多彩な花の色と香りが特徴のゼラニウムは、ガーデニング初心者でも育てやすい植物です。
花壇の彩りとして人気のゼラニウムについて、基本情報や育て方、病害虫の対策などを解説していきます。
ゼラニウムはどんな植物?
ゼラニウムは、ヨーロッパの風景で窓辺に飾られている花として有名です。ゼラニウムについてさらに詳しく見ていきましょう。
ゼラニウムの基本情報
植物名 | ゼラニウム |
学名 | Pelargonium |
科名 / 属名 | フウロソウ科 / ペラルゴニウム(テンジクアオイ)属 |
原産地 | 南アフリカ |
開花期 | 一季咲き種:4~6月
四季咲き種:4~7月、9~11月 |
花の色 | ピンク、赤、白、複色など |
草丈 | 25~150㎝と品種によりさまざま |
特性 | 開花期が長く、初心者におすすめ |
フウロソウ科ペラルゴニウム属に分類される、多年草の植物です。南アフリカのケープ地方が原産で、乾燥に強い性質を持っています。
ゼラニウムの種類によっては、一年中開花する四季咲きの品種もあります。
花は赤色や白色、ピンクなどがメジャーですが、他にもアイビーや斑入りなどの品種もあります。
形も一重咲きや八重咲きなど品種によってさまざまで、好みにより選択肢が多い植物です。
ヨーロッパでは「ウインドウボックス」の花として親しまれており、日本でもポット販売が主流です。寄せ植えにも適しており窓辺に置くのもおしゃれですが、日本の場合は地震などで落下の危険性があるため、置き方には安全面で注意が必要です。
名前の由来と花言葉
ペラルゴニウム属という名称は、ギリシャ語の「pelargo」から来ています。意味はコウノトリで、ゼラニウムが開花した後、種子部分にできる突起がコウノトリのくちばしに似ていることから名付けられたようです。
ゼラニウムの花言葉は、色によって変わります。ゼラニウム全体としての花言葉には「尊敬」「信頼」「友情」「決意」などがあります。
色によって違うゼラニウムの花言葉 |
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赤いゼラニウム | 「君がいてこその幸福」 |
白いゼラニウム | 「あなたの愛を信じない」 |
黄色いゼラニウム | 「予期せぬ出会い」 |
緋色のゼラニウム | 「憂うつ」 |
ピンクのゼラニウム | 「決心」「決意」 |
精油やアロマ・ハーブとしても人気がある
ゼラニウムはその香りのよさから、精油(エッセンシャルオイル)やアロマ、ハーブとしても人気のある植物です。
ここでは、ゼラニウムの持つ効果・効能やいろいろな楽しみ方についてご紹介していきます。
精油(エッセンシャルオイル)に使われる
ゼラニウムは、精油(エッセンシャルオイル)の成分としても利用されています。
精油とは、植物(花・葉・樹脂など)から抽出した天然成分100%の香り成分が詰まったオイルのことです。
アロマテラピーに使われ、美容や健康に効果があります。スキンケアや入浴時に取り入れてもよいかもしれません。
ゼラニウムはフローラル系の香りに分類され、次のような効果が期待できます。
心への効果 |
など |
身体への効果 |
など |
アロマやハーブとして楽しむ
またゼラニウムの種類にはハーブ・ゼラニウムやローズ・ゼラニウムなど、芳香の強い品種があります。そのため、香水やアロマオイルの原料として使用されることもあるのです。
料理やお菓子、お茶など、食べ物に利用することもできます。
またゼラニウムの品種で香りの強いものは、昔から虫除けとしても利用されてきました。虫除けとしての役割から、ヨーロッパでは窓辺に飾る習慣があるのです。
香りの強い品種は「センテッドゼラニウム」という種類で、ローズ系の香りから柑橘系の香り、ミント・ハーブ系の香りとさまざまな品種が販売されており、好みによって選んでもよいでしょう。
ゼラニウムの育て方
どのような場所で育てればよいか、水やりのポイント、剪定方法などについて詳しく解説していきましょう。
日当たり
ゼラニウムは夏の暑さに弱いため、気温が上がりやすい時期は鉢植えであれば半日陰か室内に場所を移しましょう。
春や秋は外に出して日当たりのよい場所か半日陰で育てますが、雨が降ると葉が腐ったりする恐れがあるため、屋根のある場所に移動させることもおすすめです。
冬は地域にもよりますが、東北や北海道など寒い地域では室内に置いた方が安心です。その際、風の通りが悪い場所で管理しないよう気を付けましょう。
用土・鉢
ゼラニウムは根を張れた方がよく育つので、鉢植えならいきなり大きいものに植えても大丈夫です。
