チリダニ(ヒョウヒダニ)は室内で最も多くみられるダニですが、非常に小さいため肉眼でみつけることはできません。
また人を刺すことはありませんが、放置しておくとアレルギーを引き起こすため、早めの駆除が大切です。
この記事では、チリダニによる症状や対策方法を解説していきます。
チリダニがいるとどんなアレルギー症状が出る?
チリダニによるアレルギー症状としては、喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎などが挙げられます。具体的にはくしゃみ、透明な鼻水、口の中がイガイガする、肌荒れなどです。
チリダニはどこにいる?
チリダニは高温多湿な環境を好み、布団やカーペット、畳などフケやアカ、髪の毛などエサになるものが多い場所に生息していることが多いです。 チリダニが大量発生しているかどうか確かめるためには、市販の検査キットを使ったり自治体に検査依頼したりする方法があります。
チリダニ(ヒョウヒダニ)の生態・特徴
大きさ | 0.2~0.4mm(肉眼で見えない) |
発生しやすい時期 | 梅雨、6~10月 |
生息場所 | 布団、畳、カーペット、ソファなど |
室内に潜むダニのうち約7割がチリダニだといわれており、家のいたるところに発生します。名前のとおり、ホコリなどに紛れて生息している虫です。
「チリダニ科」のなかでも、もっとも代表的なのは「ヒョウヒダニ属」という種類。「コナヒョウヒダニ」や「ヤケヒョウヒダニ」というダニが有名です。
チリダニ(ヒョウヒダニ)の体は、0.2~0.4mmほどで、非常に小さいため肉眼で目視することは難しいでしょう。群生していると乳白色のカタマリに見えることもあります。
チリダニのエサは人間のフケやアカ・ホコリ・食べかすなど。そのため、これらの汚れがたまりやすい布団、畳、カーペット、ソファなどに発生することが多いです。
またダニ類の虫は、高温多湿を好む性質があります。湿度70~80%、気温20~30℃くらいになると繁殖が盛んになるため、梅雨が始まる6月から10月の時期は注意が必要です。メスは生涯に約80個の卵を産むとされ、繁殖を許すと大量発生につながります。
チリダニによる被害と症状
チリダニは人を刺すことはありませんが、以下のような被害をもたらします。
①死骸やフンによるアレルギー症状
②人を刺す「ツメダニ」を引き寄せる |
ここではチリダニによる被害や具体的にどんなアレルギー症状があらわれるのか、その対処法などについても解説していきます。
①チリダニによるアレルギー症状
チリダニ(ヒョウヒダニ)は人を刺さないので、皮膚のかゆみを引き起こすことはありません。
しかしチリダニの死骸やフン、抜け殻などを吸い込んでしまうと、アレルギー症状を引き起こします。チリダニの体表や消化管の中にある体液が、人間にとってのアレルゲン(原因物質)となるのです。
アレルギー症状としては喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎などが挙げられます。
具体的には以下のような症状がみられたらアレルギーによる可能性が高いです。
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またチリダニが原因の食物アレルギーの事例も認められています。お好み焼き粉やたこ焼き粉、パンケーキ粉にチリダニが混入し、それを食べてしまうことで30分以内に喘息や呼吸困難が起こるのです。
対策として、お好み焼き粉やパンケーキ粉を開封した後はチリダニが入り込まないように密閉して冷蔵保存しましょう。
②人を刺す「ツメダニ」を引き寄せる
チリダニが大量発生すると、人を刺す危険性がある「ツメダニ」を引き寄せてしまいます。ツメダニは、チリダニやコナダニなどをエサとし繁殖していくためです。
梅雨から秋口に繁殖しやすく、8~9月は被害が多くなるでしょう。
吸血するために人間を狙うことはありませんが、エサと間違えて人間を刺し、体液を吸うことがあります。ツメダニに刺されると、数時間後に激しいかゆみが生じ、腫れなどのアレルギー反応が起こるので注意が必要です。
ツメダニを繁殖させないためにもチリダニ対策をしっかり行いましょう。
ダニアレルギーと花粉症との違いは?
