内容証明郵便とは、いつ、誰が、誰に、どのような内容の文書を送ったかを郵便局が公的に証明する郵便サービスです。契約解除や請求、権利の主張など重要な通知を、確実に相手に伝えた証拠を残したいときに利用します。


内容証明は自分で作るほかに、行政書士に作成してもらうことも可能です。行政書士に内容証明の作成を依頼した場合の費用相場は12,000円~19,500円(※)です。
内容証明の作成の仕方や行政書士に依頼した場合のケース別の費用相場についてチェックしましょう。
※ミツモアにおける「内容証明・債権債務問題に強い行政書士」サービスの成約価格より算出。(2024年1月1日~12月31日)
内容証明とは
内容証明郵便とは、一般書留郵便の文書内容と発送日を証明する郵便サービスです。
送付した内容や日時を証拠として残せるため、後々の「言った・言わない」のトラブルを防ぐ有効な手段です。
内容証明を活用すべきケース
内容証明は、契約解除や請求、権利の主張など、重要な通知を相手に確実に伝えた証拠を残したいときに利用されます。
- 契約の解除通知
- 金銭の請求・債権回収
- 損害賠償や慰謝料の請求
具体的には以下のケースで用いられることが多いです。
- クーリングオフの通知
- 遺産分割の請求
- 養育費の請求
- いじめの通知
- パワハラ・セクハラの告発
特に金銭トラブルや契約関係の問題では、内容証明郵便を送ることで相手に対して本気度を示すことができます。内容証明は、裁判になった際にいつ、どのような内容の通知を行ったかを証明する重要な証拠となります。
電話や口頭での連絡では言った言わないの水掛け論になりがちですが、内容証明郵便なら確実な証拠が残るため、トラブルを防げる点が特徴です。
内容証明の効力
内容証明には3つの効力があります。
- 証拠としての効力
- 心理的プレッシャー
- 法的効果の発生
郵便局が文書の内容と発送日時を証明するため、裁判などで証拠として提出できます。相手方が「受け取っていない」「内容が違う」と主張しても、郵便局の証明により反論できます。
内容証明郵便は特殊な形式で届くため、受け取った相手に心理的な圧力を与えます。通常の手紙とは異なる公的な雰囲気があるため、受取人も「きちんと対応しなければならない」と感じることが多いです。
ほかにも、時効の中断やクーリングオフなど、特定の法的効果を発生させるための要件として内容証明郵便が必要な場合があります。ただし、内容証明郵便自体に強制力はなく、相手を強制的に従わせることはできない点に注意しましょう。
内容証明の作成を行政書士に依頼する費用相場
内容証明の作成を行政書士に依頼する場合は、相談内容ごとに費用が若干変動します。また、すぐに対応してもらいたい場合には「特急料金」として追加料金が発生するケースが多いです。
| 相談内容 | 費用相場 |
|---|---|
| 金銭の請求(費用請求・督促・減額請求) | 9,000円~13,500円 |
| 損害賠償・慰謝料請求 | 9,000円~15,000円 |
| 契約書・借用書・誓約書の作成 | 11,000円~15,000円 |
| 借金の時効援用通知書の作成 | 8,000円~12,000円 |
| パワハラ・賃金未払い・不当解雇 | 9,000円~12,000円 |
| クーリングオフ・詐欺(売買契約のトラブル) | 9,500円~12,000円 |
| 退職・脱会・契約終了通知 | 11,000円~14,000円 |
※ミツモアにおける「内容証明・債権債務問題に強い行政書士」サービスの成約価格より算出。(2024年1月1日~12月31日)
内容証明作成を行政書士に依頼する場合の相場は10,000円前後であることが分かります。費用に差がある理由には、事実確認の難易度や事案そのものの複雑さなどが挙げられます。
特に費用の幅が大きい「借金の時効援用通知書」の作成は、時効の援用を適用できるかなどの調査に時間と手間がかかります。そのため、内容証明の料金も高額になる傾向にあります。
内容証明作成のオプション料金の費用相場
内容証明を作成するには一般的に数日~1週間ほどがかかります。しかしながら行政書士が請け負っている仕事量によっては、それ以上の時間がかかることもあります。
緊急で内容証明を出したいなどの理由で優先対応を望む場合は、内容証明の作成料金のほかに、優先対応料金が発生することが多いです。
| 対応期日 | 費用相場 |
|---|---|
| 3日以内 | 3,000円~4,000円 |
| 4~6日以内 | 1,800円~2,900円 |
