ペットが死んでしまったら適切な方法で埋葬する必要があります。中でもほかの動物と一緒に火葬する合同火葬は、効率やコストの両面からよく選ばれる手段の1つです。ペットの合同火葬の特徴やメリット・デメリット、全体の流れについて詳しく解説します。
合同火葬の基礎知識
ペットの合同火葬を検討する際には、あらかじめ基礎知識を頭に入れておくとスムーズです。料金の相場や火葬の流れなど、覚えておきたい事柄について解説します。
合同火葬とは?
ペットの火葬について検索すると、よく目にする方法の1つが「合同火葬」です。その名からも推察できるように、同時期に死んでしまったほかの動物たちと一緒に火葬する方法を指します。
火葬後のペットの骨は、火葬されたほかの動物たちの骨と共に、合同墓地もしくは慰霊碑などに埋葬されます。そのため自分のペットの骨だけを拾ったり受け取ったりすることはできません。
合同火葬は業者が中心となって進めるため、火葬の日の指定や、立ち会いには対応していないケースがほとんどです。
合同火葬の料金相場
合同火葬はほかの動物と一緒に火葬するため、個別の火葬より手間や時間が短縮でき、火葬にかかる費用を低く抑えられます。
一般的な火葬料金はペットの大きさにより変わり、小型から大型になるにつれ高くなります。体重2kg未満の小動物であれば1万円前後、40kgの大型動物であれば4万円程度の基本料金がかかるでしょう。
家までペットの遺体を引き取りに来る出張火葬を希望する場合は、基本料金とは別に出張費が加算される可能性があるため注意が必要です。
具体的な料金は業者によって異なるため、詳細を知るには直接業者へ問い合わせるのがおすすめです。
合同火葬の流れ
ペットの火葬に合同火葬を選択する場合、まず合同火葬を行う業者への申し込みが必要です。利用する業者の形態により、合同火葬の流れは異なります。
出張火葬業者による合同火葬では、業者が自宅にペットの遺体を引き取りに来た後、火葬から合同墓地への納骨までを行います。多くの出張火葬業者は営業時間が長く、希望の日時に火葬できる点がメリットです。
ペット霊園における合同火葬の場合には、ペット霊園にペットの遺体を自分で運び、お別れセレモニーや供養の後、合同火葬という流れです。その後は霊園内の合同墓地や共同の慰霊碑に納骨します。
霊園での合同火葬は、同時期に死んでしまったほかの動物たちと一緒に行うため、霊園を訪れた当日ではなく、霊園側の火葬日に合わせて、行われるケースも多いでしょう。
合同火葬のメリット
ペットの合同火葬にはメリットも多くあります。ペットの合同火葬を選ぶ場合の、具体的なメリットを確認しましょう。
費用を抑えられる
合同火葬の大きな特徴は、ほかの火葬方法に比べて費用が抑えられる点です。一般的な合同火葬ではペット1体を火葬する個別火葬と比較すると、数万円以上も安くなる場合があります。
合同火葬も個別火葬も、火葬の方法や手順はほとんど変わりません。しかし個別火葬では火葬が終わる度に、使用後の火葬炉を整えたり、残っている灰などを取り除いたりする手間が生じます。
個別火葬では1体の火葬が終わるごとに火葬炉を整備しますが、合同火葬では複数の動物を同時に火葬するため、業者の手間も1回分で済むのです。
費用面の負担が少なく済むのは、利用する側にとってはメリットといえます。
受け付けている業者や自治体が多い
ペットの合同火葬を扱う業者数の多さも、メリットの1つです。ペットが死んでしまったら遺体の状態を考えて、なるべく速やかに火葬を済ませなくてはいけません。合同火葬に対応している業者数は多いため、選ぶ苦労は少ないでしょう。
また自治体でもペットの合同火葬を行っているケースが多いので、火葬業者が見つからない場合でも安心です。
業者選びの際は公式ウェブサイトで業者の実績などを確認した上で、信頼できる業者を選びましょう。
ほかのペットと一緒に供養できる
合同火葬の特徴はペット1体ずつではなく、同時期に亡くなったほかの動物と一緒に火葬する点です。火葬後も合同の墓地や慰霊碑などに一緒に埋葬されます。
合同火葬ではかわいがっていたペットがほかの動物と一緒に天国へ旅立てるという、心理的な安心感が得られます。特に生前に友達が多かったペットなら、個別でお墓に入るよりほかの動物と一緒の方が、穏やかに永眠できると考える飼い主さんもいるでしょう。
お墓参りでは死んでしまったペットだけでなく、共に眠っているほかのペットの供養が同時にできるのも、メリットです。
合同火葬のデメリット
ペットの合同火葬には効率面でのメリットが多いですが、デメリットもあります。合同火葬を行う上で、メリットだけではなくデメリットも理解しておきましょう。
返骨されない
合同火葬におけるデメリットの1つが、火葬後に自分のペットの骨が返ってこない点です。
合同火葬ではほかの動物たちと共に火葬され、火葬後は同時に火葬された動物たちの骨と混ざり合った状態で一緒に納骨されます。そのため特定の動物の骨だけを選別するのは難しく、ペットの合同火葬では個別の返骨に対応していません。
