イエダニに刺された場合、どんな症状が出るのでしょうか。正しい対処法を知っておかなければ、症状が悪化してしまうこともあるでしょう。イエダニに刺されたときの対処法と、適切な駆除方法について解説します。
イエダニはどこにいる?
元々は野外で生息し、ネズミに寄生して家に侵入するイエダニ。人間の生活圏では畳やカーペット、床の割れ目や布団、こたつなどに生息しています。記事ではイエダニの駆除方法も解説しています。
イエダニに刺されたときの症状は?
イエダニは動物の血を栄養源として生きます。そんなイエダニに刺されると、10日間ほどかゆみが続き、赤い発疹も出ます。刺されたら放置せず、病院で薬を処方してもらいましょう。
イエダニの特徴と発生原因
ここではイエダニの生態や特徴、発生原因などを解説していきます。
イエダニの基本情報
大きさ | 0.6~1.0mm |
発生時期 | 5~9月 |
活動時間 | 夜 |
色 | 白色
吸血後は赤~黒色 |
発生源 | ネズミの体
ネズミの巣 |
人への被害 | 吸血
かゆみ、腫れ |
イエダニは大きさが0.6~1.0mmと他の種類のダニに比べて大きいため、肉眼でも見えることが多いです。吸血後は赤や黒に色が変わるため、見つけやすいでしょう。
イエダニに刺されるとかゆみや腫れだけでなく、感染症を引き起こす可能性があると言われています。そのため、被害が出たときにはすぐに病院へ行ったり、駆除を依頼したりという対応が必要です。
※そもそもダニ刺されなのかどうかを知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
ネズミから発生し、人の住処へ移動する
イエダニは、ネズミや鳥などの動物に寄生し、吸血して栄養を補給しています。イエダニに寄生されたネズミが家に侵入することで住宅内に発生してしまうのです。ちなみに血液以外をエサにすることはありません。
ネズミの体や巣のなかに生息していることが多いので、屋根裏からネズミの走る音がする家は注意しましょう。また軒下やベランダに鳥の巣がある住宅も、イエダニが侵入する可能性が高まります。
繁殖したイエダニは個体が増えすぎると新たな栄養源を探し、部屋のなかに場所を移して、人間から吸血しはじめるのです。
イエダニの体の特徴、活動時期
血を吸ったあとのイエダニは1.0mmほどまで膨らみ、もともと白かった体が赤や黒っぽく見えるようになります。ツメダニやコナダニといった室内生息するダニと比べると大きいので、目を凝らせば肉眼でもイエダニを観察できることがあるでしょう。
高温多湿になりはじめる5月ごろから繁殖をはじめ、6~9月にはイエダニ被害がピークをむかえます。
ただし「5~9月だけ活動する」というわけではなく、1年中イエダニが発生する可能性はあるため注意しましょう。例えば冬に、ネズミが寒さをしのぐために人の家の中に入ってくれば、寄生していたイエダニに刺されることがあります。
また、おもに夜間に刺されるのが特徴です。1回で複数個所を刺すことが多いのも、見分けるポイントになります。
イエダニが生息しやすい場所
イエダニという名前なので誤解されがちですが、元々は「家」ではなく野外で生息しています。
近年は、そもそも住宅にネズミが住み着くことが減っているので、イエダニの被害は減少傾向です。ただ現在でも繁華街の側溝や下水にいるネズミに寄生し、倉庫や学校、オフィスビルなどの施設においてもイエダニが生息していることがあります。
住宅では以下の場所にイエダニが生息しやすいです。
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イエダニはネズミに寄生して家に侵入し、ネズミの巣で繁殖します。そのため屋根裏や天井裏、家電の裏や水場の死角などは要注意です。
ネズミが死んだりイエダニの数が飽和したりすると、イエダニは別の場所に生息しはじめます。
人間の生活圏のなかでイエダニが生息しやすいのは、おもに畳やカーペット、床の割れ目などの暗がりです。ほかにも、布団やこたつなど、吸血しやすい場所に潜んでいることもあります。
