プランター葬は自宅でペットを埋葬したいけれど、場所が確保できないときにおすすめの方法です。特殊な道具を必要とせず、園芸店やホームセンターに行けば手に入るものだけで実践できます。詳しい埋葬方法やペットの種類、注意点などを見ていきましょう。
プランター葬とはどのようなもの?
プランター葬は植物栽培用のプランターに、ペットの遺体を埋葬することです。自宅の敷地内に土地がなくても、プランターを置く場所さえあれば埋葬できます。ただし全てのペットに向いているわけではありません。どのような方法なのか、詳しく見ていきましょう。
プランター葬には2種類ある
プランター葬は、ペットの遺体をそのまま土中に埋める方法と、火葬してから骨だけを埋める方法の2種類に分けられます。
そのまま埋める場合はしっかり埋めないと、野生動物などに掘り返される恐れがあります。それに対し遺骨を埋める場合は比較的問題が起きにくいでしょう。
ペットの大きさや環境に合わせて選択することをおすすめします。
適しているのは小型のペット
プランター葬に向いているのは小型のペットです。例えば昆虫や、小鳥・ハムスターなどの小型の哺乳類、小型の爬虫類や両生類・魚類などが適しています。
猫や犬など比較的大きいペットは、土に還るのに十分な深さや広さが必要になるのでプランター葬には適していません。なかなか土に還らず、強い腐敗臭が出るなどの問題が起きて悲しい思いをすることになります。
大きなペットをどうしても近くで供養したい場合は、火葬後の遺灰をプランターに埋葬しましょう。
プランター葬のメリット・デメリット
プランター葬は自宅でペットを供養できる点がメリットですが、デメリットもあります。特徴をよく理解してから実践しましょう。
メリット:ペットをいつまでも身近に感じられる
プランター葬は、ペットの存在をいつまでも身近に感じられる点がメリットです。ペットの墓地や霊園などに出かけなくても、ベランダや庭などへ行けばすぐにペットのお墓参りができます。
埋葬後のプランターに植物を植えれば、美しい姿を楽しめるところもポイントです。亡くなった後も、植物の成長を通じてペットに思いを馳せる時間を持てるでしょう。
庭に埋葬した場合は掘り返して移動させるのは大変ですが、プランター葬なら簡単に移動できるという利点があります。
デメリット:土に還ったかどうか確認しづらい
プランター葬は火葬とは違い、目視で状態を確認できないのがデメリットです。土に埋めたペットの遺体が土に還ったかどうかを確認するには、実際に掘り返してみなければなりません。
遺体が分解されて土の養分になるまでには、多くの年月が必要です。ペットの体が大きいほど、長い時間がかかることを覚悟しましょう。
また管理を怠ると、野生動物に掘り返されてしまったり、うまく土に還らないといった悲しい思いをする可能性があります。
プランター葬のやり方
適当な土と容器を使ってプランター葬を行うと、失敗する原因になります。プランター葬に必要なものや手順などをチェックしましょう。
準備するもの
プランター葬に必要なものは、園芸をする際に準備するものとほぼ同じです。ガーデニングを趣味にしているなら、家にあるものを流用できるでしょう。
家に道具がない場合は、園芸店やホームセンターで簡単にそろえられます。具体的には以下のものが必要です。
- プランター
- 腐葉土
- 園芸用の土
- 鉢底ネット
- 鉢底石
- バケツ・スコップ・土入れなど
ペットの遺体をスムーズに分解するために、腐葉土や園芸用の土を用意しましょう。植物を育てるのに向いていない土では、微生物が活動しにくく分解が遅くなる恐れがあります。
鉢底ネットは排水用の穴から、虫が侵入するのを防ぐために必要です。鉢底石や目の粗い赤玉土などを底に敷くと、排水性や通気性が高まり、土中の湿度を下げやすくなります。
バケツは土を混ぜるために使いましょう。スコップや土入れは、プランターに土を移す際にあると便利です。
プランターは陶磁器がおすすめ
園芸店へ行くと、さまざまな素材のプランターが見つかります。プランター葬に使用する場合は、プラスチック製のものではなく、陶磁器製を選びましょう。
プラスチック製は軽量で持ち運びやすい利点がある一方で、長い年月がたつと破損や変形の心配があり、プランター葬には向いていません。落としたときやぶつけたときに、衝撃に弱い点も心配です。
ペットの遺体が土に還るまでには長い時間がかかるので、丈夫な陶磁器製のプランターを選ぶことをおすすめします。深さは少なくとも30cmは必要です。ペットの体に合わせて、なるべく深いものを選びましょう。
プランター葬の手順
必要な道具がそろったら、以下の手順でプランター葬をしましょう。
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土は満杯にせず、植物を育てるための水を入れるスペースとして、2cm程度の余裕を持たせておきましょう。後は好きな植物の種をまいたり、苗を植えたりするだけです。
プランターに植物を植える際のポイント
