ミツモアメディア

樹木葬はペットと一緒のお墓に入れる?メリット・デメリットや費用相場を解説

最終更新日: 2023年05月27日

樹木葬は遺骨を自然に還す自然葬の1つです。近年はペット専用の樹木葬や、飼い主とペットが一緒に眠れる樹木葬が注目されています。ペットの樹木葬とはどのような埋葬方法なのでしょうか?種類別の特徴や費用相場、注意点など解説します。

ペットの樹木葬とは?

樹木葬の樹木

近年はペットの弔い方にこだわりを持つ人が増えています。その中で「樹木葬」は、ペットと自然が共生できるお墓の形です。

昔からある自然葬の1つ

樹木葬は遺骨を自然に還す「自然葬」の1つです。自然葬とは遺骨を海や大地などの自然に還す葬送形式で、墓や納骨堂に遺骨を納めないのが特徴です。樹木葬のほか土葬や海洋散骨なども、自然葬に該当します。

樹木葬では墓碑を立てる代わりにシンボルツリーを配置し、その周りに遺骨を埋葬します。シンボルツリーとは文字通りシンボル(象徴)となる樹木を意味しますが、樹木でなければならないというルールは存在しません。花や花壇の周りに遺骨を埋葬する方法もあります。

樹木葬が注目され始めたのはごく近年ですが、「自然の中で土に還る」という考え方は、昔から存在していました。ペットだけでなく人間の樹木葬も、増加傾向にあります。

ペット樹木葬のメリット・デメリット

ペットの樹木葬にはメリットとデメリットの両方があります。埋葬後の遺骨は取り出しが難しいため、納骨堂で管理する方がよいと感じる人もいるようです。ペットの葬儀は埋葬したら終わりではありません。将来のことも考え、人とペットの両方に最適な方法を選びましょう。

メリット:ペットを自然に還せてコストも低い

樹木葬のメリットはペットを自然に還せる点です。樹木や花に囲まれた場所で永眠できるのは、ペットにとって幸せなことでしょう。シンボルツリーがすくすくと成長する姿に、ペットの姿を重ね合わせる人も、少なくありません。

樹木葬のできるペット霊園は自然豊かな場所にあり、管理者によって定期的に手入れが行われています。墓地のような暗いイメージがないため、足を運ぶ回数も増えるでしょう。

また大きな墓碑が不要な分、初期コストを低く抑えられます。お墓や納骨堂に比べ樹木葬は、年間管理費用が安く設定されているケースが多いようです。自宅での樹木葬なら、コストはほとんどかかりません。

デメリット:埋葬後は遺骨を取り出せない

ペットのお墓や納骨堂では、飼い主の要望に応じて遺骨が取り出せます。樹木葬は遺骨を掘り出せない場合が多く、「遺骨を自宅で管理したい」「ほかの墓地に移動させたい」といった希望はか叶えられない可能性が高いです

遺骨や遺体の掘り起こしが難しい点を考慮すると、樹木葬に適した敷地も限られます。自宅の敷地内で樹木葬を行う場合は、引っ越しや土地の売却・分譲をしないのが前提です。

そもそも自然の中で穏やかに眠るペットを、人間の都合で掘り出したり移動させたりする行為は控えた方がよいといえるでしょう。

ペット樹木葬の3つの種類

ペットの樹木葬には「自宅で行う樹木葬」「ペット専用の樹木葬」「人も一緒に入れる樹木葬」の、3パターンがあります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

自宅で行う樹木葬

私有地がある人は自宅での樹木葬が可能です。庭のシンボルツリーを見るたびにペットを思い出し、懐かしく愛おしい気持ちになるでしょう。穴を掘ったり草むしりをしたりする手間はかかりますが、管理費用は0円です。

自宅といっても賃貸住宅やアパートの共有スペースには、くれぐれも埋葬しないようにしましょう。

埋葬方法には「土葬」と「埋骨」の2パターンがあります。異臭や害虫、野生動物による被害を考えると埋骨がベターですが、「自然の状態で土に還してあげたい」という場合は、土葬を選んでもよいでしょう。

ペット専用の樹木葬

数はそれほど多くありませんが、全国各地に「ペット専用の樹木葬」ができるペット霊園が存在します。管理は霊園が行うため、荒れ放題になる心配がありません。火葬やお葬式とのセットプランになっている場合が多く、火葬から埋葬までを、ワンストップで任せられます。

日本にはペット霊園を規制する法律はなく、行政の許可を得なくても、ペット霊園事業を行えるのが現状です。人を埋葬する霊園に比べて倒産のリスクが高く、将来にわたり供養が保証されない点にも留意すべきでしょう。