関連記事:畳のダニ発生原因と対策方法 | ミツモア |
イエダニの寿命とライフサイクル
イエダニの寿命は1~4か月程度です。また吸血しなくても2週間程度は生きることができます。
【イエダニのライフサイクル】
卵(約1~2日)→幼虫(約1日)→若ダニ→成ダニ |
イエダニは2週間程度で卵から成ダニへと成長します。そのうち吸血を行うのは若ダニと成ダニだけです。
メスの成ダニは十分に吸血すると、ネズミから離れてネズミの巣へと移動します。そして巣の中で1度に20個ほどの卵を生み、その卵が1〜2日程度で孵化して成ダニへと成長していくのです。
またメスは1度交尾すれば、ずっと産卵し続けることができるという特徴があります。
イエダニに刺された症状の見分け方・対処法
人を刺すダニは主にイエダニとツメダニという種類です。他にも蚊やノミなど人に被害を与える虫はいくつか存在します。
ここでは刺された跡がイエダニによるものなか見分ける方法と刺された時の対処法をみていきましょう。
イエダニに刺されたときの症状
ダニに刺されたか、それとも蚊やノミか、といった判別は素人判断では難しいものです。勝手に決めつけて間違った対処をしないように皮膚科で診断を受けるようにしましょう。
ただ、上記のようにそれぞれ症状に特徴があるので、どの虫に刺されたか推測することは可能です。
イエダニの被害は腕の内側や太もも、お腹周りなど、人間の身体の中でも比較的柔らかい部分に集中しがちです。夜の間に布団にはいりこみ、複数個所を一気に刺します。
刺された跡はかなり判別が難しいのですが、ツメダニと同じような症状でも、「水ぶくれ」のように腫れていればイエダニの可能性が高いでしょう。
イエダニに刺されると、翌日ぐらいから激しいかゆみや、赤いポツポツとした発疹といったアレルギー反応が出始めます。かゆみは1週間以上続くこともあるので、はやめに薬を処方してもらうのがよいでしょう。
またマダニに刺された場合は感染症を引き起こし、発熱や頭痛、消化器官の不調があらわれることがあります。命に関わる危険性もあるためすぐに病院を受診しましょう。
刺されたらステロイド剤を塗る
イエダニに刺されたときは、まず清潔な水で患部を洗い、よく冷やしましょう。その後で、虫刺され用の薬を患部に塗ります。
このとき、「薬を使いたくないから、かゆみを我慢する」というのはオススメできません。
炎症が長引くほど、治った後の色素沈着が起きやすくなって「刺され跡」が残りやすいです。また起きている間は我慢できるかもしれませんが、寝ている間に無意識でかきむしってしまう危険性もあります。
ダニに刺されると激しいかゆみが起こるので、かゆみ止め成分である「抗ヒスタミン」が含まれている薬を選びましょう。
基本的には十分な強さの「ステロイド剤」で炎症を鎮めるのが治療法です。
「ステロイド剤」というと危険なイメージもありますが、きちんと用法・用量を守って、短期間だけ使用することで、跡を残さず速やかに治療することができます。
また虫さされの時の使用でお馴染み「ムヒ」の中にもステロイド成分が入っている種類のものがあります。
具体的には「ムヒアルファEX」「ムヒアルファSⅡ」にはステロイド成分が入ってるので、塗布することでかゆみを抑えられるでしょう。
薬は薬局でも購入できますが、自分で選ぶのが心配であれば、皮膚科で適切な薬を処方してもらいましょう。
基本的には皮膚科へ行くのがオススメ
イエダニに限らず、長い期間のかゆみ・腫れなどの虫刺されがあるなら、皮膚科に行くようにしましょう。
「イエダニに刺された」と思っていても、実はもっと危険なトコジラミやヒゼンダニに刺された可能性もあります。刺され跡の判別は素人にとって難しいので、皮膚科で的確な診断を受けたほうが確実です。
またイエダニに刺された跡が残らないか心配な方も、皮膚科を受診しましょう。跡を残さないためには、色素沈着しないように速やかに治療を終える必要があります。
イエダニの駆除方法
イエダニの駆除は、まず根本的な発生原因となっているネズミを駆除しなければなりません。
