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ペットは土葬しても大丈夫?土葬の手順やポイント、注意点も解説

最終更新日: 2024年06月28日

愛するペットが亡くなったとき、「火葬せず土に還してあげたい」と思う人は少なくありません。遺体の火葬が一般的な日本において、ペットの土葬は法律的に問題ないのでしょうか?土葬に適した土地の特徴や正しい手順、注意すべき点を解説します。

ペットの土葬は可能だが場所の制限が厳しい

庭の穴

土葬は遺体を火葬しないまま、土に埋める埋葬方法です。人間と違い、ペットの土葬は法律で禁じられていません。しかし場所によっては不法投棄と見なされるため、あらかじめルールを確認しておく必要があります。

土葬する場合は法律を守ろう

ペットの土葬は法律で認められてはいるものの、土葬する場所については一定のルールがあります。

「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」によると、ペットの遺体(動物の死体)は、一般廃棄物に区分されます。法律上は家庭から出る生ごみ・粗大ごみと同じ扱いになるため、みだりな土葬は処罰の対象です

私有地以外の場所に遺体を土葬した場合、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、または両方に処されます。

参考:廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第2条 第16条 第25条|e-Gov法令検索

土葬に最適な場所

ペットの土葬に適した場所は、自宅の敷地(私有地)です。自宅といっても、賃貸住宅・分譲マンションの敷地内は避けなければなりません。

賃貸住宅は大家・不動産会社の所有物です。分譲マンションの敷地は区分所有者の共有であるため、許可なくペットを土葬すると、トラブルに発展するでしょう。以下のような場所は、比較的安心して土葬ができます。

  • 自己の所有地で、手放す予定がない
  • 近くに水源や畑がない
  • 隣の家と一定の距離がある

ペットの腐敗が進むと、菌が繁殖します。水源の近くや畑付近に埋めた場合、水・土壌の汚染が起こり、周囲の住民に迷惑がかかる恐れがあるでしょう。隣の家と一定の距離を保てなければ、異臭トラブルも懸念されます。

ペットを土葬するメリット・デメリットは?

火葬や樹木葬など、ペットの葬法はさまざまです。他の葬法と比べた場合、ペットの土葬にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

【メリット】ペットを身近に感じられる

ペット霊園で供養するよりも自宅の庭に埋めた方が、ペットを身近に感じられるのがメリットです。亡くなったペットに会いたくなったときは、土葬した場所ですぐにお祈りを捧げられます。庭を見るたびに、優しい気持ちがこみ上げる人もいるでしょう。

近年はペット霊園・納骨堂を利用する人が増えています。管理の手間が省ける点はメリットですが、納骨料や墓石代、年間管理費がかかるのがネックです。お参りのたびに足を運ばなければならず、人によっては足が遠のいてしまうかもしれません。

【デメリット】簡単には引っ越しできなくなる

自宅の庭にペットの遺体を埋めると、簡単には引っ越しができなくなるのがデメリットです

遺体は長い年月を経て、ゆっくりと土に還っていきます。ペットの土葬後、中古物件として自宅を売却した場合、新たな住人がペットの遺体・骨を掘り起こすかもしれません。

庭から動物の遺体・骨が見つかれば、気分を害するだけでは済まないでしょう。場合によっては違約金を請求されたり、人骨と間違えられて警察に通報されたりする恐れがあります。

引っ越し・売却の予定がある場合、土葬は控えるのが賢明です。

ペットを土葬する方法

ペットの土葬は、土に穴を掘って埋めるだけの単純なものではありません。土葬の手順や方法を間違えると、異臭騒ぎや土壌汚染、感染症の発生などにつながります。近隣住民とのトラブルを回避するためにも、正しい手順を覚えましょう。

遺体をきれいな状態で保管する

氷

まずは自宅の庭に、遺体を埋める場所があるかを確認しておきます。夏は1日で遺体の腐敗が進むため、当日に埋葬ができないときは冷却処置を施しましょう。大きめの保冷剤・氷が入った袋をタオルで包み、遺体の下に置いておきます。

遺体は直射日光が当たらない場所に安置します。夏はクーラーのある部屋、冬は暖房器具のない部屋が理想です。口や鼻、肛門から体液がにじみ出すことがあるため、ガーゼ・綿を当てておきましょう。

犬・猫の死後硬直は、2~3時間後から始まります。手足が伸びたまま硬直すると、土葬するスペースを広く取らなければならないため、前足・後足は軽く折り曲げてあげましょう。

