ピンクや白など鮮やかな色の花が魅力的なサツキ。自宅の庭で育てているという方も多いのではないでしょうか?


しかし、サツキの花を最大限に楽しむためには、最適な時期での剪定が必要です。剪定時期や方法を間違えてしまうと、花がつかないなんてことも。
「サツキはいつ剪定すればいいの?」「サツキの正しい剪定の仕方が知りたい!」そんな方のために、今回はサツキの剪定時期や剪定方法、注意すべきポイントなどを紹介します。剪定のコツを抑えて、サツキの花を最大限に楽しみましょう。
サツキの剪定時期は5月中旬~6月
サツキの剪定に適した時期は、花が咲き終わった直後の5月中旬~6月です。
サツキを含むツツジの仲間は、開花後に新芽が伸びはじめ、約1か月半ほど経って新梢が充実すると、7月頃から翌年に咲く花芽をつけ始めます。
このとき、花後剪定で花がらを取り除かないと、新芽が伸びるのが遅れて、花芽がつかないこともあります。サツキは他のツツジ類と比べて開花時期が遅く、6月頃まで咲いているわりに、花芽の形成時期は7月頃からと変わらないので、剪定に適したタイミングが短いのです。
時期を逃さないよう、「花が終わったらすぐに剪定をする」ということを覚えておきましょう。
サツキの剪定方法【刈り込み】
生垣などで刈り込みをしているサツキは、以下の手順で剪定をします。
①花がらを摘む
サツキは開花期が終わってすぐ、翌年に咲く花芽の分化が始まります。
花芽は新梢につくので、咲き終わったらすぐに花がらを摘んでおかないと、新しい枝が伸びてくるのが遅れてしまい、花芽が十分につくられないことがあります。
5月中旬から6月にかけて、花期の後半になったら咲き終わった花がらをすみやかに摘みましょう。刈り込みをすることでも花がらが取れます。
②枯れた枝や樹形を乱す枝をつけ根から切る
枯れた枝や生え方がおかしい枝、樹冠から飛び出した枝などを根元から切り落とします。
カサカサに乾いていたり、樹皮の中まで茶色く変色している枝は枯れています。枯れ枝を放置すると病気や害虫の原因になるので、最優先で取り除きましょう。
次に、以下のような生え方をしている不要な枝を切り落とします。
不要枝の種類 | 不要枝の特徴 |
---|---|
ふところ枝 | 樹冠の内部で生えた細かく小さな枝。 |
かんぬき枝 | 左右の枝が主幹を貫いて一直線になるように生えたもの。 |
逆さ枝 | 幹に向かって伸びた枝。 |
立ち枝 | 真上に向かって伸びた枝。 |
下り枝 | 下に向かって伸びた枝。 |
絡み枝 | まっすぐ伸びず、他の枝に絡むように伸びた枝。 |
徒長枝 | 極端に勢いよく伸びた枝。上に向かって伸びることが多く、ほとんど花芽をつけない。 |
車枝 | 幹の同じ高さから4本以上の枝が水平に伸びたもの。 |
平行枝 | 同じ方向に伸びる上下2本の枝。 |
胴吹き枝 | 幹から新たに直接伸び出した枝。 |
ひこばえ | 地際から主幹の隣に新しく伸びてくる枝。 |
不要枝の中での剪定の優先順位は以下の通りです。
- 逆さ枝・立ち枝・下り枝・絡み枝・徒長枝・車枝
- 樹形を乱す可能性が高いので、優先して切り落とす
- 平行枝・胴吹き枝
- 樹形を乱す可能性が比較的低いので、他の枝とのバランスを見て切るか決める
- ひこばえ
- 株立ちの幹を更新する場合は残し、それ以外の場合は切り取る
こんもりと仕立てた樹冠から飛び出て伸びた枝は、刈り込むこともできますが、勢いよく伸びている徒長枝であればつけ根から切っておきます。太い枝をそのまま刈り込むと、木の表面に切り口が目立ってしまい、きれいに見えません。
③強剪定で刈り込む
刈り込みバサミで樹冠を刈り込んで整えます。
強剪定にも耐え、よく芽吹きますが、サイズを小さく仕立て直すために特に強く刈り込んだ場合は、翌年に花が咲かないことがあります。
サツキの剪定方法【自然樹形】
サツキを自然樹形で育てている場合は、以下の流れで剪定をします。
