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【税理士監修】登録免許税とは?納税方法や計算方法まで解説!

最終更新日: 2019年12月26日

計画的に貯金をしてきて、念願のマイホーム購入を検討しているのであれば、購入価格以外にも様々な費用がかかる事を知っている人は多いと思います。

しかし、マイホーム購入に際して、登録免許税という税金が掛かることを把握していない人もいるのではないでしょうか。そこで今回の記事では、不動産購入時に支払う登録免許税の概要を説明するとともに、登録免許税の計算方法やお得な減税措置制度についても詳しく解説していきます。

この記事を監修した税理士

多田紘大税理士事務所 – 兵庫県

大手監査法人で多様な業種、規模の上場企業、非上場企業の監査業務に従事。併せて、同じ監査法人でコンサルティング業務(決算早期化支援、内部統制構築支援、システム導入支援等)を実施してきました。その後、大手監査法人を退所、独立開業。独立開業後は中小企業、個人事業主を中心に税務に関して全般的にサービスを提供しています。

登録免許税の概要

登録免許税の概要
登録免許税の概要

登録免許税とは、主に登記を行う際に掛かる税金のことです。不動産購入時はもちろん、会社設立時の登記の際にも、登録免許税はかかってきます。

ここでは、登録免許税の概要を納税義務者や納付時期等と併せて詳しく解説していきます。

登録免許税の納税義務者とは?

登記や登録の申請を行う人が登録免許税の納税義務者になります。

登記には購入時の所有権登録の登記だけでなく、所有権移転の登記や保存登記など様々なものが含まれます。

また、ポイントとして、登録免許税は租税公課の勘定科目で費用計上できることを覚えておきましょう。

登録免許税はいつ、どこに納める?

登録免許税は登記等を申請する際に、不動産の所在地を管轄する法務局登記所に原則現金で納付します。

オンラインで登記等を申請する場合は、電子納付も行うことが可能です。

また、納付額が30,000円以下の場合は、登録免許税分の収入印紙を登記申請書に貼り付けて納付することも認められています。

参考:登録免許税の納付方法について

不動産の登記

不動産の登記
不動産の登記

前述したとおり不動産登記には様々な種類があり、それぞれ税額が異なります。

ここでは、不動産登記の種類を説明するとともに、登記毎の登録免許税の納付額を詳しく解説していきます。

登録免許税の税額の求め方

まず、登記の種類を見ていく前に登録免許税の計算方法を説明します。

不動産登記の種類に関わらず税額の求め方は同じです

登録免許税は原則以下の式より計算することができます。

登録免許税 = 課税標準 × 税率

見て分かるとおりとてもシンプルですが、登記の種類によって税率が異なってきます。

詳しい税率については以下で解説していきます。

土地の所有権の移転登記

まずは、土地所有権の移転登記の場合です。分かりやすく、下記のとおり表にまとめてみました。

土地所有権の移転登記の場合
土地所有権の移転登記の場合

課税標準は、全て「不動産価格」です

また、相続や法人合併、共有物の分割の場合、税率は低いですが、売買等であると高くなります。

ただし、「売買」の場合、令和3年3月31日までの間に登記すると、税率が15/1000と軽減税率の措置があります。

マイホーム購入の場合は2%もの税率が課されることになりますので、購入時には注意が必要です。

相続の移転登記の場合の免税措置

土地所有権の移転登記の場合の税率については表で示したとおりです。

相続を原因とする場合は、登録免許税が低くなることが分かるかと思います。

相続の移転登記の場合には、税率が低いことに加えて、さらに次のような免税措置があります。

(1)相続者が移転登記する前に死亡した場合
平成30年4月1日から令和3年3月31日の間に、死亡した相続者の名義で移転登記する場合には、登録免許税は課されないことになっています。死亡者の相続人が移転登記する際には、登録免許税は課されるため、あくまで死亡した相続人分が免税されることに注意しましょう。

(2)土地価格が少額のものを相続した場合
土地の価格10万円以下、かつ、
「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」に基づき、相続の促進が図れる土地の場合は、登録免許税は課されないことになっています。これは、所有者不明の土地の活用を促進するために設けられた制度になります。

以上のように、相続を原因とする土地所有権移転登記の場合は、お得な免税措置があることを覚えておきましょう。

建物の登記

次に建物の登記について見ていきましょう。建物の場合、登記の種類は以下のとおりでそれぞれ税率が変わってきます。

建物登記の種類
建物登記の種類

所有権移転が伴わない保存登記の場合や相続・法人の合併による移転の登記の場合は、税率が低いのが特徴です。

また、その他の所有権移転には、土地と同様「贈与」や「交換」、「収用」等が含まれます。

抵当権の設定

不動産購入する場合、多額の資金を要することから銀行からお金を借りることも多いはずです。

その際、資金返済のために不動産を担保に入れ抵当権を設定することがありますが、この抵当権設定にも登記が必要で登録免許税が課せられます。

抵当権の登記の場合、登録免許税は下記の計算式で求められます。

登録免許税 = 債権額 × 税率

銀行からの融資を利用する住宅ローンに抵当権を設定する場合は税率が0.1%になります。

また、住宅ローン以外の抵当権や根抵当権の設定の場合は、税率4/1000になります。

以上のように、抵当権にも登記が必要で登録免許税が課せられることを覚えておきましょう。

【6種類】住宅用家屋の軽減税率になる項目

住宅用家屋を登記する場合、軽減税率が適用されるため、登録免許税を安く抑えることができます。軽減税率の種類は以下の通り6つあります。

住宅用家屋の軽減税率
住宅用家屋の軽減税率

以上のように、住宅用家屋に係る登記を設定する場合には軽減税率が適用されるため、登録免許税の優遇が受けられます。

なお、住宅用家屋であればなんでもいいわけでなく、床面積50㎡以上や新築又は取得後1年以内の登記をしている住宅用家屋がであることが必要になりますので注意しましょう。

