最終更新日: 2024年06月28日
オガタマノキの花言葉は?
オガタマノキの花言葉は畏敬の念です。
カラタネオガタマとの違いは?
オガタマノキとカラタネオガタマのわかりやすい違いは大きさです。オガタマノキが樹高15~20mに達するのに対し、カラタネオガタマは成長しても3〜5m程度です。
オガタマノキとは?
古代から神聖視され、縁起の良い木とされるオガタマノキですが、どのような特徴のある木なのでしょうか。まずは原産地や外観など、オガタマノキの基礎知識を紹介します。
原産地と分布域
オガタマノキはモクレン科の樹木で、日本で見られるモクレンの仲間の樹木の中では唯一の常緑樹です。
原産地は日本・台湾・フィリピンで、原産地である日本の気候は、オガタマノキの成育に適しています。
自生の場合は比較的温暖な気候の山野で見かけることが多く、日本国内では本州の千葉南部から、西側、四国、九州の主に太平洋側、さらに沖縄を含む南西諸島にかけて分布しています。
樹木の高さを示す樹高は成長すると10~20mほどになるため、一般家庭の庭木として育てる場合には、成長後かなり大きく育つことを考慮する必要があるでしょう。
樹木の外観を表す樹形は、枝が幹の上部に張り出し、葉も密集していることから、自生種はかなり大ぶりの半球形です。
また、日本のオガタマノキの品種には「細葉(ほそば)オガタマノキ」と「広(ひろば)オガタマノキ」、そして春と秋に花が開花する「四季咲きオガタマ」があります。
さらに海外を原産地とするものには、中国の雲南省が原産地で、花が大きいのが特徴の「ウンナンオガタマノキ」、台湾の「キンコウボク」「ギンコウボク」などがあります。
赤い実をつける
オガタマノキは実をつける植物です。実は袋果が集まった集合果で、1個の袋果に種子が2〜3個入っています。
初夏に枝の付け根部分に緑色の実をつけ、9〜10月に熟すと赤色に変わり、長さは5〜10cmほどの房状になります。表面に丸い斑点があり、でこぼこしているのが特徴です。
実が熟した後は裂け目ができ、中から真っ赤な種が顔を出します。この種を撒いて育てることも可能です。
葉の長さは10センチほどに
オガタマノキの葉は、茎のひとつの節に1枚の葉がつく互生(ごせい)で、長さはおよそ10cm、幅は2〜4cmほどです。
葉を茎や枝につないでいる柄葉(ようへい)の長さは2〜3cmで、上面に溝があり、そこに褐色の伏毛(茎や葉などの面に密着して寝ている毛)が生えています。
葉の形は長楕円形で先端が短く尖って突き出ており、全体的に肉厚でフチが波打っているのが特徴です。
表面は光沢のある深緑色で無毛です。一方裏面は表面と比較するとやや白っぽい帯白青色で、中央を走っている太い葉脈である中央脈沿いに短毛があり、光沢はありません。
オガタマノキの花
モクレン科に属するオガタマノキは、その花の姿もモクレンに似ています。ここでは開花時期など、オガタマノキの花について詳しく解説します。
白い花を咲かせる
オガタマノキの花の色は、ややクリーム色がかった白が基本ですが、花弁の下側、茎に近い部分は紫色をしているのが特徴です。
花の直径は約3cmで、葉が茎と接している部分である葉腋ひとつにつきひとつの花を咲かせます。
モクレン同様に芳香がありますが、それほど強くありません。
開花時期は2月から4月頃
オガタマノキの開花時期は、2月から4月にかけてです。
成長するとともに高い位置で花をつけ、さらに枝葉に隠れるようにまばらに開花するため、大木に成長すると、あまり花は目立たなくなってしまいます。
よく似たカラタネオガタマとの違い
オガタマノキによく似た木に、同じモクレン科で中国原産の「カラタネオガタマ」があります。オガタマノキとカラタネオガタマの違いは、外見からでも比較的容易に見分けることができます。
まず樹高はオガタマノキが樹高15~20mに達するのに対し、カラタネオガタマは成長しても3〜5m程度です。この樹高の植物は庭木に適しているため、最近ではカラタネオガタマの方が人気があります。
葉の大きさもオガタマノキが長さ10cmほどなのに対し、カラタネオガタマは約4〜8cmと一回り小ぶりで、オガタマノキの葉に見られるような葉のフチの波状のうねりもなくストレートです。
またオガタマノキの花は強い香りがないのに対し、カラタネオガタマの花にはバナナのような甘い強い芳香があり、別名「バナナノキ」とも呼ばれています。
オガタマノキにまつわる知識
オガタマノキは「神聖な木」「縁起の良い木」と呼ばれているほか、「1円玉のデザインのモデルとなっている木だ」という話もよく耳にします。
オガタマノキにまつわるこうした逸話は、どういった理由からささやかれているのでしょうか?ここでは、オガタマノキにまつわる豆知識をご紹介します。
1円玉の木
1円玉には植物が描かれていますが、実はこれは「若木」をイメージしたもので、特定の植物をモデルにしたものではないとされています。
しかしそのデザインがオガタマノキのシルエットに似ていること、さらには紹介したような神話にまつわる故事があり、神聖な木とされているためか、1円玉に描かれている植物はオガタマノキだとする説が根強く広がっています。
神社に植えられることも
神社の境内でオガタマノキを見かける機会も多いのではないでしょうか。
