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大規模リフォームの費用はいくら?事例別予算と安く済ませるコツ

最終更新日: 2025年04月01日

「購入した住宅のスタイルを変えたい」「ライフスタイルが変わったから住宅の間取りを変更したい」というときは建て替えだけでなく、大規模リフォーム(フルリフォーム)が検討されます。

大規模リフォームに関する疑問で最も多いのが「いくらくらいかかるのか」という費用面の疑問です。大規模リフォームは事例によってかかる費用が大きく異なるため断定は難しいものの、200万~1,2000万円かかることが多いです。

大規模リフォームにかかる費用を事例とともに紹介します。

大規模リフォーム(フルリフォーム)とは?

大規模リフォームは、「フルリフォーム」とも呼ばれ、住宅に対して大掛かりな改修工事を行うことを指します。

具体的にどのような工事を指すのか、また似たような言葉である「リノベーション」とは何が違うのかを見ていきましょう。

内装や外観を含めて住宅を一新すること

大規模リフォーム(フルリフォーム)は、住宅の骨組み(構造躯体)だけを残し、内装、外装、設備などを全面的に変更することが一般的です。間取りの変更、断熱性能の向上、耐震補強なども行えるため、建て替えが難しい物件でも住宅の基礎能力を向上させられます。

大規模リフォーム(フルリフォーム)には以下の工事が含まれます。

内装: 床、壁、天井の全面張り替え、間取り変更(壁の撤去・新設)、建具(ドア、窓)の交換
外装: 外壁の塗装・張り替え、屋根の葺き替え・塗装
設備: キッチン、浴室、トイレ、洗面台の交換、給排水管、ガス管、電気配線の更新
その他: 断熱材の追加・交換、耐震補強工事、バリアフリー化工事

住まいを一度、骨組みだけの状態、つまりスケルトン状態に近づけてから、新たに作り直すイメージです。これにより、新築同様の快適さや機能性を取り戻すことが可能になります。

リノベーションとの違い

「リフォーム」と「リノベーション」は混同されることも多いですが、厳密には意味合いが異なります。それぞれの言葉が持つニュアンスを理解しておきましょう。

リフォーム(Reform): 一般的に、老朽化した部分を修繕したり、汚れた箇所をきれいにしたりして、新築時の状態に近づける、あるいは元の状態に回復させることを指します。「元に戻す」「改善する」という意味合いが強いです。例えば、壁紙の張り替え、外壁塗装、設備の交換などが典型的なリフォームにあたります。大規模リフォーム(フルリフォーム)も、広義のリフォームに含まれますが、その規模が大きいのが特徴です。
リノベーション(Renovation): 既存の建物に対して、新たな機能や価値を付け加えることを目的とした改修を指します。「刷新」「革新」といった意味合いが強く、デザイン性を高めたり、現代のライフスタイルに合わせて間取りを大きく変更したり、建物の性能を向上させたりする工事が該当します。

リフォームとリノベーションの違いを表にまとめると以下の通りです。

項目 リフォーム (Reform) リノベーション (Renovation)
主な目的 老朽化の回復、マイナス状態からの回復 新たな機能・価値の付加、性能向上
工事内容例 設備の交換、内外装の修繕・張り替え 間取り変更、デザイン性の向上、断熱・耐震改修
ニュアンス 修繕、回復、改善 刷新、革新、付加価値

大規模リフォーム(フルリフォーム)は、リフォームの中でも工事範囲が広く、結果的にリノベーションのように新たな価値が付加されるケースも多いです。そのため「フルリノベーション」等といわれることもあります。

大切なことは言葉の定義ではなく、どのような住まいにしたいかを明確にし、施工業者に伝えることです。しっかりと話し合って、認識のすり合わせを行いましょう。

大規模リフォーム(フルリフォーム)の費用感

大規模リフォームでは相場を出すことは難しいものの、おおよその費用感があります。

一戸建てとマンションそれぞれの場合の、大規模リフォームの費用感を紹介します。

一戸建ての大規模リフォームの費用感

一戸建ての場合、工事範囲が広く、外壁や屋根の工事も含まれるため、マンションに比べて費用が高くなる傾向があります。

一般的な費用相場は、坪単価で40万円~80万円程度と言われています。ただし、これはあくまで目安であり、以下のような要因で大きく変動します。

建物の状態: 築年数が古く、老朽化が進んでいる場合や、耐震補強が必要な場合は費用が増加します。
工事内容: 間取り変更の規模、水回りの移動、断熱性能や耐震性能の向上度合いによって費用が変わります。
設備のグレード: キッチンやユニットバスなどの設備のグレードを上げると、その分費用も上がります。

