い植物ですが、一方で乾燥しすぎると株が弱ってしまう性質があります。こまめに土の状態をチェックするように心がけてくださいね。
肥料の与えすぎにも注意
ユーカリ・ポポラスは、植えつけ時に肥料を与えたあとの追肥も基本的に不要です。
また肥料を与えすぎると肥料焼けを起こして、枯れてしまう危険性があります。どうしても追肥をする場合には、観葉植物向けに販売されている化成肥料や液肥を使用しましょう。
冬越しの対策
ユーカリポポラスは耐寒性があるため、冬越しのために特別な手入れや対策をする必要はありません。
葉っぱが凍っても、茶色に枯れたり、落葉したりせずに冬を越すことができるため、零度を下回る地域でも栽培が可能です。
冬は水をあげる量をやや少なくし、夏と同様に日当たりのよい場所に置くことを意識してくださいね。
ユーカリ・ポポラスの手入れの方法
生育旺盛なユーカリ・ポポラスは成長スピードが早く、放っておくと枝や葉が伸び放題の状態になってしまいます。そのため、こまめな剪定が欠かせません。
剪定時期や方法を確認し、ユーカリ・ポポラスを健康的に育てましょう。
剪定時期はいつでもOK
ユーカリ・ポポラスはすぐに成長するため、季節に関係なく、いつでも剪定可能です。剪定した数日後には、新しい芽がまた生えてきます。
地植えの場合は、土から栄養をどんどん吸収して大きく成長します。そのため外見を整える目的としても剪定は必要です。また剪定することで、生い茂った葉が取り除かれ、植物自体の風通しもよくなります。
また鉢植えなどでコンパクトなサイズをキープしたい場合にも、定期的な剪定を行うとよいでしょう。ただし剪定は植物にとっては負担となります。そのため季節によって剪定の度合いを変えると、植物へのダメージを軽減できるでしょう。
- 真冬…枝の剪定程度にとどめておく
- 春頃…本格的な剪定を行う
剪定の方法
ユーカリ・ポポラスの剪定方法は「透かし剪定」と「摘心(てきしん)」の2つです。それぞれの目的や効果は以下の通りです。葉を減らして、形を整えるように行いましょう。
透かし剪定 |
|
摘心 |
|
剪定の手順
|
ユーカリ・ポポラスを剪定する際のポイントは、樹形が円すい状になるようなイメージで整えていくことです。また枝を切る際には枝の途中部分ではなく、分岐した節目の部分から切り落とすようにしましょう。不要な枝を剪定する際には、主観の付け根から切り落とします。
剪定後は水やりや追肥をせずに育てると、成長スピードを抑えられます。
摘心の手順
摘心は成長段階によって、カットする場所が異なります。
1回目 | |
2回目 | |
3回目 |
1回目は、葉が7~8枚まで成長したときに先端の芽を切りましょう。2回目・3回目は、分岐した枝が長くなったら先端を切りましょう。
枯れそうな枝は剪定で切り落とそう
ユーカリ・ポポラスの枯れそうな枝や枯れてしまった枝は、剪定の際に切り落としましょう。葉の色が茶色く変化していて、軽く触れただけで葉がポロポロと崩れていく場合が枯れているサインです。
枯れそうな枝を剪定すれば、健康的な枝にしっかりと栄養が行き渡るようになり、健康的な成長を促すことにつながります。
なお、葉が赤くなっている場合は枯れているわけではないので注意してください。ユーカリ・ポポラスは冬の時期などで寒くなってくると、葉を赤く変色させる性質を持っています。暖かくなれば自然と葉の色が戻るため、間違って切り落としてしまわないように気をつけてくださいね。
剪定後は挿し木をすることもできる
剪定でカットした枝から、新しいユーカリポポラスを育てることができます。
挿し木の流れは以下の通りです。
|
支柱も必要
ユーカリ・ポポラスを屋外で育てる場合は支柱を使いましょう。
ユーカリ・ポポラスは根が浅いため、風にあおられると倒れてしまう可能性があります。そのため支柱を立てることで、主幹が安定しやすくなります。