| 1~2週間以内 | 500円~1,000円 |
※ミツモアにおける「内容証明・債権債務問題に強い行政書士」サービスの成約価格より算出。(2024年1月1日~12月31日)
内容証明の送付にかかる手数料
内容証明郵便を送るには手数料がかかります。
郵便局の窓口で差し出す場合と、e内容証明(電子証明)を利用する場合で料金が変動する点に注意してください。
郵便局の窓口で内容証明を出す手数料
| 料金の内容 | 料金 |
|---|---|
| 定形郵便の料金 | 110円 |
| 一般書留の加算料金 | 480円 |
| 内容証明(謄本1本) | 480円 |
| 内容証明(2枚目以降) | 290円 |
| 配達証明 | 350円 |
※ミツモア調べ(2025年7月時点)
内容証明郵便を出す場合に必ずかかるのは、定形郵便の料金、一般書留の加算料金、内容証明謄本1本分の料金です。これらをすべて合計すると1,070円かかります。
ただし実際には、相手が内容証明を受け取ったことを示す「配達証明」のオプションを付けることが多いので、内容証明を出す手数料は1,420円になります。
定形郵便の料金(110円)+一般書留の加算料金(480円)+内容証明謄本1本分(480円)=1,070円
配達証明オプションを利用する場合の手数料
定形郵便の料金(110円)+一般書留の加算料金(480円)+内容証明謄本1本分(480円)+配達証明(350円)=1,420円
内容証明を2枚送る場合の手数料
定形郵便の料金(110円)+一般書留の加算料金(480円)+内容証明謄本1本分(480円)+内容証明謄本の2枚目(290円)+配達証明=1,770円
e内容証明(電子証明)で内容証明を出す手数料
| 料金の詳細 | 料金 | |
|---|---|---|
| 郵便料金 | 110円 | |
| 電子郵便料金 | 電子内容証明文書の1枚目 | 19円 |
| 電子内容証明文書の2枚目以降1枚ごと(5枚まで) | 6円 | |
| 内容証明料金 | 電子内容証明文書1枚目の内容証明料金 | 382円 |
| 電子内容証明文書の2枚目以降1枚ごとの内容証明料金(5枚まで) | 360円 | |
| 同文内容証明(2通目以降1枚目) | 210円 | |
| 同文内容証明(2通目以降2枚目以降1枚ごと、100枚まで) | 210円 | |
| 謄本送付料金 | 謄本送付料金 | 304円 |
| 謄本の一括送付料金(受け取り人数100人まで) | 503円 | |
| 一般書留料金 | 480円 | |
| 配達証明 | 350円 | |
※ミツモア調べ(2025年7月時点)
e内容証明はインターネット上で内容証明提出の手続きが完結するサービスです。
e内容証明サービスの特徴
- 24時間365日受付
- 文字量・通数が多い場合は窓口よりも安価
e内容証明の文字数制限は1通あたり1,584文字が目安です。窓口手続きで同じ文字数の内容証明を提出しようとした場合は3通になるため、文字量が多い内容証明書を出す場合はe内容証明の方がお得です。
郵便料金(110円)+電子内容証明文書(19円)+電子内容証明文書1枚目の内容証明料金(382円)+謄本送付料金(304円)+一般書留料金(480円)=1,295円
内容証明を行政書士に依頼する費用を安く抑えるコツ
内容証明を行政書士に作成してもらう費用を安くするには3つのコツがあります。
① 相見積もりで報酬が安い行政書士事務所を見つける
内容証明の作成費用には定価がありません。行政書士事務所ごとに異なる料金を設定しています。
複数の事務所から相見積もりを取ることで、料金の安い行政書士事務所を見つけることが可能です。
一括見積もりサイトを活用することで、料金が安く、サービスが充実している事務所を見つけられます。
なお、低料金で内容証明作成を受けている行政士事務所の中には内容証明の作成のみをし、差し出しは別料金という料金体系を採用していることもあります。
内容証明の作成料金だけではなく、自分の求めるサービスがすべて含まれているかをチェックしたうえで依頼先を決めましょう。
② 依頼内容を明確にする
行政書士に何をどこまで依頼するかを明確にすることで、相談がスムーズに進みます。必要な情報をあらかじめ整理しておきましょう。
事前に準備するべき情報
- 相手方の住所・氏名
- トラブルの経緯を時系列でまとめた資料
- 関連する契約書や証拠書類
- 主張したい内容の要点
これらの情報を整理して伝えることで、行政書士は効率的に作業を進められます。
