外壁塗装には紫外線や雨風から住宅を守る役割があり、目に見えてひどい劣化状態になる前に定期的な塗装をするのがおすすめです。ひと目で外壁のひび割れや浮き、剥がれがなくても、手で触った際に粉がつく場合は、塗料の劣化が進んでいます。
下は実際のビフォーアフターの写真です。施工前は白を基調とした素敵な家でしたが、劣化がひどくなる前に濃いブルー系の色に変えることで、全体がモダンな印象に変わりました。
今回は、外壁の塗り替えに適した時期や、劣化を放置によるリスクを解説します。
見た目に問題がなくても外壁塗装は必要?
外壁塗装には紫外線や雨風から住宅を守る役割があり、むしろ目に見えてひどい劣化状態になる前に定期的な塗装をするのがおすすめです。ぱっと見で外壁のひび割れや浮き、剥がれがなくても、手でさわったときに粉がつくようなら、塗料の劣化は進んでいます。
外壁塗装は何年ごとに行うのが良い?
一般的には10年ごとと言われていますが、塗料の耐用年数や劣化スピードによっても大きく左右されます。劣化のサインについては記事内で解説しています。
外壁塗装はどの時期に行うべきか
外壁塗装を行う際は、天候や繁忙期を考慮しましょう。外壁塗装をスムーズに進めるために覚えておきたい時期は下記です。
おすすめの時期は「春・秋」
外壁塗装は基本的に季節を問わず実施できますが、春と秋は気候条件が良い日が多いため、一般的に外壁塗装をするのに適した時期といわれています。
したがって春と秋は外壁塗装業者への依頼が集中しやすく、いわゆる「繁忙期」にあたります。
春夏秋冬それぞれの時期に外壁塗装をするメリット・デメリットは、以下のとおりです。
メリット | デメリット | |
春 |
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夏 |
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秋 |
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冬 |
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外壁塗装工事ができない気候条件
外壁塗装は季節にかかわらず実施できる一方で、以下の気候条件では施工できず作業を一時中断する必要があります。
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外壁塗装をするときは、塗った塗料をしっかり乾燥させなければなりません。気温5℃以下や湿度85%以上の気候条件は、塗料が十分に乾かず不具合が起こりやすくなるため、外壁塗装に向いていないのです。
雨や雪、結露が多い時期も、塗料に水分が混ざってしまい仕上がりが悪くなる恐れがあります。
とくに夏や冬は上記の気候条件になる日が多く、ほかの時期と比べると外壁塗装の施工によりいっそうの注意が求められます。
外壁塗装を依頼する際は気候条件の変化にあわせて的確に工事の時期を判断できる塗装業者を選びましょう。
繁忙期を避けるとコストが安くなることも
外壁塗装のコストをおさえたい場合は、あえて気候条件が良い繁忙期の春と秋を避けるのも手です。
夏や冬は外壁塗装業者が受注する工事の数が少なくなるため、通常より安いコストで施工してもらえる可能性があります。
経験豊富で対応力がある外壁塗装業者に依頼すれば、たとえ夏や冬に施工しても高品質な仕上がりが期待できるでしょう。
冬の時期に外壁塗装を行う場合は、湿度が低いので塗料が乾きやすいというメリットもあります。
気候条件とコストを天秤にかけてベストな時期を選ぶようにしましょう。
外壁塗装は何年ごとに行うべき?