それから家中の殺虫をしてイエダニが特に多く繁殖している場所は集中的に対策を行いましょう。
まずはネズミとネズミの巣を除去しよう
イエダニを追い出すには、まずイエダニの宿主であるネズミや鳥の巣を除去するところから始めましょう。ネズミの巣は「暖かく餌が豊富な場所、巣の材料がある場所」に作られる傾向があります。
具体的には以下のような場所です。
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餌となる生ゴミや食材があったり、巣の材料となる新聞紙や段ボールのあったりする環境は特に注意しましょう。いずれも、普段は人の目が届かない場所であるので見つけにくくなっています。
特にキッチンや家電の裏、押し入れの奥などは巣を作りやすい傾向があるので、よく確認して、巣を発見したら除去しましょう。
ネズミの駆除方法
ネズミを自分で駆除する際には「くん煙剤」や「粘着シート」「毒エサ(殺鼠剤)」を使う方法があります。
ゴキブリやダニ対策で使われる「バルサン」などのように煙に乗せて薬剤を充満させ、ネズミを駆除します。
粘着性の高いシートでしっかりネズミを捕獲。置いておくだけなので簡単に使用できます。
エサに殺鼠剤(さっそざい)を含ませ、ネズミが食べるのを待ちます。手軽で効率の良い駆除方法です。 |
以下の記事ではネズミの駆除方法を詳しく解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
ねずみを死滅させた後は、死骸や巣を取り除き、周辺にゴキブリ用のエアゾールを散布します。どこに死骸や巣があるかわからない場合や、天井で発見された場合はくん煙剤を用いて対応します。
しかし家庭によって状況が異なるため、殺虫剤の使用方法で示された一律の方法では駆除できない可能性もあるでしょう。また壁の中や屋根裏、床下などは巣があっても手が届きにくく駆除が困難です。
毒エサで駆除した場合は死骸がどこにあるのかが分かりにくくなります。死骸が家のどこかに残っていると、腐敗臭が発生したり、死骸につられて蛇や他の虫が家の中に侵入してきたりすることも考えられるでしょう。
確実にネズミを駆除するためにも専門の駆除業者や保健所に相談して状況にあわせた対処法をとることをオススメします。
くん煙剤で部屋全体に潜んでいるイエダニを駆除する
ネズミを家から追い出したら、残っているイエダニを駆除しましょう。
室内に繁殖したイエダニはくん煙剤を使って駆除するのが効果的です。大きさが0.6~1.0mmのイエダニは目に見えることもありますが、全て探すのは骨が折れる作業です。
くん煙剤を使えば広範囲に殺虫効果を行きわたらせることができます。
ただしくん煙剤は卵には効果がありません。そこで1度、くん煙剤を焚いた後に卵がふ化するタイミングを狙って再び行うとより確実に駆除できます。具体的には1回目から2日後くらいにもう1度焚くとよいでしょう。
またイエダニの駆除を目的に、布団や衣類を洗濯するのはあまり効果がありません。イエダニは漂白剤や洗剤では死滅しないのです。コインランドリーの乾燥機やスチームアイロン、熱湯などの熱を加えて駆除しましょう。
カーペットや畳には殺虫スプレー
カーペットや畳はダニが繁殖しやすい場所のひとつです。
ダニ用のスプレーを、イエダニがわいている場所に噴射しましょう。十分な効果を得るために、生き残りが出ないようまんべんなく噴射することがポイントです。また、数日に分けてスプレーを使うとよいでしょう。
上の画像製品であれば、カーペットなどに上から噴射できるだけでなく、ノズルを伸ばして畳に挿しこみ、内部まで殺虫効果を届けることができます。
布団に潜むイエダニは布団乾燥機で対策
ダニは、50℃以上の熱にさらされると30分ほどで死滅します。60℃あれば、即死させることも可能です。そのため、スチームアイロンや布団乾燥機を使用するのも、イエダニ駆除に効果があります。
その中でも布団にいるイエダニは布団乾燥機を使用して駆除するのがよいでしょう。
