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犬が息を引き取る前の兆候。飼い主が最期にできることとは

最終更新日: 2023年06月21日

かわいがっている愛犬とも、いつか必ずお別れをしなければなりません。

いざ最期が近づいてきたときに、あわてず後悔のないお見送りができるよう準備しておきたいものです。

犬が亡くなる直前の兆候や、飼い主がしてあげられることを解説します。

犬の死期が近くなると現れる変化

犬

老いて身体が弱ってくると、若く元気なときとは異なる様子が見られるようになります。

  • 食欲が減退する
  • 毛並みが悪くなる
  • 眠っている時間が増える
  • 散歩に行きたがらない
  • 歩くのが遅くなりつまずくことが増える
  • 尿や便をもらしてしまう
  • 徘徊や夜鳴きをする

犬は内臓や代謝が衰えると、食欲が減退していき、毛並みが悪くなるケースも見られます。

老化と共に睡眠時間が長くなり、1日のうちほとんどを寝て過ごす犬もいます。その場合は床ずれを起こさないように、クッションやマットを敷いてあげるといいでしょう。

また筋力が衰えて来るので散歩に行きたがらなくなったり、歩くのが遅くなったりします。認知症になり、徘徊や夜鳴きをするようになるケースも見られます。

犬の状況に合わせて室内の環境を変えたり、かかりつけの獣医師に診せに行ったりするようにしましょう。

犬が息を引き取る直前に見られる症状

いよいよ最期のときが近づいてくると、さまざまな兆候があらわれます。以下のような様子が見られたら、あわてず愛犬に寄り添ってあげましょう。

  • 呼吸が乱れる
  • 体温が徐々に下がる
  • 意識が遠のき呼びかけても反応が薄い
  • 便や尿が出る
  • 普段と違う臭いがする
  • 発作やけいれんでバタバタする

呼吸が乱れる

犬が亡くなる直前は、呼吸が乱れて不規則になることがよくあります。間隔が短く浅い呼吸を繰り返していたかと思えば、ゆっくりと深く呼吸になるなど、普段とは違う呼吸のリズムがみられます。

口内が乾くと呼吸しづらくなるので、軽く湿らせてあげましょう。水を飲ませるのではなく、湿らせたタオルやコットンをくわえさせたり、スポイトやシリンジを使って、歯ぐきに数的水を垂らしたりする程度です。

息を引き取る瞬間には、口を開けたままで浅くあえぐような、死戦期呼吸が見られるケースもあります。これは心臓が止まったあと、完全に呼吸が止まってしまう前の現象で、実際にはほぼ息ができていない状態です。

体温が徐々に下がる

健康な犬の体温は約37.5~39℃と人間よりもやや高く、触ると温かいです。しかし衰えてくると身体の機能が低下し、徐々に体温が下がっていきます。

亡くなる直前は身体の機能が徐々に停止し、体温を維持できなくなってきます。

愛犬を触ってひんやりしていると感じたら、なるべく寄り添ってそばにいてあげましょう。

意識が遠のき呼びかけても反応が薄い

死期が近づくと意識がぼんやりしてきて、愛犬の名前を呼びかけても反応が鈍くなります。

意識が遠のくのは、呼吸が浅く脳に酸素が足りていなかったり、体温調節ができずに体温が下がっていたりするためです。

老いに伴って聴力が低下していることも多く、飼い主が自分を呼ぶ声が聞こえていなかったり、聞こえていても反応する体力が残っていない可能性もあります。

便や尿が出る

犬が息を引き取る直前になると、排泄の意思と関係なく便や尿が出てしまうことがあります。弱ってくると、お尻周りの筋肉に力が入らなくなることが理由です。

腸の働きが悪くなって下痢がみられたり、消化管からの出血がある場合、タール便とよばれる黒い便や血便が出たりすることもあります。

愛犬の体が汚れてしまわないように、あらかじめペットシーツを敷いておいてあげましょう。

普段と違う臭いがする

体力が低下することで食事量が減ったり、嘔吐を繰り返したりしていると、口臭がきつくなります。また口内を殺菌する役目がある唾液の分泌が減っていると、元気なころよりも歯石がついている状態になります。こちらも口臭の原因となることを覚えておきましょう。

また息を引き取る直前の犬は、代謝の悪化により、独特の体臭が全身からするようになります。愛犬から普段と違う臭いがすると感じたら、お別れが近づいているサインです。

発作やけいれんでバタバタする

犬が息を引き取る直前には、けいれんを起こすことあります。また脳神経系の疾患、心疾患、腎不全による尿毒症がある場合には最期に発作が起きることも。体と手足をピンと張ったように伸ばす強直性けいれんを起こすケースも見られます。

発作やけいれんを間隔を空けて繰り返すこともあるので、犬がぶつかってしまわないように、周囲のものを片付けましょう。

苦しそうな愛犬を見るのはつらいですが、慌ててうろたえたり、パニックを起こしたりせず、落ち着いて寄り添ってあげましょう。

愛犬が亡くなる前に飼い主ができること

つらそうな愛犬を見ていることしかできないのは、飼い主にとって非常につらいことです。しかし飼い主が取り乱したり、不安そうにしていたりすると、愛犬も安心して旅立てません。

