大切なペットを失ったとき、考えなければならないのが葬儀方法です。ペットを火葬にしたい場合、無料で引き受けてくれる場所はあるのか気になる人もいるでしょう。火葬にかかる費用や、自治体と民間火葬業者の違いなどについて紹介します。
ペット火葬は無料でできる?
ペットの火葬を無料で行うためには、私有地へ埋葬するか、費用がかからない地域であれば自治体や保健所に火葬を依頼するという方法があります。
自身で火葬することはできるのかといった疑問からお答えしていきたいと思います。
自分で火葬することは法律で禁じられている
「私有地内でペットの遺体を火葬すれば無料だ」と考える人もいるかもしれません。しかし法律では、家庭でペットを火葬することを禁じています。
ペットの遺体は法律上では「廃棄物」扱いとされており、廃棄物を家庭で焼くと法律違反になる恐れがあるのです。ペットの遺体を焼くと有害物質・臭いなどが出て、自宅だけでなく近隣住民が被害を受ける事態になることもあります。
ペットの火葬業者は専用の火葬炉を使用し、有害物質・臭いが出ないように処理できますが、一般家庭に高温で燃焼させる設備はないので、自分で火葬をすることはできません。
法律に違反すると、罰金刑・懲役刑に処されます。自宅で火葬しようとせず、自治体・業者に依頼しましょう。
私有地への埋葬はできる
ペットの遺体を私有地に土葬することは、法律違反ではありません。遺体をそのまま土葬することもできますし、業者に依頼して火葬してもらった後に遺骨を埋めることもできます。
自分の土地に土葬する場合、「十分な深さのある穴」を掘って埋めてあげましょう。大型のペットを埋めるには、かなり大きな穴を掘らなければならないので、それなりに広い土地が必要です。浅い穴では野生動物に掘り返されたり、死臭がもれ出たりする原因になります。腐敗臭を嗅ぎつけたカラス・害虫などが、集まるリスクもあるでしょう。
また遺体が完全に骨になるまでには、かなりの長い月日がかかる点にも注意しなければなりません。
無料で火葬してくれる自治体や保健所もある
ごく一部のペット霊園やNPO、自治体では無料で火葬を行っていることがあります。無料で火葬を行える自治体の例としては、以下のような地域があります。
自治体・保健所 | HP URL |
北海道函館市 | ペットが死亡したので火葬したいのですが |
東京都港区 | 犬や猫などのペットが亡くなったとき |
※東京都港区については、コロナウイルスの拡大に伴う区民の経済的負担軽減を目的とした取り組みとなっており、少なくとも令和5年度中は無料となります。
なお、こうした自治体や保健所などで実施される無料の火葬は「合同で火葬をする形式(合同火葬)」であることが大半です。
「合同火葬」とは、さまざまな家のペットの遺体を引き取って、一緒に火葬することを指します。自治体によっては、生ごみと一緒に火葬になってしまうこともありますので注意が必要です。
遺骨を拾ったり返却してもらったりはできないのが一般的で、きちんとしたペットの葬儀をしようと思う人は避けた方が無難です。
私有地などがない場合にはまずはお住まいの自治体のHPを確認してみると良いでしょう。
送迎や納骨・埋葬は無料といった火葬事業者もある
無料ではないものの、なるべく費用を抑えたいという方には、送迎や納骨などは無料で火葬などにのみ費用がかかるという火葬業者を利用することも検討してみると良いでしょう。
例えば、東京都の慈恵院では引き取りやお迎え、納骨と埋葬に関しては無料で提供しています。ただし、これらの費用が無料だからといって全ての費用が無料であるわけではありません。火葬にかかる費用やオプションの利用料などがかかりますので事前にかかる費用について確認するようにしましょう。
なお、ミツモアでは事前にチャット形式で費用の見積もりを取得することができます。火葬事業者や葬儀社を探されたい方はぜひお住まいの地域の事業者を確認してみてください。
ペット火葬の費用は何で決まる?
