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古物商許可を個人で取得するには?必要書類から注意点・費用まで解説

最終更新日: 2024年06月28日

古物を売買する事業を展開するには『古物商許可』の取得が不可欠です。古物営業を行うために求められる古物商許可を、個人で入手する方法を解説します。注意点から申請の手順までしっかり確認して、古物営業を始める第一歩を歩みだしましょう。

個人で古物商許可を取得するときの注意点

古物商許可の申請を進める前に確認しておきたい注意事項を解説します。注意点をスルーして申請作業を進めてしまうと、思わぬ落とし穴にはまってスムーズに申請できなくなる危険性があるので、注意が必要です。

古物商許可が不要な取引ではないか

古物商許可の際には、古物を商品としていても古物商許可を必要としないケースがあります。許可がいらないケースの代表例が、自分が所有していた品物を古物として販売する場合です。

古物商許可は古物を売買する際に求められるものです。『買う』と『売る』2つの行為が行われている点がポイントで、古物を商品として売るだけの場合には必要ありません。

その他にも『ただで入手したものを売る』『相手から手数料を取って集めたものを売る』などの取引を行う場合にも、古物商許可は不要です。

名義は法人ではなく個人を選ぶ

個人と法人では法律上の主体となる人格が異なるため、個人で古物営業を展開するには、個人名義で許可を受ける必要があります

古物商許可を得ることで可能になる古物営業は、個人も法人も同じです。

しかし、個人と法人では許可を得る名義が異なります。そのため、個人で古物営業を行うには、個人名義での許可が必要です。法人が受けた許可を使用し、個人として古物営業をすることは不可能です。

欠格要件に該当していないか

古物商許可を得るには、古物営業法に規定される欠格事由に当てはまっていないことが求められます。該当する項目があると、申請を行っても許可が下りないので、申請作業を始める前にチェックしましょう。

欠格事由の代表例が『破産手続き開始の決定を受けて復権を得ない者』です。自己破産後、弁護士や警備員など一部の職業に就けなくなる『資格制限』が解除されていない人は、古物商許可を得られません。

その他には『住居が定まっていない』『心身の故障により適正な古物営業を営めない』などの欠格事由が規定されています。

賃貸物件の場合は手続きが難航する可能性あり

賃貸物件を営業所として申告する場合、スムーズに手続きができない可能性がある点も留意しておきましょう

実店舗を持たずに古物営業を始める際は、自宅を営業所とするケースが一般的です。このとき自宅が賃貸物件だと問題が発生する可能性があります。

賃貸物件の『賃貸借契約書』に記載されている『使用目的』は『居住用』となっているケースがほとんどです。このような物件を営業所とするには、申請時に大家やオーナーによる『使用承諾書』が求められます。

物件を営業所とすることに難色を示す人もいるので、賃貸物件を営業所とする場合、申請が難航する可能性があります。

個人で古物商許可を取得するための必要書類

古物商許可の申請にはさまざまな書類が必要です。必要書類がすべてそろっていないと、申請しても当然ながら許可は下りないので、しっかり準備しましょう。個人で許可を得るために必要な書類を紹介します。

許可申請書と添付書類が必要

古物商許可の申請には『許可申請書』と『添付書類』の提出が必要です。添付書類には、『略歴書』『住民票の写し』『誓約書』『身分証明書』『URLの使用権限があることを疎明する資料』が相応します。

許可申請書は必要書類の中核をなす書類で、警察署でもらえます。警視庁や都道府県のホームページからもダウンロード可能です。

略歴書は過去5年間の経歴を記した書類です。当てはまる欠格事由がないか確認するために使用します。住民票の写しは本籍が記載されているものが必要です。発行後3カ月以内のものが求められます。誓約書は、欠格事由に当てはまらない事実を証明するために求められる書類です。

身分証明書は、破産手続き開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しないかを確認する書類です。発行後3カ月以内のものが求められます。免許証や保険証などの身分証とは異なる点に注意しましょう。

