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切妻屋根のメリットは多い!特徴やメンテナンス方法も紹介

最終更新日: 2023年03月31日

日本の住宅でも広く採用されている屋根形状の1つに「切妻屋根」があります。構造上のメリットを把握して、屋根選びに役立てましょう。デメリットやメンテナンスの方法も押さえておけば、屋根を設置した後のトラブルにも対処しやすくなります。

切妻屋根の形と特徴

軒を連ねる家々

屋根にはさまざまな形状があり、それぞれ特徴が異なります。多くの戸建て住宅に採用されている「切妻(きりづま)屋根」は、どのような構造をしているのでしょうか?似た造りの「寄棟屋根」との違い、切妻屋根の由来も併せて紹介します。

2面からなる三角屋根

切妻屋根は2面で構成されており、本を開いてかぶせたような形をしています。シンプルな構造が特徴で、長期的に住む総2階建て住宅で多く選ばれている屋根です。

日本では約半分の家に採用されており、屋根材メーカーも切妻屋根に使われる前提で製品を作っています。家を建てるときもこちらから別の形を指定しなければ、切妻屋根に設計されるのが一般的です。

切妻屋根の頂点部分を「棟」、斜面に沿うように設置されているものを「破風板(はふいた)」と呼びます。外壁からはみ出している部分のうち、雨どいを付ける「鼻隠し」以外の部分が「ケラバ」です。

寄棟屋根との違いは?

切妻屋根と同じ三角屋根の1つに「寄棟屋根」が挙げられます。どちらにするか悩む人も多く、切妻屋根に次ぐ選択肢となるタイプです。

「寄棟(よせむね)屋根」は2面で構成する切妻屋根とは異なり、頂上から軒に向かって4面で構成されています。2面しかない切妻屋根は家を建てる向きが限定される一方、4面の寄棟屋根は方角を選びません。

また屋根の傾斜を緩くして、建物全体の高さを抑えられる点も寄棟屋根の強みです。切妻屋根はある程度の傾斜を付けないと強度を確保できませんが、4面がそれぞれ支え合う構造の寄棟屋根は緩い勾配でも強度を保てます。

ただし寄棟屋根はパーツが多い分だけ、切妻屋根よりも施工のコストが高くつきます。雨漏りが起きやすいのも切妻屋根と比べて劣るポイントです。

切妻屋根の由来

「切妻屋根」という名前の由来は屋根のパーツの名前と形です。「妻」と呼ばれる屋根面の端を、スパッと切ったような形状から名付けけられました。

日本では古くから採用されてきた屋根で、歴史的な建造物にも多く確認できます。伊勢神宮や出雲大社など、由緒ある神社仏閣でもよく見受けられる形状です。

一般住宅用の屋根としても昔から普及しており、古民家などで切妻屋根の特徴がよく表れている建物を「切妻造り」と呼ぶ場合もあります。

切妻屋根にするメリット

黒い屋根

切妻屋根が古くから国内の建造物や住宅で数多く採用されてきたのは、メリットが多いためです。人々の暮らしを支えてきた切妻屋根の強みを紹介します。シンプルな構造だからこそ支持されてきた理由が分かるでしょう。

継ぎ目から雨漏りしにくい

雨漏りの原因となりやすいのは、頂上部分の継ぎ目に施行されている「棟板金」や「棟瓦」です。

築年数が7〜8年たつと棟板金を留めるくぎがせり出してくる、棟板金自体が浮いてくるといった問題が発生します。棟瓦は漆喰(しっくい)が劣化して、水が入りやすい状態になってしまうのです。

切妻屋根には継ぎ目が1カ所しかないため、雨漏の原因となる部分は他の形状と比べて少なくて済みます。もちろん棟板金や棟瓦の定期的なメンテナンスは欠かせませんが、継ぎ目の多い屋根と比べれば圧倒的に雨漏りのリスクは低いでしょう。

小屋裏換気がしやすい

ある程度の高さを持った構造から小屋裏(屋根裏)の面積を広く取れるのも、切妻屋根のメリットです。換気がしやすくなるため、湿気がこもりやすい日本の家に適しています。広い小屋裏をロフト部屋として楽しむのもよいでしょう。

小屋裏換気をするのに特別な装置は必要ありません。軒裏や棟・妻などに換気部材を取り付けて自然に流れる空気を通します。小屋裏に広いスペースを取れる切妻屋根の家では、軒裏・棟・妻それぞれの換気を併用して効率的な換気も可能です。

施工やメンテナンスの費用が安い

切妻屋根の単純な造りは施工のしやすさにもつながります。継ぎ目が少ない分だけ、棟板金や棟瓦といった部材も少なくて済むためです。屋根の新設だけでなくリフォームやメンテナンスの際も、手早く施工が終わります。

