この記事では山林伐採について、知っておかなければいけないことを詳しく解説していきます。
- 「山林伐採は勝手にやっていいの?許可や届け出は必要?」
- 「山林伐採を業者に頼む場合の費用や、工事内容はどんなかんじ?」
- 「自分で伐採したいけれど、どうすればいいか分からない」
このような疑問を持つ方の参考になる記事になっています。
山林伐採は勝手に行ってはいけないことも多く、「木を1本切るだけ」という場合でも注意が必要です。まずは山林伐採をする際に必要な届け出について確認し、その後具体的な伐採方法を見ていきましょう。
山林の伐採には許可が必要!提出方法や期限まとめ
地域森林計画対象森林において伐採を行う場合は、伐採届が必要です。
伐採届の提出が必要な理由は、伐採の場所や範囲を自治体が把握しておく必要があるから。市町村が定めた山林の整備計画に基づいて、適切な伐採を行うために義務付けられているんですね。やみくもに木を切って開発を進めてしまうと環境悪化の恐れなどがあるので、それを防ぐ目的があります。
以下のようなケースでは伐採届が必要です。
- 地域森林計画対象森林に指定されている山林などで伐採を行う場合
- 保安林の場合
自分の土地であっても森林計画対象森林に指定されていれば、伐採の許可を取る必要があります。たとえ1本のみの伐採でも必ず届け出を出してくださいね。
また伐採届には以下の3種類があります。
種類 | 対象区域 | 提出期間 | 提出場所 |
15条伐採届 | 森林経営計画の対象区域 | 伐採完了後30日以内 | 市町村 |
10条伐採届 | 森林経営計画外の区域 | 伐採開始の90~30日前まで | 市町村 |
34条伐採届 | 保安林や保安対象区域 | ・皆伐
年に4回の決められた期間 ・択伐 天然林の場合:伐採開始日の30日前まで ・人工林の場合:伐採開始日の90~20日前まで ・間伐 伐採開始日の90~20日前まで |
都道府県 |
伐採したい場所がどのエリアに該当するのかを確認して、それに合った届けを出す必要があります。どんな届け出が必要か分からない場合は自治体に問い合わせてみましょう。また地域によって記入方法などが違うことがあるので、そのあたりも教わると良いですね。
すべてを伐採する皆伐なのか、部分的に行う択伐なのかといった事でも書類の形式が異なる場合があります。市町村によっても様式が異なるケースがあるため、必ず相談するようにしましょう。
また伐採業者によっては、書類の作成を伐採と一緒にお願いできることも多いでしょう。慣れている人にお願いすると不備も減らせるので、不安な場合は業者にサポートしてもらうのもおすすめです。
伐採届が不要なケース
地域森林計画対象森林に指定されていなければ、伐採の許可は必要ありません。つまり自宅と同じ敷地内にある木を切るための許可はいらない、というわけです。
育てている木の枝を切る「除伐」も伐採届は不要です。
伐採した後に造林する場合は、他の書類提出が必要
伐採した後に造林する場合は経過報告の書類も必要です。これは造林をしてから30日以内に提出する決まりになっています。
届け出を出さないとどんな罰則があるの?
もし届け出を出さないで伐採を行った場合、森林法第208条によって100万円以下の罰金に処せられることも。
また造林の経過報告の書類を提出しなかった場合も、森林法第210条により30万円以下の罰金に処せられる場合があります。伐採をする際はしっかりと手続きしておくことが大切です。
山林伐採を業者に依頼するときの費用相場
山林伐採費用の単価(木1本当たり)は8,000円~が相場です。しかし山の斜面なのか平地なのか、木の種類は何なのかといった細かいことで費用は大きく変化するため、相場はあってないようなもの。正確な費用は一度見積もりを取ってみなければ分かりません。
金額を左右する要因として考えられるのは、以下のようなことです。
- 重機が必要かどうか
- 作業人数が何人必要か
- 切った木の処分量がどれくらいなのか
- 木の種類
- 作業場所などによる日数の変動
木を切るだけで良ければ、1本単価3,000円からでも請け負ってくれるところがあります。しかしこれは背の低い木であった場合です。ほかにも根から掘り起こす伐根作業や処分費用といったものが伐採費用に含まれます。
木の高さや木が生えている場所、運び出すまでの手間といったことを考えるとはっきりとした金額は出せないことがほとんど。そのため正確な費用が知りたい場合は、伐採業者に見積もりをお願いしてみましょう。