準備するもの

あかぎ園芸 消石灰 5㎏|Amazon
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土葬の準備に必要なものは、以下の通りです。ほとんどは自宅にあるもので代用できますが、石灰はホームセンター・園芸店で購入する必要があります。

  • シャベル・スコップ
  • 軍手
  • タオルや手ぬぐい(麻・綿・絹など)
  • 石灰
  • モニュメント・ペット用の墓石

土葬の穴はできるだけ深く掘るのが基本です。自宅に園芸用の小さなスコップしかない人は、大きめのシャベルを用意しておきましょう。タオルや手ぬぐいは、遺体を包むために使います。

石灰には有機物の分解を促進する作用があるほか、殺菌・防臭にも一役買ってくれます。ペットの体重とほぼ同量を用意しましょう。

石灰が手に入らないときは、腐葉土でも代用が可能です。殺菌・防臭の作用はありませんが、腐葉土中の微生物が遺体の分解を助けます。

土葬の手順

道具の準備ができたら、ペットの土葬を始めましょう。大まかな手順は次の通りです。

  1. 穴を掘る
  2. 穴に石灰を敷く
  3. 遺体をタオルで包み、穴に安置する
  4. 遺体に土をかける
  5. モニュメントを置く

シャベル・スコップで穴を掘った後、半分の量の石灰を敷き詰めます。タオルに包んだペットの遺体を穴に安置し、上から残りの石灰を撒きましょう。

化学素材で作られた首輪・おもちゃは、なかなか土に還りません。土壌汚染が誘発されるため、穴に入れるのは控えましょう。石灰の上から土をかぶせ、最後にモニュメントを置いて終了です。

モニュメント・墓石を置くかどうかは飼い主の自由ですが、万が一掘り起こさなければならなくなった際、目印があると、庭のあちこちに穴を開けずに済みます。

ペットを土葬するときのポイントは?

火葬や遺骨の埋葬に比べ、遺体の土葬は手間がかかります。動物に掘り起こされるリスクや、異臭問題につながるリスクを考えながら、1つ1つ丁寧に作業しなければなりません。土葬するときに意識したいポイントを解説します。

日当たりのよい場所を選ぶ

日の光

ペットの遺体が早く土に還るように、日当たり・風通しがよい場所を選びましょう。日陰で水はけが悪い場所に土葬すると、土に還るまでに時間がかかる上、異臭や虫が湧く原因にもなります。

  • 日当たりがよい
  • 風通しがよい
  • 雨水がたまりにくい
  • 十分な深さとスペースが確保できる
  • 車や人が上を通らない
  • 家族の目に付きやすい

モニュメント・墓石を置く代わりに、花の苗を植える人もいます。花にとっても、太陽光が降り注ぐ明るい場所が好ましいでしょう。供養を忘れないように、家族の目に付きやすい場所であることも重要です。

穴はできるだけ深く掘る

遺体の腐敗が進むと、腐敗臭がします。動物の嗅覚は人間よりもはるかに敏感なので、穴が浅すぎると、カラスや野良猫、野生動物などが寄り付く原因になります。

穴のサイズは遺体の大きさにもよりますが、深さは1~2mが目安です。1m以上の深さがあれば、野生動物に土を掘り返されたり、悪臭が漏れたりする心配はないでしょう。

犬・猫はもちろん、ハムスター・インコなどの小動物を埋める際も、1mほどの深さにすると安心です。

遺体はタオルで包む

タオル

土葬をする前に、遺体をタオルや手ぬぐいで丁寧に包みます。体の大きな犬・猫であれば、バスタオルを使いましょう。じかに埋めても大きな問題はありませんが、タオルに包んだ方が腐敗臭を抑えられます。

タオルの素材は、綿・麻・絹などが理想です。ポリエステルやナイロン、ビニールなどの化学繊維は土の中に長くとどまる上、中に湿気がこもりやすくなります。タオルに限らず、ペットと一緒に土葬するものは、100%天然素材のものを選びましょう。

土は高く盛る

遺体を安置して土を埋め戻した後は、シャベルでしっかりと押し固めます。最後は平らにせず、うずたかく盛るのがポイントです。地面よりも30cmほど高く土を盛ると、こんもりとした山のような形になります