それはオガタマノキが神道と結びつきが強い植物であるためです。神道では「玉串(たまぐし)」として榊(さかき)を奉納しますが、榊ではなくオガタマノキを玉串として使用している地方もあるほどです。
神道との結びつきの強さは、名前の由来にも表れています。オガタマノキは漢字で「招霊木」と表記します。招霊は神道では本来「招霊(おきたま)」といい、神様の御神霊をお招きするという意味があるのです。この「おきたま」が変化して、「オガタマ」となったのが名前の由来です。
また、オガタマノキには「古事記」「日本書紀」に書かれている有名な神話「天岩戸(あまのいわと)神話」にも登場するという説もあります。
さらにオガタマノキは、前述の通り実が熟すと中から赤い種が出てくるのですが、神楽などで使われる踊り手が持つ「神楽鈴」は、その様子から考案されたともいわれています。
オガタマノキを栽培する上での注意点
日本が原産地のひとつであるため、日本の気候に適した植物といわれるオガタマノキですが、成長速度が速く、さらに樹高が高く育つこともあり、庭木として育てるのは難しく、園芸上級者向けの樹木とされています。
ここからは、オガタマノキを栽培する上での注意点について解説します。
日当たりに気をつけよう
オガタマノキの国内での分布域を見てもわかるように、オガタマノキはあまり寒さに強くないため、国内では茨城県南部〜東北南部までが生育の北限とされています。
半日陰程度であれば育ちますが、日照が不足すると枝つきや花つきが悪くなりがちです。さらに強い寒風が吹き付ける場所では落葉したり、枝枯れを起こしたりすることがあります。
そのため、庭に植栽する際には、できるだけ日当たりの良い場所に植えるようにしましょう。
病虫害に気をつけよう
オガタマノキには、風通しが悪いとカイガラムシが発生する場合があります。
カイガラムシは、植物に付着して養分を吸い取る吸汁(きゅうじゅう)の被害を引き起こす虫です。体長は1〜3mmほどで、形状は丸や縦長など種類により異なります。気づいた時にはすでに大量に発生している場合が多いのが厄介な点です。
カイガラムシが発生すると葉や枝、幹に白や茶色の点が出て、貝殻のような、白っぽいものが沢山ついているように見えます。
発生を予防するためには、風通しを良くすることが大切です。枝が混み合っているとどうしても風通しが悪くなるので、定期的に剪定をしましょう。
もし、カイガラムシが発生してしまった場合には、基本的には薬剤を散布して駆除します。「貝殻」という名称がついているように、硬い殻に守られていて薬剤が効かない場合があるからです。
そうした場合には、ヘラなど先が尖っているものを葉とカイガラムシの間に差し入れて直接除去しましょう。
夏場は水やりを徹底しよう
オガタマノキを庭木として育てる場合には、水やりにはそれほど神経質になる必要はありません。
ただし、水切れを起こすと生育や花つきが悪くなるので、日差しが強く乾燥しやすい夏場は注意が必要です。水切れを起こさないように水やりを心がけてください。
夏場の水やりは、土中の水が高温になるのを避けるため、できるだけ夕方以降に行うようにします。
オガタマノキを栽培するコツ
オガタマノキは縁起がいいとされる植物だけに、万が一枯らしてしまうと、どことなく縁起悪さを感じてしまうものです。
そこで最後に、オガタマノキを自宅の庭で上手に育てるための、植栽や選定のコツについて詳しく紹介します。
湿潤な土壌に植え付けする
水やりの部分でも紹介したように、オガタマノキは乾燥を嫌います。そのため植栽をする際には、湿り気があり、できれば肥沃でやや粘土質の土壌を選んでください。
極端に乾燥した土地でなければ、やせた土壌でも育ちますが、その場合には花つきが悪くなります。
オガタマノキの栽培が難しいとされる理由のひとつに、根づきの悪さがあります。そのため植栽する際には枝葉を切り詰めて、水分の蒸発を抑えてやりましょう。
植栽の時期は5月〜7月頃が最適で、枝が成長しきってから行うようにします。根が傷つきやすいので、植栽の際には根を傷つけないように慎重に取り扱ってください。
剪定は6月から8月頃に行う
オガタマノキは自然に樹形が整う樹木なので、外見のために剪定を行う必要はあまりありません。
しかし病害虫予防のために風通しを良くしてやる必要があるため、やはり定期的に剪定は必要です。
剪定の時期は、花が咲き終わってすぐの4月〜7月頃が最適です。剪定の際には、内側に伸びている細い枝や枯れた枝は取り除き、枝分かれしている枝の付け根よりカットします。
若木の場合は肥料を施す
有機質たっぷりの肥沃な土壌に植栽した場合には、あまり追肥をする必要はありません。少し栄養分の足りない土壌に植栽した場合には、2月頃に油かすを少量与えます。
ただし若木の間は、成長期の5月、そして実が熟する9月中旬から下旬、さらに休眠期に入る1月に、固形の油かすなどを与えてください。
オガタマノキの育て方を知り楽しもう
オガタマノキは樹高も高くなることから、庭のシンボルツリーとしても適しています。
丈夫に育てるためには、風通しを良くするための剪定もポイントです。剪定は業者に依頼することも可能なので、大きく育てて家庭に福を呼び込んでください。