シロモジは丈夫で育てやすい落葉低木です。ナチュラルな美しさは庭に清楚な趣を添えてくれるだけでなく、季節ごとに異なる姿により、四季を身近に楽しめるでしょう。シロモジの特徴や類似品種との見分け方、育てる際のコツなどを紹介します。
シロモジとは?
シロモジはすらっとした自然の樹形が清楚で美しく、公園や茶庭、雑木の庭などに植えられることが多い植物です。まずはシロモジの特徴を学びましょう。
同属種にはダンコウバイやクロモジなどがあり、それぞれ似通っていることから混同されることも多いようです。それぞれの見分け方について知っておくと、選ぶ際にも役立ちます。
シンボルツリーとして人気
シロモジは本州中部以西から九州各地に自生する、クスノキ科クロモジ属の落葉灌木です。別名アカヂシャ、ハタウコンとも呼ばれます。
2~5mのほどよい樹高であること、暑さや寒さ、病害虫に強いこと、さらに自然の樹形が美しく剪定にそれほど手間がかからないことから、園芸初心者にもおすすめです。
葉先が3つに裂けており、恐竜の足跡のようなユニークな形をしています。春の黄色い花、初夏の新緑、そして秋の黄葉と、四季折々の表情を楽しめます。くわえてよい香りがある点も魅力です。
パッと目を引くような派手さはありませんが、自己主張をしない分、シンボルツリーとしてどんな庭の景観にもしっくりとなじむでしょう。
ダンコウバイとの違い
ダンコウバイは同じクスノキ科クロモジ属で、関東以南のエリアに自生します。ウコンバナという別名のほか、シロモジがアカヂシャと呼ばれるのに対してシロヂシャと呼ばれることもあるようです。
親戚関係にあるだけにお互いによく似ています。両者を見分けるためには次の点に注目しましょう。
- 葉の形:どちらも葉先が3つに割れているが、シロモジの方が一回りサイズが小さく切れ込みも深い。またシロモジは切れ込みの先端が丸い
- 開花時期:シロモジは4~5月頃、ダンコウバイはやや早く3~4月頃
- 果実の色と成熟期:シロモジは10~11月にクリーム色の実をつける。ダンコウバイは9~10月で、実の色は赤から黒紫色
クロモジとの違い
クロモジもクスノキ科クロモジ属に属しており、シロモジ・ダンコウバイとよく比較される品種です。
シロモジとクロモジの最もわかりやすい違いは、樹皮および枝の色といえます。「白文字」という名前のとおり、シロモジの樹皮・枝は灰褐色で白っぽいのです。
対してクロモジは暗緑色に黒斑が入ります。黒い文字が書かれているように見えることから、クロモジ(黒文字)という名がついたとされます。
葉形も大きな相違点です。シロモジは卵型で葉先が3つに分かれているのに対し、クロモジの葉は細長い楕円形で両端が尖っています。
また秋に熟す実はシロモジがクリーム色であるのに対し、クロモジは黒く熟す点も見分けるためのポイントです。
シロモジの育て方
シロモジは基本的にどのエリア・どんな土壌でも育ちやすく、世話もそれほど難しくありません。しかしちょっとしたポイントを押さえることでより健康に、より美しく育てることが可能です。
ここでは日当たり・土・水やりなどの基本を押さえましょう。
育てる環境
シロモジが自生するのは中部以西の比較的温暖なエリアながら、園芸用の場合は北海道南部から九州までOKとされます。暑さや寒さ、乾燥にも強く、それほど生育環境を選ばない丈夫な植物です。
日当たりに関しては半日陰や、1日に2~3時間しか日照がない場所でも育ちます。ただし花や葉の色をより美しく鮮明にしたいなら、やはり日当たりの良い場所がおすすめです。
植え付けや用土
シロモジの植え付け時期は、休眠期である11~3月頃です。新芽や新緑が出てからの移動は、枯れる原因にもなります。
肥沃な用土を好みます。水はけが悪いと根腐れを起こす恐れもあるため、注意が必要です。
庭の土を掘り返したときに水が染み出すようであれば、バークたい肥や腐葉土などを混ぜ込むことで改善できます。
まず深さ50~60cmかつ株の直径2~3倍の大きさの穴を掘ります。株に巻いてある麻布や縄などはそのままでOKです。ビニール紐など自然分解しないものは株から取り除きましょう。
その後に株を入れ、必要に応じて支柱で支えます。土を8分目ほどまで入れたらしっかり水を与え、残りの土を戻し踏み固めたら完了です。
