「トイレが急につまってしまった!」というとき、まず思い浮かぶのは「スッポン」ではないでしょうか。
正式名称を「ラバーカップ」といい、便器にはめて押し引きすることで、トイレのつまりを直すことができます。
この記事では、スッポンでトイレのつまりを直すときの正しい使い方、使用時の注意点を解説していきます。
見出し
- 1 スッポン/ラバーカップの原理・種類など基礎知識
- 2 スッポン/ラバーカップの正しい使い方・手順
- 3 スッポン/ラバーカップの正しいお手入れ方法
- 4 スッポン/ラバーカップの収納方法・置き場所
- 5 つまりの原因によっては、スッポンを使うべきでない場合も!
- 6 こんなの見たことない!?変わり種スッポン
- 7 ワイヤーブラシでトイレのつまりを解消する方法
- 8 【ラバーカップの代用】ペットボトル
- 9 【ワイヤーブラシの代用】ワイヤーハンガー
- 10 【手作業でつまり解消】ビニール袋、割りばし
- 11 【NG】間違って使用しやすい道具
- 12 自分では直せないトイレつまりの症状は?
- 13 トイレつまりの主な原因
- 14 もうトイレをつまらせたくない。予防策は?
- 15 自分で解消できないトイレつまりは、業者に相談
- 16 【まとめ】トイレつまり解消には、専用の道具を使おう
- 17 ミツモアでトイレのつまり修理の無料見積もりを依頼しよう!
スッポン/ラバーカップの原理・種類など基礎知識
正式名称は「ラバーカップ」
「スッポン」や「パッコン」、「ボッコン」などと呼ばれることも多い“トイレのつまりを解消する道具”。正式名称は「ラバーカップ」といい、その名の通りラバー(ゴム)製の半円カップが付いている道具です。
ちなみに、ほかにも「吸引カップ」「通水カップ」といった呼び名がありますが、どれも同じモノを指すので好きな名前で覚えておきましょう。
ちなみにトイレだけでなく、キッチンや浴室のつまりにも効果があります。他の場所でのラバーカップの使い方・注意点は以下の記事をご覧ください。
スッポン/ラバーカップでつまりが直る原理
スッポン/ラバーカップを使うとき、どういう原理で動いているか知ることで、効果的にトイレのつまりを解消できます。
というのも、「スッポンで封水(※)を奥に押し込む」というふうに勘違いされやすいのですが、実はこれは間違っているのです。
スッポンでトイレのつまりが解消する原理は、「カップの中の空気を真空状態にして、引っ張ることで封水を持ち上げる」というもの。つまり一気に押し込むのではなく、ゆっくりと水の中に押し込んで、真空状態を作らなくてはいけません。
逆にスッポンを「押す」ことに力を入れてしまうと、つまりの原因をさらに奥へ送ってしまうので、余計に悪化したり排水管が傷んだりしてしまいます。また無駄に水があふれてしまうので、後から掃除するのが大変になってしまうのです。
※「封水(ふうすい)」とは
封水(ふうすい)とは、洋式トイレに溜まっている水のことです。排水管は下水道までつながっているため、何かでフタをしておかないと臭いや虫が上がってきてしまいます。 そこでトイレや浴槽などの排水管には「トラップ」というカーブがあり、そこに水が溜まることでフタの役割を果たしているのです。 |
スッポン/ラバーカップの種類
スッポン/ラバーカップを使うときには、使用するトイレの種類に合ったものを使う必要があります。
【洋式トイレ用】
洋式トイレ用のスッポンは、カップ状の先に円柱状の突起がついてるタイプです。大・小などサイズがあるので、自宅に適した大きさのスッポンを買いましょう。
100均では洋式トイレに対応しているスッポンがない場合があるので、注意が必要です。
【和式トイレ用】
「スッポン」と聞いて思い浮かべるのは、カップの先が平らになっているお椀型ではないでしょうか。
実はこのタイプは、基本的に和式トイレに使うものです。
【節水トイレ用】
近年は、節水機能がついているトイレも普及しています。これに対応したスッポンは、カップに「つば」がついている帽子型です。
普通の洋式トイレだと思って、突起がついている洋式用のスッポンを使うとフィットしません。節水トイレは排水口が小さく設計されているためです。
ラバーカップで直せる詰まりか確認
ラバーカップを使ってトイレの詰まりを解消する前に「ラバーカップで直せる詰まりなのか」を確認しておく必要があります。
ラバーカップで直せる詰まりは、大量のトイレットペーパーやティッシュ、排せつ物、掃除用の流せるタイプのシートなどです。
