外壁や屋根に使われるセラミック塗料は、耐久性に特化したメリットの多い塗料です。
しかし家全体を塗装するとほとんどの場合高額になり、悪徳業者に利用されるケースもあります。セラミック塗料の基礎知識と業者選びの注意点を紹介しましょう。
セラミック塗料とは?基礎知識まとめ
セラミック塗料にはメリットもあればデメリットもあります。これらを知ると塗料を選ぶ際の参考になるでしょう。セラミック塗料の基礎知識を紹介します。
砂やセラミックビーズなどを配合した塗料
セラミックとは「焼き固めたもの」という意味で、陶磁器や焼き物の総称としても使われている言葉です。セラミック塗料は砂や石に加え、セラミックビーズなどを配合してつくられた塗料になります。
混ぜる砂や石は大小さまざまですが、これらを「無機物」と呼び、セラミック塗料のことを無機塗料または無機ハイブリッド塗料と呼ぶこともあります。
セラミック塗料は家の外壁や屋根に使用され、景観をよくするだけでなく、汚れが付着しづらいなどさまざまな効果があるのです。
そのため目的に応じて、塗装の塗り替えなどにも利用されます。
見た目や機能で大きく3種類に分けられる
セラミック塗料は大きく分けて、「一般的な無機塗料」「断熱塗料」「意匠性の高い塗料」の3つがあります。
「無機塗料」は汚れが付着しづらい塗料です。泥やゴミなどが付いても雨が降ればすぐに流れ落ちます。これは塗料の膜が親水性をもち、水が汚れの下に入り込みやすくなるからです。
「断熱塗料」は粒子が空洞になっているため、熱伝導率を0にする特性があります。夏は涼しく、冬は暖かくなるでしょう。
デザインを重視したい人は、「意匠性のある塗料」がおすすめです。砂や小石程度のセラミックが配合され、天然石や多色石に似せた外壁をつくれます。
色鮮やかな見た目や、立体感を演出してくれるでしょう。
気をつけたいデメリットも
セラミック塗料は一般的に使われるシリコン塗料に比べて、価格が高くなります。シリコン塗料の価格相場が1平方mあたり1,800円程度に対し、セラミック塗料は倍の3,600円程です。
割高になってしまうことが欠点といえますが、成分によっては耐用年数が長くシリコン塗料よりも約10年もつケースもあります。
手間やトータルコストを考えると、特定のセラミック塗料の方がお得になる場合もあるでしょう。
またセラミック塗料は表面が硬いため、割れやすいというデメリットがあります。大きな地震が起きた際などは、ひびが入りやすいでしょう。
ただし、火災保険に入っていれば地震で受けたひび割れは保険の対象となる場合もあり、大きな被害につながる前に発見できるというメリットもあります。
悪徳業者のセールストークに使われている?
外壁塗装の営業マンが、飛び込みで家に訪問してくることがあります。中には悪徳業者のセールスマンもいて、低品質のものを高額で売りつける場合があるでしょう。
悪徳業者がよく使うセリフや説明の仕方を紹介します。
「セラミック塗料だから長持ち」はウソ
セラミック塗料だからといって、耐用年数が長くなるわけではありません。耐用年数はウレタンやフッ素など、ベースとなる塗料のグレードに依存します。
また「セラミック100%の塗料なので長持ち」といった文句で営業する業者がいたら要注意です。セラミックは粘性がなく、他の素材と混ぜないと塗料として使えません。
現代の技術で、100%セラミックはありえないのです。
セラミック塗料といえども耐用年数は成分によりまちまちなので、必ず長持ちするとは認識しないで下さい。
万が一の事態にはクーリングオフを利用する
魅力的なうたい文句に惑わされて契約してしまった場合は、クーリングオフ制度を利用しましょう。解約を申し出たい場合は書面を起こします。
書面は「契約解除通知書」のタイトルから始まり、契約した日付や工事名に加え金額などを書きましょう。次に、この工事に対し解約したい旨を記載します。
ただし契約してから8日以内に通達しないと、解約できない場合があります。また3,000円以内の案件や、過去1年以内に1度でも取引のある業者だと、解約が難しくなるでしょう。
セラミック塗料の主な商品はこれ
長く使用されている商品や人気のある商品は、それなりの実績や安心感があります。まずはこれらを選べば、失敗も少なくて済むでしょう。
セラミック塗料の代表的な商品を紹介します。
日進産業「GAINA(ガイナ)」
ガイナは耐久性に優れた塗料です。もともとは宇宙空間の激しい温度変化に対応できるよう、ロケットを守る断熱塗料として開発されました。
この技術を家庭用に応用して、屋根や外壁用の塗料として販売しています。
断熱・保温効果があるので、冬の寒さや夏の暑さ対策にも有効です。また防音効果もあり、車のエンジン音や人の話し声など、外部の騒音対策にも期待できます。
日本ペイント「ファイン4Fセラミック」
住宅用塗料の定番商品の一つです。外壁塗料の中でもグレードの高いフッ素樹脂塗料で、そのぶん価格はやや高めです。
耐用年数は約15~20年と長く、塗り替えを考慮すればトータルコストは安く済む可能性があります。光沢のあるカラーは美しい外観にしてくれるだけでなく、対候性にも優れるので、塗りたてのツヤが長持ちします。ツヤの度合いを4段階から選べるので、好みの仕上がりとなるでしょう。