以下に、延床面積別の費用相場の目安を示します。

延床面積 費用相場(目安) 主な工事内容例
20坪 (約66㎡) 800万円~1,600万円 内装全面刷新、水回り設備交換、小規模な間取り変更、外壁・屋根塗装
30坪 (約99㎡) 1,200万円~2,400万円 内装全面刷新、水回り設備交換、間取り変更、外壁・屋根改修、断熱改修
40坪 (約132㎡) 1,600万円~3,200万円 内装全面刷新、水回り設備交換、大幅な間取り変更、外壁・屋根改修、断熱・耐震改修
50坪 (約165㎡) 2,000万円~4,000万円 内装全面刷新、水回り設備交換、大幅な間取り変更、外壁・屋根改修、断熱・耐震改修

この表はあくまで大まかな目安です。特に築古物件で構造部分からの見直しが必要な場合や、ハイグレードな設備・建材を使用する場合は、相場を超えることもあります。正確な費用を知るためには、必ず複数の業者から詳細な見積もりを取りましょう。

マンションの大規模リフォームの費用感

マンションの場合、専有部分のみのリフォームとなるため、一戸建てに比べて費用は抑えられる傾向にあります。ただし、管理規約による制限がある点に注意が必要です。

一般的な費用相場は、1㎡あたり10万円~20万円程度と言われています。一戸建てと同様に、以下の要因で費用は変動します。
専有部分の広さ: 広いほど費用は高くなる。
工事内容: 間取り変更の規模、水回りの移動の有無、内装材のグレードなどで費用が変わる。
設備のグレード: システムキッチンやユニットバスなどのグレードによって費用が大きく異なる。
マンションの構造・規約: 配管の移動が制限されていたり、使用できる床材に規定があったりすると、工事内容や費用に影響する。

以下に、専有面積別の費用相場の目安を示します。

専有面積 費用相場(目安) 主な工事内容例
50㎡ 500万円~1,000万円 内装全面刷新、水回り設備交換、小規模な間取り変更
70㎡ 700万円~1,400万円 内装全面刷新、水回り設備交換、間取り変更
90㎡ 900万円~1,800万円 内装全面刷新、水回り設備交換、間取り変更、収納増設
100㎡以上 1,000万円~ 内装全面刷新、水回り設備交換、大幅な間取り変更、造作家具設置など

マンションリフォームでは、解体してみないと配管の状況などが分からないケースもあり、想定外の追加費用が発生する可能性も考慮しておきましょう。また、管理組合への届け出や近隣住民への挨拶なども必要になります。

事例別大規模リフォームの費用例

全体的な費用相場だけでなく、具体的なリフォーム内容によって費用がどう変わるのか、事例を交えて見ていきましょう。

リビングを広くするリフォームの費用例

家族が集まるリビングをより広く、快適にしたいというニーズは多く聞かれます。隣接する部屋との壁を撤去して、一つの広いLDK(リビング・ダイニング・キッチン)にするケースが代表的です。

【事例概要】

築30年の一戸建て。隣接する和室とリビングの間の壁を撤去し、約20畳の広々としたLDKを実現。床・壁・天井の内装を一新し、キッチンも対面式の新しいものに交換。

【主な工事内容と費用内訳(目安)】

  • 解体工事(壁撤去、既存内装・キッチン解体):30万円~60万円
  • 構造補強工事(壁撤去に伴う梁の補強など):20万円~50万円 ※必要な場合
  • 内装工事(床、壁、天井):80万円~150万円
  • 建具工事(ドア交換など):10万円~30万円
  • キッチン交換工事(本体+設置費):80万円~200万円
  • 電気・照明工事:15万円~40万円
  • 諸経費(現場管理費、廃材処分費など):工事費全体の10~15%程度

【合計費用目安】 約235万円~530万円 + 諸経費

壁を撤去する際には、構造上問題がないか、耐震性に影響はないかを専門家(建築士など)に診断してもらうことが非常に重要です。撤去する壁が耐力壁だった場合は、適切な補強工事が必要となり、その分費用も増加します。また、床材や壁紙のグレード、キッチンのグレードによっても費用は大きく変動します。

間取りを大幅に変えるリフォームの費用例

子供の成長や独立、二世帯同居など、ライフステージの変化に合わせて間取りを大幅に変更したいというケースもあります。部屋数を増やしたり減らしたり、水回りの位置を移動したりするような、より複雑な工事になります。

