外壁塗装には紫外線や雨風から住宅を守る役割があり、目に見えてひどい劣化状態になる前に定期的な塗装をするのがおすすめです。ひと目で外壁のひび割れや浮き、剥がれがなくても、手で触った際に粉がつく場合は、塗料の劣化が進んでいます。
この記事では、外壁塗装を検討中の方に対して、各季節のメリット・デメリットや外壁塗装ができない気候条件について解説をします。
実は、外壁塗装を成功させるためには季節と同じくらい業者選びが重要になるのですが、その理由も含めて説明しますので、ぜひ最後までご覧いただければと思います。
外壁塗装ができない気候条件
外壁塗装は季節にかかわらず実施できる一方で、以下の気候条件では施工できず作業を一時中断する必要があります。
- 気温5℃以下
- 湿度85%以上
- 雨や雪が降っている
- 結露している
外壁塗装をするときは、塗った塗料をしっかり乾燥させなければなりません。気温5℃以下や湿度85%以上の気候条件は、塗料が十分に乾かず不具合が起こりやすくなるため、外壁塗装ができないのです。
雨や雪、結露が多い時期も、塗料に水分が混ざってしまい仕上がりが悪くなる恐れがあります。
とくに夏や冬は上記の気候条件になる日が多く、ほかの時期と比べると外壁塗装の施工によりいっそうの注意が求められます。
外壁塗装を依頼する際は気候条件の変化にあわせて的確に工事の時期を判断できる塗装業者を選びましょう。
外壁塗装にベストシーズンはない?
「外壁塗装のベストシーズンは春と秋であり、閑散期の「夏・冬」は避けたほうがよい」と見聞きしたことがある方、いらっしゃるのではないでしょうか。
これらの見解は間違いではありませんが、注意していただきたいポイントがいくつかあります。
ここからは、外壁塗装にベストシーズンがない理由を解説します。
ベストシーズンの春と秋でも天候が崩れる
春と秋は気候条件が良い日が比較的多いため、一般的に外壁塗装をするのに適した時期といわれています。しかし、秋は台風シーズンでもあるため、天候次第では大雨が降ってしまうことも多くあります。
また、春と秋は外壁塗装業者への依頼が集中しやすい繁忙期であるため、予約を抑えづらく、費用も高くなってしまいます。
春と秋の外壁塗装はこのようにデメリットもたくさんあります。そのため、一概にベストシーズンとは言い切ることができないのです。
閑散期の夏と冬では費用が安くなる
外壁塗装のコストをおさえたい場合は、あえて気候条件がよくない夏と冬に外壁塗装を行うのも手です。
夏や冬は外壁塗装業者が受注する工事の数が少なくなるため、通常より安いコストで施工してもらえる可能性があります。
経験豊富で対応力がある外壁塗装業者に依頼すれば、たとえ夏や冬に施工しても高品質な仕上がりが期待できるでしょう。さらに、冬の時期に外壁塗装を行う場合は、湿度が低いので塗料が乾きやすいというメリットもあります。
どの季節にもメリットとデメリットがあることがお分かりいただけたかと思います。気候条件とコストを天秤にかけ、各季節を比較しながら、ニーズに合った時期を選ぶようにしましょう。
外壁塗装の季節ごとのメリット・デメリット
ここからは、春、夏、秋、冬の各季節のメリットとデメリットを解説します。
春:3,4,5月
メリット
- 気温が適度であり、湿度も比較的安定している
- 塗料が均一に乾燥しやすく、作業がスムーズに進む
- 日照時間が長く、作業時間をしっかり確保できる
春は、外壁塗装に最も適した季節の一つです。施工の効率が良く、天候が崩れなければ計画通りに工事を進められます。
デメリット
- 花粉や黄砂が飛散しやすく、塗装面に影響を与える可能性がある
- 人気シーズンで業者のスケジュールが埋まりやすい
- 連休や引越しシーズンと重なることが多く、工事のタイミングが難しくなる
春は花粉や黄砂が飛散しやすく、塗装面に付着すると、仕上がりに影響を与える可能性があります。また、春は外壁塗装の人気シーズンでもあるため、業者のスケジュールが早めに埋まることが多いことも見逃すことができません。さらに、連休や引越しシーズンとも重なることが多く、工事のタイミングが難しくなることもあります。
夏:6,7,8月
メリット
- 日照時間が最も長く、塗料が短時間で乾燥する
- 晴天の日が続きやすく、スケジュール通りに工事が進めやすい
- 塗料の密着力が高まり、しっかりと外壁に定着する
夏は、晴天が続く日が多く、塗料が早く乾くため、短期間での施工が可能です。塗装が外壁にしっかりと定着するので、耐久性の高い仕上がりが期待できます。
デメリット
- 高温多湿で塗料の乾燥が不均一になることがある
- 作業員の体調管理が難しく、猛暑日には作業が遅れる可能性がある
- 強い日差しで塗料の乾燥が早すぎてムラが出ることがある
夏は高温多湿のため、塗料が均一に乾燥しないことがあります。特に湿度が高いと塗料がベタつくことがあり、仕上がりに影響を与えることがあります。
また、猛暑日が続くと作業員の体調管理が難しくなり、作業が遅れる可能性もあります。さらに、強い日差しの下では、塗料が早く乾きすぎてムラが出ることもあるため、施工には細心の注意が必要です。
秋:9,10,11月
メリット
- 気温や湿度が安定しており、外壁塗装に適している
- 台風シーズン後は晴天が続きやすく、施工がスムーズに進む