プランター葬の後に植物の種をまいたり苗を植えたりすると、植物が成長する様子を楽しみながら供養できます。好みの植物を植えてよいですが、向いていないものもあるので注意が必要です。
一年草がおすすめ
一年草は1年程度で枯れる植物のことです。例えばパンジー・ビオラ・アサガオ・コスモスなどが当てはまります。
1年で枯れると寂しい気もしますが、種を採取して保存すれば、またきれいな花を咲かせることが可能なので、育てがいのある植物です。
一方で多年草は、地上部が枯れたり葉が落ちたりしても、根っこの部分が生き続け、時期が来ればまた花を咲かせます。成長とともに根が深くまで張り、鉢の中が根でいっぱいになってしまう特徴があり、ペットの遺体を傷つける心配があります。
また一年草は枯れた部分を取り除いて種をまけばよいだけですが、多年草は1年に1~2回は鉢から全体を抜いてメンテナンスしなければなりません。
水やりは控えめにする
植物を植える際は水やりをしますが、あげすぎには注意しましょう。水やりは土が乾いてから、たっぷりと与えます。
植物の種類や日当たりによって、必要な水の量は変わります。常に土が湿っていればよいわけではなく、必要以上の水はあげないことが基本です。過剰に水を与えると根に悪影響を与え、植物がうまく成長しません。
プランター葬をした場合、土の中に多くの水分が含まれた状態が続くと、コバエやウジなどの虫がわく心配もあります。
受け皿にたまった水は速やかに捨てましょう。ペットの遺体から出た腐敗液を含んだ水を放置しておくと、臭いや害虫が発生する原因になります。
プランター葬の注意点
プランター葬は、庭や墓地に埋葬するときとは違った注意点があります。どのようなことに気をつければよいのか見ていきましょう。
臭いや虫の発生
プランター葬をすると、臭いや虫が発生するリスクがあります。少しでも被害を減らすには、プランターの置き場所や水やりの頻度に気を配ることが大事です。
日当たりが悪いと土が乾燥するまでに時間がかかり、湿度が高い状態になって、臭いや虫が発生しやすくなります。風通しの悪い場所に置くと臭いがこもり、通気性が悪い状態になりがちです。
しかし家の立地によっては、日当たりや風通しといった条件を満たすことが難しい場合もあります。そのようなときは、プランターを地面に直接置くのではなく、鉢台などを利用して高さを出すと、日当たりと通気性がよくなりやすいでしょう。
鉢台に乗せるときは、風が吹いても倒れないように安定感があるものを選ぶのがおすすめです。
土に還るまで長い時間がかかる
プランターに埋葬したペットの遺体が土と同化するまでにかかる期間は、10年程度が目安です。ペットの大きさ、湿度や温度などによっても、分解されるまでの時間に違いが出ます。いずれにせよ長期間の管理が必要でしょう。
住宅環境が変わり、プランターを管理できない状態になったときはどうするかなども考えておきましょう。
ミイラ化する可能性も
プランターに埋めたペットの遺体が、土の中で思ったように分解されないケースがあります。土中の微生物や空気の量が足りない場合、骨にならずにミイラ化してしまうことがあるのです。
プランターが倒れたときや、植物の世話をするために掘り返した際に、ミイラ化したペットの姿を見てしまうのはつらいでしょう。
庭などの広いスペースに埋める場合とは違い、プランターに入れられる土の量は限られています。微生物の数が少ない状態になりやすいので、うまく土に還らないことも覚悟しておきましょう。
できるだけ大きなプランターを用意して、多くの園芸用土や腐葉土を使用し、日当たりや風通しがよい場所に置くことが成功の秘訣です。
プランター葬以外の供養方法は?
大切なペットが死んでしまったとき、埋葬する方法はプランター葬だけではありません。プランター葬が難しい場合の、ペットの供養方法を見ていきましょう。
火葬
ペット火葬業者に依頼して、火葬してもらう方法があります。遺骨にしてからなら、プランターに埋葬しても虫や臭いが発生してしまう心配はありません。
ペットの種類や大きさによって、利用できるプランや料金などは変わります。1万~2万円弱に設定している業者が多いです。地域によっても異なるので、近くの業者をチェックしてみましょう。
火葬の方法は複数あり、主に合同火葬と個別火葬に分けられます。合同火葬の場合は遺骨が戻ってきません。火葬後に遺骨を引き取りたいなら、事前に確認してから依頼しましょう。
火葬後は遺骨をペット霊園に預けたり、プランター葬をしたりして供養できます。
プランター葬は正しく行おう
プランター葬に適したペットや埋葬の手順、置き場所などを知らないと、悲しい結果になってしまう可能性があります。大切なペットとの別れを、少しでも心安らぐものにするためにも、適切な方法で埋葬しましょう。
広い土地に埋めた場合と違い、ペットが土に還るまでには時間がかかります。埋葬して終わりではなく、長期間にわたって管理し続ける心構えも必要です。
うまくできるか心配なら、そのまま埋めずに火葬後に遺骨をプランターに埋葬する方法もあります。納得できる方法を選択して供養しましょう。