天井に照明器具を設置するための埋め込みローゼットとは、具体的にどのような器具なのでしょうか。埋め込みローゼットの特徴や、混同されやすい引っ掛けシーリングとの違い、自分で取り付ける方法から、業者に依頼する際の費用相場まで解説します。
埋め込みローゼットとは?
『埋め込みローゼット』とは天井に照明器具を取り付けるための配線器具のうちの1つです。名前の通り天井に埋め込むタイプで、天井から出ている部分が薄い点が特徴です。
埋め込みローゼットにはシーリング式と簡易取り付け式の照明器具を取り付けられます。左右にハンガー金具を備えているため、照明を引っ掛けて取り付けるケースもあります。
ハンガー部分に照明器具をねじで固定できるため、引っ掛けシーリングよりも重い照明を取り付けられる点がメリットです。埋め込みローゼットの耐荷重は10kgあるので、シーリングファンライトやシャンデリアなど、重量のあるものを設置できます。
引っ掛けシーリングとの違い
『引っ掛けシーリング』も埋め込みローゼットと同様に、天井に照明器具を取り付けるために設置されている配線器具です。埋め込みローゼットと引っ掛けシーリングの違いは、耐荷重と照明器具の取り付け方法にあります。
引っ掛けシーリングの耐荷重は5kgまでと軽めの照明器具の取り付けに適した一方、埋め込みローゼットの耐荷重は10kgと高めになっています。
引っ掛けシーリングに照明器具を取り付けるには、照明器具のアダプタに付いているツメをシーリングの溝に差し込み、時計方向に回すだけです。埋め込みローゼットの場合はツメを差し込んで回す前に、本体のハンガーのねじを外し、照明器具をねじで固定する作業が必要です。
上記はあくまでも一般的な違いなので、詳しい取り付け方法は説明書で確認しましょう。
埋め込みローゼットの正式名称は引掛シーリングローゼット
埋め込みローゼットと引っ掛けシーリングは、JIS規格では区別せず『引掛シーリングローゼット』の名称で定義されています。ただし実際には区別されるケースがほとんどです。
例えばPanasonicは、天井から露出した状態で設置するものをシーリング、埋め込んで設置するものをローゼットと分けています。
自分でできる埋め込みローゼットの付け方
埋め込みローゼットを取り付ける際は電線の配線処理をするため、国家資格である『電気工事士』が必要です。資格を持っていない場合はDIYせず、業者に依頼しましょう。
資格を持っていてDIYに挑戦したい方向けに、自分で取り付ける方法を紹介します。
埋め込みローゼットの設置に必要な道具
埋め込みローゼットの設置工事をする際に必要な道具は、以下の通りです。
- プラスドライバー、マイナスドライバー
- ニッパー
- ペンチ
- 電工ナイフ
- 軍手
- 脚立
作業の手順
埋め込みローゼットを取り付ける手順は、以下の通りです。取り付けを始める前に、作業する配線に対応しているブレーカーを必ず落としましょう。
- 現在の配線器具に取り付けられている照明器具、配線器具を外す
- 2本の電線が出てくるため、必要な長さまで絶縁被覆を剥ぐ
- 『N』表記がある埋め込みローゼットの穴に白い電線を差す
- 何も書いていない穴に黒い電線を差す
- 配線が曲がらないように埋め込みローゼットを天井に近づける
- 天井の下地がある部分に埋め込みローゼットボディをねじで固定する
- ねじで埋め込みローゼットを天井に固定する
業者依頼時の埋め込みローゼットの工事費用
埋め込みローゼットを設置するためには、漏電や感電、発火などの事故を防止するため、電気工事士の資格が必要と電気工事士法で定められています。業者に依頼する際は、必ず有資格者が対応してくれるところを選びましょう。
業者に依頼する際の工事費用の相場は、下記の通りです。
- 埋め込みローゼット本体費用:約500~3,000円
- 取り付け作業費用:約1,500~3,000円
別途出張費用が加算される業者もあるため、見積もりを依頼する際に確認する必要があります。依頼先を決めるときは1つの業者だけを見るのではなく、複数の業者から見積もりを取って比較検討する『相見積もり』をしましょう。
埋め込みローゼットは重い照明にも対応できる
埋め込みローゼットを設置する際は電線の配線工事をするため、電気工事士の資格がないと作業できません。重い照明を取り付けるために埋め込みローゼットを設置したい場合は、資格者がいる業者に工事を依頼しましょう。