個人事業主をしていると「株式会社や合同会社などに法人化した方が良いか」と考えることもあるのではないでしょうか。


しかし、法人化にはメリットだけでなく、デメリットもあるので慎重に考えることが重要です。
そこでこの記事では法人化するか判断するために、法人化のデメリットやメリットについて解説します。
しっかりと法人化のポイントを押さえて、事業を成功させましょう。
法人化の6つのデメリット

法人化の主なデメリットは次の6つです。
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事務的な負担が非常に増える
法人化をすると、個人事業主の時に比べ事務的な負担が大きく増えます。
なぜ負担が増えてしまうかというと、法人申告書の作成が必須になるのが大きな要因です。
法人申告書は個人の所得税の申告に比べて非常に複雑であり、自分だけで行うのは難しいでしょう。
事務的な負担を減らしたければ、税理士に依頼するのがおすすめです。
売り上げ規模によっても税理士の顧問料は変わってきますが、およそ年間30万円支払う必要があります。
会社を設立する際に20万円ほどかかる
株式会社を設立する際に、公証人の手数料5万円と登録免許税15万円の合計20万円が必ずかかります。
また会社を設立する際には煩雑な登記手続きが必要であり、専門家に依頼すれば手間が省けますが、およそ10万円ほど支払わなければなりません。
会社をつくっても事業が安定するまでは支出が多くなるので、会社を立てるときは金銭的な余裕が非常に重要です。
これらのコストを含めた上で、法人化すべきかどうか判断しましょう。
赤字でも毎年7万円支払う必要がある
個人であれば赤字になると費用は発生しませんが、法人の場合は赤字になっても、毎年7万円を支払う必要があります。
なぜ赤字でも毎年7万円を支払う必要があるかというと、法人住民税均等割という税金を支払う必要があるからです。
赤字になっても大丈夫なように、ある程度のお金は残しておくようにしましょう。
多額の費用をとられる社会保険に加入する必要がある
法人化すると社会保険に加入する必要があります。
社会保険料は厚生年金と健康保険料の2つを会社と従業員が折半で負担するので、従業員の多い事業では非常に重い負担となるでしょう。
例えば、従業員に毎月30万円の給料を支払っている場合、以下のような負担が生じます。
| 会社負担分 | 個人負担分 | |
| 厚生年金 | 25,000円 | 25,000円 |
| 健康保険 | 15,000円 | 15,000円 |
| 合計 | 40,000円 | 40,000円 |
事業主にとっても負担ですが、従業員からしても強制的に社会保険に加入させられることで、手取りが減るという負担がかかっています。
金銭的な負担がさらにかかってしまいますが、減少した手取りの分だけ従業員の給料を増やすなどの対策が必要です。
会社のお金を自由に使えない
個人事業主の場合、事業で得た利益は全て自分で使うことができます。一方で、法人化した場合は個人と法人の財産は区別されるため、経営者であっても自由に使うことはできません。
法人の口座から個人が勝手に引き出して使うと、税務上のトラブルが発生する可能性があります。
給与以外に会社からお金をもらう場合は会社から借りる必要があり、借りるための契約手続きや利息を支払う義務が発生するので、個人で事業を営むよりもかなり面倒だといえるでしょう。
交際費を全額損金にできない場合がある
個人事業者であれば、交際費の全額を必要経費として参入することが可能です。一方、 法人は損金に算入できる限度額が定められているため、交通費の全額を損金算入できない場合があります。
個人事業主で多額の交際費を使っている場合や、法人化して資本金が1億円を超える場合は損金に算入できる交際費が減ってしまうので、注意しましょう。
損金の参入方法などについて知りたい方は、ぜひ次の記事を読んでください。
法人化して後悔しがちなこと