【事例概要】

築25年のマンション(75㎡)。3LDKの間取りを、夫婦二人の生活に合わせて広いリビングを持つ1LDKに変更。和室と洋室一つをなくしてリビングを拡張し、北側の洋室を書斎に。キッチンと浴室の位置は変えず、設備は一新。内装も全面的に刷新。

【主な工事内容と費用内訳(目安)】

  • 解体工事(間仕切り壁撤去、既存内装・設備解体):40万円~80万円
  • 間仕切り壁新設工事(書斎部分):10万円~20万円
  • 内装工事(床、壁、天井):100万円~180万円
  • 建具工事(ドア交換、クローゼット新設など):30万円~60万円
  • キッチン交換工事(本体+設置費):80万円~200万円
  • ユニットバス交換工事(本体+設置費):70万円~150万円
  • トイレ交換工事(本体+設置費):15万円~30万円
  • 洗面台交換工事(本体+設置費):15万円~40万円
  • 電気・照明工事:20万円~50万円
  • 諸経費(現場管理費、廃材処分費など):工事費全体の10~15%程度

【合計費用目安】 約380万円~810万円 + 諸経費

間取り変更の規模が大きくなるほど、解体・新設する壁の量が増え、内装工事の範囲も広がるため、費用は増加します。特に水回り(キッチン、浴室、トイレ)の位置を移動する場合は、給排水管やガス管、電気配線、換気ダクトの移設工事が必要となり、費用が大幅にアップする可能性があります。マンションの場合は、配管スペース(パイプスペース)の位置によって移動が制限されることも多いです。

大規模リフォーム(フルリフォーム)のメリット

大規模リフォームには大きなメリットが3つあります。

大規模リフォームのメリットを確認しましょう。

① 建て替えよりもコストが安い

既存の住宅と同じような広さ・仕様の住宅にするのであれば、建て替えよりも大規模リフォームの方が総費用を抑えられます

建て替えの場合は、既存の建物を解体する費用、新たな建物を建築する費用に加え、不動産取得税や登記費用などが新たにかかります。他にも「再建築不可物件」であった場合は建物を崩してしまうと家を建てることができなくなってしまいます。

一方、大規模リフォームであれば、既存の基礎や柱などを活用できるため、解体費用や建築費用を削減できます。また、税金面でも建て替えに比べて有利になるケースが多いです。

ただし、建物の状態やリフォームの内容によっては、建て替え費用に近くなる、あるいは超えてしまう可能性もゼロではありません。特に、地盤改良や大幅な耐震補強が必要な場合は費用がかさむ傾向にある点にご注意ください。

② 配管を一新できる

目に見えない部分ですが、住宅の快適性や安全性に大きく関わるのが給排水管やガス管などの配管設備です。特に築年数が古い住宅では、配管が老朽化し、水漏れや詰まり、赤水の発生、ガス漏れなどのリスクが高まっています

大規模リフォームでは、床や壁を解体するタイミングで、これらの配管をまとめて新しいものに交換することが可能です。これにより、水回りのトラブルを未然に防ぎ、安心して長く暮らせる住環境を手に入れることができます。部分的なリフォームでは交換が難しい箇所も、大規模リフォームなら効率的に更新できるのが大きな利点です。

③ 資産価値を向上させる

大規模リフォームによって内外装や設備が一新され、場合によっては断熱性や耐震性が向上することで、住宅の資産価値を高める効果が期待できます。見た目が美しくなるだけでなく、機能性や安全性が向上することで、中古住宅市場における評価が高まる可能性があります。

将来的に売却や賃貸を考えている場合、大規模リフォームは有利に働く可能性があります。また、単純に住み心地が向上し、愛着の湧く住まいに生まれ変わることで、精神的な満足度という「価値」も向上すると言えるでしょう。

大規模リフォーム(フルリフォーム)のデメリット

大規模リフォームには3つのデメリットもあります。

デメリットも正しく把握して、リフォームで後悔をしないようにしましょう。

① 間取りは構造に影響を受ける

「フルリフォームなら自由に間取りを変えられる」とされがちですが、既存の建物の構造によっては、希望通りの間取りが実現できない場合があります。

建物を支える重要な柱や壁(耐力壁)は、基本的に撤去することができません。木造軸組工法(在来工法)はある程度自由度が高いですが、壁全体で建物を支えるツーバイフォー工法(枠組壁工法)やプレハブ工法などは、構造上の制約が大きい傾向があります。