- 秋の澄んだ空気が塗装後の外壁を一層際立たせる
秋は、気温や湿度が安定しており、外壁塗装に適した季節です。特に台風シーズンが過ぎた後の秋は、晴天が続きやすく、施工がスムーズに進むことが多いです。また、秋の澄んだ空気が塗装後の外壁を一層美しく見せるため、仕上がりの見栄えも良くなります。
デメリット
- 台風や長雨の影響を受けやすく、スケジュールが変更になる可能性がある
- 人気シーズンで業者の予約が早く埋まることが多い
秋は、台風や長雨の影響を受けやすい季節でもあります。これにより、工事のスケジュールが急に変更になる可能性があり、予定通りに進まないことがあります。また、秋も外壁塗装の人気シーズンであるため、業者の予約が早く埋まることが多く、早めの予約が必要です。
冬:12,1,2月
メリット
- 業者のスケジュールが空いており、費用が安くなる可能性がある
- 冬の空気は乾燥しており、湿度の影響を受けにくく、塗料が安定して乾燥する
- 工事のタイミングを調整しやすい
冬は外壁塗装の閑散期とされており、業者のスケジュールが比較的自由に組みやすい時期です。そのため、工事費用が安くなる可能性もあり、予算を抑えたい方には魅力的な季節です。また、冬の乾燥した空気は、塗料が安定して乾燥するのに適しており、施工のタイミングも調整しやすいです。
デメリット
- 寒冷地では気温が低すぎて塗料が適切に乾燥しないことがある
- 朝晩の冷え込みが厳しい地域では、施工時間が制限される
- 寒さで塗料が固まりやすく、施工が難しくなることがある
冬の寒冷地では、気温が低すぎるため、塗料が適切に乾燥しないことがあります。特に朝晩の冷え込みが厳しい地域では、施工時間が限られ、スケジュールが予定通りに進まないこともあります。また、寒さで塗料が固まりやすくなるため、施工が難しくなることがあり、熟練した技術が求められます。
外壁塗装を行う周期・劣化症状
ここからは外壁塗装を行う周期とタイミングについて解説します。
結論からお伝えすると、外壁塗装の周期は10年に一度が目安です。
また、外壁塗装を行う適正時期としては、劣化症状をチェックすることも重要になります。
上記二つの観点について、それぞれ解説します。
塗り替えのサイクルは10年が目安
外壁塗装の実施時期は何年ごとのサイクルがふさわしいかというと、だいたい10年ごとを目安に検討するのがおすすめです。
10年という時期は、塗料のおおよその耐用年数に基づいています。
おもな塗料の種類と耐用年数は下記のとおりです。
種類 | 耐用年数 | 特徴 |
---|---|---|
アクリル | 5~7年 |
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ウレタン | 6~10年 |
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シリコン | 8~15年 |
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ラジカル | 8~15年 |
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フッ素系 | 15~20年 |
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現在は価格と耐用年数のバランスが良いシリコン塗料が選ばれることが多いので、外壁塗装の寿命も一般的に10年前後といわれるのです。
ただし、新築の時期にアクリル系塗料を使用している場合は3~8年程度で劣化してしまうので、10年よりも早いサイクルで外壁塗装を行う必要があり、注意が必要です。
すぐに塗装をすべき劣化のサイン
以下のサインが見られる場合は、劣化がかなり進んでいるので、すぐに外壁塗装をすべき状態です。
劣化のサイン | |
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クラック(ひび割れ) |
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塗膜の浮き・はがれ |
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シーリングの劣化 |
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どれか1つでも劣化のサインを見つけたら、一刻も早く塗替えを行いましょう。外壁塗装の時期を先延ばしすると劣化部分から雨水の侵入を許してしまい、建物が腐食して深刻なダメージを受ける恐れがあります。
季節よりも重要なのは外壁塗装の業者選び
施工技術の違い
技術力のある業者は、季節による影響をしっかりと理解しているため、気候条件に応じた適切な施工を行うことができます。
例えば、夏の高温多湿な環境でも、塗料が均一に乾くような工夫ができる技術力を持っている業者では、季節に左右されず安定した品質の施工ができます。
そのため、技術力のある業者に依頼することはとても重要です。
工事費用の違い
工事費用も業者によって大きく異なることがあります。