人も一緒に入れる樹木葬

人とペットを一緒に埋葬してはいけないという、法律上の決まりはありません。宗派による制限がなく、かつ霊園・寺院が許可していれば、人とペットの共葬が可能です。ペット専用の霊園と違い、倒産リスクが低い点もメリットでしょう。

人とペットの共葬を許可しているのは、民営霊園がほとんどです。民営霊園の中でも樹木葬はそれほど多くはないため、選択肢が限られる可能性があります。

またペットと一緒に樹木葬を行うには、家族の理解を得なければなりません。人とペットの遺骨が混ざる場合は、どちらか一方だけを取り出すことは不可能です。

ペット樹木葬の形式

ペットの樹木葬の形式には「個別型」「集合型」「合祀(ごうし)型」があり、どれを選択するかによりコストや手間が異なります。

個別型の樹木葬

個別型の樹木葬はペット単位・家族単位で管理する方法で、1区画ごとにシンボルツリーを設けるのが特徴です。霊園によっては、好きな樹木や花を選択できる場合があります。

集合型や合祀型よりも費用は高くなりますが、個別にお供え・お参りができるのがメリットです。遺骨を直接土に埋めるケースが多く、まさに「土に還る」という言葉の通りの方法といえるでしょう。個別型は以下のような場合におすすめです。

  • 個別のシンボルツリーを設けたい
  • ほかのペットの遺骨と別々に管理したい
  • 人間もペットと同じ樹木葬を行いたい

集合型の樹木葬

集合型の樹木葬もペット単位・家族単位で管理するのが基本です。遺骨は個別に埋葬されるため、ほかのペットの遺骨が混じる可能性はありません。個別型と違い1本のシンボルツリーの周囲に、複数の区画を設ける形となります。

集合型は以下のような場合におすすめです。

  • 個別のシンボルツリーにこだわらない
  • ほかのペットの遺骨と別々に管理したい
  • できるだけ費用を抑えたい

集合型の定義は霊園によって異なります。合祀を集合型と表記する霊園もあるため、詳細をよく確認しましょう。

合祀型の樹木葬

合祀型は複数の遺骨を一緒に埋葬する方法です。1本または複数のシンボルツリーの周囲に共同区画を設け、その中に複数のペットの遺骨を納めます。

共同区画内は「複数のペットの骨を混ぜる方法」と「穴を分けて遺骨を混ぜない方法」の、いずれかで管理されます。1つのプレートに複数のペットの名前が刻まれるため、個別にお参りやお供えをしたい人には向いていません。合祀型は以下のような場合におすすめです。

  • 寂しい思いをしないように、ほかのペットと一緒に埋葬したい
  • 年間管理費を安く抑えたい

ペット樹木葬にかかる費用相場は?

樹木葬は墓石を立てるよりも低コストですが、霊園では運営維持費や初期費用をはじめとする、さまざまなコストがかかります。費用相場と内訳を確認しましょう。

ペット樹木葬の費用相場

ペット専用の樹木葬では、個別で納骨するか(個別型)、ほかのペットと一緒に納骨するか(合祀型)で費用が異なります。

個別型の場合は10万円から、合祀型は1万円からが相場で、集合型はその中間と考えましょう。人と一緒に入れる樹木葬の場合、20万~150万円が相場です。

費用には以下のようなものが含まれます。

  • 永代使用料:遺骨を安置する場所の費用
  • 永代供養料:遺骨の供養を委託する費用
  • 年間管理費:管理のために毎年発生する費用
  • 納骨料:納骨時の作業料
  • プレート代・彫刻料:石材費とペットの名前を刻む費用

多くの場合において永代使用料と永代供養料は、セットで支払います。合祀型は個別型よりもトータルの費用が安く、年間管理料を無料とするケースも少なくありません。

樹木葬の費用は地域によって差があります。内訳は霊園ごとに異なるため、詳細を記した見積もり書を出してもらいましょう。

自宅で行う場合のおおよその費用

自宅で行う場合には永代使用料や永代供養料、年間管理費などがかかりません。すでにある樹木の根元に埋葬すれば、必要なのは樹木の維持費のみです。墓碑の代わりとなるプレートは5,000~3万円前後で購入できますが、自宅の庭であればなくても構わないでしょう。

自宅での樹木葬はコストがかからない分、作業に手間がかかります。庭に十分な深さの穴を掘り、遺骨や遺体を安置して盛土をします。火葬後に埋骨を行う際は、ペット火葬業者に火葬を依頼しなければなりません。

火葬費用は火葬方法(個別火葬・立会火葬など)やペットの体格によって変動します。5kg未満の猫やうさぎであれば、2万円前後が相場です。業者に依頼する際は複数の会社から見積もりを取り、料金やサービスを比較するのがおすすめです。

