住宅は年月を重ねるごとに劣化し、外壁や屋根も徐々に劣化していってしまいます。その中でも特に気をつけたいのが雨漏り。雨漏りや屋根だけでなく、意外と外壁の劣化によって起こるケースもしばしばあります。この記事では、外壁工事で防水をする重要性から防水をするタイミング、防水塗料について解説していきますので、防水工事が必要かどうか検討している方はぜひ参考にしてみてください。
外壁防水は必要なのか?
そもそも、外壁防水は必要なのでしょうか?外壁があるから水を守ってくれるので大丈夫と考える方もいらっしゃいますが、それは間違いです。外壁そのものがひび割れしたり劣化すると耐水性能が落ちてしまうため、防水のための施工も必要になります。外壁防水が必要な理由を細かくみていきましょう。
外壁防水が必要な理由①:雨水の侵入を防ぐ
「雨漏りは屋根から起こるもの」という思い込みは多くの人が持っており、外壁の劣化や損傷も原因となり得ることはあまり知られていません。
外壁は建物が崩れないように、住宅全体をしっかりと支える必要があるため、とても高い強度や耐久性を有しています。とはいえ、日々建築して時間が経てば、当然劣化は生じるものです。
外壁が劣化してくると徐々にひび割れや隙間が生じ、そこから水が浸入して建物内部にカビや腐食を引き起こす恐れがあります。そのため、適切なタイミングで防水工事を行うことで、建物の劣化を防ぎ、寿命を延ばすことができます。
外壁防水が必要な理由②:建物の資産価値を守る
外壁の防水性の低下による水の侵入は、雨水の通り道を作ってしまいます。すると雨が降るたびに、建物内部へと雨水が入り込むようになってしまいます。
雨水が建物内部に侵入すると、建物内部にカビや腐食を引き起こす恐れがあります。柱や構造部分等が腐食してしまうと、建物全体の安全性を脅かす重大な損傷となってしまいます。
また木造建築の場合、湿気を帯びて木材が腐食してしまうと、シロアリが寄生しやすくなります。シロアリ被害にあうと外壁工事だけでなく家全体の工事・修繕が必要になり工事費用が高くつきます。
外壁防水を適切に施しておけば、塗装の劣化にともなう建材の腐食やシロアリの発生、カビ・細菌の寄生を防止できます。内部の劣化を防ぐことで、将来的な大規模な修繕を避けることができ、建物の資産価値を守ることにもつながります。10〜15年ごとのメンテナンスが推奨されているので、定期的なタイミングで防水工事は見直しておくことで、結果的に建物の資産価値を守り続けることが可能です。
外壁防水が必要な理由③:美観を保つ
外壁は、建物の美観を大きく左右します。外壁のコンディションが悪くなると、それだけ見た目にも影響が及ぶのです。
外壁塗装は常に環境からの負荷を受けています。強い紫外線を浴び、暴風雨にも耐え、暖気・寒気の気温差にもさらされるでしょう。そのような負荷によって次第に劣化が生じるのです。
経年劣化は色褪せやひび割れ、塗装の剥がれ等の症状を引き起こします。塗装の精度が下がれば、住宅の強度や室内環境の低下とともに、美観を損なう原因にもなりかねません。
外壁防水塗装をすれば外観の美しさがよみがえります。また、それまでとは違う色を選べば、外観のイメージチェンジになり、新鮮な気分で生活できることでしょう。
外壁防水が必要なケース
外壁防水が必要なタイミングについて解説していきます。目安となる傷や時期など様々な面から紹介していきますので、ご自宅が該当するか確認しながら読み進めてみてください。
築10年以上経過した
塗装の状態をきちんと判断することは、素人には難しいといえます。新築の時と比べて壁の色に変化が見られるからといって、それが問題を生じるほどの劣化かどうかは判断しにくいところでしょう。
ひとつの基準としては「10年」を目安にすることです。新築から10年を迎えた、あるいは再塗装から10年が経過した場合に、改めて防水塗装を検討するのがいいでしょう。
同じ塗料を使用していても、地域によって耐久性には違いが出るものです。地域ごとに平均気温や寒暖差に違いがあり、紫外線の強さや雨が降る日数も異なります。そのため一概に何年と言い切ることはできません。
とはいえどれだけ穏やかな環境であったとしても、10年を超えてしまうとどうしても塗装状態が劣化し、安全性に不安が生じてきます。
そのため塗装から10年経ったら、再塗装を検討する必要があるのです。
外壁にひび割れが多数ある
