調理の際に出る煙や油分を、屋外へと排出してくれるレンジフード。レンジフードには主に3種類のタイプがあり、それぞれ異なる特徴を持っています。ここではレンジフードのタイプや換気扇との違いなど、気になる情報をひとつずつ解説していきます。
レンジフードとは
住宅のキッチンや料理店の厨房で、コンロの上に設置されている大きな箱型の器具が「レンジフード」です。レンジフードはどのような役割を果たしているのか、構造はどのようになっているのか、基本的な情報をまず確認してみましょう。
レンジフードとはファンとその覆いからなるもの
レンジフードは「ファン」と呼ばれる換気扇と、換気扇全体を覆う「フード」という囲いで構成されている設備です。キッチンのコンロで調理を行うと、煙や油分、臭いが上方に舞い上がります。コンロの上に設置することで煙などが周囲に広がるのを防止するのが、レンジフードの役目です。フード下部の吸い込み口から煙を逃がさず吸い込んで、外へと排出させる仕組みとなっています。
国内のレンジフードのサイズは規格で横幅が決められており、長さは60cm、75cm、90cmの3種類です。新規にレンジフードを設置する場合は、使用しているコンロよりも大きいサイズのものを選びましょう。
レンジフードは消防法によってコンロやクッキングヒーターといった加熱器具よりも、幅・奥行があるものを設置するよう決められています。一般的にサイズが大きいフードほど価格も上がりますが、加熱器具よりも小さいものは設置できません。
レンジフードの構造
レンジフードはファンを覆うように、フードが被せられている構造となっています。フードの下部には吸い込み口の穴が開いており、この吸い込み口から煙や油分などを吸い込んで、屋外へと排出する仕組みです。
吸い込み口には、ホコリや汚れを吸着するフィルターが被さっている機種もあります。気流の流れを整えて吸引力を上げる「整流板」というプレート状のパーツが、吸い込み口の下に設置されているタイプも。他には明かりを灯すランプや電源スイッチが、一般的なレンジフードに備えられている機能です。
レンジフードのフードの種類
①ブーツ型
ブーツ型のフードは、一般家庭で多く使われているタイプです。広い吸い込み口を備えており、煙を集めやすいという特徴があります。ブーツ型はフードのみで取り付けることもできるため、元から設置されていたプロペラ型換気扇の上に、後からブーツ型フードを取りつけることも可能です。
ブーツ型フードには、ブラインドのような細い板状のフィルターが取り付けられています。排気効率を保つためには、定期的なフィルターの掃除が必要です。
②スリム型
スリム型はその名の通り薄型のフードで、スッキリとした見た目が人気のタイプです。ブーツ型と比べて圧迫感も少ないため、広さがあまりないキッチンでも窮屈さを感じずにすみます。
スリム型はつなぎ目や溝を少なくする工夫が施されており、掃除がしやすい点もメリットです。他にもフィルターが付いていない「ノンフィルタータイプ」や、油汚れが落としやすくなるコーティング加工など、手入れのしやすさをアピールポイントとしている機種も多くリリースされています。
③フラット型
フラット型は縦の長さが短く、平べったい見た目をしています。厚みが抑えられているため、天井が低い場所にも取り付けやすい点が強みです。代わりに天井近くに設置することになるため、掃除の際には慣れが必要です。本体の大きさは小さいため、掃除のコツを掴んでしまえば時間はあまりかかりません。
レンジフードのファンの種類
①プロペラファン
プロペラファンは、扇風機のような羽がついているタイプのファンです。羽が回転することで煙などを吸い込んで、外へ排出させていきます。プロペラファンにはダクトは必要なく、そのまま排気できる点が特徴です。
プロペラファンは、とてもシンプルな構造をしています。そのため価格が低く抑えられており、音もそれほど大きくない点がメリットです。羽も1枚1枚が大きいため、拭き掃除も比較的行いやすいといえます。
排気力は通常時には十分高いのですが、ダクトを通さず直接排気するため、屋外の風の影響を受けやすいという弱点も。風が強い日や台風時には排気力が弱まる、外からの風や音が室内に入り込む、といった点には注意が必要です。