依頼内容があいまいになってしまうと、行政書士が情報収集や確認作業に時間を要し、その分費用が高くなります。
いじめやパワハラの告発、未払い賃金の請求など、特に複雑な案件では事実関係を整理したメモを作成しておくと、相談時間の短縮にもつながります。必要な書類はコピーを取って、すぐに提供できるよう準備しておきましょう。
③ 必要最低限のサービスのみ依頼する
行政書士には、内容証明の作成以外にも様々なオプションサービスを依頼できます。必要なサービスのみを選択することで費用を抑えられます。
費用を抑えるためのコツ
- 文書作成のみを依頼し郵送は自分で行う
- 通常納期で依頼する
- カスタマイズを最小限にする
自分で内容証明の差し出しを行えば、2,000円~3,000円ほどかかる代行手数料を節約できます。
また土日対応や即日対応は割増料金が発生することが多いです。余裕を持ったスケジュールで依頼することで、費用を節約できます。
内容証明の作成方法
証拠として有効な内容証明を作成するにはいくつかの注意点があります。
内容証明文書の作成方法と各手順の注意点について確認しましょう。
① 形式について確認する
内容証明郵便の形式には厳格なルールがあり、これを守らないと郵便局で受理されません。
形式のルール
- 文書1通のみを内容としている
- ひらがな、カタカナ、漢字、数字、一般的な記号のみを使用している
- 英字の使用は固有名詞のみ
- 訂正は二重線で消し、訂正印を押す
- 一般書留とした郵便物であること(はがき不可)
- 用紙はA4サイズまたはB5サイズ
市販の内容証明用紙を使用すると、形式を守りやすくなります。句読点や括弧も1文字として数えるため、文字数計算は慎重に行いましょう。
② 文書を作成する
内容証明の文書を作成するときには、事実関係を明確に記載し、相手方に伝えたい内容を論理的にまとめることが重要です。感情的な表現はせず、客観的な事実と法的根拠に基づいて記載しましょう。
文書に記載する要素
- 差出人の住所・氏名
- 受取人の住所・氏名
- 作成日付
- 内容証明の目的を示すタイトル(表題)
- 事実関係の説明
- 要求内容と期限
- 期限までに応じない場合の対応
特に重要なのは、要求内容を具体的に記載することです。「速やかに」という曖昧な表現ではなく、「本書到達後14日以内に」など明確な期限を設定します。
また相手方の行為によって受けた損害や、法的根拠となる条文なども記載すると効果的です。ただし脅迫と受け取られるような過激な表現は避け、冷静で理性的な文面を心がけましょう。
③ 必要部数用意する
内容証明郵便は3部用意する必要があります。相手方に送付されるもの、郵便局で保管されるもの、差出人が手元で保管する控えの計3部です。
部数を用意する際は以下の点に注意しましょう。
- すべて同一内容であること
- カーボン紙での複写も可能
- コピーは鮮明なものを使用
- ホチキス止めは郵便局で行うため、事前に止めない
3部すべてに契印が必要となるため、印鑑も忘れずに持参しましょう。文書が複数枚にわたる場合は、各ページの継ぎ目に契印を押します。
電子内容証明サービスを利用する場合は、データ送信のみで済むため、紙で用意する必要はありません。
④ 郵便局で手続きをする
内容証明郵便は集配郵便局または地域の主要郵便局でのみ取り扱っています。小規模な郵便局では対応していないため、事前に確認をしましょう。
郵便局での手続きでは以下のものが必要です。
- 内容証明文書3部
- 封筒(受取人の住所氏名を記載)
- 印鑑(訂正が必要な場合に使用)
- 郵便料金(現金)
窓口では職員が形式をチェックし、問題がなければ受理されます。形式に不備がある場合はその場で指摘されるため、印鑑を持参して訂正に対応できるようにしておきましょう。
配達証明も同時に申し込むことで、相手方が受け取った日付も証明できます。手続きには30分程度かかることもあるため、時間に余裕を持って訪問することをおすすめします。
⑤ 内容証明書と配達証明書を受け取る
手続きを完了すると、書留郵便物受領証が交付されます。内容証明郵便を発送した証明となる重要な書類なので、紛失しないように保管しましょう。
内容証明郵便を出したあとに保管する書類
- 書留郵便物受領証
- 差出人控えの内容証明文書
- 配達証明書
書留郵便物受領証、内容証明文書、配達証明書は裁判などに発展した場合、証拠として使用する可能性があります。
電子内容証明の場合は電子データとして保管されるため、紙で管理する必要はありません。