深さ20cm以上ある鉢かプランターを用意しましょう。 3号苗の場合は8号鉢に5株、65cmの標準プランターに5〜6株が植える目安です。
また、ゼラニウムを育てるときには土も大切です。水はけの悪い土に植えると、根が溶けて枯れてしまうこともあるので注意しましょう。
水やり
ゼラニウムはやや乾燥気味の管理を好むため、庭植えと鉢植えの場合で、水やりの方法が異なります。
庭植えの場合は、地面が乾燥していないときは特に水をやる必要はありません。
鉢植えの場合には、土の表面に乾燥が見えたタイミングで水をやりましょう。この時、株元に水を与えるように水やりをして、花や葉にはかけないようにすることがポイントです。
季節によっても水やりの頻度は変わり、冬場は他の季節より水やりのペースを落としましょう。過湿は禁物です。
剪定
ゼラニウムは大きく成長する種類の植物ではないため、剪定は必須ではありません。
ただし剪定した方が見た目が整うため、形が乱れてきたときは剪定するとよいでしょう。開花後の花房の茎や枯れた葉を中心に、全体のバランスを整えるイメージで切り戻しを行います。
また花柄摘みをするとより健康なゼラニウムに育ちます。咲き終わった花を摘み取ることで、他の花に栄養をいき渡らせることができるのです。
増やし方
ゼラニウムの増やし方は2つの方法があります。1つは種をまく方法、もう1つは挿し木(挿し芽)です。
楽しみ方に合わせて増やす方法を選びましょう。
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種まき
ゼラニウムは発芽温度が20~25度なので、種まきは5月または9月頃に行うとよいでしょう。水はけのよい土を用意し、指で穴を掘って種が重ならないように1粒ずつまきます。種まきの方が成長をゆっくり楽しめる反面、育ちきるまでに時間がかかります。
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挿し木
挿し木は1年中行うことができますが、暑すぎず寒すぎない春か秋がおすすめです。挿し木は株の状態から増やすため、開花している様子を早く見ることができます。
冬越し・夏越し
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冬越し
ゼラニウムは気温がマイナス3℃になるくらいまでであれば耐えることができます。そのため屋内では問題なく育てることが可能です。
室内に置くときは、窓のそばなどなるべく日当たりがよい場所を選びましょう。ただし日光がそのまま当たらないよう、薄いレースのカーテンなどを間に入れるとよりよい環境になります。
屋外の場合には、なるべく日差しが差し込む場所に置いておき、さらに雨に晒されないよう屋根の下などを選ぶようにしましょう。
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夏越し
スーパーゼラニウムでない普通のゼラニウムは、高温多湿の日本の夏が苦手です。気温が25℃以上になりはじめる前に、夏越しのための対策をとりましょう。
真夏に直射日光下にゼラニウムを置いておくと、葉の色が褪せてしまったり花付きが悪くなってしまうことがあります。日の当たらない場所に移動させ、できるだけ涼しい環境にしてあげましょう。
ゼラニウムを育てる際に気をつけるべき病害虫
ゼラニウムを育てるときには、いくつか気をつけなければいけない病害虫があります。
放っておくと植物が枯れてしまうので、見つけたら早めに対処しましょう。
モザイク病
モザイク病は、葉や花びらにモザイク状のまだら模様ができる病気です。次第に植物本体や葉が縮小して、弱くなってしまいます。
ウイルスによる病気で、アブラムシなどの虫を媒介して感染します。
治療することができない病気なので、見つけたらすぐに感染した葉っぱや花びを取り除きましょう。
灰かび病
灰色かび病は、花や茎、葉が溶けたように腐り、カビが生えてくる病気です。低温多湿の環境でよく発生するので、梅雨や雨が続いたときには注意が必要です。
灰カビ病を発見した場合は感染した部分をすぐに取り除き、育てる場所を変えた方がよいでしょう。
ヨトウムシ
ヨトウムシは秋〜初冬に発生しやすく、葉っぱや新芽を食べてしまいます。
大きくなると殺虫剤が効きにくくなるので、幼虫のうちに駆除しておくことが大切です。ヨトウムシを見つけたら幼虫を取り除き、殺虫剤をまいておきましょう。
ハマキムシ
ハマキムシは春〜夏に発生し、葉っぱを巻きながら食べる害虫です。発生期間が長いので、定期的に薬剤を巻いて対処しましょう。
ゼラニウムが枯れてしまう原因は?
