手すり、シャッター、フェンス、配管、屋根などなど。住宅の金属部分や鉄骨部分には錆(さび)がつきものです。
そんな劣化を防ぐ手段として、錆止め塗料があります。様々な色や効果があり、種類によって用途や耐久性などが異なります。
今回は、錆止め塗料の種類や適切な選び方、おすすめ商品も紹介していきます。
錆止め塗料とは?
錆止め塗料とは、鉄などに錆が発生しないように予防するための塗料です。あらかじめ塗っておくことで、金属類の錆びを防ぎます。
錆びを防ぐ仕組み
錆止め効果が含まれている顔料の効果で、錆止め塗料は金属の錆び付きを防ぎます。塗布することによって、空気中に含まれる水や酵素が、直接金属に触れないようにする効果があります。
錆止め塗料には、おもに住宅などの建造物のなかにある金属部分の腐食を防ぐ効果があります。錆止め塗料を塗ることで、対象部分に被膜をつくり、錆の原因である水や外気との接触を防ぐことができるのです。
錆止め効果の寿命
錆止め塗料を塗る時期の目安は、たいていの場合は屋外が3~4年、屋内が5~6年ほどだと考えるといいでしょう。
表面の光沢がなくなったり、白い粉が発生するチョーキングという現象が現れたりしたときには、塗り替え時です。
錆止め塗料は錆の上から塗らない
失敗してしまいやすいポイントは、錆の上からそのまま塗っても効果がないという点です。
錆の上から塗れる塗料も販売されてはいますが、基本的には錆の上からは塗らないものと覚えておきましょう。
錆止め塗料のカラーバリエーション
かつて錆止め塗料には色の種類が少なく、鉛系の原料が由来となっていたため赤さび色が主流でした。
近年では公害問題への配慮もあり、鉛を含まない塗料が増えたために色の種類が豊富になっています。
白やグレー、黒などの基本的な色はもちろん、アイボリーやブルー、グリーンなどをそろえているメーカーも。
ただし錆止め塗料の色を選ぶときには、仕上げ塗装の色に合わせる必要があるのでご注意ください。
錆止め塗料の種類と選び方
錆止め塗料は、主成分と希釈するものの違いによって選び分けましょう。
主成分の違いで選ぶ
錆止め塗料の3種類の主成分と、それぞれのメリットとデメリットは以下の通りです。
主成分 | メリット | デメリット |
1種:油性系 | 密着性・防錆性が高い | 乾燥に時間がかかる |
2種:合成樹脂系 | 紫外線に強い・速乾性がある | 防錆性では油性系に劣る |
エポキシ樹脂系 | 水に強く耐久性が高い 速乾性がある 環境に優しい製品も豊富 |
紫外線に弱い 塗料と相性が悪いと耐久性が落ちる |
希釈するもので選ぶ
錆止め塗料の希釈方法は、主に3種類に分けられます。
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強溶剤
強溶剤とは、強いシンナーのことです。一般住宅の外壁に使われることはなく、大型建築に使われます。下地を溶かすほど強力な溶剤です。臭いが強く、アルミや鋼に対しても塗布できます。
弱溶剤
弱溶剤とは、弱いシンナーのことです。原油を精製して製造されており、塗料用シンナーという強溶剤に比べて弱いシンナーを使用します。強溶剤よりも臭いが少ないのが特徴です。
水性
水性の錆止め塗料は、シンナーのように溶剤を使わず、水を使って製造した塗料を指します。他の溶剤よりも臭いが少なく、耐久性に問題があるものの、最近は質が上がってきているため、使用されることも多くなりました。
使用する場所に合わせて選ぶ
屋外用に錆止め塗料を使用するときには、耐久性を重視して選びましょう。
油性系または合成樹脂系、強溶剤の錆止め塗料をつかうと耐久性に優れており安心です。また基本的には2液型を使った方が、1液型よりも耐久性は上がります。
エポキシ樹脂系も人気ですが、紫外線に弱いという短所があるため、日当たりの良い屋外で使用するにはあまり向いていないのです。
屋内・室内で塗料を使用するときには、臭いの強さに気を付けて選びましょう。
臭いが強い塗料は有毒の可能性があり、屋内で使用すると最悪の場合シックハウス症候群の原因にもなります。
そのためエポキシ樹脂系の塗料で、弱溶剤または水性の種類がおすすめです。
ただしいくら臭いが弱くても、完全に無害ではないのでしっかりと喚起することを忘れないようにしましょう。
錆止め塗料のおすすめ商品10選
錆止め塗装をDIYでしたいと考えている人に、通販でも購入できる錆止め塗料のおすすめ商品を10点紹介します。
なかにはDIYにも使いやすいサイズの塗料や、1缶で錆止めから仕上げまでできる優秀な塗料も。
部分的な錆止めメンテナンスから思い切った広範囲の塗り替えを検討している人もぜひチェックしてください。
商品は比較検討しやすいよう、塗料の種類や価格、色、適用素材をピックアップしています。
(※価格はAmazon参考価格です)
錆の上から塗れる錆止め塗料3選
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油性高耐久鉄部用(アサヒペン)
錆の上から塗れる1回塗りタイプの錆止め兼用塗料。扉、シャッター他屋内外に幅広く使えます。色展開も豊富です。
内容量 | 参考価格 | 種類・成分 | 色 | 適用素材 |
1.6kg | 3,590円 | 合成樹脂系 | 全16色 | 鉄、ガルバリウム 鋼板、ステンレス他 |
さび止・鉄部用 (アトムハウスペイント)
錆の上から濡れる錆止め塗料。これ1本で錆止めから仕上げまででき、速乾性もあるので時短作業が叶います。
内容量 | 参考価格 | 種類・成分 | 色 | 適用素材 |