①不要な枝を根元から切る
まずは枯れた枝や不要な枝を根元から切り落とします。
不要な枝の見分け方は前章の解説を参考にしてください。
自然樹形の場合は、刈り込みのように枝の途中で切ってしまうと見栄えが悪くなるので、必ず枝のつけ根から切るようにしましょう。
②花がらを摘む
咲いた後の花がらをつけたままにしておくと、新しい枝の伸長が遅れて、花芽の形成に間に合わないことがあります。咲き終わった花がらはすぐに摘み取りましょう。
③バランスを見ながら混み合った枝を間引く
不要な枝や花がらを一通り切り落としたら、サツキ全体のバランスを見ながら、混み合った部分を間引いて枝の数を減らしていきます。具体的なバランスのとり方は以下が目安です。
- 主幹から四方にバランスよく枝が広がった状態にする
- 枝と枝の間隔をどこから見てもなるべく均等にする
「遠くから眺めたときに、枝の密度が均等になっているか」を確認しながら進めましょう。
サツキの剪定に必要な道具
自分で庭木を剪定するときは、最低限以下の道具を用意しておきましょう。
道具 | 用途 |
---|---|
剪定バサミ![]()
|
枝を切るときにメインで使用する(直径1.5cm程度までの枝が目安) |
刈り込みバサミ | 木の表面を刈り込むときに使用する |
植木バサミ |
特に細かい枝の切断に使用する |
剪定ノコギリ![]() |
剪定バサミでは切りづらい太い枝の切断に使用する |
園芸用の脚立![]() |
高い位置の枝を切るときに使用する 屋外の凸凹がある地面でも安定する三脚のものを選ぶ |
園芸用の手袋![]() |
作業中の手を守る 軍手だと枝やトゲが貫通するので、樹脂コーティングされたものがおすすめ |
癒合剤![]() |
剪定後の切り口の回復を促し、病原菌の侵入を防ぐために塗る |
刈り込みバサミで広い面積を刈り込んだあと、植木バサミで整えます。枝を根元から切るときは、剪定バサミを使いましょう。
他にも、切った枝を集める熊手やホウキがあると便利です。
サツキの花が咲かないのはなぜ?
サツキの花が咲かないときに考えられる原因は、「花が咲いた後に刈り込みを行う時期が遅い」か、「花芽がつくられた後に刈り込んでしまっている」ことです。
サツキ(サツキツツジ)は、ツツジ類の中でも開花時期が遅い樹種で、5月中旬~6月上旬に花が咲きます。一方で、花芽が分化する時期は他のツツジ類とかわらず、7月中旬です。
開花期の終盤になったらできるだけ早く、しおれかけた花を摘み取り、刈り込みまで行いましょう。
また、7~8月を超えるとサツキの新梢の先端には翌年の花芽がついているので、それ以降に刈り込みを行うと花芽をすべて落としてしまいます。夏を過ぎたら、樹冠から飛び出した枝を切って整える程度にしましょう。
剪定後のサツキのお手入れで気を付けるポイント
きれいな花を咲かせるためには、栽培環境にを気を配る必要がありますが、神経質になる必要はありません。サツキは丈夫な植物なため、剪定後は水やりと肥料、虫除けを行っていればOKです。
例えば水やりに関しては、サツキを鉢植えで育てている場合はたっぷり与えるようにしましょう。サツキは乾燥に弱く、根腐れにも耐性があるため、多く与えても問題ありません。
庭に植えている場合は、雨が少ないなどの特別な事情がない限りは、水やりは基本的に不要です。
植え付けや植え替えにも適切な時期がある
植え付け・植え替えを検討している人は、適切な時期を見極めるのが基本的なポイントです。主に以下のタイミングが理想とされています。
- 3月下旬〜6月中旬(開花時期以外)
- 9月下旬〜10月
また植え替える際は、古い土が根に残らないように丁寧に土を払うように気を配りましょう。その際、傷んだ根や枯れた根がないかをチェックして、必要に応じて切り落としておくのも大切です。
植える際は、根が呼吸できるように深植えをしない点も忘れないようにしましょう。
