ペットが死んでしまった場合、火葬は民間業者に依頼するという手段がありますが、自治体でも火葬を受け付けているのでしょうか。ペットの火葬について、自治体での取り扱いを紹介します。また民間業者に依頼する場合との違いについても、確認しましょう。
ペットの火葬に対応している自治体はある?
住んでいる地域によっては、ペットを火葬できる制度を自治体が設けていますが、条件や費用については、自治体ごとに異なります。ペットの火葬に対応している代表的な自治体と、その内容について確認しましょう。
東京都世田谷区
東京都世田谷区ではペットの火葬または埋葬を受け付けています。区内を管轄する清掃事務所が対応し、引き取りのための費用は3,100円です。
注意すべき条件としては、ペットの体重が25kg未満でなければなりません。大型犬の火葬や埋葬を依頼したいという場合には、注意が必要です。
また火葬後の遺骨は返却できないので、遺骨を家に持ち帰りたいのであれば、個別に専門業者に依頼した方がよいでしょう。
ただし遺骨の返却はできませんが、お参りに関しては可能です。参拝を希望する人は、区役所に問い合わせて場所などを確認しましょう。
神奈川県横浜市
神奈川県横浜市でもペットの火葬に対応しています。ただし横浜市民でなければ、依頼することはできません。市営の斎場が4つある中で、戸塚斎場のみで火葬が可能です。
火葬方法には個別火葬と合同火葬の2種類があります。どちらの場合も大きさは棺も含めて、長さ100cm、横幅60cm、高さ35cm以内でなければなりません。棺はダンボールなどで代用し、重さは棺も含めて50kg未満が条件です。
合同火葬は遺体の出張引き取りができますが、個別火葬は自分で斎場に遺体を運ばないといけないため注意しましょう。遺骨は個別火葬の場合には持ち帰れますが、合同火葬の場合には返却できません。
個別火葬の費用は遺体の重さによって、以下のとおり変動します。
- 1kg未満:1万円
- 1kg以上5kg未満:2万円
- 5kg以上25kg未満:2万5,000円
- 25kg以上50kg未満:3万円
合同火葬にかかる費用は、自分で直接斎場に持ち込むのであれば3,000円で、出張引き取りを利用する場合は6,500円です。
大阪府大阪市
大阪府大阪市では犬と猫を中心に、ペットの火葬を受け付けています。そのほかのペットについても対応しているのか否かは、市に直接問い合わせましょう。
環境事業センターに申し込むと遺体の引き取りに来てくれます。その後は委託業者に引き渡され、委託先でほかの動物と一緒に焼却されます。
遺体は布に包んだうえで、ビニール袋に入れて渡すというルールです。首輪などの燃えないものは入れないように注意しましょう。
合同かつ高温で焼却するため、遺骨は返却できません。わずかに残った灰も、埋め立て地に運ばれます。そのため火葬後も供養したい場合には、動物霊園など民間の専門業者に依頼するのがいいでしょう。
遺体の引き取りと火葬にかかる費用は以下のとおりです。
- 5kg未満:1,700円
- 5~10kg:2,100円
- 10kg以上:2,800円
愛知県名古屋市
愛知県名古屋市では市に引き取ってもらう場所によって、火葬費用が異なります。八事斎場で引き取ってもらう場合には、箱を含めた重さに応じて以下のとおりです。
- 5kg未満:1,100円
- 5kg以上15kg未満:2,200円
- 15kg以上50kg未満:4,400円
各区にある環境事業所に依頼する場合は、自分で持ち込むのであれば500円、出張引き取りでは1,000円かかります。
ペットが市に登録していた犬であれば、登録を抹消しなければならないため、住んでいる地域の保健センターへの届け出が必要です。
届け出のための書式は各保健センターで入手できますが、インターネットからダウンロードもできます。そのほかには鑑札と注射済票が必要です。登録の抹消に関しては手数料は必要ありません。
ペットを自治体で火葬する流れ
自治体によってペットの火葬方法はさまざまですが、申し込みから火葬までの流れはほぼ同じです。ペットの火葬を自治体で実施する流れについて確認しましょう。
火葬日の予約を申し込む
火葬は多くの場合において事前の予約が必要です。自分が住んでいる地域を管轄している市や区などのウェブサイトを確認し、予約方法を確認します。
一般的に環境事業所に連絡するよう促されるため、そちらの電話番号に連絡しましょう。電話で日取りを決めますが、中には受け付けるために、申込用紙に記載しなければならない場合もあります。
申込用紙は環境事業所で取得できますが、場合によってはウェブサイトからのダウンロードが可能です。申し込む前に当該の自治体が設定している、火葬できる条件などについて確認しておきましょう。
遺体を火葬場に運ぶ
予約が完了したら、指定の火葬場まで遺体を運びます。多くの場合において、遺体は布に包んでビニールに入れるか、ダンボールに入れるかのどちらかです。自治体によって方法を指定しているケースが多いため、事前に確認しましょう。
遺体は自分で火葬する場所に持ち込むこともできますが、引き取りに来てもらうことも可能です。合同火葬の場合は出張引き取りをしていますが、個別火葬だと持ち込みしか受け付けていない場合もあります。
遺体を入れるビニールやダンボールには、首輪など燃えないものを入れないようにしましょう。
火葬が終わると残った灰は埋め立て地に
火葬が終わると残った灰は、埋め立て地に運ばれます。高温で処理するため遺骨は残らないのです。また合同火葬のため、遺灰もどれがどの個体の灰なのかは区別ができません。
自治体に依頼した場合、遺骨や遺灰は返却されないつもりで依頼した方がよいでしょう。ただし自治体によっては、火葬後の供養を受け付けているケースもあります。
個別火葬を受け付けている自治体では、骨が残る温度で焼却し、遺骨も返却してくれる場合があります。遺骨を残したい人は個別火葬が可能かどうか、事前に問い合わせてみるとよいでしょう。もしくは専門業者に依頼した方が無難です。
ペットが死んでしまったら市への届け出は必要?