URLの使用権限があることを証明する資料は、インターネットで古物を売買する際に必要な書類です。

個人で古物商許可申請から取得するまでの流れ

『許可申請をする』『書類を集めて記載する』といわれると「自分1人でできるかな」と不安に思う人もいるでしょう。しかし古物商許可の申請は、手順通りに準備を進めていけば難しい作業ではありません。個人で許可を受けるまでの流れを解説します。

取り扱う品目を決める

古物商許可を得るためには、始めに古物商として取り扱う品物の種類を決めましょう。古物営業の柱となる品目と、サブとして取り扱う品目を全13品目の中から選びます。

選べる13品目の具体例は以下の通りです。

古物の区分 品物の例
美術品類 書画、彫刻、工芸品等
衣類 和服類、洋服類、その他の衣料品
時計・宝飾品類 時計、眼鏡、宝石類、装身具類、貴金属類等
自動車 本体及び部品
自動二輪車及び原動機付自転車 本体及び部品
自転車類 本体及び部品
写真機類 写真機、光学器等
事務機器類 レジスター、タイプライター、計算機、謄写機、ワードプロセッサー、ファクシミリ装置、事務用電子計算機等
機械工具類 電機類、工作機械、土木機械、化学機械、工具等
道具類 家具、じゅう器、運動用具、楽器、磁気記録媒体、蓄音機用レコード、磁気的方法又は光学的方法により音、影像又はプログラムを記録した物等
皮革・ゴム製品類 カバン、靴等
書籍
金券類 商品券、乗車券、郵便切手やその他古物営業法施行令第1条に定められているもの

補助的に扱う品目に関しては複数選択が可能です。ただし、選択する品目によっては営業に制限がかかる可能性があります。実際に取り扱う予定の品物に絞って、品目を選択することが大切です。

警察署で事前に相談する

スムーズな申請を実現したいなら、申請を決意した時点で管轄する警察署へ相談に行くのが望ましいといえます

申請に必要な書類は、管轄の警察署によって異なるため、必要書類を確認せずに申請すると、書類がそろっておらず申請が通らない恐れがあります。

事前相談を済ませておけば、申請ミスが起こる可能性を最小限に抑えられるため、許可を受けられる見込みが高まるでしょう。

また、事前相談を行うと担当者からの印象がよくなるので、いきなり申請に行くよりも話がスムーズに進みます。

申請に必要な書類を準備する

警察署への事前相談を済ませたら、事前相談で得た必要書類の情報を元に、提出する書類を準備しましょう

許可申請書は『別記様式第1号その1(ア)』『別記様式第1号その2』『別記様式第1号その4』に記入するのが基本です。

『行商をしようとする者であるかどうかの別』を選択する場面では『行商する』を選択しましょう。『行商しない』を選択すると、営業所以外の場所で買取りや販売ができなくなります。

略歴書は過去5年間、いつどこでどんな仕事をしていたか記入します。警察署によっては書式に指定があるので、作成前に確認しておきましょう。住民票の写しは、本籍が記載されているものが必要です。

誓約書は警察署のホームページでダウンロード可能です。個人の名前で『個人用』と『管理者用』の2種類を作成します。

身分証明書は、本籍地の市区町村役場で発行できます。本籍地が遠い場合には郵送申請も可能です。URLの使用権限があることを証明する資料は、ドメインの契約先に確認し、URLの割り当てを受けたことの通知書をもらいましょう。

書類を提出し手数料を納付する

必要書類がそろったら、管轄の警察署に出向いて申請を行います。申請に行く際は事前に警察署に電話をかけ、日時を伝えておきましょう。予約をしておかないと担当者が不在の場合があります。

申請時に持参するものは以下の通りです。

  • 申請書類一式
  • 申請手数料
  • 免許証や保険証などの身分証
  • 印鑑
  • 委任状(本人以外が申請に出向く場合)