サツキがかかりやすい病気・害虫に注意する
丈夫なサツキでも、病気や害虫に襲われる可能性はゼロではありません。代表的な病気として「褐斑(かっぱん)病」が挙げられます。褐斑病は、葉に褐色の斑点が出る病気で、外観を損ねる原因になります。
また春や秋の時期は、ベニモンアオリンガという蝶の幼虫が繁殖することもあり、大切な新芽を食べてしまうので厄介です。
ベニモンアオリンガは湿気のある場所に集まりやすいので、細い枝などを細かく剪定して風通しをよくしておくと、食害の被害を軽減できるでしょう。
ただ状態次第では、農薬の利用を検討する必要もあります。初めて農薬を扱う人は、散布方法や容量には注意しましょう。
剪定したサツキの枝は挿し木にして株を増やせる
「挿し木」を行えば、現在あるサツキの株数を増やすことは難しくありません。挿し木とは、植物の枝葉を切り取り、土に植えて根付かせる方法ですが、サツキも同様の方法で繁殖ができます。
ただ、挿し木を成功させるにはタイミングも重要です。サツキに関しては、花が落ちて新芽がつく7〜8月が最適な時期です。長さ10〜15cmほどの新芽のある枝を選び、水をたっぷり含んだ土を入れた鉢植えに挿します。
乾燥に弱いため、日光が当たりすぎないように置き場所を選び、土が乾かないよう頻繁な水やりも忘れないようにしましょう。
サツキとツツジの違いはある?

サツキとツツジは花の見た目が似ているので、明確に区別がついていない方もいるのではないでしょうか。
サツキは正式名称を「サツキツツジ」といってツツジ科に属しており、学術的には同じ仲間といえます。花や葉の形も非常に似ているので、パッと見ですぐに判別するのは難しいでしょう。
ただ、よく観察すると細かな違いを見つけられ、異なる種類であることが分かります。
例えば葉の大きさが異なる点として挙げられます。ツツジの葉は大きいもので10cmほどまで成長しますが、サツキの葉はツツジよりも小さいのが特徴です。
また、サツキの葉は滑らかな表面をしているのに対して、ツツジの葉裏には細かな毛が生えています。触れば簡単に違いが分かるでしょう。
サツキの剪定はプロに依頼するのもおすすめ
「自分でうまく剪定する自信がない」「忙しくて定期的に剪定する時間がとれない」という方は、植木屋や庭師と呼ばれる剪定のプロに依頼するのもおすすめです。
庭木の剪定料金相場
単価制で依頼した場合、一般的な庭木の剪定料金の相場は以下の通りです。
庭木の高さ | 1本あたりの料金相場 | 剪定ゴミの回収料金 |
---|---|---|
1m以下 | 950~1,200円 | 950~1,200円 |
1~2m以下 | 1,900~2,400円 | 950~1,200円 |
2~3m以下 | 2,900~3,600円 | 950~1,200円 |
3~4m以下 | 4,200~5,400円 | 1,400~1,800円 |
4~5m以下 | 5,700~7,200円 | 1,900~2,400円 |
5~6m以下 | 8,600~10,800円 | 2,900~3,600円 |
6~7m以下 | 12,400~15,600円 | 3,800~4,800円 |
7~8m以下 | 16,200~20,400円 | 5,000~6,000円 |
生垣の場合の料金目安は以下の通りです。
生垣の高さ | 幅1mあたりの料金相場 | 剪定ゴミの回収料金 |
---|---|---|
1m以下 | 660~840円 | 100~120円 |
1~2m以下 | 1,100~1,440円 | 190~240円 |
2~3m以下 | 1,900~2,400円 | 300~360円 |
※ミツモアの過去3年間(2022年1月1日~2024年12月31日)の見積もり依頼データから算出
庭木の剪定をプロに依頼する流れ
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