「ハロー効果ってどういう意味?」「どんな場面で現れるの?」といった疑問をお持ちではないでしょうか。
ハロー効果とは目立った特徴に引っ張られて、適切な評価ができなくなってしまう現象のことです。人事評価における評価エラーなどネガティブな側面がある一方で、マーケティングや広告においては消費者にポジティブな印象を与えることもあります。
ハロー効果の影響や具体例、人事評価における対策方法など「ハロー効果をビジネスに活かすためのポイント」をわかりやすく解説します。
ハロー効果とは
ハロー効果とは、人や物事の目立った特徴に引きずられてしまい、他の側面に対しても同じような評価を下してしまう現象のことです。
ハロー効果の「ハロー(halo)」は、宗教の崇拝対象である神様や仏様の後ろに描かれる、後光や光背(こうはい)を意味する単語です。そのため、ハロー効果を「光背効果」や「後光効果」といった言い方をすることもあります。
ハロー効果の呼び名の由来は「分かりやすく特徴的な後光を目にしたばかりに、対象が神仏のように優れて見えること」とされています。
目立つ特徴によって評価が歪められる現象
ハロー効果は目立つ特徴によって評価が歪められる現象です。ひとつの特徴を「良い」と判断すると、無意識のうちにほかの特徴や行動を好ましいと感じる心理的傾向のことを指します。
たとえば、イケメンや美女など容姿端麗な人物を見たとしましょう。そのときに「見た目がこれだけよいのだから、きっと能力も高いはずだ」と感じてしまうケースがハロー効果に該当します。
心理学上では「認知バイアス」の1つとされており、人事評価の際に起こる評価エラーとして問題視されているため「ハローエラー」とも呼ばれます。
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発生理由は人類の生存本能
人間の心理的機能としてハロー効果が存在する背景は、はるか昔、人類が動物と戦っていた原始的な時代までさかのぼります。
かつて人類は食料を確保するために、自ら狩猟を行って獲物を狩る必要がありました。生存競争のためには、周囲の環境や目に見えたものから状況を素早く察知し、物事を即断する能力が求められたのです。
このような生存本能が現代まで遺伝的に受け継がれ、ハロー効果として現在も現れていると考えられています。
2種類のハロー効果
ハロー効果は大きく以下の2種類に分けられます。
- ポジティブ・ハロー効果
- ネガティブ・ハロー効果
どちらも評価エラーや不要な先入観を抱く原因となるため、ビジネスシーンでは注意が必要です。
ポジティブ・ハロー効果
評価対象の長所をみて、他の側面まで本来より高い評価を下すのが「ポジティブ・ハロー効果」です。
例えば、評価対象がハキハキとした受け答えができる社員だとします。
ポジティブ・ハロー効果が起こると、応答の態度という一面だけをみて「頭の回転も速く、仕事も効率的にこなせるだろう」と過剰評価をしてしまいます。
実際には好感を持てる会話の受け答えと、頭の回転スピードや効率性に因果関係はありません。
評価エラーとしてポジティブ・ハロー効果が起こると他の社員の不満を招く原因になり、不正な人事評価となるでしょう。
ネガティブ・ハロー効果
ポジティブ・ハロー効果とは逆に、評価対象の短所を見て他の側面まで低く評価してしまう現象を「ネガティブ・ハロー効果」といいます。
本当は評価対象が優れた長所を持っていても、それに気づくことができず正当な評価ができません。
否定的な面だけにフォーカスして評価をしてしまうので、ホーン効果と同様の意味を持ちます。
例えば、評価対象の服装がだらしなく、乱れていたとします。
「見た目がだらしなければ、仕事の取り組み方もだらしないに違いない」「能力も低いのだろう」判断する場合、それはネガティブ・ハロー効果によるものです。
人の見た目と能力の高さは無関係であるにもかかわらず、相手に対して不当に低い評価を下すことになります。
ポジティブ・ハロー効果と同様、ネガティブ・ハロー効果も正しい人事評価を妨げる原因になるので、自分の決めつけで判断しないように気を付けましょう。
ビジネスでハロー効果が現れる3つの場面と具体例
次の3つの場面を例にあげて、ハロー効果の影響と効果を説明します。
- 人事評価
- 面接試験
- マーケティング
ハロー効果はビジネスシーンで頻繁に起こる現象です。人事評価ではマイナスに働かないように注意する必要がありますが、マーケティングにおいてはハロー効果をプラスに利用可能です。
人事評価
ハロー効果は人事評価の場面で、評価エラーとしてよく見られる現象です。
【人事評価でハロー効果が現れやすいケースの例】
ポジティブ・ハロー効果 |
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ネガティブ・ハロー効果 |
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年間を通しての活躍が少なかったとしても「最近の営業成績がトップだった」「入社直後に社内表彰を受けた」など、記憶に残りやすい活躍があると高い評価を受けやすい傾向があります。
それとは逆に、大きな失敗をしてしまった社員は年間の業績が良くても、低い評価が付けられがちです。
どちらもハロー効果によるエラーで、本来下されるべきでない評価であることがわかります。
実際の社員の能力や実績に目を向けずに、表面上の特徴や印象から評価を行うことは、事実との因果関係がないため適切とはいえません。解釈ではなく事実に基づいた、総合的な評価を実行できる仕組みづくりが企業には求められるでしょう。
面接試験
ハロー効果は面接試験の場面でも起こり得ます。30分や1時間など限られた時間の中で評価をするため、目に付きやすい特徴に左右されやすいのです。
【面接試験でハロー効果が起こりやすい特徴の例】
ポジティブ・ハロー効果 |
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ネガティブ・ハロー効果 |