登録免許税の計算

登録免許税の計算
登録免許税の計算

登記の種類によって税率が異なるのが登録免許税の特徴であるというのは前述したとおりです。

ここからは、実際に登録免許税の計算例を見ていきましょう。

計算例①新築一戸建てを購入した場合

一つ目の事例です。

購入時期や物件価格等については以下を想定しています。

①購入時期:令和2年3月31日以前
②物件の状態:新築
③物件価格:3,500万円
④住宅ローン借入額:2,000万円
⑤土地評価額:1,000万円
⑥建物評価額:2,000万円

今回のケースは土地と建物の評価額が分かっているため、物件価格でなくそれぞれの評価額に税率を掛けて求めます。

まず、今回は土地と建物の購入に伴う所有権移転・保存登記の登録免許税が下記のとおり発生します。

(1)土地所有権移転登記に伴う登録免許税
登録免許税 = 1,000万円 × 1.5% =15万円
令和3年3月31日までに取得する場合、軽減税率1.5%が適用されるため、登録免許税がお得になります。

(2)建物所有権保存登記に伴う登録免許税
登録免許税 = 2,000万円 × 0.15% = 3万円
住宅用家屋のため、軽減税率0.15%が適用されます。

次に、住宅ローンの借入に伴う抵当権設定登記に要する登録免許税は下記のとおりです。

(3)住宅ローン借入に伴う登録免許税
登録免許税 = 2,000万円 × 0.1% = 2万円
住宅ローンに借入に伴う抵当権設定の場合は、0.1%の軽減税率が適用されます。

以上のように、(1)から(3)までを合計すると、20万円もの登録免許税が掛かりますが、軽減税率適用のため節税できることになります。

計算例②新築マンションを購入した場合

次の事例は下記のとおりです。

①購入時期:令和2年3月31日以前
②物件の状態:新築
③物件価格:3,500万円
④住宅ローン借入額:2,000万円
⑤土地評価額:600万円
⑥建物評価額:1,500万円

納付する登録免許税は以下のとおりです。

(1)土地所有権移転登記に伴う登録免許税
登録免許税 = 600万円 × 1.5% = 9万円

(2)建物保存登記に伴う登録免許税
登録免許税 = 1,500万円 × 0.15% = 2,25万円
新築マンションのため、0.4%ではなく軽減税率0.15%が適用されます。

(3)住宅ローン借入に伴う登録免許税
登録免許税 = 2,000万円 × 0.1% = 2万円

以上より、新築マンションを購入する場合の登録免許税は、132,500円ということが分かります。

計算例③中古マンションを購入した場合

最後に中古マンションを購入する場合の登録免許税を下記のとおり計算してみましょう。

①購入時期:令和2年3月31日以前
②物件の状態:中古
③物件価格:3,500万円
④住宅ローン借入額:2,000万円
⑤土地評価額:600万円
⑥建物評価額:1,500万円

中古マンションを購入する場合は、建物保存登記ではなく建物所有権移転登記になるので注意しましょう。

(1)土地所有権移転登記に伴う登録免許税
登録免許税 = 600万円 × 1.5% = 9万円

(2)建物所有権移転登記に伴う登録免許税
登録免許税 = 1,500万円 × 0.3% = 4.5万円
中古の建物の場合、税率2.0%ではなく0.3%が適用されます。

(3)住宅ローン借入に伴う登録免許税
登録免許税 = 2,000万円 × 0.1% = 2万円

以上より、155,000円の登録免許税が掛かることが分かります。

マンションの場合は注意が必要!

軽減税率の場合、建物床面積が50㎡以上というのは前述したとおりです。

特にマンションの場合、床面積50㎡以上という要件を満たしているか注意して確認する必要があります。

なぜなら、マンションの床面積は「内法面積」の事を指しているからです。

一般的に広告表示されている床面積は「壁芯面積」になるため、実際の内法面積よりも大きくなっています。

そのため、マンション購入の際は、内法面積を事前に確認するようにしましょう。

また、マンション購入時は、登録免許税以外の税金として「不動産取得税」が掛かることに留意しましょう。

監修税理士のコメント

多田紘大税理士事務所 – 兵庫県

住宅の購入の際には、必ず登録免許税の負担が生ずることとなりますが、取得する住宅の種類によって軽減税率割合が異なってくるため、一概にはどの程度の負担になるかはわかりません。あらかじめ、取得する住宅がどの条件に該当し、どの程度登録免許税が発生するか把握しておくことが重要です。また、住宅取得に際しては、多くの方が住宅ローンを組むこととなります。住宅ローンについては「住宅ローン減税」制度もありますので併せて確認しておくことをおススメします。

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