法人化して良いこともたくさんありますが、後悔することもあります。
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維持費が非常にかかる
法人化して後悔したことに真っ先に挙げられるのは、維持費です。
個人事業主と比べると、法人化することで家賃や電話、光熱費などの経費だけでなく、先ほど法人住民税均等割など法人特有の税金もかかってきます。
また、個人事業主の時に比べて確定申告が複雑になるので、税理士に依頼する必要が生じ、さらに費用がかかる恐れがあるでしょう。税理士の費用は売り上げによって異なりますが、最低年間30万円ほどかかります。
役員の任期を把握する必要がある
法人化すると、役員の任期を把握しておく必要があります。なぜなら任期ごとに登記が必要になるからです。
一般的に取締役は最長4年、監査役は最長2年ですが、株式公開していない会社については、最長10年間延長することができます。
同じ人が取締役をずっと続ける場合、登記の手間を省くため、なるべく任期を長くした方が良いでしょう。
しかし、第三者を役員に就任させる場合、任期途中の解任はかなり難しいため、任期を長くするかどうかは慎重に考えるようにしましょう。
決算の報告を税務署にしなければならない
法人化すると、決められた決算期の後、2ヶ月以内に税務署に決算報告をしなければなりません。
個人事業主の場合、所得税の確定申告を行うだけなので忘れてしまいがちです。
また、株式会社の場合は上場していなくても、決算の内容を公告する必要があります。公告には費用がかかるので、こちらもデメリットといえるでしょう。
出資者との関係性を維持する必要がある
複数人で会社を作った場合、一部の出資者から出資金を返してほしいといわれる可能性があります。
特に関係性が悪くなるとそのような傾向にありますので、出資者との関係性を維持するのも非常に大切です。
個人事業主であればこのような気を使う必要は無いので、出資者との関係性を維持する必要があるのも法人化特有のデメリットといえます。
会社を簡単に閉じることができない
個人事業主の場合は、簡単に事業を止められますが、法人化すると会社を簡単に閉じることはできません。
解散の決議をしてから2ヶ月以上の時間をかけて会社清算の手続きをする必要がありますし、それ以降に清算結了をする必要があります。
このように会社を簡単に閉じることができないのも法人化して後悔する理由の1つです。
法人化のメリット

法人化には維持コストがかかるなど様々なデメリットがありますが、もちろんメリットも豊富です。たとえば次の4つが挙げられます。
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経費の範囲が個人事業主の場合に比べて広がる
個人事業主の場合は「業務に直接関連するもの」しか経費で落とすことができません。しかし、法人化すると「経費は原則事業活動のために使われたもの」として見てくれるため、経費の範囲が広がります。
例えば以下のような費用について経費計上が可能です。
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給料を経費にできる
法人化して家族を役員や従業員として雇うケースもあるかと思います。
法人化すると自分の給料はもちろんですが、家族に支払う給料も経費に計上することが可能です。
家族に支払う給料が多い場合には、大きな恩恵を得られるでしょう。
消費税を2年間納める必要がない
法人が支払う消費税の基準は2年前の決算内容をもとにするため、開業した法人は消費税を2年間納める必要がありません。
個人事業主も事業を始めてから2年間消費税を納める必要がありませんので、最大4年間消費税を収めずに事業活動が可能です。
赤字を10年間繰り越せる
法人化すると赤字を10年間繰り越せます。事業が順調に推移した時、利益を赤字と相殺できるのは節税につながり、大きなメリットになるでしょう。
個人事業主が法人化するメリットについて詳しく知りたい方は、次の記事を参照してください。
法人化を考えるべきタイミングは年収800万円を超えたとき

法人化を考えるべきタイミングはズバリ、年収が800万円を超えたときになります。
なぜなら、年収800万円を超えると所得税より法人税の方が税率が安くなるからです。
年収800万円が所得税と法人税のボーダーラインですが、毎月50万円以上の利益を継続して出せるようになった段階で法人化を検討しましょう。
なぜなら法人の場合、経費計上が個人事業主に比べて幅が広くなりますし、50万円以上の利益を継続して出しているのであれば、近いうちに年収800万円に到達する可能性が高いからです。
法人化するべきタイミングについて詳しく知りたい方は、次の記事を参照してください。
法人化の流れ・手順

法人化の流れや手順は以下の通りです。
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個人事業主から法人化する場合、合同会社か株式会社を選択することになります。
合同会社は株式会社に比べ費用が安く済みますので、選択肢に入れておきましょう。ただ一般的に、社会的信用は株式会社の方が高いといえます。
また個人事業主として活動していた場合、財産や負債についても会社に移管する必要がありますので、注意しましょう。
借入金や公共料金の支払いなどの名義変更を行うことも必要です。
法人化の方法について詳しく知りたい方は、次の記事を参照してください。
法人化すべきか悩んだら税理士に相談してみよう

会社設立は簡単にできますが、様々なメリットやデメリットがあるため、法人化すべきか悩んだら税理士に相談しましょう。
法人化を税理士に相談するメリットは次の3つです。
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費用は税理士によりますが、一般的に5万円程度で相談できます。
法人化を検討している際は、ぜひ気軽に税理士に相談してみましょう。
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