ペットの火葬にかかる費用はさまざまです。何を基準に金額を決めているのか、疑問に思う人もいるでしょう。火葬にかかる費用を理解するために、押さえておきたいポイントを紹介します。
火葬方法の種類
火葬の種類は主に「合同火葬」「個別一任火葬」「個別立ち会い火葬」「訪問火葬」の4種類です。この中で最も費用がかかるのが個別立ち会い火葬で、最も少ない費用で済むのは合同火葬となります。
手厚い葬儀をしたいと思うほど、費用も増えるのが基本です。合同火葬はほかのペットと一緒に火葬をするので、ペットの遺骨は返却されません。
個別一任火葬は家族が立ち会わず、業者のスタッフが遺骨を拾ってくれます。個別に焼くので、希望すれば遺骨を返してもらえる場合もありますし、霊園への埋葬・供養まで一任することも可能です。
訪問火葬は火葬炉付きの車で自宅を訪問する方法で、「移動火葬」とも呼ばれます。全てのペット葬儀社で扱っているわけではありませんが、焼き場へ行けない事情がある人におすすめです。
ペットの大きさ
火葬費用はペットの大きさ・体重によって、変わってくるのが一般的です。大きなペットほど、多くの費用がかかります。小動物なら数千円から1万円程度で済みますが、大型犬になると数万円の費用がかかることも珍しくありません。
「対応可能な大きさやペットの種類」が決まっていることもあるので、事前に確認しましょう。ペット葬儀社のホームページなどで、種類別・大きさ別の費用を確認できます。料金面が不明な場合は、問い合わせてから依頼した方が安心です。
自治体か民間か
ペットの火葬をどこに依頼するかによっても、費用が変わります。自治体でペットの火葬を行っている場合、民間業者よりも安い費用に設定されているのが一般的です。
民間業者の場合、複数のプランの中から家族が納得できる見送り方を選べます。ペットを家族の一員と考え、人間の葬儀に近い形で見送ることも可能です。
家族の手で遺骨を拾って、ペット霊園に納骨してあげることもできます。費用はかかってもしっかりとした供養がしたい人は、民間業者がおすすめです。
自治体火葬の相場や特徴
ペットの火葬費用を安く済ませたいなら、自治体に依頼する方法があります。しかしどのように焼かれるのかを知らないと、後悔する恐れがあります。依頼する前に知っておきたい注意点や、自治体でのペット火葬の方法などをチェックしましょう。
民間より相場が安い
地域によって相場は異なりますが、自治体でペットの火葬を行う場合の費用は、1,000円前後から数千円程度です。3,000~5,000円程度に設定している自治体は、少なくありません。
「1匹につきいくら」となっていることもあれば、「1kg以上5kg未満でいくら」というような料金設定になっていることもあります。
また直接持ち込むか、回収してもらうかを選択できる場合もあるので、チェックしてみましょう。
横浜市を例にすると、合同火葬の場合は3,000円ですが、これは斎場に直接持ち込む場合の金額です。出張回収の場合は6,500円となっています。
自治体依頼時の注意点
自治体でのペット火葬は費用面だけでなく、扱い方もさまざまである点に注意しましょう。合同火葬になるケースが多く、個別火葬してくれることは少ないといえます。
民間業者に依頼する場合とは違って、遺骨は返ってこないケースがほとんどです。手厚い供養を望んでいる場合、希望通りにならないことを覚悟しておいた方がよいでしょう。
ペット専用の火葬炉がない自治体では、生ごみと一緒に焼かれることもあります。もちろんごみとは別に、ほかのペットたちと合同火葬する自治体もあるので、「どのように扱われるのかを確認して決めること」が大事です。
受付が平日のみである場合が多く、受付可能な時間帯も決まっています。平日の昼間のみの受付では、仕事の都合などで家族全員で見送れないケースもあるでしょう。
対応も自治体によってさまざま
火葬後の遺骨がどうなるかも、自治体によって異なります。ペット霊園に合同で埋葬・納骨をする場合もあれば、骨が残らないように高温で焼き尽くす場合もあるのです。
管轄の窓口に尋ねれば、どこに埋葬されるかを教えてもらえる場合もあるので、気になる人は問い合わせてみましょう。埋葬される場所が分かっていれば、お参りに行けます。