ダニアレルギーと花粉症の違いは発症する時期です。
花粉症の症状がみられるのは、アレルギーを引き起こす花粉が飛んでいる時期だけです。しかしダニアレルギーでは、ダニやその死骸が大量発生している場合には季節や時期に関係なく1年中症状がみられます。
また、ほこりっぽい場所で症状がひどく出る場合にもダニアレルギーが疑われます。喘息やアトピー性皮膚炎を合併することが多いのも特徴です。
ダニアレルギーの検査・治療は病院へ
ダニアレルギーや花粉症がひどい場合は病院に行って適切な検査・治療を行ってもらうようにしましょう。
治療方法としてはダニアレルギーを根本から治療する根治治療(免疫療法)があります。治療は数年間かかることもありますが、開始するとつらい症状が改善することが多いです。
保険も適用されるためダニアレルギーで悩んでいる方は1度病院に行ってみるとよいでしょう。
家にダニがいるかチェックする方法
実はチリダニはどの家にも必ず存在しており、ほぼ1年中みられます。このチリダニが大量発生した際にアレルギー症状が引き起こされるのです。
ここでは家の中にチリダニがどのくらいいるのか確かめる方法を紹介します。また自分の家がダニが住みつきやすい家になっていないかもチェックしてみましょう。
検査キットを使用する
専用の検査キットを使うとダニがどのくらい家にいるか確かめることができます。
使用方法は以下の通りです。
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付属の取扱説明書で注意点を確認し、手順にそって検査するようにしましょう。
自治体にダニ検査を依頼する
自治体の中には環境衛生課が、家にダニがどのくらいいるのか検査してくれるところもあります。
例えば兵庫県の西宮市では無料で検査を依頼することができ、検査でみつかったダニや虫の対策方法についてアドバイスをもらうことが可能です。
「かゆみや喘息などで悩んでいるけど、ダニによる被害かどうかわからない」という場合も相談してみることで原因がわかるかもしれません。お住まいの自治体のホームページをチェックしてみましょう。
参考:ダニ検査(無料)|西宮市 |
ダニのリスクをチェックしてみよう!
自分の家がダニの住みやすい環境になっていないかチェックしてみましょう。
以下の項目にあてはまる場合はダニの発生リスクが高くなっています。
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ダニは高温多湿の環境を好むので、洗濯ものを室内に干したり加湿器を使ったりすると湿度が高くなりダニが繁殖しやすくなるため注意が必要です。
またダニのエサとなるフケや食べかすを取り除くためにも掃除機がけは最低でも1週間に1度は行うようにしましょう。
【場所別】ダニ対策・駆除方法
チリダニによる被害を防ぐために日頃から対策を行いましょう。またチリダニが大量発生してしまいアレルギー症状がみられる場合はチリダニをしっかり駆除することが必要です。
ここでは室内の場所ごとにチリダニの対策方法と駆除方法を紹介していきます。
布団やベッドのダニ対策
布団やベッドは、普段から人間が長時間にわたって寝るので、フケやアカが溜まりやすい場所です。また、人間の体温で湿気も溜まるため、ダニにとっては住み心地がよい場所といえます。
布団のダニ対策は「布団乾燥機」や「コインランドリーの熱乾燥機」を使って熱を加える方法がおすすめです。
ダニは50℃の熱であれば20~30分、60℃以上であれば一瞬のうちに死滅します。
ベッドのマットレスは、コインランドリーなどの乾燥機にはかけられないので、クリーニングに出したり、ダニ予防のスプレーをかけたりしておきましょう。
詳しくは以下の記事で解説しているので参考にしてみてください。
部屋全体のダニ対策
チリダニに限らず、ダニ類が室内に発生するのを予防するには、「掃除」と「除湿」が基本です。掃除によってエサを減らし、除湿によってダニの活動を鈍らせることができます。
乾燥している晴れの日には窓を開けて換気しましょう。梅雨の時期には、かえって部屋に湿気が入ってきてしまうので、除湿器やエアコンの乾燥機能を使うのがおすすめです。
掃除と除湿を徹底すれば、チリダニをはじめとするダニ類が繁殖しにくくなり、人を刺すツメダニも発生しにくくなります。ほかにも、チャタテムシといった害虫を防ぐことにもつながるので、部屋のお手入れの基本として覚えておきましょう。
