内容証明は差し出す文書の内容が、郵便局によって証明されるサービスです。内容証明が持つ効力や活用すべきケース、作成・差出方法を解説します。また文書作成のプロである、行政書士に依頼した場合の費用についても紹介します。
内容証明とは?
手紙の内容が証明される内容証明とは、具体的にどのような効力があるサービスなのでしょうか?内容証明の基本知識を、効力や活用すべきケースとともに解説します。
一般書留の内容を証明する郵便局のサービス
内容証明とは郵便局が、一般書留郵便物の内容を証明してくれるサービスです。受取人に対して、いつ・どのような内容の文書を差し出したかを証明してくれます。
作成した謄本は、差出郵便局で5年間保管されます。保管されている間は謄本の閲覧や、再証明が可能です。
郵便局が証明するのは、文書の内容と存在のみです。記載された内容が真実かどうかまでは、証明されません。またすべての郵便局が内容証明に対応しているわけではないので、差し出す前に確認が必要です。
内容証明の効力
内容証明は送付された一般書留郵便物の、差出人・受取人・差し出した日付・文書の内容を証明するものです。文書内容の真偽の保証や、記載内容に関する法的な強制力はありません。
内容証明は決められたルールで作成されます。そのため受取人に、「普通ではない郵便物が届いた。ただごとではないかもしれない」と、「心理的プレッシャーを与える効果」が期待できます。
またオプションとして「配達証明」を併用すると、内容証明がいつ受取人に届いたかを証明可能です。そのため受取人に「請求の手紙は受け取っていない」「そんな話は初めて聞いた」などと言われる恐れがなくなります。
さらに内容証明には「催告」の効力があります。売掛金には支払期限から5年(2020年3月以前は2年)の時効期間がありますが、内容証明によって6カ月間一時的に時効の中断が可能です。
内容証明を活用すべきケース
受取人に対して、通知をした・意思表示をした証明をしたい場合に、内容証明を活用するのがおすすめです。
- クーリングオフや賃貸借契約の更新など
- 売掛金や債務の支払催促
- 返済期限を定めなかった債務の支払請求
- DV接近禁止請求・ストーカー行為中止請求
- 慰謝料や損害賠償の請求
期間内に書面で通知した証明や、時効の援用など強い意思表示として、内容証明を活用できます。
またDV接近禁止請求・ストーカー行為中止請求や、慰謝料の請求などの場合は、刑事告訴や裁判の手続き上、内容証明が必要になるケースもあるので、覚えておきましょう。
内容証明の送付にかかる手数料
内容証明には通常の郵便料金84円に加え、一般書留料金の「435円(損害要償額が10万円までの場合)」と「内容証明料金」がかかります。
郵便局で差し出す内容証明は1枚440円で、2枚目以降は260円ずつ加算されます。例えば1,500文字で3枚の内容証明を作成した場合、郵便局での差し出しには合計1,479円かかるということです。
またe内容証明は郵便局での差出より、安く設定されています。印刷する費用として、電子郵便料金の電子内容証明文書は1枚15円、追加5枚まで5円ずつ加算されます。
電子内容証明文書は1枚目382円、2枚目以降は360円ずつ追加、謄本送付料金は304円です。e内容証明を利用した場合、1,500文字で3枚だと合計1,220円です。
配達証明・速達などのオプションを利用した場合は、上記の手数料にその分の料金も加算されます。
内容証明の作成を行政書士に依頼する費用
内容証明はルールを守れば、自分で作成・差出ができます。しかしルールが細かかったり、書類の作成に慣れていなかったりする場合、不安を感じるものです。そんなときは内容証明の作成を、行政書士に依頼するのがおすすめです。費用相場について見ていきましょう。
行政書士に依頼した場合の費用相場
2020年に「日本行政書士会連合会」が公表した「報酬額統計」によると、内容証明を行政書士に依頼した場合、費用相場は約2万1,141円、e内容証明は約2万3,120円です。
最小費用4,000円(e内容証明は3,000円)・最大費用11万円(e内容証明も同額)と、行政書士ごとに大きな開きがあります。
価格は内容証明の内容の難易度・工数でも変わります。納得のいく行政書士を探すためには、「ミツモア」から相見積もりと問い合わせをしましょう。
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行政書士に依頼するメリットは?