またペットの火葬自体を行っておらず、民間の業者を紹介する自治体も少なくありません。このような場合、自分で業者を探した方が、満足できる結果になる可能性もあります。
民間火葬の相場や特徴
民間のペット火葬業者を頼る場合、費用・プランの内容をチェックするだけでなく、悪質な業者に依頼しないように注意することも大事です。ペット火葬業者の相場や、特徴を見ていきましょう。
民間火葬の相場
民間のペット火葬業者は、ペットの大きさ・体重によって料金を変えています。火葬方法によっても、必要になる費用が違うのが一般的です。
例えば小動物・小型犬など体重5kgまでのペットを合同火葬する場合は、1万6,000円前後が相場となります。最も手厚い供養ができる立ち会い火葬では、2万3,000円前後です。
体重40kgまでの大型犬になると、合同火葬では4万円前後、立ち会い火葬では4万7,000円前後になります。個別一任火葬の場合、合同火葬と立ち会い個別火葬の中間程度の金額です。
なおこれらの金額は目安であり、業者によって異なる点に注意しましょう。小型の動物はより安く、大型の動物はより高い金額が設定されているケースもあります。
ペット火葬・ペット葬儀の相場
18,000円
標準相場
14,700円
リーズナブル
22,800円
プレミアム
民間火葬の特徴
民間のペット火葬業者の場合、プランを自由に選べる特徴があります。最後までペットに付き添いたい人や、遺骨を拾ってあげたい人は希望をかなえられるでしょう。
訪問火葬を行っている業者では、土日祝日・早朝・夜間など「日時の希望に対応できること」が少なくありません。
日時の融通が利けば、それだけ多くの家族・友人などで見送ってあげられます。ペット霊園の火葬場を利用する場合は、火葬後の納骨も可能です。
悪質な業者に注意
ペットの火葬業者の中には、悪徳業者もいます。ペットを失った悲しみにつけ込んで、悪事を働こうとする業者もいる点を頭の片隅に置いておくと、失敗を防げるでしょう。
過去の事例として、火葬を依頼したのに実際には火葬をしておらず、山中に不法投棄していたという例があります。また火葬とともに返骨も依頼したら、ほかのペットの遺骨が返ってきた事例もあります。
悪徳業者に依頼しないようにするには、事前に「どんな企業なのかを調べておくこと」が大事です。
ホームページを見ても所在地・連絡先が分からず、運営会社の情報が不透明という場合は信頼できません。どのような設備をそろえているかも確認したいポイントです。
火葬費用を安く抑えるには
最大限の供養をしてあげたくても、金銭的な事情で限度があるのは仕方がないことです。火葬費用をできるだけ安く抑えたい場合に、実践したい方法を見ていきましょう。
相見積もりを取る
ペットの火葬業者に依頼する際は、相見積もりを取るのが基本です。複数の業者に見積もりを取ることで、総額だけでなく「何にどれだけの費用がかかっているのか」を把握できます。
同じようなプランであっても、業者によって金額が異なることは珍しくありません。少しでも費用を抑えたいのであれば、複数の業者で見積もりを出してもらうことが必要です。
ミツモアを利用すれば、簡単に相見積もりを取れます。複数業者の中から最適な業者を見つけたいときに、ぜひ利用しましょう。
不要な葬祭用品をプランから外す
ほかの業者に比べて高い料金が設定されている場合、葬祭用品などがプラスされているケースが少なくありません。ペットの葬儀プランとセットになっているもので多いのが、「お供えセット」や「焼香セット」などです。
自分で用意できるものはプランから外せば、その分の費用を抑えられます。自分で葬祭用品を用意するよりも、値段が高く設定されている場合もあるので、見積もりを取って内訳を確認することが大事です。
費用よりも業者や種類で選ぶことが重要
「ペットの火葬を無料で行えれば費用面で助かる」と感じるケースは多いですが、費用だけを見ていると思ったような供養ができず、かえって悲しい思いをする場合があります。
ペットの火葬は、やり直しができません。できるだけ費用をかけないようにするポイントを押さえながらも、家族が納得する方法で火葬をするのがおすすめです。
ペットを失った悲しい気持ちをより深いものにさせないためにも、「遺骨は返却してもらいたいか」「立ち会いをしたいか」などをよく考えてから依頼しましょう。