白や淡いピンク色の花を咲かせるハゴロモジャスミンは、園芸用として近年人気があります。
ハゴロモジャスミンを美しく育てていくためにも、定期的な剪定が必要です。ハゴロモジャスミンの管理や育て方から、正しい剪定方法まで紹介します。
ハゴロモジャスミンとは?
園芸用として近年多くの人に選ばれる「ハゴロモジャスミン」とは、どのような樹木なのでしょうか?育て方や剪定のコツを知るためにも、まずはハゴロモジャスミンについて理解を深めましょう。ジャスミンの他の種類についても解説します。
ジャスミンの中でも園芸種として人気
加工品としても親しまれているジャスミンは、全部で200種類以上の品種があります。多くのジャスミンの中でも育てやすく、成長が早いのが「ハゴロモジャスミン」です。
ハゴロモジャスミンはモクセイ科ソケイ属のつる性植物で、つるを伸ばし周囲のものに絡ませながら成長します。伸びたつるの長さは約2mです。アーチ状の設備に沿わせるという楽しみ方もされています。
4〜5月頃に咲く花は白や淡いピンクで、1〜2cmほどの小ぶりな花が株全体を覆うように開花する様は見事です。年間最低気温が0℃を下回らない地域では、冬でも地植えで育てられます。ただし寒さには弱いため温度管理には気を付けなければなりません。
ジャスミンは他にも種類が豊富
現在確認されているジャスミンの品種は200種類以上ですが、加工品として利用するジャスミンは一部だけです。
ジャスミンティーの香り付けには「アラビアジャスミン(マツリカ)」が使われます。香水に使われるのは「コモン・ジャスミン」です。
園芸用だと他にも純白の花が咲く「ホワイトプリンセス」は育てやすく、人気があります。ハゴロモジャスミンに比べてつるがあまり伸びないため、鉢植えで育てるのにおすすめです。
ハゴロモジャスミンの育て方
ハゴロモジャスミンを美しく育てていくには、ポイントを押さえた育て方が重要です。暑さには強く寒さに弱いハゴロモジャスミンは、生育環境が間違っていると枯れてしまう恐れがあります。基本となる育て方を見ていきましょう。
日照と温度の管理が大切
ハゴロモジャスミンの生育をよくするために最も大切なのは、日当たりと温度管理です。ハゴロモジャスミンはよく日が当たり、風通しがよい場所で健康的に育ちます。
寒さに弱いハゴロモジャスミンの温度管理は、冬場の気温によって変わってきます。0℃を下回らない地域では北風や霜が降るような場所を避け、風に吹かれない対策をすると室外でも冬を越せるでしょう。
0℃を下回る地域では冬を迎える前に、鉢植えに移し替えて室内で冬越しするのが安心です。ただ温度変化が少ない室内では花芽を付けなくなってしまうため、適度に冷たい空気に当てるのがポイントです。
室内で育てていても0℃を下回らない日は外に出してあげましょう。
水は土が乾いたらたっぷりと
ハゴロモジャスミンを育てるコツは、十分な水やりです。特に夏場や鉢植えで育てている場合は、土が乾いた状態にならないよう小まめにチェックしましょう。水分が足りない状態が続くと枯れやすくなるため、土が乾いていたらたっぷりと水を与えます。
鉢植えの水やりで注意しておきたいのは、水はけをよくしておくことです。たっぷりと水をやっても水はけが悪く、根が腐ると枯れてしまいます。根腐れを起こさないよう少しずつ水をやるのがコツです。
またハゴロモジャスミンは適した時期に肥料を与えると、より育ちがよくなります。施肥に適した時期は2〜3月・5〜6月の年2回です。窒素やリン酸・カリを含んだ肥料や有機化成肥料が成長に効果的です。
鉢植えは定期的に植え替えを
鉢植えで育てている場合は、根の張り具合を目安に植え替えを行う必要があります。鉢植えの裏を確認して、根詰まりが起きていたら植え替えるタイミングです。鉢の大きさにもよりますが植え替えの頻度は2〜3年ごとが目安です。
植え替えは寒暖差の激しくない春か秋に行います。それまで使用していた鉢植えより1回り大きい鉢植えに移しましょう。
室外で鉢植えから伸びたつるを他のものに這わせていた場合は、丁寧にほどき植え替えた後に再度つるを誘導します。地植えで育てているなら植え替えは必要ありません。
ハゴロモジャスミンは定期的に剪定しよう
ハゴロモジャスミンを含めたジャスミンの木は、放っておくと伸びすぎてしまうため毎年の剪定が必要です。生命力が強い植物ですので、深く切り込む強剪定も積極的に行いましょう。
ハゴロモジャスミンの剪定に適した時期や剪定の方法、つるを誘引する手順を解説します。
剪定の時期と方法をチェック
剪定に適した時期は花が咲き終わった6月から、花芽を付け始める前の9月にかけてです。花芽を切ってしまうと翌年の花付きが悪くなるため、遅くても9月中には終わらせましょう。
剪定ではメインとする太いつるを残し、周りの細いつるを間引いていきます。伸びたつるは半分ほど切り落とし、樹形を整えていくと失敗しにくいでしょう。
生命力の高いハゴロモジャスミンは、深く剪定しても木の健康に大きな影響はありません。残したつるは春を過ぎると急成長します。
ただ剪定のやり過ぎは花芽まで切ってしまいかねないため、樹形が整った段階で終わりにしましょう。他の時期でもつるが伸びて樹形が崩れているようなら、整える程度なら剪定しても構いません。
剪定したつるは挿し木にも
ハゴロモジャスミンは挿し木をすれば増やせます。株を増やしたい人は剪定で切り取ったつるを保管しておきましょう。生えて1年たっていないつるは、新しい苗として育てるのに最適です。
切り取ったつるの中ほどを約10cmの長さに切ります。葉は上半分を残して全て落としてしまいましょう。1時間ほど水につけたら赤玉土を入れた鉢に、下半分が埋まるように挿します。
発根までは1カ月ほどかかります。成長したハゴロモジャスミンを同じように、土が乾いたら水をやるのが成功のポイントです。日なたの半分ほどの光が当たる場所に置いておくと、成長がよくなります。
つるは摘心と誘引で整形
つるの成長が早いハゴロモジャスミンは、多くの養分をつるに取られてしまいます。花芽に多くの養分を行き渡らせるには、つるの先端を切り落とす「摘心(てきしん)」という作業が必要です。
摘心はつるの先端にある芽を選んで摘み取り、いくつものつるが伸びていくのを抑えます。摘心を繰り返すと短いつるが多く枝分かれしたハゴロモジャスミンに育ち、卵形でボリュームのある樹形に仕上がるでしょう。
長いつるを生かした樹形に仕立てていきたいときは、支柱やロープを使って仕立てたい形に「誘引(ゆういん)」するのがおすすめです。絡めたつるをひもで誘引先に固定しておくと、理想の形のまま育ちやすくなります。
適切な管理で美しい花と香りを楽しもう
ハゴロモジャスミンは他の品種に比べて、花の香りが強いジャスミンです。正しい剪定と摘心・誘引をすれば、花のボリュームが多くなり美しい木に育ちます。伸びすぎたつるを切って樹形を整えるのも、毎年剪定を行う目的の一つです。
基本の育て方も頭に入れておきましょう。土が乾いたらたっぷりと水を与え、氷点下になる地域では室内で冬を越させるのがうまく育てるコツです。鉢植えで育てているハゴロモジャスミンは、根詰まりが起こらないよう定期的に植え替えましょう。
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