使った後は掃除機をかけてダニの死骸を取り除くことがポイントです。死骸が残ってしまっているとアレルギーの原因となってしまいます。
湿気がたまりやすいカーペットや畳のダニ対策
カーペットや畳などの床には、髪の毛や食べかすが落ちやすいです。また、床の下地とのあいだに湿気がこもって、ダニが発生しやすい環境になります。
カーペットのダニ予防方法は、定期的に掃除機やコロコロをかけることです。1畳あたり30~60秒ほどを目安に、ゆっくり掃除機を動かすのがポイントになります。
畳の場合は、掃除機をかけるなら「畳の目」に沿って動かすように注意しましょう。ただしどちらかと言えば、畳を傷めないためには「拭き掃除」の方がおすすめです。また定期的に天日干しをして、湿気を逃がすことも忘れないようにしましょう。
また畳やカーペットのダニは殺虫スプレーを使うと手軽に駆除することができます。スプレーを使った後は掃除機をかけるのを忘れないようにしましょう。
関連記事:畳のダニ発生原因と対策方法 | ミツモア |
意外と汚れがちなソファのダニ対策
布製のソファには皮脂汚れや髪の毛、食べかすなどが付着しやすく、チリダニが発生しやすいため注意が必要です。また長時間にわたって座るので、湿気がこもりやすい場所でもあります。
ソファの場合にも、定期的に掃除機やコロコロをかけるのが大切です。ただし革製のソファであれば、革を傷めないように「レザー用のブラシ」を使ったり、「拭き掃除」をしたりしましょう。
ソファのカバーを取り外せる場合は、小まめに洗って熱乾燥するのがおすすめです。
ダニを駆除したい場合は殺虫スプレーを使うとよいでしょう。しかし革製のソファなど素材によっては殺虫スプレーを使うと傷んでしまうため注意が必要です。
また、クッション部分の下などにダニとりシートを挟んでおくと、チリダニなどを誘引して捕獲できます。
殺虫スプレーや燻煙剤を使う際の注意点
生きているダニを死滅させるには、ダニ用の殺虫スプレーや、燻煙剤(くんえんざい)を使うのが効果的です。
特定の場所でダニに刺されるなら布団乾燥機などを使って熱で殺虫できますが、大量発生しているなら、殺虫剤で一気に退治してしまった方が効率的でしょう。しかし使用する際にはいくつか注意点があります。
燻煙剤の場合は、電化製品や植物、水槽、布団などに薬剤がかからないように、カバーをかける必要があります。
また小さな子どもやペットがいる家庭なら、殺虫剤を使用する場所とは違う部屋に移動させて、安全を確保するための工夫が必要です。火災報知器も煙に反応してしまう場合があるため、カバーをかけ忘れないようにしましょう。
ダニ用の殺虫剤については、以下の記事で紹介しています。使用する場所ごとにオススメの製品を解説しているので、ぜひダニ退治の参考にしてみてください。
チリダニの死骸が残ってしまうとアレルギー症状の原因になってしまいます。とくに畳やカーペット、じゅうたんには隙間が多いので、丁寧に掃除しましょう。
掃除機だと死骸が舞い上がってしまう可能性もあるので、マスクを装備して窓を開けながら掃除するのがポイント。コロコロを使うのもおすすめです。
チリダニの繁殖を防ぐ予防のポイント
高温多湿な環境を作らない
ダニは高温・多湿の環境になると、室内で大量発生するリスクが高まります。
ダニが生存するのに必要なのは湿度60%以上の環境です。室内の換気や、除湿器、エアコンの除湿機能などを使って、湿度を下げるようにしましょう。
特に梅雨や夏場は高温多湿になりやすいです。また現在は暖房器具や加湿器の普及で、冬でも湿度が高くなり、ダニが繁殖してしまうこともあるため注意しましょう。
定期的に掃除機をかける
ダニは人のフケ・アカ・毛髪や、食べかす、ほこりなどをエサとして繁殖します。ダニのエサを減らすためにはこまめに掃除をすることが大切です。
ほこりの中に含まれ、アレルギーの原因にもなるハウスダストは「ダニ・花粉・カビ・細菌」が集まってできたものです。また、ほこり1グラムの中にはダニが1000匹いると言われています。
アレルギーは1度発症すると治りにくいため、小さな子どもがいる家庭は特に注意しましょう。
頻度としては2日に1回掃除するのがおすすめです。
ミツモアでダニ駆除の無料見積もりを依頼できます
もし部屋全体や、家全体でチリダニ・ツメダニが発生してしまったら、専門業者に駆除を依頼するのがおすすめです。
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