それ以外のプラスチック製品をはじめとした固形物やおむつなどが詰まっている場合は、ラバーカップでは解決しません。固形物が詰まっている状態でラバーカップを使うと、汚れの原因を奥に押し込んでしまい、業者でも取り除くのが難しくなってしまう可能性があります。
また築年数が長く排水管が劣化してしまっている場合にも、無理に詰まりを取り除こうとすることで、排水管が割れてしまい水漏れが発生する恐れがあります。
このように、ラバーカップでは解決しない詰まりもある点には注意が必要です。
スッポン/ラバーカップの正しい使い方・手順
まずは道具を準備
スッポンを使ってトイレのつまりを解消する際には、スッポン/ラバーカップ以外にも、以下の道具を用意しておきましょう。
- ゴム手袋
- マスク
- バケツ
- 雑巾
- ビニール袋など
- 火ばさみなど
汚水を扱うので、衛生面に配慮してゴム手袋やマスクを着用しておくと安心です。
ビニール袋は、周囲の床をガードするために敷いたり、スッポンと便器をおおって飛沫を防いだりするのに使います。床に敷くときには、給水用の雑巾もあわせるとよいでしょう。
またバケツは水位を調整するときに、水を溜めておくために使います。
「火ばさみ」など持ち手の長い器具も、念のために用意しておくとよいです。とくにトイレつまり原因が子供のおもちゃだったり、水に溶けない固形物だったりしたときに、拾い上げることができます。
手順1.汚水が床に飛び散るのを防止!
前の見出しでも紹介しましたが、ビニール袋や雑巾などを床に敷いておき、もしも水が飛び散ったときのためにガードしましょう。
スッポンを水面に押し当てたときに空気がポコッと上がってきたり、引き抜いたときに水が飛び散ったり、といったことが考えられます。
排泄時につまってしまった場合には、汚水が飛び散ることになるので、衛生的にもよくないですよね。
トイレの周りにビニール袋を敷いておけば、汚水が飛んだとしても、ビニール袋を捨てるだけで済むのでラクに後片付けできます。
手順2.便器の中の水位を調節する
最初の見出しで紹介したように、スッポン/ラバーカップは「真空状態で封水を引き上げる」ことで効果を発揮します。
真空状態をつくるためには、先端のゴムカップ部分をすべて水中に浸さなくてはいけません。
もし水位が足りないようであれば、バケツを使って水を補充しておきましょう。目安の水位は、便器の最上部から5~10cmくらいです。
逆に水位が高すぎる場合には、ラバーカップを入れることで汚水があふれ出してしまうので、余分な水をくみ出しておきましょう。灯油ポンプやひしゃくを使えばカンタンです。
手順3.スッポン/ラバーカップを養生する
水位がちょうどよくなったら、スッポン/ラバーカップを便器に当てはめましょう。
このとき大きめのビニール袋を使うと、簡易的に養生することができ、汚水が飛び散るのを防ぐことができます。
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上記の手順で、養生することができます。ぜひお試しください。
手順4.スッポンをゆっくり押して、勢いよく引っ張る
いよいよスッポン/ラバーカップを使って、トイレのつまりを解消します。以下の手順で進めましょう。
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まずはスッポンを水の中にいれて、排水口と水平になるように調整。このとき、なるべく隙間が出来ないように密着させることで、効果が高まります。
つぎに、ゆっくりとスッポンを押し込んでいきます。カップの中の空気を密閉して、真空状態を作るイメージです。垂直方向に力をかけるようにして、先端の突起を排水口の奥深くに入れましょう。
カップが凹みきって「もう押し込めない」というタイミングで、勢いよくスッポンを引っ張りましょう。つまりが無くなるまで、これを繰り返します。
トイレのつまりが解消される合図になるのは、水圧の感覚や「ごぼごぼ」と水が流れる音などです。
手順5.便器の中に水を流しこむ
水が流れて、一見するとトイレのつまりが直ったように見えますが、まだ油断できません。つまりの原因は、排水溝の奥にまだ残っている可能性もあります。
最初はレバー水栓を回すのではなく、バケツから少しずつ水を流しこんでみましょう。このとき、つまりの原因が残っていると水位が上昇してきます。
便器の封水が一定の水位になるようであれば、つぎは通常通りレバーで水を流してみましょう。数回にわたって水を流しても問題がおきなければ、トイレのつまりは解消されています。
使ったあとのスッポン/ラバーカップは、キレイに洗ってお手入れしましょう。
スッポン/ラバーカップの正しいお手入れ方法
