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猫に死期が近づくと見られる兆候。飼い主が最期にできることは?

最終更新日: 2024年06月28日

大切な猫ともいつかお別れのときが来てしまいます。

「猫は死期が近づくといなくなる」とよく言われますが、亡くなる直前にはどんな変化や行動が見られるのでしょうか?

最期に飼い主がしてあげられるケアについても解説します。かわいい猫が穏やかな最期を過ごせるよう、しっかり準備をしておきたいですね。

「猫は死期が近づくといなくなる」といわれるのはなぜ?

外に出ようとする猫

猫は体調不良を隠すのが上手な動物といわれています。体調不良を隠せないほどに弱っているときは、外敵から身を守るために姿を隠そうとするのです

野生の猫や外で生活する野良猫には、カラスやヘビなどの外敵が多く存在します。弱っている姿を外敵に見られると襲われてしまうので、安全のために隠れようとするようです。

隠れたまま体力が戻らず、動けなくなってしまうことが多いため、人間は「猫は死期が近づくといなくなる」と感じるといわれています。

ただしこれは猫が屋外で暮らしている場合の話です。完全に室内で過ごしている飼い猫が、死の直前に突然姿を消すことはないでしょう。

死期が近づいた猫に見られる兆候

室内飼いの場合は猫が飼い主の前から姿を消すことは基本的にありませんが、死期が近づくと、元気なころとは異なる兆候が見られるようになります。

  • ごはんを食べなくなる
  • トイレを失敗するようになる
  • 普段とは違う様子で甘える
  • 毛並みが悪くなる
  • 目の焦点が合わなくなる

ごはんを食べなくなる

猫は死期が近づくと、食欲がなくなったり、水を自力で飲めなくなったりするケースが多く見られます。これは消化器官の衰えが理由とされ、普段食べているごはんだけでなく、好物にも反応しなくなる傾向があります。

水を自力で飲めなくなると、脱水症状になる恐れもあるので、注意が必要です。

猫が自分でごはんを食べない、水を飲めない場合は、シリンジやスポイトで、消化の負担になりにくいごはんや、水をあげるといいでしょう。しかし嚥下できずに猫がつらそうにしているときは、無理は禁物です。かかりつけの獣医師を受診し、対応を相談しましょう。

トイレを失敗するようになる

普段はトイレで排せつをしていた猫が衰弱してくると、自分で排せつのコントロールができなくなってきます。トイレまで我慢できずにもらすようになったら、弱っているサインだと考えられます。

寝ながら排せつしてしまうこともあるでしょう。衰弱している猫は、免疫機能も低下していると考えられるため、不衛生にしていると、病気を引き起こす原因にもなりかねません。

その場合はペットシーツを敷くのがおすすめです。また猫用のおむつを使うのも1つの方法です。どちらをするにしても、汚れたままにしておくと不衛生なので、こまめに交換し、清潔を保ちましょう。

普段とは違う様子で甘える

猫が普段とは違う様子で甘えるようになったら、不安をやわらげるために、飼い主に甘えていると考えられます

甘えてくるのは、猫が飼い主を頼れる存在だと認識している証です。愛猫が普段と違う様子で甘えてきても、慌てずにそばにいてあげましょう。

飼い主としてできることは、猫の体調を観察しながら、いつも通りに甘えさせてあげることです。飼い主のいつも通りの態度で、猫の不安もやわらぎ、心地よく過ごせるでしょう。

死期が近づいた猫は、見た目にも変化が現れるといわれています。死期が近づいた猫に見られる特徴を把握し、猫が安心して過ごせるような対応をしてあげましょう。

毛並みが悪くなる

高齢や体調不良によって体力が低下した猫は、食欲がなくなる傾向にあります。食事からの栄養素が不足し、被毛に行き渡りにくくなるため、毛にハリがなくなりパサついた印象を受けるのです

さらに猫自身も毛づくろいをあまり行わなくなる傾向にあり、結果的に毛並みが悪くなってしまいます。

毛づくろいを思うようにできなくなったことで、猫がストレスを感じている可能性もあります。猫の体を清潔に保つためにも、優しく拭いたり、軽くブラッシングしたりと、飼い主がケアをしてあげましょう。その際猫の負担にならない程度にとどめておく必要があります。

目の焦点が合わなくなる

死期が近づいた猫は、目の焦点が合わなくなるケースも多くあります。飼い主から見ると、「猫が一点をじっと見ている」「なんだか目に力が入っていない」と感じるでしょう。

多くの場合、猫の目は真っ黒で丸くなっているはずです。その原因は瞳孔が開いているからともいわれています。また目ヤニが増えているケースもあるでしょう。

この状態の猫は、視力が低下している可能性があります。目が見えづらくなった猫が不安を感じないように、飼い主は猫に優しく声をかけたり、撫でたりしてあげましょう。

死期が近づいた猫に飼い主ができること

最期を迎えようとしている猫に、飼い主ができることを解説します。猫は言葉が話せないので、飼い主がしっかり観察し、猫の気持ちに寄り添いましょう。

病院に連れて行き治療の検討をする

飼い猫に死期が近づいてきている様子が見られたら、病院に連れて行き、治療の検討が必要です

飼い主として「最期までできる限りの治療をしたい、少しでも長く生きてほしい」と考える人も多いでしょう。しかし体力の落ちた猫にとって、通院と治療は大きな負担になりかねません。猫にかかるストレスや負担を考えて、治療を検討するべきです。