葉が黄色や白に変色してしまうなど、ゼラニウムの元気がなくなってしまう原因は何なのでしょうか。
ゼラニウムは暑さと湿気に弱い
ゼラニウムの葉が黄色や白に変色しているのを見つけると「このまま枯れてしまうのでは?」と心配になりますよね。
そんな時は育てている環境が「暑すぎないか」「湿気が多すぎないか」に気をつけてみてください。
ゼラニウムは暑さに弱く、夏に日が直接当たるところにずっと置いておくと弱ってしまう植物です。特に30度以上になると、発育が停止してしまいます。夏であれば、日よけを作るなどの対策をしてみましょう。
しかしあまりに日当たりが少ないと、それはそれで葉が黄色くなってしまうこともあるので注意です。
またゼラニウムは湿度の高い環境も嫌います。水はけの悪い土に植えていたりすると、蒸れて根っこが溶け、枯れてしまうこともあるのです。観葉植物用の土などがぴったりですので、ゼラニウムの元気がないときには土の質が悪くないかどうかも疑ってみましょう。
なおゼラニウムは冬に葉が赤く紅葉しますが、これは自然なことで、枯れているわけではないので安心してください。
木質化しているのかも
木質化とは長年育てている多年草の茎が茶色く変化して木のように固くなり、花がつかなくなってしまうことです。
これはゼラニウムが高齢化してしまったことを表します。
木質化してしまったらその株はもう元には戻らないので、株の更新をしましょう。挿し木で株を増やしたり、木質化した部分を土に深く植えて根を生えさせ、株分けする方法もあります。
また木質化を防ぐには、定期的な切り戻しを行うことが大切だと言われています。花が少なくなってきたり形が乱れてきたと感じたら、意識して切り戻しを行いましょう。
ゼラニウムの品種
ゼラニウムにはさまざまな品種があります。今回は代表的な園芸品種を中心に、ゼラニウムの種類をご紹介します。
ゾナールゼラニウム
日本で最も一般的なゼラニウムはこの「ゾナル系」に分類されるゼラニウムです。
花色:濃いピンク、薄ピンクなど |
開花:5~11月 |
草丈:25~35cm |
▽ゾナールゼラニウムには例えばこんな品種があります
ユーロスタークオリティ
アイビーゼラニウム
アイビーのような星形で光沢のある葉を持っています。
花色:白、赤、ピンク、紫、複色 |
開花:5~11月 |
草丈:40~150cm |
▽アイビーゼラニウムには例えばこんな品種があります
メキシカエイミー
センテッドゼラニウム
葉に香りのあるセンテッドゼラニウムは、ハーブゼラニウムとも呼ばれます。代表的なローズゼラニウムの他、柑橘系の香りのするレモンゼラニウムやミントの香りが楽しめるミントゼラニウムといった品種もあります。
花色:ピンク |
開花:5~7月 |
草丈:30~60cm |
特徴:葉や茎は傷つけると甘い香りがする。 |
▽センテッドゼラニウムには例えばこんな品種があります
ローズゼラニウム
ホルトルム
ゾナル系のゼラニウムとインクイナンス(インキナン)という品種を交配してつくられたのが、ホルトルムと呼ばれる品種です。一重咲きや八重咲きなど、さまざまな品種があります。
花色:赤、ピンク、オレンジ、黄色、白 |
開花:3~12月 |
草丈:30~100㎝ |
特徴:ハート形の葉に、帯状の茶色い模様がある。 |
▽ホルトルムには例えばこんな品種があります
ミセスポロック
ペラルゴニウム
ぺラルゴニウムは色々な種を掛け合わせてつくられた交雑種です。ゼラニウムは以前ゼラニウム属に分類されていましたが、分類の見直しが行われた際にぺラルゴニウム属に変更されました。店頭で売られる際などはゼラニウムという名前が残っていますが、ゼラニウムもぺラルゴニウムも同じ植物です。
花色:白 |
草丈:20~30cm |
特徴:珍しい這性の原種。1本の茎に多くの小さな花を球状に咲かせる。 |
▽べラルゴニウムには例えばこんな品種があります
オーストラーレ
スーパーゼラニウム
スーパーゼラニウムは品種改良にとても強い品種で、夏でも花を咲かせ続けてくれます。雨や過湿が苦手だったゼラニウムの弱点を克服し、日本の気候でも育てやすい品種です。
花色:濃いピンク、薄ピンク、赤 |
開花:4~11月 |
草丈:40~50cm |
▽スーパーゼラニウムには例えばこんな品種があります
チャンピオン
チャンピオンは香りがあまりしないなめ、普通のゼラニウムでは匂いが気になってしまうという方におすすめです。
ゼラニウムを植えて花色と香りを楽しもう
ゼラニウムは香りもよく、アロマや香水の原料としても人気の植物です。色によって多様な花言葉を持っているため、花言葉の観点から色を選ぶのも楽しいでしょう。
季節によって水やりの頻度を変えたり湿度に気を付けたりする必要はありますが、種まきでも挿し木でも増やせて育てやすい部類といえます。
病気や害虫に気を配りつつ、ガーデニングに慣れていない人やこれから始めてみたいという人は、花の色と香りで癒されるゼラニウムを育ててみてはいかがでしょうか。
▽こちらの記事では、ゼラニウムの他にもガーデニングにおすすめの宿根草を紹介しています。育てる植物を迷っている方は参考にしてみてくださいね。