水で念入りに洗って、天日干し
トイレのつまりを直したあとは、道具のお手入れをしておきましょう。スッポン/ラバーカップはゴム製なので、洗剤や漂白剤で洗ってしまうと傷んで、耐久力が弱くなってしまいます。
スッポンを洗うときには、水だけで洗うようにしましょう。バケツの中にキレイな水を入れて、こすり洗いをするのと場所を取りません。
また洗いおわったら、ベランダで天日干しするなどして、しっかり乾かしましょう。水分が残ったまま密閉されたケースに戻すと、雑菌が繁殖しやすくなり、臭いや虫がわく原因になってしまうのです。
天日干しなら殺菌もできるので、衛生的にスッポンを保管することができます。
スッポン/ラバーカップの収納方法・置き場所
専用の収納器具でおしゃれに
スッポンを収納場所はどうしていますか?
もしバケツなどの中に置いているなら、ビニール袋に入れて保管するとよいでしょう。見た目はあまりよくありませんが、使うときにビニール袋を取り替えるので、衛生面で安心です。
また専用の収納があればおさまりがよくなります。おしゃれな商品もあるので、いくつか紹介します。
山崎実業(Yamazaki) ラバーカップスタンド
カップ部分を置く場所に隙間があるので、湿気がたまらず安心です。また開けているほうの面を壁に向ければ、スッポン本体が隠れるので見栄えもよくなります。
山崎産業(Yamazaki Sangyo) コンドル ラバーカップ収納ケース
ゴムのカップ部分だけ隠せる商品です。片側の面が開いているので、手で触れずにスッポンを収納できます。ちなみに、スッポンの大きさに合わせてサイズを選ぶ点に気をつけましょう。
山崎産業 洋式ラバーカップ カバーケース付き
こちらは、ラバーカップを買うと一緒にケースも付いてくる商品です。手で触れずに収納できるので衛生的で、見た目もシンプルですっきりしています。
100均のスッポンを買って、使うたびに処分するのも手
毎回スッポンを使った後に、洗ってから保管するのが面倒だ、という方もいるでしょう。
普段そこまで使う機会があまりないなら、100均などに売っているスッポンを使い捨てにするのがおすすめです。軽度のつまりであれば、100均の製品でも十分役割は果たせます。
ただし「和式トイレ用しか売っていない」などのケースも。いくら安いからといって、自分の家のトイレに適していないスッポンは買わないようにしましょう。
つまりの原因によっては、スッポンを使うべきでない場合も!
スッポン/ラバーカップは、トイレのつまり全般に使えると思われがちですが、実はそうではありません。
基本的には、「もともとトイレに流せるもの」がつまってしまった際に使うものです。大量のトイレットペーパーを流しきれずにつまってしまったときや、排泄物、流せるタイプのトイレ掃除シート、ティッシュであればスッポンで対処できます。
しかしたとえば紙オムツや生理用品、電子部品など、水には溶けないものがつまったときには、スッポンで取り除こうとすると逆に便器を傷つけてしまう可能性があります。
そのような時には無理に自力で解決しようとするとトイレの故障につながります。水道トラブルを専門に扱っている業者に連絡するのがベストです。およそ8,000~20,000円くらいで修理してもらうことができます。
もう少し自力でなんとかしたい、という方は以下の記事を参考にしてみてください。
こんなの見たことない!?変わり種スッポン
真空パイプクリーナー
※画像をクリックすると、Amazon商品ページへ移動します。
水道蛇口などの大手メーカーSANEI(サネイ)から出ている、真空式パイプクリーナー。
真空の圧力を使ってつまりを解消するという原理はスッポンと同じですが、ポンプを使うぶん強い吸引力で対処できます。
Sendida(センディダ) ラバーカップ
※画像をクリックすると、Amazon商品ページへ移動します。
Sendida(センディダ)は、ステンレスボトルやリュックサック、玩具など、幅広い商品を販売している中国のブランドです。
ワイヤーブラシのように排水溝の奥まで届き、先端のシリコンカップが真空状態を作るので、つまりの原因を解消できます。
Luigi’s(ルイギス) トイレ 排水溝ポンプ クリーナー
※画像をクリックすると、Amazon商品ページへ移動します。
こちらも、一風変わったアイテムです。
便器の中にある水をくみ取って、それをハンドルの力で押し出すことで、つまりの原因ごと流してしまうという仕組み。
排水口の奥まで届き、四角い便座、楕円形の便座など変わった形のトイレにも対応できます。
その他、スッポンの代用品になるグッズは?