かかりつけの獣医師に診察してもらい、猫に施せる治療と、その効果を相談しましょう。治療の効果が発揮されるなら、きちんと治療をしてあげる方がよいといえます。しかし猫に負担をかけるほどの、治療効果が見込めない場合は、治療をしない、もしくは最低限にしておくという選択肢もあります。

落ち着いて過ごせる場所を用意する

死期が近づいた猫は寝て過ごす時間が多くなります。快適に過ごせるように、猫の寝床を整えてあげましょう

寝たままで排せつすると、寝床が汚れてしまうので、清潔を保つことが大切です。ペットシーツを敷く、洗いやすいカバーや毛布にするなど、掃除しやすいよう工夫しましょう。なお、猫は臭いに敏感なので、香りが強い洗剤や柔軟剤は使わないよう、注意が必要です。

また寝たままで長時間過ごしていると、床ずれを起こすケースもあります。床ずれを防止するために、柔らかいクッションやマットを敷いておくのがおすすめです。

柔らかく清潔な寝床を用意してあげると、猫も落ち着いて過ごしてくれるでしょう。

猫の気持ちに寄り添い優しくケアをする

死期が近づいた猫は食欲がなく、自分の思うように体を動かせない状態です。目が見えづらくなっていたり、不安を感じていたりすることもあるでしょう。

飼い主としてできることは、猫が苦痛を感じたり、つらい思いをしたりしないように、介助することです。猫の世話をしながら様子をしっかり観察しましょう。

猫が食べものを口にできるなら、好物や食べたがるものを細かくして与えます。与えてよいものは、あらかじめ病院で確認しておきます。

猫が甘えてくるなら撫でてあげたり、隠れようとするなら距離を置いたりすることも大切です。猫の気持ちに寄り添い、最期を迎えるまで優しくケアをしてあげましょう。

死期が近づいた猫に飼い主としてすべきこと

旅立つ愛猫をしっかり見送るのも、飼い主としての重要な役割です。猫に最期までの時間を落ち着いて過ごしてもらうため、飼い主自身が後悔しないためにするべきことを、解説します。

愛猫を看取る心の準備をする

猫に死期が近づいたと感じたら、飼い主としてしっかり看取れるように、心の準備が必要です

まずは自宅で看取るか、病院で看取るかを決めましょう。最期まで治療をしたい場合は、設備が整っており、獣医師がいる病院が適しています。しかし多くの猫にとって、病院はストレスを感じやすいものです。病院で最期まで最善を尽くすか、住み慣れた自宅で家族に囲まれて過ごしてもらうか、よく考えておきましょう。

愛猫の旅立ちを穏やかなものにするためには、飼い主が取り乱しすぎないことが大切です。最期までの時間を、愛猫の望むようにしてあげましょう。

葬儀や供養の方法を決めておく

猫が死んでしまってから葬儀や供養について決めようとしても、悲しみや喪失感から、何も考えられなくなってしまう可能性があります。心を込めて愛猫を見送るため、そして自分自身が後悔しないためにも、あらかじめ葬儀や供養の方法を決めておきましょう

供養の方法としては、自治体の斎場で火葬する・ペット専用の葬儀業者に依頼して火葬するなどがあります。

ペット専用の葬儀業者なら、個別に火葬してお骨上げまで対応しているところもあります。また遺骨をアクセサリーにして供養したり、墓地や納骨堂に納めたりすることも可能です。

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愛猫の死期が近づいていたら精一杯お世話しよう

かわいがられる猫

死期が近づいた猫は、ごはんを食べなくなったり、トイレを失敗するようになったりと、今までできていたことができなくなる傾向にあります。体が思うように動かないことや、体調不良を猫が不安に感じている場合もあるので、飼い主として猫の気持ちに寄り添った世話をしてあげましょう

また愛猫を失った後は、悲しみや虚無感で、何もできなくなってしまうケースが多くあります。愛猫の旅立ちをしっかり見送り、後悔のないお別れをするために、あらかじめ葬儀や供養の方法を考えておくのも、飼い主の務めです。

ペットの火葬や葬儀に対応する事業者を探せるプラットフォーム「ミツモア」では、お住まいの近くの事業者に見積もり依頼や相談ができます。

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監修者:谷口史奈

獣医師
猫の診療室モモ 院長
安達文化学園 専門学校ビジョナリーアーツ 非常勤講師

動物病院に3年、猫専門病院に2年半勤務したのち、2016年8月に猫専門病院「猫の診療室モモ」を開院。

主な監修書籍

  • 「NyAERA 2023」(朝日新聞出版)2023年2月発行
  • 「ネコお得技大全2022 完全版」(晋遊舎)2022年5月発行
  • 「ネコとの新生活完全ガイド」(晋遊舎)2022年4月発行
  • 「ネコDK the Best 2021-22」(晋遊舎)2021年11月発行

など多数

コメント
動物は自分と仲間を比べたり、未来に思いを馳せたりしません。つまり猫にとっては「今が快適かどうか」が全てです。病気になっても未来を悲観したりしませんし、ましてや病気にかかっていない他の猫と自分の境遇を比べることもありません。愛猫が一番「快適」だと感じる看取りは、側で暮らす飼い主さんが一番わかっているはずですから、どうかご自身の方針に自信を持って頂きたいと思います。

参考:猫の診療室モモ 公式サイト