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応募者が高学歴だったり、大企業での勤務経験があったりすると「この人は仕事ができる人だろう」という考えに走るのが多く見られるケースです。
逆に、面接対象が低学歴だというだけで、他の能力まで低く見積もるケースもあるでしょう。
面接試験でハロー効果が現れると、能力の過大評価や過小評価という誤った評価で採用してしまう恐れがあります。
面接に求められるのは人材の本質を見抜き、等身大で評価することです。短時間でも適切な評価を下せるように、面接官の研修や評価基準の設定を徹底するとよいでしょう。
マーケティング
対象物をより魅力的に見せる目的があるマーケティングでは、ハロー効果を利用してプラスの影響を受けているケースが多くあります。
代表的な活用方法としては好感度が高いタレントの起用や、親しみを感じやすい動物や子供の映像を広告に使用する方法などがあります。
【マーケティング・広告における活用例】
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例えば、日本茶のCMで雄大な自然とキレイな水、高級感のある和室の映像が流れているとします。
そうすると視聴者は商品に対して「体に良さそう」「品質がよさそう」など、ポジティブな想像を膨らませるでしょう。
その他にも、飲食店のホームページに笑顔で接客する従業員の写真を掲載することで「丁寧な接客を心がけている」など、企業のイメージアップにもなります。多くの言葉で伝えなくても、ハロー効果を活かした視覚的な情報が商品の高評価につながるのです。
人事評価におけるハロー効果の対策
人事評価ではハロー効果は好ましくありません。ハロー効果を引き起こさないために、以下の3つの対策をとっていきましょう。
- 明確な評価基準の設定
- 客観的な事実に基づいた評価
- 評価者研修の実施
明確な評価基準の設定
正当な人事評価の実現には、明確な評価基準を設ける取り組みが有効です。
基準が決まっていれば評価者が個人的に抱く感情に左右されず、客観的で公平な評価が下せるようになるでしょう。
「○○の項目は半期に平均以上の業績を上げた場合に高く評価する」など、数字で判断できる評価基準を作れば、評価のブレが小さくなります。
人事評価には、以下の3段階の評価基準が必要です。
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業務に必要な能力から日ごろの勤務態度、数値で表される業績までを含んだ評価基準を設定していきましょう。
客観的な事実に基づいた評価
評価対象に対する先入観や人事が個人的に抱く印象に左右されないよう、客観的な事実を元に評価することが大切です。
具体的には日々の言動や行動をメモに取って記録する、本人や同部署で働く社員にそれぞれレポートを提出させて仕事ぶりを把握する方法などがあります。
定期的にグループ面接を行い、評価対象となる社員がどのような考えを持っているのかを探る取り組みも有効です。
評価者研修の実施
ハロー効果を起こさずに公正な人事評価を行うには、評価者研修を実施するのがおすすめです。
人事評価の制度や基準・方法を深く理解して評価スキルを向上させれば、自社の人事制度を正しく運用できるようになります。
正当な人事評価はジャッジされる社員のモチベーションを高めるだけでなく、組織に対する信頼度も高められるメリットがあります。
評価者研修を実施することで評価エラーを低減し、客観的かつ正しい評価を下せるようにしましょう。
ハロー効果の反対は「ホーン効果」
ホーン効果は人や物事の悪い面に着目して、他の側面に対しても否定的な評価を下す認知バイアスのことです。
ハロー効果と同様、部分的な特徴に引きずられて全体的な判断が歪んでしまうことに変わりはないですが、ホーン効果は否定的な面だけに焦点を当てているのが特徴です。
例えば2人の人物が犯人として浮上したとします。1人は穏やかそうな人、もう1人は強面の人です。
穏やかな外見を持つ人が犯人であった場合は「予想外だ、まさかそんなことをする人だとは思わなかった」などの意見が出るでしょう。
一方で、強面の人が犯罪者であった場合「やっぱりそうだ、前から怪しいと思っていた」など否定的に判断すると思います。
このケースで前者に現れているのがハロー効果で、後者がホーン効果となるのです。
ハロー効果と「ピグマリオン効果」との違い
ピグマリオン効果はハロー効果と同様に、人事評価に影響を与えるものです。
「期待を向けられた相手は、その通りの成果を出す」現象がピグマリオン効果です。一方でハロー効果は「評価対象の特徴を知ることで、相手に対する自分の評価が変わる」現象をいいます。
どちらの効果も評価対象に無意識に働きかけるという共通点はありますが、内容は大きく異なるのです。
ピグマリオン効果は、実験を行った学者の名前からローゼンタール効果とも呼ばれています。
例えば、教師が生徒に対して「彼らは賢いため、良い成績が出せるはずだ」と期待するとしましょう。この場合、生徒はピグマリオン効果により教師の期待に応じて、本当に成績が向上しやすくなるのです。
このように、ハロー効果とピグマリオン効果では意識が変化する人物が異なります。
ハロー効果を理解して適切な評価を
ハロー効果は認知のバイアスであり、先入観で対象を正しく評価できなくなる現象です。マーケティングや広告、販売戦略の場では有利に働くこともありますが、人事評価や面接にはマイナスの影響を与えます。
表面的な特徴に左右されずに適切な評価を行うためには、解釈ではなく事実にフォーカスすることが大切です。人事評価においては明確な評価基準の設定や、客観的な事実と照らし合わせるなどして、表面的なイメージに頼らない判断をしましょう。
ハロー効果はポジティブにもネガティブにも働く心理現象です。それぞれの側面を捉えつつ、ビジネスに活かしてみてはいかがでしょうか。
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