もしも家にスッポン/ラバーカップが無いとき、代用品として使えるものは以下のようなものがあります。
- ペットボトル
- 針金ハンガー
- 重曹とお酢
- お湯
- ラップ
など
ペットボトルを使えば、原理的にはスッポンと同じ効果が得られます。空にしたペットボトルをへこませておき、排水口から水を吸い上げるのです。
また針金ハンガーは、排水パイプの奥まで届くように変形させて、ワイヤーブラシのように使います。
他にも「重曹+お酢」を浸けておいたり、お湯でトイレットペーパーを溶かすという方法も。
ワイヤーブラシでトイレのつまりを解消する方法
ワイヤーブラシは、排水管の内部にのばして、清掃するための道具です。トイレに使うときには、排水口の奥につまった排せつ物や、トイレットペーパーのかたまりなどを細かく砕きながらつまりを解消します。
持ち手になる柄部分と、ワイヤー部分とに分かれています。ワイヤーの先端にらせん状の突起がついていて、持ち手部分を操作することでグリグリとつまりの原因を取り除きます。
また、つまりを細かくして水の通り道を作るだけではなく、つまった物を先端に引っ掛けてかき出すことも可能です。
あまり目にする機会はないですが、実はホームセンターなどで購入可能です。ヘッド部分の形状などさまざまな種類があるので、自宅のトイレに合っているものを選びましょう。
ワイヤーブラシの使い方
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ワイヤーブラシは購入した段階だと、持ち手とワイヤーとが分かれた状態になっているのが一般的。これを説明書どおりに組み立てましょう。
トイレの排水口からワイヤーを差し込み、奥へ進めていきます。つまりに当たった感触があったら、ワイヤーブラシの固定をゆるめて、持ち手を回すことでグリグリと排水管内を掃除しましょう。
ワイヤーを引き抜くときには、ワイヤーの根本に雑巾をあてて握りましょう。引き抜きながら、ワイヤーについた水をふき取っていくためです。
最後に、バケツなどで水を少しずつ流していき、つまらずに水位が一定になれば修理完了です。
ワイヤーブラシを保管しておくなら、食器用洗剤などでしっかり洗って、天日干ししましょう。とくにヘッド部分は、歯ブラシなどを使うと丁寧に掃除できます。
【ラバーカップの代用】ペットボトル
ペットボトルを加工すれば、ラバーカップの代用品になります。ただし便器・排水口を傷つける原因になりかねないので、できればラバーカップを購入するのがオススメです。
ペットボトルを使ってトイレのつまりを解消する方法
耐久性が高い、炭酸飲料やスポーツドリンク、お茶などのペットボトルを用意しましょう。500mlのものがオススメです。
ペットボトルの底から3cmほどの位置を、ハサミでカットします。フタは外した状態にしておきましょう。
ゴム手袋をした状態で、親指を飲み口に入れてふさぎ、カットした底側を排水口に密着させてください。これによってペットボトルの中に真空状態をつくり、排水口のなかの水を押し出すことができます。
一定のリズムでペットボトルを上下に動かし、これを複数回にわたって繰り返しましょう。
ラバーカップほどの効果は見込めませんが、応急処置として使うのには十分です。
【ワイヤーブラシの代用】ワイヤーハンガー
針金で出来ているワイヤーハンガーは、ワイヤーブラシの代用品になります。ただしペットボトルと同様、便器や排水口を傷つける可能性があるので、やさしく丁寧に扱うのがコツです。
ハンガーを使ってトイレのつまりを解消する方法
ハンガーは、固すぎない針金を使っているものを選びましょう。そうでないと、トイレの排水口の奥まで届きづらいからです。
まずはハンガーフックの根本を、片方だけ切断します。ペンチなどを使ってまっすぐに伸ばし、長いワイヤー状にしましょう。
フック部分が先端に来るので、これが「9の字」のように円形になるようにペンチで曲げます。
あとはワイヤーブラシと同じように、排水口にハンガーを入れて、つまりに当たったら回転させて、原因になっているものを細かく砕くイメージで作業しましょう。