外壁を眺めて多数のひび割れが見つかったら、それは再塗装が必要なサインです。早めに専門業者に相談しましょう。
塗装が劣化してしまうと、塗面の内部に雨水が侵入します。そして塗装内部の壁材に水分が入り込んでしまうのです。
湿気を帯びた壁材は水分で膨張するため、塗装面も外側に張り出すような状態になるでしょう。また塗面内部にたまった雨水も、塗装面を膨らませるのです。
反対に晴れた日には塗装面内側の雨水はなくなり、壁材も乾燥して収縮するので、塗装面全体も縮みます。
このように塗装面が膨張と収縮を繰り返すことが、外壁表面のひび割れの原因です。再塗装で防水性を確保し、塗面内部に水を侵入させないようにする必要があります。
チョーキング現象が見られる
「チョーキング(白亜化)」とは、塗料に含まれている顔料が表面に浮き上がり、チョークの粉をまぶしたような状態になることです。この「チョーキング現象」が現れた場合も、再塗装の時期といえるでしょう。
顔料は塗料を塗った時の色を決める要素で、水に溶けにくい性質を持っています。
顔料を含んだ塗料を壁に塗ると、防水性が高い段階では表面に塗膜が張られており、いわばコーティングされている状態です。
しかし耐久性が低下し、コーティングが薄くなると、溶け切っていない顔料が表面に浮かび上がってくるでしょう。そのため外壁に粉が付いたような症状が現れるのです。
手の平で壁をなぞれば粉状の顔料が手に付くので、素人でも簡単に調べられます。チョーキング現象が起こったら、専門業者に見てもらいましょう。
コーキングに縮みや割れが起きた
外壁用建材として用いる「サイディングボード」の継ぎ目に、コーキングやシーリングを施している場合があります。それらに縮みや割れが起こっていたら、再塗装の検討しましょう。
サイディングボードそのものにも、裏の面に防水シートを貼るなどして防水設計がなされています。そのため、コーキング等の損傷がすぐに雨水の侵入を招くとは言い切れません。
しかし割れた継ぎ目からサイディングボードの内側に雨水が入り、サイディングを設置するための釘頭から侵入するケースも考えられます。
コーキング等の劣化・損傷が見られたら、「打ち替え」や「増し打ち」を行うことと合わせて、再塗装も視野に入れておくとよいでしょう。
外壁防水の主な工法
大切な住宅の安全性や耐久性を守る外壁防水ですが、その塗装工法はひとつではありません。
施工法について、主な3タイプを紹介します。
単層弾性塗装
「単層弾性塗装」とはシーラーと呼ばれる下塗りを行い、続いて2回の上塗りをするものです。上塗りを2回することで、塗装に厚みが生まれ、弾力性が備わります。
壁面を保護するには、塗料が持つ保護性能を十分に生かさなければなりません。厚みを持たせて塗装することで、高い耐久性へとつなげます。
また弾力性も、外壁を守るための大切な要素です。壁面は常に膨張と収縮を繰り返しています。そのため、弾力性が低いとその動きに耐えられず、ひび割れや剥がれを招きやすくなるでしょう。
さらに粘度が高く弾力性に富む塗料には、透湿性や防カビ性、防藻性といった機能も備わっています。
複層弾性塗装
「複層弾性塗装」は下塗り(シーラー)後に、高弾性を持った塗料による中塗りを2回行い、さらに上塗りを2回実施する、計5工程による塗装法です。
材料費に加え、作業工程の多さから、単層弾性塗装と比べるとコストはやや上がります。しかし、高い耐久性と保護性を有しており、より強固に住宅を守ってくれる塗装法といえるでしょう。
中塗りと上塗りに使用する塗料には、目的や特徴が異なるいくつもの種類があります。それらから塗布する建物に合った組み合わせで塗装することも可能です。
上質で高級な塗装方法であるため、一般住宅で採用されることはあまり多くはありません。しかし最高の塗装を望む向きには最適な塗装といえます。
微弾性塗料塗装
「微弾性塗料塗装」では一般的な下塗りで用いられるシーラーに代えて、微弾性フィラーと呼ばれる下塗り材を使用します。その上に、2回の上塗りをして仕上げる方法です。
微弾性フィラーの特徴は厚みがあることで、弾力性にも優れています。一方で密着性においてはシーラーよりもやや劣る部分はあるでしょう。
塗装現場で評価されている点に、自由にどのランクの上塗り材も選べる点があります。単弾性塗装では上塗りにアクリル塗料しか使用できないケースが多いため、幅広い種類の塗料で上塗りできる点はメリットです。
外壁の防水塗装の相場は?
