水漏れが発生しているのではないかと思ったときには「漏水調査」を行い、水漏れの有無や水漏れ箇所を特定しましょう。
漏水調査は調査方法によって費用相場が異なり、おおむね10,000円~30,000円ほどかかります。
漏水調査の方法別費用相場やマンションで調査する際の注意点、自分でできる簡易的な漏水調査方法をチェックしましょう。
業者が行う漏水調査の種類
漏水調査とは、建物や水道管から水が漏れていないか確認する調査のことです。調査の方法は大きく分けると4種類あり、調査方法ごとに作業内容と費用が異なります。
調査は段階的に行われます。はじめは建物や配管にダメージを与えない非破壊検査を行い、原因が特定できない場合にのみ解体をして原因箇所を特定します。
音聴調査(費用目安:7,000円~15,000円)
音聴調査は、水漏れしている箇所から発生する音を聞き取って漏水箇所を特定します。
配管内を流れる水が漏れ出す際に発生する特有の音を、専門の音聴棒や電子式音聴器を使って探知します。調査員の経験と技術が重要で、熟練した調査員は微細な音の違いも聞き分けることが可能です。
音聴調査の特徴
- 建物を傷つけることなく調査ができる(非破壊検査)
- 費用が比較的安価
- 調査時間は1~2時間ほどと短い
- 騒音が多い環境では精度が落ちる
音聴調査は比較的費用を抑えられ、短時間で広範囲を調査できる点がメリットです。しかし、周囲の騒音状況や漏水音の大きさによっては特定が難しいこともあり、熟練した技術者の経験と技術が求められる側面もあります。
音聴調査は初期調査として多くの現場で採用されており、建物へのダメージを避けたい場合に適しています。
漏水探知機調査(費用目安:15,000円~25,000円)
漏水探知機調査は、電気や電磁波を利用して配管の状態を調べる調査方法です。音聴調査では発見できない微細な漏水も検知でき、壁や床の内部にある配管の漏水も正確に特定できます。最新の機器では、配管の材質や埋設深度も同時に確認できるため、修理計画を立てやすいメリットがあります。
漏水探知機調査では以下の機器が使用されることが多いです。
| 使用される機器 | 特徴 |
|---|---|
| 電磁波探知機 | 金属管の位置と漏水箇所を特定 |
| 赤外線サーモグラフィー | 温度差から漏水箇所を特定 |
| 超音波探知機 | 配管内の水流の異常を検知 |
| 相関式漏水探知機 | 複数のセンサーで漏水位置を計算 |
費用は音聴調査よりも高額になるケースが多いものの精度が高く、調査結果の信頼性も高いです。特にマンションなどの集合住宅では、隣接する部屋への影響を抑えながら調査できるため、漏水探知機検査が行われることが多いです。
トレーサーガス調査(費用目安:20,000円~30,000円)
トレーサーガス調査は、水素や窒素などの人体に害のない安全なガスを配管内に注入し、漏れ出したガスを専用の検知器で探知する方法です。
音聴調査や漏水探知機調査でも発見できない微小な漏水や複雑な配管経路での漏水箇所の特定を効率的に行えます。注入するガスは水よりも分子が小さいため、わずかな隙間からも漏れ出し、検知器で正確に場所を特定できる点が特徴です。
トレーサーガス調査の流れ
- 配管内の水を抜いて乾燥させる
- トレーサーガスを一定の圧力で充填する
- ガス検知器で建物内を調査する
- 漏出箇所を特定しマーキングする
- 調査結果をもとに修理計画を立てる
費用は20,000円~30,000円とやや高額ですが、他の方法では難しい場所の調査もできます。特に床暖房配管や給湯配管など、熱を持つ配管の調査にも適しています。ただし配管内の水を抜く必要があるため、調査中は水道が使用できない点に注意が必要です。
掘削解体調査(費用目安:50,000円~100,000円)
掘削解体調査は、壁や床の一部を解体して配管を直接確認する調査方法です。建物等にダメージが入るため破壊検査ともいわれます。
他の調査方法で漏水箇所を特定できない場合や調査結果に確証が持てない場合に実施されます。確実に漏水箇所を特定できる反面、建物への影響が大きく、復旧工事も必要になる点に注意が必要です。
掘削解体調査を実施するときの注意点
