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テイカカズラは四季折々の姿が印象的なつる性植物!特徴や花言葉・育て方を解説

最終更新日: 2024年05月01日

テイカカズラは濃い緑色の葉と、白くかわいらしい花が印象的なつる性の植物です。成長が早く手入れも楽なため、庭の生垣やグリーンカーテン作りなどに高い人気があります。

この記事ではテイカカズラの特徴や名前の由来、育て方や手入れのコツなどを徹底解説します。

テイカカズラとは

テイカカズラ

テイカカズラはキョウチクトウ科テイカカズラ属の植物です。本州や四国、九州など日本で広く分布しており、さまざまな地域でその姿を楽しむことができるでしょう。

テイカカズラの特徴

植物名 テイカカズラ(定家葛)
学名 Trachelospermum asiaticum
科名 / 属名 キョウチクトウ科 / テイカカズラ属
原産地 日本、朝鮮半島
開花期 5月~6月
花の色
樹高 2m~10m
特性 常緑性、つる性、香りがある、毒性がある

テイカカズラの栽培カレンダー

テイカカズラの栽培カレンダー

テイカカズラは冬でも葉を落とさない常緑つる性植物で、5月~6月になると白くて小さな花をたくさん咲かせます。

日本の風土に合っているため手がかからず、ガーデニングに取り入れやすい植物として人気です。

テイカカズラには、壁や他の樹木などをつたって、どんどんツルを伸ばしていく習性があります。大きいもので10mほどまで育つこともあり、ダイナミックな姿を確認することができるでしょう。

この習性を利用すれば、庭木やフェンスに這わせて外からの目隠しにしたり、網や壁を伝わせて日差しをさえぎる「グリーンカーテン」を作ったりと、様々な楽しみ方が可能です。

鮮やかな緑色の葉

テイカカズラの葉
テイカカズラの葉

テイカカズラの葉は左右対称で、光沢のある鮮やかな緑色です。葉のサイズは長さが1~2cm、幅5~10cmと小さいのが特徴です。

多くの葉をつけるうえに、鮮やかなグリーンと光を反射させるつややかさが、白い花との自然なコントラストを演出します。

テイカカズラの紅葉
テイカカズラが紅葉する様子

テイカカズラの葉は、秋になると紅葉します。常緑性のためすべての葉を紅葉させることはあまりありませんが、赤い葉と緑色の葉が入り交じる姿は幻想的な印象を与えてくれるでしょう。

5月~6月に白い花を咲かせる

テイカカズラの花
テイカカズラの花

テイカカズラは主に葉を見て楽しむ植物ですが、花も魅力的です。一斉に開花する5月~6月ごろには、南国のリゾートのような優雅な雰囲気を醸し出します。

花の大きさは2~3cmほどで小さく、枝先や葉の付け根の部分に花を連ねて咲かせます。花が咲き進むと、白色からクリーム色へと変化するため、花色の移ろいも楽しめるでしょう。