ただし大きく育っていると、支柱だけでは支えきれずに倒れてしまうこともあるため、適度な剪定が必要です。また支柱を刺す際には、根を傷つけないようにしましょう。
ユーカリ・ポポラスの主幹は、成長とともに太くなります。幹を傷つけないためにも、ワイヤーなどではなく、麻ひもなどの素材を使って固定しましょう。
植え替えのコツ
ユーカリ・ポポラスの根はどんどんと成長して伸びていきます。地植えの場合には、あらかじめ広めの場所を確保しておけば、基本的に植え替えの必要はありません。しかし鉢植えでは、必要な作業なので覚えておきましょう。
春から秋口に行うのが最適
ユーカリ・ポポラスの植え替えは、春から秋口にかけて行いましょう。鉢底から根が飛び出してきたら、植え替えのサインです。今使っている鉢のサイズよりも、大きな鉢を用意して移し替えます。
もし植え替えのサインを無視してそのまま放置していると、鉢中にぐんぐんと根を張っていき、根詰まりを起こしてしまいます。最悪の場合には枯れてしまうこともあるので、鉢底のチェックを怠らないようにしましょう。
植え替えの流れと手順
ユーカリ・ポポラスの植え替えをする前に、以下の6点を準備しておきましょう。
|
手順は以下の通りです。
植え替えの手順
|
手順5の際に、根が黒く変色している部分は、清潔なハサミで切り落としておきましょう。
室内で苗から育てるには?
ユーカリ・ポポラスを観葉植物として楽しみたい方のために、屋内で育てる際の2つのポイントを紹介します。
- 大きめの鉢を使う
- 置き場所に注意する
やさしい香りのユーカリ・ポポラスをインテリアグリーンとして楽しんでみてはいかがでしょうか。
大きめの鉢を使う
ユーカリ・ポポラスの苗を鉢に植え替える際には、小さな鉢ではなく大きめの鉢を使うようにしましょう。
ユーカリ・ポポラスは根が浅く、横に広がって伸びる性質があります。そのため小さい鉢では十分に根が張れず、枯れてしまう危険性が高いです。
1~2年に最低でも1回は、一回り大きなサイズの鉢に植え替えるようにしましょう。プラスチック製や陶器製など様々な素材で作られた鉢が販売されています。ユーカリ・ポポラスは湿気を嫌うため、鉢中の湿度調整が可能な「素焼き」の鉢がおすすめです。
また室内ではコンパクトなサイズを維持するためにも、こまめに剪定をしましょう。
置き場所には注意を
ユーカリ・ポポラスを室内で育てる場合は、鉢植えの置き場所にも注意が必要です。原産地であるオーストラリアは、乾燥した温暖な気候で、冬場でも気温は5度を下回りません。
室内で育てる場合も、なるべく同じような条件の環境下に置くことが大切です。日光がよく当たり、風通しのよいリビングなどの窓際付近に置きましょう。
ただし比較的乾燥に強いユーカリ・ポポラスですが、エアコンの風が直接当たると枯れる原因となります。また壁際も風通しが悪く、湿気が溜まりやすいので避けた方が無難です。
注意すべき病気や害虫
ユーカリ・ポポラスを育てるうえで無視できないのが病害虫の存在です。大切な植物を枯らしてしまうことの無いよう、定期的に健康状態を確認するようにしてくださいね。
主な病気は2つ
ユーカリ・ポポラスがかかりやすい主な病気は、「斑点病」と「うどんこ病」の2つです。
-
斑点病
斑点病はカビ系の病気で、葉に黒っぽい斑点が現れます。湿気が高いとかかりやすく、発生した斑点は消えません。
発症した葉から、ほかの健康な葉にも伝染することがあるため、見つけたらすぐに取り除きます。全体に広がってしまったら、薬剤による処理が必要です。
予防方法 |
|
対処方法 |
|
-
うどんこ病
うどんこ病もカビ系の病気で、葉や茎に小さな白い斑点が発生し、次第に全体が白い粉がふいたようになります。
予防方法 |
|
対処方法 |
|
主な害虫の被害