ペット火葬・ペット葬儀の相場

19,800

標準相場

14,200

リーズナブル

27,800

プレミアム

ミツモアでペット火葬・ペット葬儀を比較する

ペット樹木葬を自宅の庭で行う場合のポイント

自宅での樹木葬には遺骨を埋葬する「埋骨」と、遺体をそのまま土に埋める「土葬」の2パターンがあります。特に土葬を行う場合は、埋葬場所や穴の深さに注意しましょう。

穴は1~2メートル程度は掘る

庭の穴

自宅の庭に埋葬する際は、スコップで十分な深さの穴を掘ります。じめじめとした日陰ではなく、日当たりや風通しがよい場所を選びましょう。

ペットの大きさにもよりますが、土葬であれば1~2m程度の深さは必要です。1m未満の浅い穴だと、野生動物やカラスに掘り起こされる恐れがあります。遺体は腐敗が進むと独特の匂いを発するため、近隣トラブルに発展するかもしれません。

密集した住宅街で隣家との距離が近いのであれば、土葬による樹木葬は控えた方がよいでしょう。

遺体を包む布は自然素材のものを使う

タオル

遺骨はじかに埋めても構いませんが、遺体は布で包んでから安置します。土に還るまでの時間は長くなりますが、布に包んだ方が臭気を抑えられるためです。

化学繊維は土に還らないため、布の素材は綿や麻などの天然素材を選びます。猫や犬であれば、綿100%のバスタオルを使うとよいでしょう。異臭を抑えたいからといって、ビニールシートをかぶせるのはNGです。

埋葬後は土中のバクテリアが遺骨や遺体を分解します。骨が土に還るまでに、数年~数十年はかかると考えておきましょう。

埋葬後は土を高く盛る

盛り土

埋葬後は地面をしっかりと押し固め、こんもりと盛土します。地面を平坦にすると、時間の経過とともに陥没が起こります。遺骨や遺体が分解されるにつれて土中に空洞ができ、地面が徐々に下がっていくためです。

地面のくぼみに雨水がたまったり、遺骨や遺体の一部が露出したりするのを避けるため、定期的に土をかぶせ直しましょう。地面と30cmほどの差があるのが理想です。

樹木葬では埋葬場所の周囲に、花の種を植える人もいます。盛土の上に大きめの石やプレートを置いておくと、野生動物に掘り返されるリスクが低減するでしょう。

関連記事:ペットは土葬しても大丈夫?土葬の手順やポイント、注意点も解説|ミツモア

ペット樹木葬を霊園で行う場合の注意点

自宅での樹木葬と違い霊園での樹木葬には、さまざまな費用が必要です。遺骨の取り出しが困難なため、入念に情報収集をした上で「どこで・どのような埋葬方法をするか」を、家族で話し合う必要があるでしょう。霊園で樹木葬を行う際に確認すべき点を解説します。

宗教不問かを確認

霊園や寺院で樹木葬を行う際は、宗教の制限がないか確認しましょう。ペット樹木葬には次のパターンがあります。

  • 宗教不問のペット樹木葬
  • 利用者の宗教を限定するペット樹木葬
  • 檀家のみが利用できるペット樹木葬

民間が運営するペット霊園は、宗教不問のケースが多いですが、寺院に併設されたペット霊園は宗教・宗派を問う場合が大半でしょう。併設のペット霊園を利用する、またはペットと共葬するには、その寺院の「檀家」になる必要があるケースも考えられます。

檀家とは特定の寺院の信徒となることです。定期的に会費やお布施を支払い、経済面で寺院を支えます。

埋葬方法も確認

樹木葬のパターンは個別型・集合型・合祀型に分かれますが、希望する方法が選択できるとは限りません。最初は個別型で供養し、数年後に合祀される場合もあります。

また遺骨をじかに埋めるところもあれば、骨壺やカロートに納めるところもあり、樹木葬の定義は霊園によってさまざまです。「ペットと一緒」を謳っていても、ペットは同じ霊園内の供養塔で供養されるケースもあるようです。

埋葬後は遺骨の取り出しや移動が難しくなります。「別の霊園にすればよかった」と後悔しないように、実際に足を運んで詳細を確認しましょう。

ペットの樹木葬は事前に情報収集を

ペットの樹木葬は「死んだら土に還してあげたい」と考える飼い主に支持されています。お墓を立てるよりも費用を抑えられる上、自然との共存が実現します。樹木葬といってもさまざまなパターンがあるため、事前の情報収集は入念に行いましょう

自宅で樹木葬を行う場合は、近隣住民への配慮が欠かせません。犬や猫の土葬はあまり一般的ではなく、穴の深さが足りないと異臭や害虫が発生します。ペットが安心して永眠できるように、トラブルが起きないやり方を模索しましょう。

ミツモアでペット火葬・ペット葬儀を比較する