内容証明の作成を行政書士に依頼すると、費用がかかります。しかし自分で作成するよりも、行政書士に依頼する方が安心です。内容証明を行政書士に依頼すべき理由と、メリットを紹介します。
法的にしっかりした内容証明が作成可能
行政書士は公的な文書・申請書類など、文書作成・手続きの専門知識が豊富なプロです。身近な法律にも詳しいため、法的にしっかりした内容証明を作成してもらえます。
複雑で細かい内容証明の作成ルールも、行政書士に依頼すれば間違いのない書式で作成可能です。作成ルールだけでなく、文書の内容についての不安・不明点も、経験豊富な行政書士に相談できます。慣れない書類を自分で作成するよりも、心強いといえるでしょう。
また行政書士は、業務に必要な住民票・戸籍などの書類を請求できる「職務上請求」が可能です。内容証明を送りたい相手と音信不通である場合や、転居をされてどこに住んでいるのかわからないケースでも、行政書士に依頼すれば調査してもらえます。
行政書士の名前で送付できる
内容証明を差し出すときは、差出人の住所・氏名を必ず記載しなければなりません。状況によっては、受取人に自分の住所を知られたくないこともあるでしょう。
行政書士に依頼すれば差出人は行政書士になるため、自分の住所を記載せずに済みます。内容証明でDV接近禁止請求や、ストーカー行為中止請求を差し出す際に安心です。
また行政書士の氏名・職印が入った文書が内容証明として届くと、受取人に対してプレッシャーを与える効果も期待できます。専門家である行政書士が代理として作成した文書なら、個人が作成した文書よりも強い意思表示になるでしょう。
内容証明の差出方法
内容証明の作成・差出方法にはルールがあります。作成方法・差出場所を把握し、正確な内容証明を差し出しましょう。
内容証明を作成する
内容証明の書き方には独自のルールがあります。
- 縦書きの文字数:1行20字以内・1枚26行以内
- 横書きの文字数①:1行20字以内・1枚26行以内
- 横書きの文字数②:1行13字以内・1枚40行以内
- 横書きの文字数③:1行26字以内・1枚20行以内
- 本文はひらがな・カタカナ・漢字・数字・括弧・句読点・一般記号のみ(英字は固有名詞のみ)
- 用紙の種類・枚数は自由
- 内容文書以外は同封不可
文字数の数え方にも細かいルールがあるので、郵便局のサイトを確認しながら正確に数えましょう。
文書を訂正・削除する際は、該当箇所に二重線を引き、欄外に修正内容を書いて押印します。用紙の種類は自由ですが、郵便局で5年間保存するので、感熱紙は避けます。
受取人に送付する作成した文書(原本)のほか、郵便局保管用・自分用として謄本を2部作成するのが一般的です。
出典・参考:内容証明 ご利用の条件等|日本郵便 |
①郵便局へ行って差し出す場合
郵便局へ赴いて差し出す方法を解説します。内容証明サービスに対応していない郵便局もあるので、差し出そうとしている郵便局に事前に問い合わせましょう。
「内容証明を差し出す際に必要なもの」
- ルールに則り作成した、受取人へ送付する文書
- 送付する文書の謄本2部
- 受取人・差出人の住所・氏名を記載した封筒
念のため差出人の印鑑も持って行くと安心です。内容証明ははがき・簡易書留に対応していない点に注意しましょう。
併用できるオプションサービスは、速達・配達日指定・代金引換・引受時刻証明・配達証明・本人限定受取です。
②e内容証明として差し出す場合
内容証明はインターネットでも手続きできます。e内容証明を利用すれば郵便局へ行く必要がなく、24時間差し出し可能です。
e内容証明を利用するには、「Webゆうびん」に登録が必要です。登録は無料で、e内容証明にかかる料金はクレジットカードか料金後納で支払います。
方法はWordファイルで作成した内容証明文書を、インターネットにアップロードするだけです。郵便局側が完全自動で印刷・照合・封入封かんし、内容証明として送付してくれます。
差出日時は申込時の「差出ボタン」を押した日付が印字されます。一般書留で受取人に正本が、差出人には謄本が配達されるため、謄本を用意する手間もかかりません。
なおWordファイルは、必ずWebゆうびんのサイトにある「郵便局指定の雛形」を使用しましょう。
配達証明との併用がおすすめ
内容証明だけだと、受取人が文書を受け取ったことまでは証明されません。内容証明を差し出すときは、受け取ったことを証明できる「配達証明」サービスとの併用がおすすめです。
配達証明はオプションで、320円の利用料金がかかります。配達後に受取人の氏名・書留の引受番号・配達した郵便局・日付印が押されたはがきが、差出人に届く仕組みです。
配達証明がないと、受取人に「そんな手紙は受け取っていない」と言われるリスクがあります。内容証明を差し出すときは、配達証明を併用すると安心です。
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