ユーカリ・ポポラスでは主にハダニとコガネムシに注意しましょう。
-
ハダニ
発生しやすい環境 |
|
被害の流れ |
|
-
コガネムシ
被害内容 |
|
疑うべき症状 |
|
対処方法 |
|
地植えでの段階で、コガネムシを完全に予防することは難しいですが、化粧石などを土に敷くと産卵されにくいと言われています。
ユーカリ・ポポラスとユーカリ・グニーの違い
ユーカリにはなんと500種以上もの種類があり、それぞれで葉の形状や香りなどの特徴が異なります。
中でも特に人気が高く、手に入りやすい品種のユーカリ・ポポラスとユーカリ・グニーの特徴は以下の通りです。
-
ユーカリポポラス
葉の特徴 |
|
栽培環境 |
|
香り |
|
特性 |
|
-
ユーカリグニー
葉の特徴 |
|
栽培環境 |
|
香り |
|
特性 |
|
ユーカリ・ポポラスは屋内外で育てられるのに対し、ユーカリ・グニーは屋外の環境を好みます。
ユーカリ・ポポラスは「香りが苦手だけど、オリーブの葉の魅力を存分に楽しみたい!」という方に、ユーカリ・グニーは「爽やかな香りと成長していく葉の様子を楽しみたい!」という方におすすめです。
室内で楽しむ飾り方
さわやかな香りと、かわいいハート型の葉が特徴のユーカリ・ポポラスは、室内に飾ればインテリアとしても楽しめます。剪定で余った枝を使ってもよいでしょう。
ここでは初心者でも手軽にできる、ユーカリ・ポポラスの3種類の飾り方を紹介します。
花瓶に飾って観賞
ユーカリ・ポポラスを手間をかけずに飾りたい方には「花瓶」に飾る方法がおすすめです。
必要なものは花瓶とユーカリ・ポポラスと水の3点だけです。花瓶がない人は、ガラスのコップやマグカップなどを使ってもよいでしょう。
枝にゆとりをもって生えたハート型の葉は、1種類だけを使用してもシンプルなインテリアグリーンを楽しめます。ボリュームが欲しい人は、ほかのグリーンと組み合わせてみましょう。
飾り方のポイントは、花瓶の大きさと枝のバランスです。ユーカリ・ポポラスは枝なので、長いほど葉の量も増え重たくなります。花瓶が小さいと倒れやすくなったり、枝を固定しにくくなるため注意してください。
ドライフラワーにする
ドライフラワーにすれば、生花よりも長い時間にわたってユーカリ・ポポラスを楽しめます。ドライフラワーに必要な道具は以下の4点です。
|
上手に作るポイントは、美しい状態のまま吊るして乾燥させることです。葉がしなって元気がない場合には、枝に水を吸わせてから作業しましょう。
ドライフラワー作成の手順
|
ドライフラワーは衝撃に弱いため、人や物が当たらない場所に吊るすようにしましょう。
スワッグに使う
スワッグとは植物を束ねたもので、壁などに飾るものです。
先に紹介したドライフラワーもスワッグに使用できます。また生花をそのまま使っても作れるので便利です。ユーカリ・ポポラスと紐があれば、すぐに作れるでしょう。
まずは長さやボリュームのバランスを見ながら、ブーケを作るように束ねていきます。そしてきつく紐でまとめれば完成です。
壁などに飾って、そのままドライフラワーとしても楽しめます。
ユーカリの香りは虫除け効果がある
ユーカリはさわやかな香りが特徴的です。人間にとって良い香りなユーカリですが、実は虫にとっては嫌な香りなのです。
そのため、ユーカリポポラスを部屋に飾れば、おしゃれな虫除けとして利用することができます。
ユーカリ・ポポラスで素敵な空間を作ろう
ユーカリ・ポポラスはユーカリの1種です。さわやかな香りとブルーグレイのハート型の葉からは、やさしく、さわやかな香りが漂います。日光が当たる風通しのよい場所で、剪定をしながら育てましょう。
また剪定で出た枝は挿し木として利用する以外にも、花瓶へ生けたり束ねて壁に飾ったりもできます。ユーカリ・ポポラスで素敵な空間を作ってお家時間を楽しく過ごしましょう。