クリーム色のテイカカズラの花
クリーム色のテイカカズラの花

細長いテイカカズラの実

細長いテイカカズラの実の写真
細長いテイカカズラの実

6~7月にできるテイカカズラの実は非常に特徴的です。豆のさやのような細長い実が対になっています。

大きさはおおよそ15cmです。実が枯れてくると、綿毛が生えている種子が顔を出します。

綿毛が生えているテイカカズラの種子
綿毛が生えているテイカカズラの種子

テイカカズラは甘い香り

テイカカズラは甘い香りがします。香水として人気が高いジャスミンの香りと似ていると言われています。

香りが強いので、遠くからでもテイカカズラの華やかな香りを楽しむことができるでしょう。

毒性があるので注意

テイカカズラには毒性があります。体内に入ると麻痺や嘔吐などの重篤な症状を引き起こすため、絶対に口に入れないように注意しましょう。

特にテイカカズラの花は、見た目や香りがお茶に使用される「ジャスミン」によく似ています。間違えやすいので気をつけてくださいね。

ゲッキツ(シルクジャスミン)の花
テイカカズラと似ているジャスミンの花
関連記事:ハゴロモジャスミンの剪定方法は?基本の管理や増やし方も紹介|ミツモア

直接食べなくても、剪定や植え替えなどのお手入れをするときに、手についた毒が口に入ってしまうことも考えられます。

テイカカズラに触るときは軍手を着用し、作業後は念入りに手を洗いましょう。

テイカカズラの豆知識

テイカカズラ

テイカカズラは名前の由来にも独特のエピソードがある植物です。ほかにも花言葉や関連品種の特徴を知って、テイカカズラの美しさをさらに楽しんでみてくださいね。

名前の由来は能楽の「定家」

テイカカズラは漢字で「定家葛」と書きこの特徴的な名前は能楽の「定家」に由来します。

「定家」は平安時代後期~鎌倉時代に実在した「藤原定家(ふじわらのていか)」を指します。藤原定家は「新古今和歌集」などの選者としても有名な歌人です。

定家は後白河法皇の娘、式子内親王(しょくしないしんのう)に身分違いの恋をしますが、叶うことはありませんでした。

亡くなった後もその想いは続き、彼女を忘れられないままこの世を去った定家が、カズラに生まれ変わって彼女の墓に絡み付いたとされています。

定家の悲恋のうわさが後に能楽のストーリーに採用され、登場するカズラをテイカカズラと呼ぶようになりました。

テイカカズラの花言葉

テイカカズラの花言葉は、次の4つです。

  • 優雅
  • 優美な美人
  • 爽やかな笑顔
  • 依存

テイカカズラの花の形はかわいらしく、甘い香りがします。「優雅」「優美な美人」の花言葉は、次々と花が咲いて、よい香りを放つ様子から生まれました。

またテイカカズラの花は、スクリューのような形の花びらが5枚、元気いっぱいに開いて、ニコニコと笑っているようにも見えます。「爽やかな笑顔」の花言葉は、花の形が醸し出す雰囲気が由来となっているようです。

「依存」の花言葉は、テイカカズラのツルが周りの木や壁に張り付くようにして成長することから生まれました。

テイカカズラの種類

テイカカズラ

テイカカズラの代表的な種類を2つ紹介します。

ハツユキカズラ

ハツユキカズラ
ハツユキカズラ
植物名 ハツユキカズラ
学名 Trachelospermum asiaticum
科名 / 属名 キョウチクトウ科 / テイカカズラ属
原産地 日本、東南アジア
開花期 5~6月
花の色
花言葉 素直にこたえたい、化粧

「ハツユキカズラ」はテイカカズラから生まれた園芸品種です。白いまだら模様の入った葉が特徴的で、冬になってもカラフルな葉が美しく生い茂ります。

テイカカズラに比べると、葉や節が小さく成長も遅いので、寄せ植えのベースにも適しています。実際にグランドカバーとして利用されることも多いです。

関連記事:グランドカバーにおすすめの植物16選!植えてはいけない植物も紹介|ミツモア

育て方はテイカカズラとほぼ同じですが、葉のまだら模様を楽しむにはよく日に当てる必要があります。葉焼けの心配もあまりないので、できるだけ日当たりのよい場所で育てるとよいでしょう

スタージャスミン

スタージャスミンの花

植物名 スタージャスミン
学名 Trachelospermum jasminoides
科名 / 属名 キョウチクトウ科 / テイカカズラ属
原産地 中国、台湾
開花期 5~6月
花の色 白、黄色、ピンク

「ジャスミン」という名前がついていますが、テイカカズラの仲間です。テイカカズラよりツルが長く伸びるため、フェンスに絡ませてグリーンカーテンに適しています。

耐寒性・耐暑性があるため、日本全国どこでも育てられます。

育てる前に知っておきたいこと

群れて咲くテイカカズラの花

テイカカズラを育てる前に、生育に適した条件を押さえておきましょう。植え付けの時期や日当たり、土壌について解説します。

種子ではなく苗から育てる

テイカカズラは種子から育てるのが非常に難しいです。そのため、テイカカズラの種子を売っていないお店は多く、育てたい方は苗を入手しましょう。

苗の値段はおおよそ2,000~3,000円です。

植え付けは4~6月がおすすめ

 テイカカズラは4月から7月の上旬にかけて、盛んに成長します。このため種苗の植え付けは、4~6月の間に行うのがおすすめです。7月以降に植える場合は、暑さが落ち着く9月ごろがよいでしょう。