ペットへの思い入れが深く、火葬後はペットの骨を手元に置いて供養したい人は、合同火葬ではなく個別での火葬を選ぶのがおすすめです。
ゆっくり最期のお別れができない
ペットの合同火葬では、ほとんどの場合ペットとのお別れに時間をとれません。丁寧な供養やゆっくり時間をかけてペットとお別れしたい人にとっては、デメリットといえます。
家にペットの遺体を引き取りに来る出張型の合同火葬の場合は、業者が引き取りに来たときが、ペットとお別れするタイミングです。霊園へ出向く場合は、火葬に引き渡すタイミングになるでしょう。
火葬後に「もっとゆっくりお別れしたかった」などと後悔しないためには、自分が納得のいく形で、お別れの時間をとれる方法を選ぶ必要があります。
合同火葬で後悔しないために
合同火葬が終わると、ペットの骨はお墓に納骨されます。火葬後は元の姿はもう見られないため、合同火葬をする前には後悔のないように準備することが大切です。後悔しないためにできることを解説します。
形見を残しておく
最愛のペットの姿を見たり触れたりできるのは、火葬する前までです。特に合同火葬ではペットの骨が戻ってこないため、ペットの形見を別に残すのがおすすめです。
ペットの毛や爪など、体の一部を形見として残す人もいます。また足型をスタンプで残したり、お気に入りの首輪や服を飾ったりするのもよいでしょう。
ペットの形見の品を残しておくことで、いつでもペットの存在を感じられます。後悔のないよう、火葬前に何を形見にするのか、決めておくのがおすすめです。
生前相談や事前見学を行う
大切なペットが死んでしまうと、憔悴して気力をなくす人も多いでしょう。しかしペットの火葬は、死んでしまってから速やかに行う必要があります。
悲しい気持ちの中、限られた時間で火葬方法を決めたり業者を選定したりするのは、飼い主にとって難関です。
そこでおすすめなのが、業者への生前相談や事前見学です。ペットが元気なうちに死んだ後の準備をすることに対し、抵抗がある人もいるでしょう。しかしペットの寿命は人間よりも圧倒的に短いため、避けて通れない道です。
気になる施設に生前相談や事前見学をして、具体的な内容や料金を知っておくと、いざというときに慌てずに済みます。ペットが死んでしまった後に後悔しないためにも、事前に理想の業者を見つけておくとよいでしょう。
業者選びも重要
合同火葬を依頼する業者には、大切なペットの火葬から埋葬を一任することになります。そのため信頼できる業者であるかを見極めるのは重要です。
業者選びの際には、検索で偶然見つけた業者に即断するのではなく、ウェブサイトなどで内容をしっかり確認して選ぶことが大切です。
料金設定やプラン内容を確認するのは大切ですが、スタッフの対応が適切かどうかも選定のポイントといえます。会社の顔でもあるスタッフの対応がずさんなら、会社の対応も同等な場合が多いためです。
利用者の口コミや電話でのやりとりなどで業者の信頼度を判定し、最適な業者を選びましょう。
自治体による合同火葬の注意点
ペットの合同火葬は自治体でも受け付けている場合がありますが、民間の業者と自治体では対応に違いがあるため、注意が必要です。自治体に依頼する場合の注意点について解説します。
供養ができない自治体もある
ペットの合同火葬に対応している自治体の中には、動物たちの骨を埋葬した慰霊碑などを設置しているケースもあります。ペットの供養をしたいときには、その慰霊碑を訪れればよいので、飼い主にとっては便利です。
ただ自治体によっては合同火葬に対応していても、慰霊碑や墓地がない場合もあるため、注意しなければいけません。自治体の合同火葬を利用する際は、埋葬後の供養が可能かについても、事前に確認しましょう。
一般廃棄物扱いになる可能性も
ペットの合同火葬では火葬後に返骨されないのが一般的です。自治体の合同火葬を利用する際も同様で、遺骨はそのまま所定の慰霊碑などに埋葬されます。
さらに自治体ではペットの遺体は一般廃棄物として扱われる場合も多いため、事前の確認が必要です。
火葬後に一般廃棄物扱いだと知って後悔しても、死んでしまったペットは戻ってきません。自治体での合同火葬を考える場合は、費用面だけで決めるのではなく、各自治体における合同火葬の内容を知り、納得した上で決めることが大切です。
合同火葬は事前の準備が重要
突然のペットの死に際し、動揺しない飼い主はいないでしょう。火葬や供養の方法に後悔しても元の状態には戻らないので、後悔が残る可能性もあります。
大切なペットを納得のいく形で見送るためにも、合同火葬を決める際は冷静な判断と事前準備が重要です。合同火葬の特徴やメリット・デメリットを知り、業者の選定を行いましょう。
合同火葬は多くの業者や自治体で対応しています。業者と自治体による合同火葬の違いも理解しておくとスムーズです。
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