200ml | 988円 | エポキシ樹脂系 | 全8色 | 鉄、アルミ、ステンレス他 |
サビキラープロ(BAN-ZI)
錆の上から塗れ錆の進行も防ぐことができる塗料です。密着しにくい亜鉛メッキにも塗装でき幅広く使えます。
内容量 | Amazon参考価格 | 種類・成分 | 色 | 適用素材 |
1kg | 5,182円 | 水性 | シルバー | 金属各種 |
耐久性の高い油性の錆止め塗料
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速乾油性さび止め(カンペパピオ)
塗りやすくて密着性に優れた錆止め塗料で、上塗り素材の性能も高めます。早いと3時間で乾く速乾性も長所です。
内容量 | 参考価格 | 種類・成分 | 色 | 適用素材 |
0.5L | 703円 | 油性 | 全3色 | 鉄 |
錆止めから仕上げまでできる錆止め塗料
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スーパー水性カラーさび止め(サンデーペイント)
錆止めから仕上げまでできる下・上塗り兼用塗料。低臭で窓枠、鉄骨など幅広く使えシルキーなツヤも上品です。
内容量 | 参考価格 | 種類・成分 | 色 | 適用素材 |
700ml | 1,355円 | 水性 | 全6色 | 金属、鉄、トタン |
防錆プライマーを使っている錆止め塗料
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必殺錆封じ(染めQテクノロジィ)
ナノ密着技術が錆の深部に浸透し、錆を徹底阻止する防錆プライマーです。再発防止力の高いもちの良さが評判です。
内容量 | 参考価格 | 種類・成分 | 色 | 適用素材 |
300ml | 4,800円 | 防錆プライマー | ブラウン | スチール鋼板、ステンレス、アルミ他 |
上塗り塗料と相性がすぐれている錆止め塗料
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水性錆転換剤ラストブロック(タカラ塗料)
錆落としが困難な場所にも使える、上から塗って錆を止める転換剤。速乾性に優れあらゆる上塗り塗料と好相性です。
内容量 | 参考価格 | 種類・成分 | 色 | 適用素材 |
1kg | 5,980円 | 水性(錆転換剤) | シルバー | トタン、壁、車他 |
錆止め塗料の塗り方
錆止め塗装は、対象となる金属部分の下地づくりとして行う工程です。一連の作業をまとめると、以下の手順になります。
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とくにケレン作業が中途半端だと、取れきれなかった錆が進行してしまい、すぐに塗り替えなくてはいけないので注意が必要です。
塗装の際に準備するもの
ケレン |
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養生(マスキング) |
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塗料 |
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1.ケレン作業
錆止め塗料を塗る前に欠かせないのが、錆や凹凸を取り除くケレン作業です。錆防止の効果を得るために最も大切な工程と言っても過言ではないでしょう。
ケレンには錆の進行を防ぐほかにも、塗料の密着性を高めるなどの効果がある重要な工程です。
ケレンは作業度合いにより4段階に分類されます。
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DIYでも問題なくできるのは4種ケレン程度で、錆がひどい場合や美しい仕上がりを望むならやはりプロに依頼するのがベストです。
2.養生(マスキング)
養生(マスキング)は、塗装がはみ出したり錆止め塗料が他の場所に着いてしまったりするのを避けるためにを行う下準備です。
作業後剥がしやすくベタつきも残らないように、マスキングテープや養生テープを使います。
広範囲の養生が必要な場合には新聞やゴミ袋も活用できますが、養生シートとテープが一体になった「マスカー」も使い勝手がよくおすすめです。
養生できているか念入りにチェックしないと、思わぬところに飛散してしまう可能性があるので注意しましょう。
3.錆止め塗装(下塗り)
塗装の工程は、下塗り、中塗り上塗りの3回セットが基本で、錆止め塗装は下塗りにあたります。
溶剤とよく混ぜてから均一に塗りましょう。錆びの目立つ箇所には2度塗りするのも効果的です。
4.上塗り塗装
錆止め塗料のあとに、仕上げ塗料を塗ります。「中塗り」と「上塗り」の2回に分けて行うのが一般的です。このとき使用する仕上げ材は同じもので大丈夫です。
上塗りにはきれいに仕上げると同時に塗面全体を補強する効果があります。
錆止め塗料との相性が悪く、組み合わせNGの種類もあるのでよく確認しましょう。
5.後始末
塗装後はハケに着いた塗料を新聞紙を使って落とし、洗います。水性塗料なら水と中性洗剤で、油性塗料ならうすめ液や灯油の後に中性洗剤で洗うとよいでしょう。
塗料の処分や保管に関しても注意が必要です。希釈済みの錆止め塗料は保管できません。
また余った塗料を処分するときには、新聞紙に染み込ませ、固まる処理剤などを利用したうえで各自治体指定のゴミとして捨てる必要があります。
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