また気温が低い時期は、寒さにより株が傷む恐れがあります。10月以降は植え付けを控え、翌年の4月まで待ちましょう。

植え付け後は、根が安定するまで日当たりや風通しのよい場所に置き、水やりしながら育てます。

半日陰を好む

テイカカズラは、森林の中で岩や他の樹木に絡みついて育つ植物です。このため日当たりがあまりよくない環境でも、枯れる心配はほとんどありません。

むしろ強い日差しに長時間当たると、葉が焼けて茶色に変色することもあります。ただし花を楽しむためには、太陽の光が必要です。日当たりがよいほど花芽がつき、たくさんの花を咲かせます。

葉も花もしっかり楽しみたいのなら、午前中だけ日が当たる場所や、直射日光の当たりにくい半日陰の場所で育てるとよいでしょう。

肥沃な土を使うとよい

テイカカズラは養分が豊富で水持ちのよい、肥沃な土壌を好みます。日当たりがよく土が乾きやすい庭の場合は、腐葉土や堆肥を混ぜ込むと保水性が上がります。

ただし、土の保水性が高すぎると根腐れを起こす可能性があるので、水はけがよくなるよう、赤玉土のような排水性に優れた土を3~4割ほど混ぜておくと効果的です。

 鉢植えの場合は、市販の用土で十分です。あらかじめ赤玉土や、バーミキュライトのような土壌改良剤が配合されている培養土を購入しましょう。

テイカカズラの育て方3つのコツ

満開のテイカカズラ

テイカカズラは、あまり手がかからない植物です。水や肥料のやり方も、特に難しいことはありません。テイカカズラの基本的な育て方を見ていきましょう。

【コツ1】夏の水やりは朝夕の1日2回

鉢植えの場合、水やりは週に3~4回行いましょう。地植えの場合は、春夏以外、水やりをする必要はありません。

しかし、テイカカズラは乾燥に弱いため、生育期や暑い夏は、朝と夕方の1日2回水やりをしてください。

暑い時期の水やりポイントは2つあります。

  • ポイント①:朝は軽く、夕方にたっぷりと水を与える

昼間は外の気温も土の温度も高いため、水が熱くなって根を傷める可能性があります。夕方にたっぷりと与えましょう。

  • ポイント②:葉にも水をかける

暑い時期や空気が乾燥している時期は、葉が乾いてポロポロと落ちやすいです。水やりと同時に、葉にも水をかけておくとよいでしょう。葉に水をかけるのは、害虫予防の効果もあります。

【コツ2】冬の水やりは少なめに

テイカカズラは冬になると成長が鈍り、吸水量も減ってきます。水を与えすぎると土の中が湿ったままになって、根腐れするので水やりの回数を減らしましょう。

鉢植えの場合は、他の季節よりも水やりの間隔を空けるようにします。土の表面が乾いてからすぐに水やりするのではなく、2~3日ほど待ってから与えてください。

葉が乾いているようなら、霧吹きで水をかけるとよいでしょう。

【コツ3】肥料はほぼ必要なし

テイカカズラは肥料がなくても育ちます。発育の悪さが気になるときだけ、少量の肥料を与えて様子を見ましょう。 肥料をまく時期は、9月または1~2月の寒肥(かんごえ)がおすすめです。

鉢植えの場合は、液体肥料を少しだけ使ってみるとよいでしょう。

庭に植えているのなら、固形肥料を株の周りにまいておきます。

注意したい病気や害虫は?