- 事前に他の調査方法で調査範囲を絞り込む
- マンションでは管理組合への届け出を行う
- 騒音や振動が発生するため近隣への配慮が必要
- 復旧工事費用も含めた総額を確認する
調査費用は10,000円~20,000円ほどですが、解体費用と復旧費用が別途かかるため、総額では50,000円~100,000円以上になることがあります。
ただし、掘削解体調査であれば配管を直接確認できます。漏水原因の特定や適切な修理を行うことができ、根本解決につながるケースが多いです。
漏水調査の費用相場
漏水調査の費用は調査方法によって異なります。大まかな相場を以下にまとめます。
| 調査方法 | 費用相場 |
|---|---|
| 音聴調査 | 5,000円~15,000円 |
| 漏水探知機調査 | 15,000円~25,000円 |
| トレーサーガス調査 | 20,000円~30,000円 |
| 掘削解体調査 | 10,000円~20,000円(+解体・復旧費用) |
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具体的な費用を把握するためには、複数の業者に見積もりを依頼することが重要です。3~5社を目安に見積もりを依頼し、相場観をチェックしましょう。
漏水調査を安くするコツ
漏水調査の費用を安くするには4つのコツがあります。調査費用を安くする方法をチェックして、高くなりがちな漏水調査費用を節約しましょう。
① 相見積もりを取って安い業者に依頼する
漏水調査を依頼するのであれば、必ず複数の業者から見積もりを取りましょう。3~5社を目安に相見積もりを取ることで、適正価格が把握できるため不当に高い金額を提示する業者に依頼するといったトラブルを避けられます。
見積もりを比較するときは、総費用だけでなく調査内容や使用機材などもチェックしましょう。
相見積もりを取るときのポイント
- 同じ条件で見積もりを依頼する
- 調査方法と使用機器を明確にしてもらう
- 追加料金の有無を確認する
- 調査後の報告書の内容を確認する
- 修理が必要な場合の対応も聞いておく
調査費用を安くすることだけを追求をすると、調査の精度が低くなったり、当日に追加料金を請求されたりする可能性があります。口コミや実績数も参考にし、信頼できる業者を選びましょう。
地域密着型の業者は出張費が安く、大手業者は機器が充実しているなど、それぞれの特徴を理解することが、後悔のない依頼先決定をするうえで重要です。
② 火災保険の特約をチェックする
火災保険には「水濡れ損害補償」や「給排水設備の事故補償」といった特約がついていることがあります。特約が適用されれば、漏水調査費用や修理費用の一部または全額が保険金として支払われる可能性があります。ただし、経年劣化による漏水は対象外となることが多いため、保険約款をよく確認しましょう。
保険適用がされやすいのは以下のケースです。
- 突然配管が壊れたことによる水漏れ
- 上階からの水漏れ被害
- 凍結により配管の破裂
- 地震や台風など自然災害による水漏れ
保険を申請するときは、漏水調査の報告書や写真・修理見積書などが必要です。調査を依頼するときに「保険申請を考えている」旨を忘れずに業者に伝えましょう。
保険会社によっては指定業者に修理を依頼しないと保険が下りないことがあるため事前の確認が重要です。
保険金の支払いまでには時間がかかることもあるため、立て替え払いが必要になることも考慮しておく必要があります。
③ 費用負担について確認する
マンションなどの集合住宅では、水漏れが起きた場所によって費用負担者が変わります。費用負担者の目安は、共用部分の配管からの漏水は管理組合、専有部分の配管からの漏水は所有者負担です。
ただし費用負担の境界があいまいになっているケースも多いため、調査を依頼する前に管理規約を確認し、管理会社や管理組合と相談しましょう。連絡や相談をすることで不要な費用負担を避けられる可能性があります。
費用負担の区分例
| 費用負担の区分 | 具体的な箇所の例 |
|---|---|
| 共用部分(管理組合が負担) | 給排水の本管、外壁、屋上など |
| 専有部分(所有者が負担) | 室内の給排水管、水栓器具など |