愛犬が穏やかな最期を迎えるために、飼い主はどんなことをしてあげられるのでしょうか。

無理をさせず、愛犬が穏やかに旅立てる環境を整える

愛犬が死を避けられない状態になっても、飼い主としては「まだできることがあるはず」と思いたくなるものです。しかしその状況で無理矢理水や食事、薬などを与えるのは、愛犬にとって苦痛になってしまいます。

治療すれば回復する体調と、蘇生できない状況を、冷静に見極めることも飼い主の務めです。死に向かっている愛犬の苦痛を長引かせることはせず、最期まで見守ってあげましょう。

どのようにケアしてあげたら良いのか悩んだ場合は、かかりつけの動物病院に相談することもできます。

犬は集団で生活する動物なので、パートナーである飼い主の気持ちを察知するかもしれません。愛犬が安らかに旅立てるように、飼い主として看取る覚悟を決め、穏やかな気持ちで側にいてあげましょう。

話しかけながら撫でる

愛犬が息を引き取る瞬間は、安心できるようにやさしく話しかけながら、たくさん触ってあげましょう。

愛犬の意識がもうろうとしている場合、声をかけても撫でてもわからないのではないかと考えがちです。しかし犬に反応する体力がないだけで、ご家族の手の感触や声は伝わっています。

頭や体を撫でてスキンシップを取ることで、愛犬の不安が和らぐはずです。

また愛犬がよく懐いていた人や犬友達がいる場合、会わせてあげるのもいいでしょう。声や臭い、気配などを感じて、喜ぶかもしれません。

よだれで濡れた口周りや、便で汚れてしまったおしり周りを、やさしく拭いてあげることもできます。

飼い主がいつも通りの笑顔で、楽しいときと同じ声を出していれば、愛犬は安心して旅立つことができるでしょう。

愛犬が亡くなる前に決めておきたいこと

犬

いざ愛犬の最期を迎えると、動揺や悲しみから落ち着いて物事を考えるのが難しい精神状態になることも多いです。

しかし、亡くなった後にいつまでも愛犬のそばにいてあげることはできません。後悔のないお別れをするために、愛犬の看取り方と葬儀・供養については決めておくと良いでしょう。

看取り方

まずは延命治療をするのかしないのか、する場合はどの程度行うのかを考えましょう。それから自宅で看取るか、病院で最期までケアしてもらうかまでを、決めておく必要があります。

病院で最期まで延命治療をしてもらう場合、愛犬が急変してもすぐに獣医師に適切な処置をしてもらえます。しかし愛犬の最期を飼い主が看取ることができない可能性があることを、頭に入れておきましょう。

自宅で看取る場合、愛犬にとっては住み慣れた場所で、好きな人に見送ってもらえます。また愛犬が懐いていた人や、犬友達に会わせてあげることも可能です。

病院で愛犬を最期まで治療してもらうか、自宅で愛犬とコミュニケーションを取りながら看取るか、事前によく考えておきましょう。

葬儀について

愛犬を失った後は、悲しみや虚無感ですぐに行動できないものです。しかし愛犬の遺体を長期間側に置いておくわけにはいきません。

後悔しないように心を込めて愛犬を見送るために、あらかじめ葬儀や火葬方法について決めておきましょう。愛犬が息を引き取る前に考えるのはつらいものですが、葬儀や火葬方法を決めるのに時間がかかってしまうと、悔いが残る結果になってしまう可能性があります。

火葬は自治体の斎場やペット葬儀業者に依頼して行います。葬儀業者は予約が必要なところがほとんどなので、事前に連絡をとって確認しておきましょう。

火葬前のお別れや収骨の立ち会いができるところ、自宅まで送迎してくれるところ、自宅近くで火葬を行ってくれる訪問火葬車タイプのところなど、葬儀社によってさまざまなサービス・対応があります。事前に調べ、方法や流れを決めておくと、あわてず納得のいくお見送りができるでしょう。

火葬を依頼する業者によっては、遺骨を返却してくれるところもあるので、確認しておきましょう。返却された遺骨はお墓や納骨堂で供養するほかに、散骨を選ぶ人もいます。またアクセサリーにしてくれる業者もあるため、いつも愛犬を身近に感じたい人にはよいでしょう。

また火葬以外には、私有地に埋葬する方法もあります。

いざとなっても慌てず、安らかに見送る心構えを

いざ愛犬が息を引き取る場面に立ち会うと、覚悟をしていても動揺してしまうものです。しかし飼い主が取り乱してしまうと、愛犬に不安を与えてしまいます。愛犬が安心して旅立てるように、いつか来るそのときのために心の準備をしておきましょう。

愛犬の旅立ちをしっかり見送り、後悔のないお別れをするために、あらかじめ葬儀や供養の方法を考えておくのも、飼い主の務めです。

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監修者:石井未希

獣医師

日本獣医生命科学大学卒業。
猫の診療室モモ、わかば犬猫病院にてパート獣医師として勤務。
獣医行動学研究会所属。
東洋医学を勉強しており、鍼灸治療や漢方薬を取り入れた治療を行っている。

コメント
昨年、私も長年一緒に暮らしたペットを亡くしました。大切な家族を失った現実を受け入れることができずとても辛かったですが、葬儀を行ったことで亡くなった事実に対して気持ちの整理ができ、穏やかな気持ちで見送ってあげられました。私達より寿命が短いですから最期の時は必ずやってきます。ペット達に感謝の気持ちを伝え、ご家族の悔いのない最期を迎えて欲しいと思います。