テイカカズラ

植物を育てるときには、伝染病や虫による食害も気になります。テイカカズラを育てる際に注意したい、病気と害虫について見ていきましょう。

病気の心配は少ない

テイカカズラは病気にかかりにくい植物です。病気の予防や、かかったときの対策について、特に心配する必要はありません。

ただし、水はけが悪い環境で雨が続いたり、水をやりすぎたりすると土の中にカビが発生し、根腐れを起こすことがあります。

テイカカズラに限らず、植物を育てる際は土や水の様子をしっかりと観察し、適切な状態に保つように心がけましょう。

アブラムシとカイガラムシに注意

テイカカズラには「アブラムシ」「カイガラムシ」が発生することがあります。どちらも葉や茎に寄生して、テイカカズラの栄養分を吸い取る害虫です。

葉の裏に群生するアブラムシ
アブラムシ
カイガラムシ
カイガラムシ

特に繁殖スピードが速いアブラムシは群れになって寄生するため、放っておくとあっという間に増えて、株を弱らせてしまいます。

被害を最小限に抑えるためにも、小まめに葉の裏側や枝をチェックして、見つけたらすぐに駆除しましょう。

 殺虫剤葉から払い落とすためのブラシなどを用意しておくと安心です。

また殻に覆われているカイガラムシは、一見虫とは分からないことが多く、気付くのが遅れがちです。

カイガラムシがついた植物の見た目を把握し、テイカカズラについていないかどうかチェックしましょう

害虫は伸びたツル同士が絡まって、日当たりや風通しが悪くなった場所で発生しやすいです。適度に株の間引きやツルの剪定を行い、風通しをよくしておきましょう。

テイカカズラの手入れ方法

テイカカズラの花

テイカカズラをしっかりと育てて増やしていけば、グリーンカーテンや生け垣として役立つようになります。ツルを高い場所まで伸ばす方法や、増やし方のポイントを見ていきましょう。

フェンスを使ってグリーンカーテンにする場合

テイカカズラのグリーンカーテン
テイカカズラのグリーンカーテン

テイカカズラのツルは、高さ約10mまで這い上がるように伸びます。この習性を利用して、壁やネット、フェンスに絡まるように誘引して固定させれば、グリーンカーテンを作れます。

自然の植物を使ったグリーンカーテンには、周辺の気温を下げる効果もあり、夏を涼しく過ごせるでしょう。

グリーンカーテンを作る方法は以下の通りです。

  1. 太いツルを2~3本残す
  2. 他のツルは根元から切り取る
  3. ツルが伸びたら、麻ひもをフェンスに軽く縛りつける
  4. 伸びすぎたツルを定期的に刈り取る

挿し木での増やし方

テイカカズラは根が出やすいため、枝を土に挿す「挿し木」を用いれば、簡単に増やせます。挿し木に適した時期は6~8月です。挿し木の手順を紹介します。

  1. 元気な若い茎を10~15cmの長さにカットする
  2. 葉を全て取り除く
  3. 茎を数時間水に浸ける
  4. 培養土を入れた育苗ポットに茎を挿す
  5. 明るく風通しのよい場所に置いて、水やりしながら育てる
  6. 枝から新しい葉が数枚出てきたら、鉢植え/地植えをする

挿し木の手順を説明した図解

取り木での増やし方

テイカカズラは「取り木」という手法でも増やせます。取り木は成長が早く、適期が5月なので、挿し木の適期を待たずに増やしたいときにもおすすめです。

取り木の方法は以下の通りです。

取り木の方法

  1. カッターで幹に切れ目を2か所入れる
  2. 切れ目の間にある皮をはぎ取る
  3. 湿った水苔を巻き付け、ビニール袋で包む
  4. 【1か月後】根が出たら根の1cm下を切る
  5. 水苔ごと鉢に植える

挿し木と同様、鉢を日当たり・風通しのよい場所に置くことがポイントです。

テイカカズラを駆除する方法

剪定をする男性

ガーデニングとして人気のテイカカズラですが、繁殖力が強いので駆除したいと考える方もいるでしょう。テイカカズラを駆除する方法を2つ紹介します。

除草剤をまく

 広範囲にテイカカズラが生えている場合、除草剤で枯らすとよいでしょう。製品によって持続効果がかなり異なるので、購入前にチェックすることをおすすめします。

根から掘り起こす

  テイカカズラが生えている範囲が限定的な場合は、1つずつスコップやショベルで根から掘り起こしましょう。

柄に角度がついているスコップは掘り起こしやすいのでおすすめです。

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テイカカズラは季節によって印象が異なる植物

テイカカズラ

テイカカズラは能楽の題材になるほど、古くから親しまれてきた身近な植物です。日本の土壌や気候に合っていて育てやすく、病気の心配もありません。

基本的なお世話は水やりと害虫駆除だけで、肥料を与える必要もほとんどないため、ガーデニング初心者でも気軽に挑戦できます。

また育てやすい植栽をガーデニングに取り入れたい方には「宿根草」の栽培もおすすめです。毎年きれいな花を同じ時期に咲かせてくれるので、テイカカズラとの相性もよいでしょう。

関連記事:宿根草とはどんな植物?多年草の特徴や育て方、おすすめの品種を紹介|ミツモア

テイカカズラは緑の葉をバックに白い花がたくさん咲く様子も、とても涼し気です。玄関先に植え込めば甘い香りを楽しめますし、グリーンカーテンに仕上げれば、夏の厳しい暑さを和らげてくれます。

テイカカズラを駆除したい場合は、除草剤やスコップを使って根元から除去しましょう。