【手作業でつまり解消】ビニール袋、割りばし
家に道具がないとき、最終的な手段として手作業でつまりを解消する方法を紹介します。
ただしここまでやるくらいなら、水道の専門業者に依頼してトイレのつまりを解消したほうが手早くラクちんです。
ビニール袋や割りばしを使って、つまりを解消する方法
ゴム手袋ははめた手に、ビニール袋を2枚重ねにつけます。肩くらいまで入るものがよいので、40リットルより大きいサイズがオススメです。
ビニール袋のなかに手を通したら、作業しやすいように手首の上から輪ゴムでとめましょう。
便器いっぱいまで溜まった水は、あらかじめバケツに移して、便器内の水を減らしておくとよいでしょう。このとき、灯油ポンプなどを使うとラクです。
あとは排水口に拳を入れ、押したり引いたりして水を流動させてつまりを解消させます。大きな固形物がつまっているのが見えるときには、割りばしを突っ込みましょう。
【NG】間違って使用しやすい道具
お湯でトイレのつまりを解消する方法
トイレットペーパーなどの「水に溶けるもの」がつまっている場合は、お湯で解消するという方法がひろく知られています。お湯によってつまりの原因が溶けやすくなるので、トイレが元通りに流れるようになるというものです。
たしかにトイレットペーパーなどが軟化する可能性はあるものの、この方法は「便器が割れる危険性」が高いのであまりオススメできません。
洗面台やキッチンシンクとは違い、便器は「お湯が流れる」という想定で作られたものではありません。そのため、温度差によるヒートショックが起こり、便器が割れる可能性があるのです。
「ヒートショック」が何か分からないという方は、グラスに入れた氷を想像してみてください。氷に水を注ぐと、パキッと割れますよね。これは温度差によるもので、便器でも同じことが起こります。
もしどうしてもこの方法を試してみたいなら、お湯を使うとしても100度近い熱湯ではなく、40~60度前後のぬるめのお湯を使うようにしましょう。
ただしお湯を使うくらいなら、水圧を使ったほうが確実に効果的です。
薬剤や食器用洗剤で、トイレのつまりを解消する方法
「水に溶けやすいもの」によってトイレがつまったとき、酸性の薬剤や食器用洗剤などを使えば解消できると思ってしまいがちですが、あまり効果は望めません。
薬剤や食器洗剤を使っても、即効性がありません。そのため「効果があると断言できない」というのが実情です。
よく知られている方法は、便器の中に洗剤を注いだあと、45~60度くらいの「ぬるめのお湯」を入れ、20~30分ほどつけ置きするというもの。
もちろんこの方法で水溶性のものは溶ける可能性があるのですが、ただ単純に「時間が経ったからふやけた」という可能性もあります。
またつまりの原因が水溶性でなかった場合には、全く効果が見込めないのもデメリット。
やはり基本的には、トイレつまり専用の道具を使って、水圧で解消するのが確実&効果的なのです。
ただし以下に紹介するように、おもに男性用の小便器などで「尿石」が原因になっているときには、薬剤で溶かすのも有効です。
【これならOK】酸性の薬剤を使って解消する方法
男性用の小便器などに多いですが、尿石などの汚れが原因でトイレがつまることがあります。この場合には、酸性の薬剤をつかうことで汚れを分解可能です。
「デオドライトSP」に代表されるような、「尿石除去剤」という種類の薬剤を使いましょう。
小便器の目皿を外し、適量を注ぎ込んでから約15分ほど放置して、1リットル以上の水を流し込めば完了です。劇薬なので、皮膚への飛散などには十分に注意して作業しましょう。
ちなみに「ピーピースルー」に代表される強アルカリ性の洗浄剤も、排水口に溜まったヘドロなどに対しては有効ですが、こと「トイレのつまり解消」という意味では効果がありません。
パイプユニッシュも同様に効果は期待できません。詳しくは以下の記事で解説しています。
自分では直せないトイレつまりの症状は?