どんなにシャベルで押し固めても、雨風による浸食で地面が沈んでいきます。年数が経ってペットが土に還ると、その場所だけが凹んでしまうかもしれません。

土が沈んできたら都度土を追加し、地面が凹まないようにする必要があります。モニュメント・墓石は、盛土に支障がない場所に配置しましょう。

知っておきたい土葬の注意点

日本では遺体を火葬する習慣があり、土葬をする人はそれほど多くないのが実情です。遺体をそのまま土に埋めるにあたって、いくつかの注意点があります。

土に還るまでには長い時間がかかる

土地のコンディションやペットの大きさにもよりますが、骨が完全に分解されるまでには、30年以上の年月を要するといわれています。体の大きな犬であれば、さらに長い時間がかかるでしょう。

遠い将来、自宅の売却・土地の分譲の予定が絶対にないとは言い切れません。引っ越しをするとなると、遺体を掘り起こし、変わり果てたペットと対面しなければならない可能性が出てきます。

自宅での土葬には、ペットといつも一緒にいられるメリットがあります。しかし10年後・20年後を考えると、必ずしもベストな埋葬方法とはいえないかもしれません。

異臭や虫などの発生に注意

ハエ

土葬でよくあるのが、異臭や害虫が発生するトラブルです。隣近所との距離が離れていればよいですが、街中は住宅が密集しています。土葬をする際は、隣近所や通行人に迷惑がかからないことが大前提です

特に高温多湿の夏は、土の隙間から異臭が漏れる恐れがあります。穴の深さが足りないと、野生動物や害虫が集まり、隣近所にも被害が及ぶでしょう。

ペットが投薬治療を受けていた場合は、土の中に化学物質が溶け出します。雨水によって近隣の庭・畑に成分が運ばれ、苗木・作物に悪影響を与えるかもしれません。ペットが完全に土に還るまでは、あらゆるリスクを想定し、細心の注意を払いましょう。

トラブルを避けたい場合は埋骨する

土葬は隣近所とのトラブルや、自然環境への影響が懸念されます。無用なトラブルを避けたいときは、「埋骨」を選択するのが賢明でしょう

埋骨とは火葬した後の骨だけを、土中に埋める方法です。悪臭や害虫、野生動物の被害が食い止められる上、土に還るまでの時間が短くなります。

土葬と同様、埋骨できるのは私有地のみです。自然に還してあげたいからといって、山や林などの公有地に埋めないようにしましょう。

ペットを土葬できない場合は?

ペットの土葬はハードルが高く、人によっては十分なスペースを確保できない場合もあります。土葬が困難なときは、火葬やプランター葬を検討しましょう。中でもペットの火葬は最もメジャーな埋葬方法であり、土葬よりも手間がかかりません。

火葬

日本ではペットの火葬が一般的です。火葬といっても、自分で遺体を焼却する行為は法律で禁じられているため、自治体・ペット火葬業者に依頼しましょう。

自治体での火葬費用は、1体につき3,000円前後が相場です。立ち合い・返骨を行わないところもあるため、事前の確認が必要です。

ペット火葬業者による火葬費用は、ペットの体重やプランによって異なります。中型犬であれば3~4万円、猫・うさぎであれば2~3万円が相場でしょう。自宅に埋骨するほか、ペット霊園・納骨堂に納める選択肢もあります。

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関連記事:ペット火葬の費用相場は?料金の決まり方と特徴について紹介|ミツモア

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プランター葬

庭に土葬できるスペースがないときは、プランター葬がおすすめです。土を入れたプランター(植木鉢)に遺体を土葬する方法で、ハムスター・インコなどの小動物に適しています。

プランターが置けるベランダがあれば、マンション・アパートでも埋葬が可能です。引っ越しの際も遺体を掘り起こす必要がなく、プランターごと移動できます。コスモスやパンジー、アサガオなどの苗を植えれば、天国のペットも喜んでくれるでしょう。

ただしプランターは土が深く掘れないため、カラス・野良猫から掘り起こされるリスクがあります。ベランダ・玄関前に置くときは、管理をしっかりと行いましょう。

関連記事:プランター葬を行うメリットとは?埋葬できるペットの種類や注意点|ミツモア

ペットの土葬は正しく行い、きちんと見送ろう

ペットの土葬は、愛するペットを身近に感じられる埋葬方法です。ただし穴の深さが足りなかったり、土の量が少なかったりすると、異臭や害虫の発生で近隣住民に迷惑がかかります。愛するペットが心安らかでいられるよう、ペットの土葬は正しく行いましょう

自宅が土葬に適していない場合は、火葬やプランター葬を選択するのが賢明です。自宅での火葬は法律で禁じられているため、自治体・信頼できる業者に依頼しましょう。

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