外壁の防水塗装の相場は?
外壁を防水塗装するに当たって、気になるのは費用でしょう。そこで相場について解説します。
一軒家の場合
防水塗装は工法によってその総費用が異なります。30坪の敷地に建つ2階建て一軒家を例にして、塗装法別にそれぞれの相場を見てみましょう。
計算方法は、工法別の平米単価を基準として、1坪を3.3平米に換算して総費用を算出しています。今回例に挙げている物件の場合、30坪×2階建て×3.3平米で、約200平米であることが分かりますね。
単層弾性塗装では、平米当たり3,000~4,000円が相場ですので、約60~80万円です。
複層弾性塗装だと、相場が平米当たり5,000~7,000円となり、約100~140万円になります。
微弾性塗料塗装だと、多様なランクの中塗り材や上塗り材から選べるため、価格帯も広がるでしょう。平米当たり2,000~5,500円と幅があり、総費用は約40~110万円です。
都道府県別に違うことも
防水塗装の相場は都道府県ごとに金額の違いが見られます。そのため住まいのエリアがどこかも踏まえて、総費用を想定しましょう。
なぜ総費用の相場に違いが現れるかというと、一軒家における都道府県ごとの総延べ床面積の平均値が異なるからです。この数値は、総務省が2018年に発表した住宅・土地統計調査(※)に表れています。
最も高い相場を示しているのは富山県で、山形県や新潟県、石川県、秋田県等、北陸や東北地方だと塗装費用が高くなると推測できますね。
一方東京都をはじめ神奈川県、千葉県、埼玉県といった関東圏では、1戸当たりの総延べ床面積が小さいため、塗装費用も比較的掛からない傾向です。
費用の内訳
工法による違いはあれども、おおまかな平均金額として100~110万円ほど掛かる防水塗装ですが、どのような内訳になっているのでしょうか。
総費用は大きく4つの要素で構成されています。その中で最も高い割合を占めるものが「人件費」です。
高所で作業する必要もあるため、「足場代」にも20%ほど掛かるでしょう。また、塗料を含めた「材料費」の割り合いも20%程度です。残りが営業経費や管理費など「その他」の経費になります。
外壁防水工事に使える塗料
続いて、外壁防水工事に使える塗料を紹介します。ここではあくまでも塗料の種類を紹介しますので、詳しい塗料のメーカーや製品は業者に確認しつつ決めるようにしてくださいね。
シリコン塗料
シリコン塗料は、外壁塗装において広く使われる塗料の一つで、防水性と耐久性のバランスが良いのが特徴です。耐候性にも優れており、雨風や紫外線による劣化を防ぐことができるため、外壁を長期間にわたって保護します。また、価格が比較的手頃で1㎡あたり2,500〜3,500円程度が相場となっており、現在最も主流な塗料の一つです。
ウレタン塗料
ウレタン塗料は弾性があり、柔軟性が高い塗料です。そのため、ひび割れが起きやすい外壁に向いており、塗膜がひび割れに吸着して防水効果を維持します。特に、木造住宅など外壁の動きが大きい建物に適しています。
ただし、シリコン塗料に比べて耐久性はやや劣り、約8〜10年程度の耐用年数になっています。価格は1㎡あたり2,000〜3,000円と安めですが、紫外線に弱いため、劣化が早いので長期的なメンテナンスコストを考慮する必要があります。
フッ素塗料
フッ素塗料は、非常に高い耐候性と防水性を持つプレミアムな塗料です。紫外線や雨風に強く、外壁を長期間にわたり保護するため、耐用年数は15〜20年と長めです。そのため頻繁なメンテナンスが必要なく、長期的にみてコストパフォーマンスを抑えられる塗料です。
ただ、他の塗料に比べて価格が高く1㎡あたり4,000〜6,000円となっていますが、その分耐用年数は長くなっています。
防水塗装で家を守ろう
外壁塗装は単に見た目をきれいに維持するためだけに行うものではありません。塗装には家を守る大切な役割があるのです。
中でも重要なものが防水です。雨水が建物内に侵入してしまうと、建物自体の強度や耐久性を低下させ、加えてカビや細菌の発生を誘発する原因にもなるでしょう。
防水塗装は大切な住宅を守るために、非常に大きな働きをします。塗装の状態を良好に保ち、家をしっかりと守りましょう。
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