安価な業者を選ぶことで費用を抑えることは可能ですが、価格だけで選ぶと、品質が低下するリスクもあります。一方、高額な見積もりを提示する業者が必ずしも高品質な施工を提供するとは限りません。
そのため、工事費用の見積もりを比較する際には、費用だけでなく、使用する塗料の種類や施工方法、保証内容などを総合的に評価することが重要です。
優良な業者は、透明性のある見積もりを提示し、費用に対する説明を丁寧に行います。また、塗装後のアフターフォローが充実している業者は、万が一不具合が発生した際にも迅速に対応してくれるため、長期的に見て安心です。
相見積もりを取り、複数の業者を比較検討することで、納得のいく業者を選ぶことも重要になります。
提案力の違い
外壁塗装は、単に塗料を塗るだけではなく、住宅の特性や環境に合わせた提案力が求められます。
優良な業者は、住宅の状態や将来的なメンテナンスを考慮し、最適な塗料や施工方法を提案してくれます。
例えば、紫外線が強い地域では色褪せしにくい塗料を提案したり、雨が多い地域では防水性に優れた塗料を選ぶなど、専門的な知識を活かした提案を行ってもらえます。
外壁塗装を成功させるためには、季節の選択も大切ですが、業者選びが重要になることもお分かりいただけたかと思います。
ぜひ、じっくり業者を比較検討してみてください。
優良な外壁塗装業者の選び方
優良な外壁塗装業者を選ぶ際は、以下の4点を判断基準にすると良いです。
- 相見積もりをとって比較する
- 担当者の対応を見る
- 保証内容を確認する
- 施工実績や資格の有無を確認する
それぞれどのような判断基準なのか解説します。
相見積もりをとって比較する
見積もりをとる際は1社だけに依頼するのではなく、複数社に相見積もりをとりましょう。
複数社の見積もりを比較すれば、価格相場や対応力の差が明確になります。見積もり価格が極端に安すぎる・高すぎる外壁塗装業者には注意が必要です。
見積書の記載方法も優良な外壁塗装業者かどうか見分けるポイントになります。優良な外壁塗装業者の見積もり書は材料費と工事費が別項目になっていて、それぞれ金額の内訳が表記されているのが特徴です。一方で悪徳業者は材料と工事費をひとまとめにして一式で表記されていることが多いです。
担当者の対応を見る
外壁塗装業者の担当者がどのような対応をしているか確認することも大切です。
時期を問わず高品質な施工ができる外壁塗装業者の担当者は、スケジュール管理能力に優れています。施工する地域の気候条件を熟知していて、時期に応じた臨機応変に対応できる担当者に依頼しましょう。
施工時の対応にもポイントがあり、優良な外壁塗装業者は施工するときに必ず「下塗り」「中塗り」「上塗り」と3回に分けた外壁塗装を行います。1回塗り終わるごとにしっかりと乾燥させる必要があり、施工時期や気候条件に応じて適切な乾燥時間を確保しなければなりません。
3回塗りを行う外壁塗装業者かどうか見極めるためには、担当者に直接聞いたり見積書を確認したりする方法が有効です。担当者の回答が「1回塗りです」という場合や見積書に上塗り塗料しか記載されていない場合は、塗り回数が守られていない可能性があるため注意しましょう。
保証内容を確認する
塗装を依頼する業者の補償内容を確認することも重要です。法律では工事保証をつける義務はありませんが、多くの業者で独自の保証制度を設けています。
工事保証は、大きく分けると「塗装業者の自社保証」と「メーカー保証」の2種類です。自社保証は塗装業者が独自に設けている制度で、定期的なアフターフォローや期間内の無償補修などがあげられます。
依頼する塗装業者に工事保証制度があるか、どのような内容かを事前に確認しておくと、安心して依頼できます。しかし、トラブルの原因によっては有料となるケースもあります。保証内容とともに料金が発生する対応範囲についても確認しましょう。
メーカー保証は、塗料を製造しているメーカーが設けている保証制度です。メーカーが提示している正しい使用方法を守っている場合に適用できます。メーカー保証を利用できる業者であれば、正しい施工方法で塗装してくれるといえます。
施工実績や資格の有無を確認する
優良な外壁塗装業者か見極めるためには、これまでの施工実績や資格の有無も確認することも必要です。施工実績やスタッフの保有資格は会社のホームページに記載されていることが多いので事前に目を通しておきましょう。
住まいの診断を行うスタッフが外壁劣化診断士や建築士の資格を持っていると、豊富な知識により適切なアドバイスをもらえる可能性が高いです。資格を持たない知識不足のスタッフが診断すると、外壁塗装の施工内容や施工時期を見誤るリスクが高まります。資格を持っているかどうかは優良な外壁塗装業者を見分ける1つの判断材料になるでしょう。
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外壁塗装は、建物を長持ちさせることを主な目的として行うメンテナンスです。外壁塗装を怠ると、外壁だけでなく建物自体が大きなダメージを受ける恐れがあります。
外壁塗装が必要になる時期は、塗料の耐用年数から判断するのが基本です。外壁の状態も普段から小まめにチェックし、劣化が進んでいるなら早めの塗装を検討しましょう。
そこで重要なのが、相見積もりです。複数の業者から提示された見積額を比較検討し、納得できる費用で依頼をしましょう。