手間がかからなければ人件費もかからず、施工費用を抑えられます。また屋根面が少なければ屋根材を使う面積もかさみにくいでしょう。屋根材と施工費用の合計を考えても、切妻屋根はリーズナブルです。

切妻屋根にするデメリット

湖の傍の家

メリットが多い切妻屋根にも弱みがあります。屋根の形状を選ぶときには、デメリットも理解した上で検討しましょう。主なデメリットは「外壁が傷みやすい」「個性を出しにくい」の2つです。

外壁が劣化しやすい

切妻屋根では軒が出ているのは2面のみで、妻側(屋根の斜面がない側)の壁が保護されません。直射日光をダイレクトに受けるだけでなく、雨や雪も直接当たってしまい負担がかかるのです。

外壁が天候からの負荷を受け続けると、剥がれやひび割れといった劣化症状が現れます。すき間から雨水が侵入して塗装の内側が傷んだり、建材に水が浸み込んで強度が低下したりといった問題が起こります。

個性を出すには工夫が必要

切妻屋根はシンプルな構造で多く採用されているだけに、外観に個性を出しにくい点がデメリットです。面が多い屋根であれば立体感がある重厚な見た目に仕上がりますが、2面の三角屋根では難しいでしょう。

しかし屋根自体にインパクトを持たせたい場合には向かないものの、飽きの来ないデザインではあります。屋根以外に工夫を凝らせば、ビジュアル面でオリジナリティを出すことも可能です。

塗装を個性的な色合いにする・妻側(正面)に大きめの窓を設置するといった工夫で、他の家とはひと味違った雰囲気を実現できるでしょう。

メンテナンスで長持ちさせよう

屋根修理業者

屋根を長持ちさせるには、定期的な点検や補修が欠かせません。切妻屋根に必要なメンテナンスを知って、屋根の機能をキープしましょう。劣化しやすい部分や効果的な補修工事の内容、メンテナンス時期の目安を紹介します。

補修が必要な部分は?

傾斜に沿って貼られている「破風板」は、天候の負荷が大きい部分です。常に強い日差しを受けて雨風にさらされるため、損傷しやすくなります。

破風の材質は木材か窯業系サイディングが一般的です。どちらも定期的に塗装メンテナンスを行って、雨水の吸収を防ぐ必要があります。

妻側の壁(妻壁)も天候によるダメージが大きい部分です。軒を短く設計した家では屋根がかぶっている面にも注意しましょう。

軒がなかったり短かったりする場所の外壁は、直に日光や雨風の影響を受けてしまいます。定期的に外壁の状態をチェックして、劣化症状があれば早急に補修することが大切です。

破風板には板金工事

破風板に多く採用されている木製タイプには、板金工事(カバー工法)での対処が効果的です。木製破風板の耐用年数を延ばし、再塗装のコストを大幅に軽減できるメリットがあります。

破風版が剥がれている部分の再塗装は最も手軽ですが、短期での施工を繰り返す必要があるのが難点です。しかし破風板自体を取り換えてしまうと、コスト面で大きな負担がかかります。

板金工事は傷んだ破風板の上から、ガルバリウム鋼板などの金属をかぶせる方法です。交換よりも手間がかからず、再塗装よりも長持ちします。板金工事が向くのは表面に剥がれや欠けがある状態の屋根で、施工費用の相場は1㎡当たり3,000〜4,500円です。

10年を目安に外壁を塗装

切妻屋根に限らず外壁は、一定期間が経過したら再塗装をおすすめします。屋根材によって若干サイクルは異なるものの、7〜10年ごとを目安にするとよいでしょう。

一口に外壁塗装といっても、使用する塗料や下塗り・中塗り・上塗りの回数などによって耐用年数は変わってきます。7年ほど経過すると劣化が進行し始めるのが一般的です。

ひび割れや剥がれが起こると雨水が侵入し、外壁へのダメージを大きくしてしまいます。安全性や快適性を損なうリスクが生じる前に、塗装を検討するのがおすすめです。

切妻屋根の特徴を知って屋根選びを

芝生の庭の家

屋根は生活を守る重要なパーツです。設置する際は家の状態や求める機能を考慮して、慎重に選びましょう。

切妻屋根はシンプルな三角屋根で、古くから一般住宅でも採用されてきました。雨漏りのしにくさや換気のしやすさ・施工費用の安さなど、数多くのメリットがあります。一方でデメリットもあるため、どちらも理解しておくと安心です。

切妻屋根を設置したら長く使えるように、点検と補修をしましょう。破風板に板金工事を施せば、再塗装をするよりも長持ちします。メンテナンスの周期は7〜10年ごとが目安です。

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