また、マンションの場合は、管理規約によってリフォームできる範囲が制限されていることがほとんどです。共用部分にあたる壁や窓、玄関ドアなどは基本的に変更できません。専有部分であっても、床材の遮音規定や配管の移動制限などが設けられている場合があります。事前に管理規約をしっかりと確認する必要があります。

② 仮住まいが必要

大規模リフォームは家を躯体にするなど大掛かりな工事を行うため、住みながらの工事ができません。工事期間中は別の場所に住むための「仮住まい」が必要です。工事の規模や内容にもよりますが、2か月~半年ほどを目安に仮住まいを用意しましょう。

大規模リフォームの費用には、工事費用だけでなく仮住まいの費用も考慮する必要があります。

③ 大規模リフォームに対応できる業者が少ない

部分的なリフォームと異なり、大規模リフォームは高度な技術力、豊富な経験、そして総合的な提案力が求められます。構造躯体を扱うため、建築に関する深い知識も必要です。そのため、すべてのリフォーム業者が大規模リフォームを得意としているわけではありません。

信頼できる業者を見つけるためには、大規模リフォームの実績が豊富かどうかを必ず確認しましょう。ホームページの施工事例を見たり、直接問い合わせて過去の事例について詳しく聞いたりすることが大切です。技術力や提案力はもちろん、コミュニケーションが円滑にとれるかどうかも重要なポイントになります。

大規模リフォーム(フルリフォーム)の費用を抑えるコツ

高額になりがちな大規模リフォームですが、いくつかのポイントを押さえることで、費用を賢く抑えることが可能です。

① 一括見積もりで施工業者を選ぶ

大規模リフォームの費用は、業者によって大きく異なることがあります。同じ工事内容でも、見積もり金額に数百万円の差が出ることも珍しくありません。そのため、必ず複数の業者(できれば3社以上)から相見積もりを取ることが非常に重要です。

相見積もりを取るときのポイントは以下の通りです。

同じ条件で見積もりを依頼する: 希望する工事内容、間取り、使用したい設備のグレードなどを具体的に伝え、各社に同じ条件で見積もりを作成してもらう。これにより価格だけでなく、提案内容や担当者の対応なども比較しやすくなる。
見積もり項目を詳細に確認する: 「〇〇工事一式」といった大雑把な見積もりではなく、工事項目ごとに単価や数量が明記されているかを確認する。不明な点があれば、遠慮なく質問することが大切。
諸経費の内訳を確認する: 現場管理費や廃材処分費などの経費の内訳も確認する。
価格だけで判断しない: 最も安い見積もりを出した業者が必ずしもベストとは限らない。提案内容、実績、担当者との相性、アフターサービスの充実度なども含めて総合的に判断する。

相見積もりを取るときは一括見積もりサイトを活用しましょう。1度の情報入力で条件に合う業者から見積もりが届くので、業者探しの手間が大幅に抑えられます。

大規模リフォームの一括見積もりをする

② 施工業者と話し合ったことは書面にまとめる

リフォーム工事では、「言った」「言わない」のトラブルが発生しがちです。特に大規模リフォームは工事内容が複雑で、打ち合わせも多岐にわたるため、担当者と話し合った内容や決定事項は、必ず書面に残しておくことを強くおすすめします。

打ち合わせ記録(議事録)を作成:日時、場所、出席者、話し合った内容、決定事項、次回までにやるべきことを記載し、担当者にも確認する。メールでのやり取りも記録として有効。
最終的な仕様や図面を確認:契約前に最終的な工事内容、使用する建材や設備の品番、色、仕様などが明記された図面や仕様書をよく確認する。
変更点は都度書面で確認する:工事期間中に仕様変更や追加工事が発生したときは、その内容と金額を書面で確認し、合意の上で進める。口約束は避ける。

書面に残すことで、認識のずれを防ぎ、万が一トラブルが発生した場合の証拠にもなります。少し手間はかかりますが、後々の大きなトラブルを避けるためには不可欠な作業です。

リフォーム業者の料金と口コミをチェック

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大規模リフォームには数百万円もの費用がかかることも多いです。業者選びを失敗しないためには、一括見積もりでお得な業者を選ぶことをおすすめします。

一括見積もりをすれば、リフォームを施工できる条件が合った業者からのみ見積書が届きます。複数の見積書を比較し、価格やサービス内容、保証内容を確認して一番お得な業者に依頼しましょう。

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