申請手数料は基本的に現金納付ですが、警察署によっては県の証紙を購入する必要があります。印鑑は書類に記載ミスが見つかった際、訂正印を押すために必要です。

許可証を取得する

申請を済ませると審査に進みます。審査は土日を除き40日程度で行われるのが一般的です。審査が難航すると2カ月程かかる場合もあるため、余裕を持って申請しましょう。

審査が終わると警察署から連絡が入ります。連絡を受け次第警察署に出向き、古物商許可証を受け取りましょう。

許可証受け取りの際に必要なものは以下の通りです。

  • 印鑑
  • 免許証やパスポートなどの身分証
  • 委任状(本人以外が受け取る場合のみ)

古物商許可証は郵送できないので、直接の受け取りが必須です。

古物商許可の取得後は古物商プレートの作成をしよう

古物商として事業を展開するには『古物商プレート』の掲示が求められます。古物商プレートとは何か、どういった場所に掲示すればいいのかなど、古物商許可を申請するなら知っておきたい、古物商プレートの基礎知識を紹介します。

古物商プレートとは

古物商プレートとは、公安委員会名・番号・主に取り扱う品目などが記載されたプレートです。古物商プレートの掲示は、古物営業法により規定された古物商の義務となっています。

自宅が営業所の場合、古物商プレートを掲げる場所は、見えやすい所であればどこでも構いません。自宅の中でも問題ないため、玄関先や作業机の上でもよいとされています。

古物商プレートは設置の仕方も自由です。表札のように壁に掲げるのはもちろんのこと、写真のようにスタンドに立てかけても差し支えありません。

古物商プレートを作成する方法

古物商プレートを作成する方法は主に3パターンあります

  • 古物商防犯協力会で購入する
  • 看板製作業者で購入する
  • 行政書士事務所から購入する

古物商防犯協力会で購入する方法は、申請時に提案されることが多い方法です。法律に即したプレートが確実に手に入る点に強みがあります。

看板製作業者で購入する方法では、格安でプレートが作成可能です。ただし、古物営業法に即したプレートを手に入れるには、プレートの様式を細かく指定する必要があります。

申請を行政書士に代行してもらうなら、行政書士事務所から購入する方法を選ぶと、プレート発注の手間を省くことが可能です。

個人が古物商許可を取得するためにかかる費用

古物商許可を申請するには手数料の支払いが必要です。古物商許可の申請時に負担する必要がある費用について解説します。併せて申請代行を行政書士に依頼した場合にかかる料金の相場も解説します。

申請手数料は1万9,000円

古物商許可の申請に必要な手数料は1万9,000円です。個人で申請しても行政書士が代行しても、支払う手数料は同じです。

申請手数料は申請を後から取り下げたり、申請後不許可になったりした場合でも返還されません。必要最低限の費用で申請を済ませるためにも、書類の不備には注意しましょう。

添付書類の交付にも以下の手数料がかかります。

  • 住民票の写し:200~300円
  • 身分証明書:300円

住民票の写しは、マイナンバーカードを持っていればコンビニ交付も可能です。

申請代行を行政書士に依頼すれば+4万~6万円

行政書士による申請代行を利用すると、申請に必要な手数料とは別に費用が発生します。申請代行を依頼するときにかかる費用の相場は約4万~6万円です

申請代行にかかる費用を抑えたい場合には、書類の作成のみを代行してもらう方法がおすすめです。警察署への書類提出は自分で行う必要がありますが、その手間を個人が担う分だけ行政書士に支払う費用を節約できます。

行政書士に払うお金と個人が負担する申請の手間を比べて、納得のいく方法を選択しましょう。

個人で古物商許可申請する手順を踏まえ、確実な申請をしよう

古物商許可の申請は、あらかじめ流れや必要書類の種類を頭に入れた上で進めれば、個人であっても問題なく完了できる作業です。事前にしっかり準備をして、審査を通過する書類作りを目指しましょう。

「申請書類を集める時間を捻出できない」「間違いのない書類を作れる自信がない」という人は、書類作りから申請までの一切を行政書士に任せてしまうことも可能です。費用はかかるものの、手間をかけずに正確な申請が可能です。

自分に合った方法を選択して、確実な申請を実現させましょう。

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