布団乾燥機にはダニ対策コースがついているものも多いので利用するのがおすすめです。
布団乾燥機にかけてダニを死滅させた後は、必ず掃除機や布団クリーナーでダニの死骸を取り除いてください。
ダニが繁殖しやすい夏は1~2週間に1度、冬場は1ヶ月に1度の頻度で行うとよいでしょう。
家に布団乾燥機がない方はコインランドリーの高温乾燥機でも代用できますが、布団を持っていく手間や頻度を考えると布団乾燥機を購入してしまってもよいかもしれませんね。
イエダニ駆除後の予防方法
イエダニを駆除し終わったら、再び室内にイエダニが発生しないよう、予防に努めましょう。予防策のポイントを3つ解説します。
①ネズミ対策を万全に
イエダニの被害を防ぐには、宿主であるネズミを室内に入れないことが第一です。そのためには、ネズミの侵入経路になり得る隙間をふさぐことが重要です。
排水口や換気扇、シャッターの隙間などは、金網やセメントでふさいでしまいましょう。2cmほどの隙間があれば、ネズミは侵入可能なため、わずかな隙間でも手を抜かずに行うことをおすすめします。また、ネズミ用の忌避剤を置いておくのも効果的です。
②こまめに掃除する
餌になりそうな食べ物類や汚れを放置せず、巣の材料になりそうな紙やビニールなどの不要なものを日頃から処分することが大切です。
食べ物はしっかり容器に入れて保管し、生ゴミは密封した袋にまとめて、キッチンを始めとする水回りはこまめに掃除を行いましょう。
清潔な環境の維持は、ネズミとイエダニの繁殖を防止することにつながります。
③多湿な環境をつくらない
ダニが繁殖しやすいのは、梅雨以降の多湿な時期です。
湿気が70%以上あるとダニが繁殖する可能性が高まるので、除湿器などを使って湿度60%以下に保つことを意識しましょう。
湿度を厳密に管理することができなくても、日ごろからエアコンの除湿機能を使ったり、窓を開けて換気したりするだけで、ダニの発生確率はグンと下がります。
ネズミがいないのにイエダニが発生するのはなぜ?
イエダニはネズミに寄生し、家の中に持ち込まれることで被害にあってしまいます。しかし家にネズミがいないのにイエダニの被害にあっているという方もいらっしゃるかもしれません。
そのような場合、被害の原因としては以下のようなものが考えられます。
屋根裏や瓦の隙間などに鳥の巣がある場合は、鳥に寄生する「トリサシダニ」が被害の原因になっている可能性があります。
また鳥が巣から旅立つと、寄生元を失ったトリサシダニが家の中に侵入し、人を吸血するので注意が必要です。
トリサシダニが原因の場合は、鳥の巣を駆除してから、くん煙剤と殺虫スプレーで室内に潜むダニを駆除するようにしましょう。
②イエダニが寄生していたネズミに異変があった
イエダニが寄生していたネズミが何らかの事情で死んだ、もしくはネズミが巣を放棄し移動してしまった場合は、代わりに人間を吸血するようになります。
またネズミは屋根裏や床下などの普段は目につかないような場所にいることが多いので、単に見つけられていないだけの可能性もあるでしょう。
ネズミを退治してイエダニを駆除しよう
イエダニは、ネズミや鳥に寄生する害虫です。そしてネズミや鳥が屋内に入ってくることをきっかけに、人間の生活圏に侵入してきます。
イエダニの被害を防ぐには、まずはネズミや鳥が入ってこない環境にすることが重要です。侵入経路をふさぎ、こまめに清掃して家の中を清潔に保つよう心掛けましょう。
万が一刺されてしまった場合は患部をきれいに洗い、市販のかゆみ止めなどを塗っておきます。症状がひどいときは皮膚科に相談しましょう。
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市販のくん煙剤や布団類の高温乾燥によってイエダニを自力で駆除することもできますが、被害が収まらない場合や、より完璧に駆除したい場合には、専門業者への依頼もおすすめです。
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