水やりと肥料
根がしっかり張るまでの間は、土が乾いたらその都度水やりをします。とくに植え付け後1カ月は、乾き具合をこまめにチェックしましょう。
いったん根付いた後は自然の降雨だけで充分育ちます。夏場など高温で乾燥しがちなときのみ与えるだけでOKです。
肥料は休眠期である1~3月に、寒肥として油粕や腐葉土、たい肥を与えましょう。
株の周囲に穴を掘り肥料を混ぜ込みます。根に直接肥料が接触すると、肥料焼けを起こすため注意しましょう。それ以後は開花後の8~9月頃に、油粕と化成肥料を与える程度でOKです。
シロモジの剪定方法
剪定は休眠期の2月か、花が咲き終わった6~7月頃に行います。
園芸用剪定バサミや太い枝用のノコギリ、手を保護するための軍手も必要です。作業後の掃除が楽になるよう、あらかじめ地面に敷いておく養生シートも用意しましょう。
以下に具体的な剪定方法を解説します。
剪定のしすぎには注意
過度な剪定はシロモジの美しさを損ねることにつながるため、加減が大切です。
シロモジはもともとの自然な樹形が美しいことに特徴があります。縦方向に大きく伸び、横にはあまり広がらないこともメリットです。
さらに成長スピードが比較的ゆっくりでもあり、そもそも深い剪定を必要としないことが多いのです。
ついあれこれ手を加えたくなるかもしれませんが、シロモジの元来の造形美を生かすよう、必要最低限の剪定にとどめましょう。
透かし剪定がおすすめ
「透かし剪定」によって太すぎる枝や長すぎる枝、こみ合った枝葉などを減らします。樹形が整うだけでなく各枝葉の日当たりや通気性が改善し、病害虫の防止にも有用です。
まずは木からやや離れて眺め、樹形の仕上がりをイメージします。自然な逆三角形を意識しましょう。
シロモジは「株立ち」の構造であり、木の根元から数本の幹が伸びています。そのため剪定するのは株元からです。ひこばえや絡み枝、徒長枝などを切り落としていきます。
その後は「芯(木の中心となる幹)」を決め、それ以外の不要な枝やこみ合った枝、枯れた枝などを除去してすっきりと仕上げましょう。
気を付ける病害虫
シロモジは基本的に病害虫に強いといわれますが、そうはいっても次の2つの虫には気を付けたいところです。
病害虫は見つけたらすぐに対処しなければなりません。被害の症状や駆除方法について知っておくと、いざというときに迅速に対応できるでしょう。
葉の裏側につくハダニ
ハダニはダニの一種ですが、クモに近く巣を植物に張ることもあります。0.3~0.5mmと非常にサイズが小さいうえ、葉の裏側や葉が重なり合う部分などパッと見ただけではわかりづらい場所に寄生しがちです。
春から秋の温暖な時期に発生しやすく、被害にあった木は葉の葉緑素が抜けて白い斑点になります。木の生育が悪くなり、葉の色など外観にも悪影響です。
対処方法としては水に弱いハダニの特徴を利用して、定期的に葉の裏に水をかけるか、ハダニの専門薬を散布しましょう。
すす病の原因になるカイガラムシ
カイガラムシは2~10mmほどの大きさで、植物の汁を吸います。被害にあうと樹木は養分を吸い取られ生育不良となったり、ひどい場合には枝や木が枯れたりします。
さらに排泄物が「すす病」も引き起こす可能性もあるため、見つけ次第対処が必要です。
幼虫のうちは薬剤を散布し駆除します。成虫になると体が硬い殻で覆われ薬剤の効果が低くなるため、歯ブラシなどでこすり落とさなくてはなりません。
冬のうちに休眠期用の薬剤を散布し、翌春以降の発生予防をしておくのもひとつの手段です。
シロモジを自宅で育ててみよう
パッと目を引くような派手さはないけれど、シロモジは自然で楚々とした造形美が魅力です。
春の可憐な花々やさわやかな初夏の新緑、そして秋の黄葉と、日本の四季を自宅にいながら堪能できるでしょう。ナチュラルガーデンや和風の庭など、自然の姿を生かした庭づくりを目指す人にはピッタリです。
もともと丈夫で育てやすい種なので、初めて植物を育てる人にも向いています。生育環境や水やり、剪定などのコツを押さえつつ、後は愛情でカバーしながら大切な1本を育ててみましょう。
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