日本ペイントは数多くの実績と経験を蓄積した、日本を代表する塗装メーカーです。長い歴史に基づいた優秀な「ファイン4Fセラミック」は、期待する効果を発揮してくれるでしょう。
アペティー「ATOMOS アトモス」
アトモスは光沢のない、マットな仕上がりが特徴の塗料です。カラフルな石や陶器の粒子が高級感を醸し出す、ワンランク上のデザイン性の高い商品になります。
ホタテの貝殻を配合しているので、環境にも優しい塗料です。ホタテの貝殻は多孔質であるため湿気を吸収・放出し、湿度をコントロールしてくれます。また炭酸カルシウムも含み、抗菌・防カビ効果も備えています。
アトモスは淡い色を中心にさまざまなカラーが揃っていて、意匠性の高い塗料です。断熱性やはっ水効果もあり、外壁塗料として必要な性質を備えています。
高級な塗料になりますが効果は抜群であるため、広く支持されています。
セラミック塗料を使った代表的な工法とは
セラミック塗料を使った塗装方法にはいくつか種類があります。それぞれ特徴をもち、目的に応じて塗装方法を変えるのが一般的です。
セラミック塗装の代表的な工法を紹介します。
ローラー工法
ローラー工法とは取手のある円筒を転がして塗装する方法です。凹凸の差に応じてローラーの毛足を変えることで、多様な壁の塗装が可能です。
例えば凹凸が激しい外壁や屋根には毛足の長いローラーを用い、平たんな壁には毛足が短いものローラーを使用します。使い分けることで、塗りムラを抑えられるのです。
ローラーで塗れば厚みのある塗装ができるので、耐久性を高く保てます。
しかしローラー工法は基本的に手作業で塗っていくため、塗装面積が広いと負担が大きくなってしまいます。時間がかかると人件費が増えてしまうデメリットもあるのです。
吹き付け工法
吹き付け工法とはスプレーなどで塗料を吹き付ける方法です。ローラー工法と違い一度で広範囲に塗装できるので、時間をかけずに施工できるメリットがあります。
機械で実施するため比較的負担がかからず、コストも安くなるでしょう。
ただし塗料の量が多くなりすぎたり、ピンポイントで塗れなかったりするデメリットもあります。吹き付ける際の音が大きいので、使用する場所や時間も考慮しなければなりません。
細かい塗装には不向きですが、範囲の広い外壁などには適しています。
セラミック塗装を業者に頼む際の注意点は
セラミック塗装業者を選ぶ際は、ポイントを知らないと後悔する可能性があります。依頼する際の注意点や業者選びのコツを紹介します。
セラミック塗装が得意な業者を選ぶ
セラミック塗装は誰でも簡単にできるわけではありません。技術がないとムラができてしまい、効果があまり発揮されない場合があります。業者を選ぶ際はセラミック塗装が得意な業者にしましょう。
例えば外壁の塗り替えにリフォーム業者を選ぶとします。作業を一括で請け負うリフォーム業者は、内装や塗装など、いずれかの専門業を経て独立している可能性が高いです。そのため、もともとの専門が塗装であるかどうかに注目するとよいでしょう。
また業者に直接質問するのも効果的です。得意分野やこれまでの実績を確認し、セラミック塗装に自信がある業者を選んで下さい。
複数の業者から見積りを取る
業者は一択で選ぶより、複数の業者に声をかけて見積もりを取りましょう。相見積もりすればどこが1番安いのか、相場よりも高くなっていないかを確認できます。
また見積もり内容を比べることで施工範囲が確認でき、親切に対応してくれる業者を選びやすくなるでしょう。
個別に電話やメールして依頼すると手間ですが、ミツモアを利用すれば一度依頼内容を入力するだけで、複数の業者からの見積もりを提示してくれます。
その中から一つを選べばよいため、他の業者に断って回る必要もありません。ミツモアを使用して、賢い選択をしましょう。
セラミック塗装の費用相場は
セラミック塗装には塗料の代金をはじめ、工事の際に必要な足場代や外壁の洗浄費用などがかかります。
塗料の価格相場は1平方mあたり3,600円程度ですが、断熱塗料の場合は約4,000円、高断熱塗料なら約4,500円とグレードにより価格にも差が生まれるでしょう。
耐用年数は10年以上のものが多くなりますが、汎用ウレタンやシリコン成分が混じるものは7年程しかもたない塗料もあります。安くても耐用年数が低いとかえって手間と費用がかかってしまうので、注意が必要です。
トータルコストの目安は30坪住宅の外壁のみで90万円以上、屋根は60万円以上となります。さらに補修が必要であれば修繕費や下地代が別途必要となるケースもあります。
セラミック塗料は利点の多い魅力的な商品
セラミック塗料はよく使用されるシリコン塗料に比べて耐久性に優れ、質の高い塗装を求める人におすすめの塗料です。
種類は三つあり、耐久性の高い一般的な塗料、断熱性に優れた塗料、意匠性の高い塗料に分かれます。それぞれ外壁を守るために特化した特徴があります。
値段はシリコン塗料に比べ高く、悪徳業者のセールストークに利用される場合もあり注意が必要です。そのため業者を選ぶ際は、複数の業者から見積もりを取り見比べて決めるとよいでしょう。
後悔のないよう親切丁寧な業者を選び、納得のいく塗装をしてもらいましょう。
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