②シロッコファン
筒型の枠に細く薄い羽がたくさん縦に並んでいるのがシロッコファンです。シロッコファンはフードと一体となっており、屋外へは排気ダクトで繋げられています。排気ダクトを伸ばすことで、外から離れた場所にファンを設置することも可能です。屋外の風の影響を受けたくない場合は、プロペラファンよりシロッコファンの方が適しています。
排気力はプロペラファンよりもやや落ちますが、マンションの高層階のような強風に晒されやすい場所や、屋外に隣接していない場所にもダクトを伸ばして設置できる点がメリットです。ファン全体がフードで覆われているため、動作音もプロペラファンより気になりません。
③ターボファン
ターボファンは、シロッコファンと似たような構造をしています。違いはシロッコファンよりも羽が大きいという点です。羽の枚数はシロッコファンよりも少ないため回転がより速くなり、排気効率は3つのファンの中でターボファンが一番高くなります。
この排気効率の高さによって、一般家庭だけでなく業務用としても人気です。羽が大きく枚数が少ないことによりシロッコファンよりも静かで、掃除のしやすさも備えています。
レンジフードと換気扇の6つの違い
レンジフードと昔ながらの換気扇の違いは、主に以下の6つがあります。簡単にポイントを記すので、選ぶときの参考にしてみてください。
違い① 設置する場所の融通
換気扇 | 屋外に隣接している壁面に、直接設置する |
レンジフード | ダクトを伸ばすことで、屋外に隣接していない部屋にも設置可能 |
違い② 工事にかかる費用と時間
換気扇 | 壁に直接設置するため、工事費用や作業時間はどちらも比較的抑えられます |
レンジフード | ダクトが必要になる分、工事の際には費用と時間がかかります |
違い③ 使用時の動作音
換気扇 | 使用時にはある程度の動作音が発生する
屋外と直接つながっているため、外の音が入ってくる |
レンジフード | 動作音は比較的静か
ダクトがある分だけ壁と離れており、外の音は入ってこない |
違い④ 掃除の難易度
換気扇 | プロペラが大きく枚数が少ないため、掃除しやすい |
レンジフード | 構造が複雑になっており、知識がないと掃除は難しい
プロペラの枚数は換気扇に比べて多いため、隙間に溜まった汚れの掃除が大変 |
違い⑤ 換気力の強さと安定性
換気扇 | 屋外に直接排気するため、基本的な換気力は高い
強風の日は内部に風が逆流してくるため、換気力が低下してしまう |
レンジフード | 換気力は、換気扇よりも少し落ちる
屋外の風の強さに影響されない安定力がある |
違い⑥ かかる電気代
換気扇 | 昔からあるタイプの換気扇は、電気代は比較的高め |
レンジフード | 換気扇よりも電気代は抑えられている
「弱モード」や「省エネモード」といった機能を備えたタイプもある |
レンジフードと換気扇の選び方
換気扇やレンジフードはパナソニックなど多くのメーカーから様々なタイプがリリースされており、設置や交換の際に迷ってしまうこともあるでしょう。設置には費用も時間もかかりますし、いったん設置したら長い間使用することになります。レンジフードと換気扇の選び方のポイントを、しっかり押さえておきましょう。
メリットデメリットを考えて自分に合うものを選ぼう
換気扇とレンジフードのどちらにするかの目安は「工事費用や期間を抑えたい」、「日々の掃除は簡単にすませたい」、「外の音が聞こえても構わない」といった場合は換気扇を。「見た目が良い」、「電気代を抑えたい」、「動作音は小さい方がよい」、「掃除が大変でも構わない」という場合はレンジフードを選ぶとよいでしょう。
換気扇にもレンジフードにも、それぞれメリットとデメリットの両方があります。日々の使い方や好み、設置場所の状況を考慮して、自分のライフスタイルに合ったものを選んでみてください。
ミツモアで換気扇クリーニングの依頼をしよう!
換気扇のクリーニングを検討されている場合は、ミツモアで頼んでみましょう!質問に答えるだけで簡単に依頼が可能ですよ。