「でもどの業者に依頼すれば良いかわからない」という場合は、ぜひミツモアを利用してみてください。ミツモアは郵便番号や求める内容を入力するだけで、複数の業者から見積もりが取れるサービスです。各社の費用や作業内容などを比較できるため、より安く信頼できるところに本格調査・伐採作業を依頼できますよ。見積もりは無料なのでぜひ一度使ってみてください。
伐採業者から見積もりを取る際の確認事項
ちなみに見積もりの比較時には金額だけではなく、以下のようなことも確認してみてください。
- どんな作業をしてもらえるのか
- 内訳はしっかり記載されているか(重機の使用料や処分費用など)
- しっかり対応してもらえるのか
ミツモアであれば無料のチャットで質問ができるので、疑問点があれば聞いてみましょう。
山林伐採を依頼した際の作業内容・工程
山林伐採を依頼した場合、以下のような流れで作業が進んでいきます。
- 現地で調査
- 伐採の計画を立てる
- 間伐の場合はどの木を切るのか選ぶ
- 伐採
- 枝葉を落とす
- 玉切り(丸太状に)する
- 運び出し
やみくもに山林に入って、無計画に切っていいわけではありません。しっかりと計画を立てることで山林の環境を悪化させないようにし、さらには作業の安全を確保できます。
工期は面積によるので何日と言い切ることはできませんが、数本の木を切るだけであれば1~3日で終わることが多いでしょう。
伐採の面積が広くなるほど、また運び出しに手間がかかるほど日数がかかります。大規模な伐採だと1カ月以上かかることもあるので、余裕を持って依頼するようにしましょう。
山林伐採を自分でする方法・必要なもの
費用を少しでも抑えるために自分で伐採したい、そんな人に向けてやり方を解説します(ただし基本的にはプロへ依頼するのがおすすめです)。
まず必要な道具はこちらです。
伐採に必要な道具 | チェンソー・手のこぎり・くさび・くさびを打ち込むハンマー・ロープなど |
身を守る道具 | 保護服(チャップス)・ヘルメット・保護メガネ・山林作業用地下足袋など |
動植物対策用品 | 虫よけ・蜂に刺されたときのポイズンリムーバーやエピペンなど |
大まかに分けるとこのようになります。
木を切る際にはチェンソーを使用するので、保護服とスパイクがついた山林作業用地下足袋を用意しましょう。チェンソーの音は大きいため、耳を保護するイヤーマフもあるといいですね。
くさびは木に切り込みを入れたあとに、方向を定めて倒す手助けをします。木を丸太のように細かくする「玉切り」と呼ばれる作業の際に、手で切るのこぎりもあると便利ですね。
自分で伐採する手順
以下の手順で行っていきましょう。
- どこから切るかを決める
- 木を倒す方向を決める
- 半分ほどチェーンソーで切り、その後くさびを入れて押し倒す
まずはどこから切るかを計算することから始めましょう。やみくもに切ってしまうと木の運び出しができない、切った後にうまく倒れずほかの木にひっかかってしまう、といったことが起こります。そのためどういった順番で切り、効率よく運び出すかを考えることが大切です。
3番はくさびを使わなくても、半分ほど切ってから斜めに刃を入れなおして切り、倒しやすくしてから押し倒す方法でもOK。
背が高い木は倒れるときにほかの木に当たって、枝葉が落ちることも多いでしょう。頭上には注意してくださいね。
作業するうえで気をつけるべき点はここ
山林で伐採をする際は大変危険が伴います。特に気をつけるべき点は以下の通りです。
- 山の上と下に分かれて作業をしない
- 常に周りに気を配る
- 熱中症や天候に気をつける
山の下側に人がいる状態で作業を行うと、歩いたときに石などが転がりケガをさせる恐れがあります。このように伐採は周囲に注意しなくてはいけない作業です。定期的に周りを見渡す癖をつけるのがおすすめです。
また夏の暑いときの作業は熱中症の危険が伴います。水分や塩分の補給を忘れずに行いましょう。雷が近づいてきたときや雨が激しくなってきたときも、仕事を切り上げる勇気が必要です。
ほかにも虫や熊・マムシといった動物や、かぶれる心配がある植物など山には危険がたくさんあります。当然ですが手袋や長袖、防護眼鏡といった装備も甘く見てはいけません。少しでも自分で伐採することに不安がある場合は、専門業者にお願いしましょう。
自分で伐採した木を有効活用する方法
一枚板を作ってからスマホと同じくらいの幅の切り込みを入れると、木製スマホスタンドが出来上がります。ほかにもペンなどを置くトレーやマガジンラック、食器を運ぶお盆などにも加工できますね。
伐採した木はさまざまな木製アイテムになります。大きな木材はそのまま売ることができますが、小さな枝や太さのない幹の木はDIYすると愛着も湧きますよ。