ミツモアメディア

「ギボウシ」とはどんな植物?種類や栽培環境、育て方のコツを紹介

最終更新日: 2021年12月11日

ギボウシは葉の色や模様のバリエーションが多く、日陰でもよく育つため、庭でもベランダでも楽しめます。日本だけではなく海外の園芸家にも人気があるギボウシの魅力や特徴、育て方のポイント、代表的な種類を紹介します。

大きな葉が特徴の「ギボウシ」とは?

キボウシ

大きな葉が特徴のギボウシは、日本だけでなく海外でも人気の植物です。まずはギボウシの特徴を見てみましょう。

ギボウシの基本情報と特徴

ギボウシは、日本をはじめとする東アジアに分布する多年草です。日本では約20種類が自生しており、特に種類が豊富です。日本の品種が海外に渡り、ヨーロッパに広まったことで多くの園芸品種が誕生しました。

葉は平たい楕円(だえん)形で、根元にまとまって付き、葉脈が筋のように見えるのが特徴です。葉姿が美しく、種類によって葉の幅が大きいものやツヤがあるもの、斑入りのものなどバリエーションがあります。

また花は「一日花」で、夕方にはしおれてしまいます。品種によって小ぶりのものから15cmほどになるものまでさまざまです。

日陰でもよく育ち、葉が美しいことからグランドカバーとして使用される他、日陰や半日陰に作るシェードガーデンとしても選ばれています。

関連記事:毎年花咲く宿根草を庭や花壇で楽しもう!おすすめ品種や育て方の3つのコツも紹介|ミツモア

ギボウシの代表的な種類

キボウシ

ギボウシには多くの種類が存在しており、品種間で交雑しやすいため品種の特定が難しいとされています。中でも人気の高い代表種を紹介しましょう。

グレーがかった青緑が美しい「ハルシオン」

「ハルシオン」はグレーがかった青緑の葉色が美しい、やや小型のギボウシです。肉厚でゴムのような質感の葉は、剪定をまめにすることで横に広がり茂っていきます。

中央から外側に広がる「ロゼット状」に葉を形成し、70cmほどにまとまるため庭植えでも扱いやすく、シェードガーデンの寄せ植えで前面に配置するのに最適です。

開花時期は初夏から晩夏で、鐘型で薄紫色の小花が穂状に連なって咲きます。葉色と花のコントラストも美しく、どこか神秘的なニュアンスがあるのも人気の品種です。

世界的にも人気の高い日本産「寒河江」

「寒河江(サガエ)」は山形県寒河江市で誕生したギボウシで、グレーがかった緑の葉にクリームイエローの縁が特徴的です。和にも洋にもマッチするため、世界中で人気が高い品種として知られています。

大きさは中型〜大型で、幅は120cmほどにもなります。葉はフリルのように大きく波うっており、夏頃には白に近い薄紫色の花を咲かせて風景に品を添えてくれるでしょう。

シェードガーデンのふち取りや、中央のアクセントとして利用するのも素敵です。

深緑の葉に覆輪斑が印象的「パトリオット」

濃い緑色の葉に白の斑がはっきりと入るのが「パトリオット」です。数あるギボウシの品種の中で競われる「ホスタ・オブ・ザ・イヤー」に輝いた経験を持ちます。

パトリオットは地植えであれば、葉の長さが30cm前後、株は1mほどに成長します。

色のコントラストがはっきりしているため明るく爽やかな印象です。丈夫でよく育ち、あっという間に大きく存在感を発揮してくれるため、初めてギボウシを育てる際にぴったりの品種といえるでしょう。

ギボウシの栽培環境と育て方のコツ

キボウシ

日本の山野の湿地などで自生するギボウシは、初心者にも育てやすい植物です。栽培を楽しむために、ギボウシの育て方のポイントを確認しておきましょう。

栽培環境は日陰を好む

ギボウシは寒さ暑さに強く、特別な手入れを必要としない丈夫な植物ですが、葉形を美しく育てるなら、落葉樹の下などの明るい半日陰が栽培環境に最適です。

夏の直射日光は葉焼けを起こしやすくなるため、鉢植えの場合には太陽に合わせて移動させることが大切です。

また乾燥が強いと成長が遅くなります。適度に湿り気のある保水性の高い土を選び、土が痩せていれば培養土や肥料で補いましょう。

種まきや苗の植え付け・植え替え

ギボウシを種から育てたいのであれば、2〜3月に種まきをします。土は親株と同じもので構いません。種をまいたら土が乾かないように水を与えていれば、2〜4週間ほどで芽が出てきます。芽が出たら2週間に1度、肥料を与えるとよく育つでしょう。

植え付けは、2〜3月が最適です。株が集まりすぎているようなら、根を傷つけないよう気を付けながら株を分け、深く植えすぎないように植え付けます。植え付け後はたっぷりと水を与え、乾燥させないように注意が必要です。

植え替えは鉢植えなら2年に1回ほどを目安に、根腐れ対策で一回り大きな鉢に植え替えます。庭植えならば3~4年に1回ほどで、掘り起こし株分けをし植え直します。植え替え時期は2〜3月がよいでしょう。

水やりや肥料、気を付けたい病害虫

ギボウシは湿気を好みますが、乾燥にもそう弱くはありません。地植えでも鉢植えでも、植え付け後の根が付くまでの期間を除いて、水と肥料をたくさん与える必要はありません。乾燥しすぎにだけ気を付けて適度に行えば十分です。

病害虫にも比較的強い種類ですが、生育期には「アブラムシ」や「ナメクジ」が発生することがあるため、見つけたら取り除くか、薬剤を使って防除すると安心です。

ただし梅雨時期に葉がまだらになったり萎縮したら、「白絹病」の疑いあります。白絹病は完治できない病気のため、見つけたら株を周囲の土ごと引き抜き、処分が必要です。周囲の植物に広げないよう注意しましょう。

増やし方は株分けがおすすめ

ギボウシは種からも増やすことができますが、株分けで簡単に増やすことができます。

株分けを行うならば生育期を避け、成長が落ち着いている早春か、最盛期が終わった秋に株を掘り上げましょう。根に付いた土を軽く落とし、2〜3芽付いた根茎を一つとして切り分けます。大型の場合には、無理せず自然に分かれているところで切りましょう。

分けた株は半日陰の場所に植え直し、水切れに注意して管理します。鉢植えの場合には鉢の大きさに気を付けて、混み合わないようにするとうまく根付きます。

ギボウシでシェードガーデンを作ってみよう

キボウシ

ギボウシは狭い庭やベランダの半日陰でもよく育ち、葉姿が美しく園芸種も豊富です。育て方もシンプルでほとんど手間がかからないため、初心者でも育てやすい植物といえるでしょう。

多くの品種があるので、和風洋風問わず庭先での組み合わせを考えるだけでも楽しめます。さまざまなギボウシを寄せ植えし、すてきなシェードガーデンを作ってみるのもおすすめです。