「ラバーカップやワイヤーブラシを使ってみたけど、つまりが直らない」ということもあるでしょう。
そんなときは、トイレがつまっている原因が、便器内の排水管ではない可能性があります。
あくまで自分で直せるのは、「便器に水・トイレットペーパーが流れていかずに溜まる」というケースのみなので、注意しましょう。
また、もしかしたら「つまり」じゃないかも?と思った方は、ぜひ以下の記事も参考にしてみてください。トイレの水漏れ修理について、原因別に詳しく解説しています。
水勢が弱く、流れない
水流の勢いが弱くてトイレットペーパーが流れない場合は、トイレタンクの不調かもしれません。
タンク内の水量や、止水栓の開き具合など、調整する場所が変わります。
もし水勢が弱いままトイレを使い続けてしまうと、流しきれなかったトイレットペーパーや排せつ物が、排水管の途中でつまる原因になります。
便器の水位が下がっていく
「つまり」は「つまり」でも、水の溶けない固形の異物がつまってしまうと、便器の水位が下がることがあります。
たとえばオムツやスポンジが排水口の中にあると、水を吸ってしまい、封水(ふうすい/便器内の水)が少なくなるのです。
この場合にはラバーカップ(すっぽん)などを使っても解消できないので、専門業者に依頼した方がよいでしょう。
また封水の水位が下がるときには、つまりではなく「排水トラップ」の不調の可能性もあります。
汚水が逆流してくる
トイレを使っていないときに汚水が逆流してきたときは、「つまり」以外の原因が考えられます。
複数のトイレがある設備の場合、下水道に流れる前に、それぞれの排水管が合流しています。
合流して1本になっている部分の排水管がつまってしまうと、他の便器から流れた水が溜まっていき、別の便器から逆流してくるのです。
とくに高層ビルや学校などの、たくさん便器がある施設ではよく発生するトラブルです。
この場合には1つのトイレだけを修理するのでなく、「排水管」を修理する必要があるため、自分では対処できません。
トイレつまりの主な原因
トイレのつまりは、なぜ起こってしまうのでしょうか。トイレットペーパーや排せつ物、その他の異物など、主な原因を把握することがトイレつまりの解消や予防に役立ちます。
まずは異物によるつまりなのか、トイレのタンクなのか、問題のある箇所を確認してみましょう。
トイレットペーパーがつまっている
トイレットペーパーは水に溶ける材質で作られていますが、排せつ物の量やトイレの水量によってはつまることがあるため、注意が必要です。
トイレットペーパーだけでつまることは珍しく、大量の排せつ物と一緒に流したり、流す際の水量が少なすぎたりした場合に、つまりが起こります。
普段トイレットペーパーを多く使いがちな人は、使用する量や一度に流す量の調整、タンクの水量の調節などを行いましょう。
水に溶けない物や異物がつまっている
トイレに水溶性以外の物を流してしまった場合も、つまりを引き起こします。トイレのつまりを起こす異物として多く見られるのが、赤ちゃん用のおしりふきやウェットティッシュ、掃除用のウェットシートなどです。
これらの商品の中にはトイレに流せるタイプも販売されていますが、それでもトイレットペーパーよりも溶けにくい物がほとんどでしょう。水に溶けにくい物を流す場合、1回で大量に流すのは避けたほうが安心です。
また紙おむつやペット用のトイレ砂などもトイレには流せません。これらの商品は吸水して膨らむ材質の物が多く、排水管をつまらせるので注意しましょう。
タンクに問題が発生している
トイレのつまりの原因として、便器内のつまりだけではなくタンクの不具合という可能性もあります。トイレタンクのトラブルとして多いのが、異物の混入や器具の故障です。
トイレに流れる水量を節約する目的で、水の入ったペットボトルなどを入れる例がありますが、水量が少ないとつまりの原因になるので避けた方がよいでしょう。またタンクに水以外の物を入れると、故障の原因にもなります。
異物が入っていないのにタンクに不具合を感じた場合は、中の器具にトラブルが起きている可能性があるため、早めに対処しましょう。
もうトイレをつまらせたくない。予防策は?