死んでしまったペットの種類によっては、市への届け出が必要になります。ペットの死亡届に関して、申請方法や必要なものを説明します。
犬が死んだ場合は必要
ペットの中でも犬に関しては、死んでしまった時に市への届け出が必要となります。猫や鳥とは異なり、犬を飼育するためには、狂犬病の予防注射を打たなければならないためです。犬を飼い始めるタイミングで、飼い主に義務付けられています。
予防注射を打たなければ20万円以下の罰金に処せられますが、死亡届を出さないと定期的な予防注射の案内が継続して届いてしまうのです。そのため犬が死んでしまった際は、手続きしないとトラブルにつながってしまいます。
犬のほかにもライオンやワニなど、ペットが危険動物である場合も死亡届が必要です。自治体によってペットの死亡届が必要な種類が指定されているため、珍しいペットを飼っている場合は、確認しておきましょう。
ペットが死んでから30日以内に届け出が必要
ペットの死に関する届け出は、ペットが死んでから30日以内に必要です。ペットの登録をした自治体に提出が必要になります。または保健福祉センターなどが受け付けています。どこに届ければよいのかという点は、各自治体のウェブサイトで確認しましょう。
一般的に届け出は専用用紙に記載して窓口に提出しますが、郵送や電話による受付を実施しているケースもあります。仕事などが忙しく、窓口に行く時間がない人にとって便利でしょう。どのような手段があるのかは、事前に問い合わせが必要です。
届け出に必要なもの
ペットの死を伝えるために必要なものは、ペットの死亡届と鑑札、犬であれば注射済票です。注射済票は届け出を出した年度分のみが必要とされます。鑑札を紛失していた場合は、鑑札紛失届の添付が必要です。
鑑札や注射済票を記念に取っておきたい場合は、窓口に問い合わせるといいでしょう。手続きが完了すると、戻ってくる場合があります。
死亡届には登録年度や番号、生年月日や毛色の記入が必要です。鑑札に記載されている情報になるので、事前に確認しておきましょう。
死亡届の提出は飼い主かその家族でなければできません。申請時の手数料は無料です。
民間のペット葬儀業者との違い
自治体で火葬する場合には、遺骨の取り扱いなどがペット葬儀業者と異なります。火葬方法の違いや費用について確認しましょう。
火葬方法の違い
自治体で実施する火葬方法は、ほとんどが合同火葬です。灰や骨を拾うのが難しく、一般的に飼い主に遺骨などは返却されません。ただし自治体によっては、個別火葬を受け付けている場合もあります。
一方ペット葬儀業者では多くの火葬プランを用意しており、予算に応じて選べるのが一般的です。遺骨を拾い上げられるものや、立会いが可能といったプランもあります。
またペット葬儀業者は自治体と比べて、火葬日の融通が利きます。プランによっては火葬したい日時に合わせてくれるので、飼い主にとってしっかりとお別れしやすいサービスといえるでしょう。
業者によっては深夜や早朝でも対応してくれる場合があります。
費用の違い
一般的に費用は自治体で火葬した方が抑えられます。個別火葬や出張引き取りになると、通常よりも金額は高くなりますが、ペット葬儀業者と比べるとそれでも安い方といえるでしょう。
自治体で火葬する場合の費用相場は、1,000~1万円ほどです。ペット葬儀業者に依頼すると、プランによって異なりますが、1万5,000~6万円ほどになります。
最後までしっかりペットを見送りたい場合や、火葬した後そのままお墓を作ってあげるプランになるとより高額になるでしょう。
きちんとお別れしたいなら民間の火葬を検討
自治体に依頼してペットを火葬することは可能です。その際は各自治体で定められた方法で遺体を引き渡しましょう。
一般的に布に包んでビニール袋に入れたり、ダンボールに入れたりして引き渡さなければなりません。首輪などの燃えないものは、一緒に入れないように注意が必要です。
ペットの大きさや重さによっては、自治体で火葬できない場合があります。事前に条件を確認しましょう。また火葬方法は基本的に合同火葬となるため、遺骨は受け取れません。
ペット葬儀業者に依頼すると、さまざまなプランが用意されているため、ペットとのお別れをしっかりできます。手厚くペットを供養したい人は、自治体よりも民間火葬を選択するとよいでしょう。