内容証明を行政書士に依頼するメリット
内容証明文書の作成を行政書士に依頼することには5つのメリットがあります。
① 法的に有効で正確な文書を作成できる
行政書士に依頼した場合、主張したい内容を法的に有効に、相手に誤解を与えない正確な文章で表現してくれます。
自分で作成した場合は、意図せず自分に不利な内容を記載したり、法的な要件を満たさない不正確な記述をしたりするリスクがあります。
行政書士が作成することで、こちらの主張が正当であることを論理的に、説得力のある形で相手に伝えることができます。
② 証拠能力が高く信頼性が向上する
内容証明は法的な証拠となりますが、行政書士の名前と職印が入ることで、証拠としての価値と信頼性が向上します。
将来、裁判になった場合でも、専門家が作成した文書であることは、裁判官の心証に良い影響を与える可能性があります。
相手方にとっても「専門家が関わっている」という事実は、要求を無視できないという強いメッセージになります。
③ 効率的に手続きができる
内容証明文書の作成には、書式や文字数制限などの厳しいルールがあります。ひとつずつ確認しながら作成することは非常に手間がかかります。事実関係を整理し、法的な主張を組み立てる作業も簡単ではありません。
行政書士に依頼すれば煩雑な作業を代行してもらえます。また書類の不備により文書を作成しなおすなどの手戻りが発生するリスクも小さいです。
④ トラブルを防ぎリスクを軽減できる
自分で内容証明を作成することで、かえってトラブルが深刻化することがあります。たとえば著しく感情的な文章になってしまったり、不必要に相手を挑発したりする内容になるなどのリスクが挙げられます。
行政書士はそれらのリスクを回避しながら、目的を達成できる文書を作成します。
⑤ 行政書士事務所の住所から送付できる
匿名性の高い案件やストーカー被害などプライバシー保護が重要な案件の場合は、行政書士事務所の住所から内容証明を出すことが可能です。
行政書士事務所の住所から送付することで、個人情報を守りながら必要な通知を行えます。
行政書士事務所からの文書という形式は、相手方により強い印象を与え、真剣に対応する必要性を認識させます。相手方からの返信や連絡も行政書士事務所で受けることができ、精神的な負担も軽減されます。
内容証明郵便を送るときの注意点
内容証明郵便を送るときには4つの注意点があります。
① 内容や表現に注意する
文書に記載する内容は、客観的な事実とそれに基づく法的に要求に限定してください。特に以下の内容が含まれないように注意が必要です。
- 相手に対する誹謗中傷
- 感情的な罵倒
- 脅迫と受け取られかねない表現
内容証明文書を作るときは、冷静かつ簡潔に用件のみを伝えましょう。
② 必要な情報を正確に記載する
内容証明郵便には、差出人と受取人双方の住所と氏名を正確に記載する必要があります。住所が誤っている場合は相手に届かず、意思表示ができたことになりません。
請求書として送る場合は、請求金額や支払い期限、振り込み先口座情報などを明記しなければ相手も対応できないので注意が必要です。
文書の内容に誤りがないか、数字や日付、氏名などを何度も確認し、完璧な状態で送付することが求められます。
③ 法的な強制力はないことを理解する
内容証明を送っても、相手がその要求に応じる法的な義務は発生しません。
内容証明はあくまで裁判の前段階として、任意での解決を促すための手段です。心理的なプレッシャーを与えるためのツールであるという限界を理解しておきましょう。
④ 送るタイミングや相手との関係に配慮する
内容証明を送るタイミングによっては、相手との関係が悪くなるリスクがあります。
話し合いで解決できる段階や、今後も良好な関係を続けたい相手に対してはいきなり内容証明を送るのではなく、まずは交渉を行いましょう。
内容証明はこのままでは法的な争いになってしまう可能性が高い場合にのみ、法廷闘争を回避する最終手段として用いることをおすすめします。
内容証明に詳しい行政書士選びは相見積もりで見つかる

内容証明の作成・送付には特別な資格は不要で、所定の手続きを踏めば誰でも内容証明を作成し、差し出すことができます。
しかし内容証明の文書内容に不備があると、内容証明を出したことで不利になることもあります。リスクの少ない内容証明を作成するには行政書士の手を借りることをおすすめします。
ミツモアでは簡単な質問に答えると、最大で5つの行政書士事務所からの見積もりが届きます。料金や口コミなどを精査して、信頼できる行政書士事務所に内容証明の作成を依頼しましょう。