頻繁にトイレがつまってしまうのは困りものです。トイレをつまらせないための予防策を紹介します。
重曹とお酢(クエン酸)を使って掃除する
トイレを長く使っていると、便や尿石などの汚れがたまって、固まってしまいます。これに効果的なのが、重曹とお酢(クエン酸)を使った掃除方法です。
重曹は弱アルカリ性、そしてお酢は酸性なので、この2つを合わせると化学反応によって炭酸ガスが発生します。そして炭酸ガスは、尿石や排泄物を分解することができるのです。
あらかじめ水量を減らし、排水口に重曹1/4カップをふりかけ、続いてお酢1/2カップを入れます。45~50℃のお湯を高い位置から注ぎ入れ、泡が立ったらそのまま1時間置きましょう。
最後にバケツを使って水を流し、お掃除完了です。
お湯の温度で便器が割れる可能性があるので、熱湯は使わないようにしましょう。
トイレットペーパー以外流さない
トイレットペーパーと排せつ物以外は流さないようにすることも重要です。
トイレットペーパーは水溶性の素材で作られているため、水に流すことで溶けるようにできていますが、水に溶けない材質の物や固形物などを流してしまうと、トイレがつまりやすくなります。
「トイレに流せる」と書いてあるウェットシートやおしりふきなどでも、一度に大量を流さないように気をつけましょう。
自分で解消できないトイレつまりは、業者に相談
自分でトイレのつまりを直せない場合や、つまりの原因が分からないときには、専門業者に相談することをオススメします。
業者を呼ぶとなると高額な費用がかかるイメージがありますが、簡単な作業内容であれば安く済む場合がほとんどです。
水道の専門業者に頼んだ場合の費用相場
気になる費用ですが、トイレの簡単なつまりは5,000円程度が相場です。
つまり方や作業の難易度によって価格は変動し、専門の道具を使う場合は7,000~8,000円、便器を取り外して修理を行う場合は1~3万円が相場です。
排水口や排水管、タンクなど、つまっている場所や交換が必要な部品によっても価格が変わりますが、8,000円~3万円ほどの金額だと思っておけば問題ないでしょう。
専門業者選びのポイント
トイレがつまってしまうと焦って業者を呼んでしまうことも少なくありませんが、業者選びは慎重に行いましょう。少なくとも3社ほどの業者に見積り依頼をして、かかる費用やスタッフの対応などを比較することが大切です。
業者選びにおいては、無料見積りが可能かどうかが大きなポイントでしょう。修理に来てくれるまでの時間や、スタッフが来たときにつまりの原因や実際の金額の説明があるかなども大切です。
【まとめ】トイレつまり解消には、専用の道具を使おう
この記事では、トイレがつまったときに使う道具、代用できる道具を解説してきました。以下に概要をまとめます。
- 「ラバーカップ」の吸引作用で、つまった水を動かす
- 「真空式パイプクリーナー」はより強力な吸引作用
- 「ワイヤーブラシ」はつまりの原因を砕くイメージ
- 代用品は便器を傷つける可能性があるので注意
- 熱湯を便器にかけてはいけない
- つまりの原因が分からないときは業者に依頼
トイレがつまってしまったとき、明らかに「トイレットペーパーの流しすぎ」などであれば、ラバーカップや真空式パイプクリーナーを使って解消できます。
しかしトイレを使っていないときに逆流したり、水に溶けない異物がつまったりしたときは、専用道具を使っても自分で対処するのは難しいです。
またトイレタンクや給水管など、別の場所に原因があることも考えられます。自分でつまり解消できるかどうかは、つまりの原因によって判断しましょう。
ミツモアでトイレのつまり修理の無料見積もりを依頼しよう!
この記事では、スッポン/ラバーカップを使ってトイレのつまりを解消する方法・手順を紹介しました。
汚水が飛び散らないように気を付けながら、正しい手順で効果的につまりを解消しましょう!
スッポン/ラバーカップを使ってもどうにもならないという場合には、水道の専門業者に依頼をするのがベストです。つまりの原因に最適な解決方法を試してくれます。
ミツモアなら、カンタンな質問に答えるだけで、最大5件の水道業者から無料で見積もりをもらうことができます。自分でいくつもの業者に電話を掛ける手間が必要ありません。
レビューや実績も確認して、気になった業者とはチャットで相談することができます。チャットなら時間や場所を気にせずに相談ができるので忙しい人にもぴったりです。
ぜひミツモアをお試しください!