| グレーゾーン | 床下の配管、壁内配管、バルコニーなど |
賃貸物件の場合は、入居者の故意や過失による漏水でない限り、大家や管理会社が費用を負担することが一般的です。
ただし費用負担については契約内容によって異なります。水漏れに気づいたら、まずは賃貸借契約書を確認しましょう。また、上階からの漏水の場合は、原因者が費用を負担することになりますが、原因特定のための調査費用は一時的に被害者が立て替えることもあります。
④ 自分で漏水調査をする
ある程度の漏水調査であれば、専門的な機器や知識がなくても自分でできます。漏水有無や大まかな場所を特定できれば、水道修理業者へ依頼するときに具体的な説明ができ、調査時間の短縮につながります。ただし壁内や床下の配管など、見えない部分の調査は専門業者に任せましょう。
自分でできる簡易的な漏水調査の方法
- 水道メーターのパイロットランプを確認する
- 水道料金の推移をチェックする
- 壁や天井のシミ・カビの有無を確認する
- 配管周りの湿気や水滴の有無を確認する
- 水を使っていないときの音を聞く
自己調査で異常を発見した場合でも、正確な漏水箇所の特定や原因究明には専門的な調査が必要であることに注意しましょう。自己調査はあくまで補助的なものと考え、異常を感じたら早めに専門業者に相談することが、被害を最小限に抑えるポイントです。
漏水調査を自分で行う方法
自分でできる簡易的な漏水調査の方法を紹介します。「水漏れしているかも?」と思ったら、まずは以下の方法で漏水調査を行いましょう。
目視確認
目視確認は最も簡単にできる漏水調査の方法です。水漏れが疑われる箇所の設備や配管接続部、壁、天井などに異変がないかチェックします。特にキッチンや浴室、洗面所などの水を多く使う場所は重点的に確認しましょう。異常がなくても定期的に確認することで、小さな水漏れにもすぐ気づけます。
目視確認時のチェックポイント
- 蛇口や配管接続部からの水滴やしめり
- 壁や天井のシミ、変色、膨らみ
- 床の変色や膨張、きしみ
- タイル目地の変色やカビの発生
- 配管保温材のしめりや劣化
- 水栓下の収納庫内の湿気や水たまり
目視で水漏れの有無をチェックするときは、懐中電灯を使って暗い場所も入念にチェックし、手で触って濡れていないかを確認しましょう。またビフォーアフターの写真を撮影しておくと変化に気づきやすくなるためお勧めです。
水漏れなどの異常を発見した場合は、該当箇所と状況を記録して修理業者に正確に伝えられるようにしましょう。
定期的に目視確認を行うことで、水漏れ被害が重大になる前に対処できます。
水道メーターを確認する
水道メーターを確認することで、目視では確認できない箇所で起きている水漏れを発見できます。家中の蛇口を全て閉めた状態でメーターが動いていれば、どこかで漏水が発生している可能性が高いです。
水道メーターで漏水調査をする手順
- 中の蛇口を完全に閉める
- トイレの水も流さない状態にする
- 洗濯機や食洗機も停止する
- メーターボックスを開けてパイロットランプを確認
- 10分程度観察して動きをチェック
- 水道使用量の数値も記録する
すべての蛇口や水栓を締めているにも関わらず、パイロットランプが回転している場合は漏水が疑われます。
また月々の水道使用量を記録して、急激な増加がないか確認することも大切です。一般的な4人家族の月間使用量は20~25㎥程度なので、これを大きく超える場合は漏水が疑われます。メーター確認で異常が見つかった場合は、早急に専門業者による詳細な調査を受けることで、水道料金の無駄を防ぎ、建物への被害も最小限に抑えることができます。
漏水調査の口コミ
漏水に気づいたらなるべく早く水道修理業者を呼ぼう

漏水調査の費用目安は10,000円~30,000円です。水漏れに気づいたらなるべく早く漏水調査をし、水道修理を行うことで修理費用の総額を抑えることができます。
漏水調査は安くとも10,000円ほど費用がかかるので、一括見積もりサイトで安く調査をしてくれる業者を選びましょう。また調査後同じ業者に修理を依頼することで調査費用の割引サービスを提供している業者を利用することも、修理費用を抑えるうえで重要です。