外壁塗装を行うべき時期は、以下の3つの要素によって決まります。
- 塗料の耐用年数
- 外壁材
- 外壁の劣化具合
外壁塗装に使われる塗料にはいくつか種類があり、塗替えが必要な時期の目安となる耐用年数が異なります。
外壁材によっても外壁塗装が必要な時期は異なり、なかには塗替えが不要な外壁材もあります。
塗り替えのサイクルは10年が目安
外壁塗装の実施時期は何年ごとのサイクルがふさわしいかというと、だいたい10年ごとを目安に検討するのがおすすめです。
5~6年経つと防水性が低下してチョーキングが発生し、10年後には耐久性能が失われ塗膜が剥がれてきてしまいます。塗膜がすべて剥がれてしまう前の時期に外壁塗装を検討することが重要です。
住宅の外壁塗装で使われることが多いウレタン塗料やシリコン塗料の耐用年数は10年前後で、時間の経過にともない塗料の劣化が進みます。
新築の時期にアクリル系塗料を使用している場合は3~8年程度で劣化してしまうので、10年よりも早いサイクルで外壁塗装を行わなければなりません。
塗料の種類ごとに耐用年数が異なる
前回の外壁塗装で使った塗料の種類が分かっている場合は、塗料の耐用年数から外壁塗装のタイミングを判断する必要があります。
おもな塗料の種類と耐用年数をまとめてみました。
種類 | 耐用年数 | 特徴 |
アクリル | 5~7年 |
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ウレタン | 6~10年 |
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シリコン | 8~15年 |
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ラジカル | 8~15年 |
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フッ素系 | 15~20年 |
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現在は価格と耐用年数のバランスが良いシリコン塗料が選ばれることが多いので、外壁塗装の寿命も一般的に10年前後といわれるのです。
外壁材によってもタイミングが異なる
「窯業系サイディング」という外壁材は、現在多くの住宅で使われています。窯業系サイディングはセメントが原料で、水が浸み込まないよう定期的に外壁塗装のメンテナンスをしなければなりません。窯業系サイディングのメンテナンス時期はおよそ7〜8年です。
モルタルの外壁材も定期的な塗替えが必要で、10年程度のサイクルで外壁塗装のメンテナンスが必要な時期を迎えます。
一方で外壁材がタイルの場合は外壁塗装を行わないことが多いです。ただし目地のコーキング部分は劣化しやすいので、新しいものに打ち換えるメンテナンスが必要になります。冬や梅雨の時期はコーキングの乾燥に時間がかかることを覚えておきましょう。
外壁材に応じて適切な時期にメンテナンスすることで、外壁塗装の見た目を美しく保つことはもちろん、住まいの延命にもつなげることができます。
環境や施工状態によって早まることも
塗料ごとの耐用年数はあくまでも目安であり、その建物が置かれた環境や施工不良などの影響で、一般的な耐用年数より短くなるケースがあります。
「雨が多い」「気温が低い」「湿度が高い」といった気候の影響や、「日陰がある」「海が近い」など住宅周辺の環境の影響により、外壁の劣化が進みやすくなることがあるでしょう。
塗装業者の手抜き工事による施工不良にも注意が必要です。必要な作業工程を省いたり、塗料を過度に薄めて塗ったりすることで、塗膜の耐久性が下がってしまう可能性があります。
環境の影響を受けにくくするには、環境に適した塗料を選ぶことが大事です。また、施工不良を防ぐためには、丁寧に作業してもらえる優良業者に依頼する必要があります。
【状態別】塗装を検討すべき劣化のサイン
塗料や外壁材の耐用年数が経過していない時期でも、想像以上に外壁塗装の劣化が進行している場合があります。とくに日差しの強いエリアや湿度の高いエリアなどの過酷な環境下では、劣化の進行スピードが早まることが多いです。
外壁塗装が劣化していることを見抜くためのサインをご紹介します。劣化のサインが見られたら、状況に応じて塗替えの時期を早める判断をしましょう。
すぐに塗装をすべき劣化のサイン
以下のサインが見られる場合は、劣化がかなり進んでいるので、すぐに外壁塗装をすべき状態です。
劣化のサイン | |
クラック(ひび割れ) |
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塗膜の浮き・はがれ |
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シーリングの劣化 |
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どれか1つでも劣化のサインを見つけたら、一刻も早く塗替えを行いましょう。外壁塗装の時期を先延ばしすると劣化部分から雨水の侵入を許してしまい、建物が腐食して深刻なダメージを受ける恐れがあります。
そろそろ塗装を検討すべき劣化のサイン
以下のサインが見られる場合は、そろそろ外壁塗装を検討したほうがよい頃合いです。
劣化のサイン | |
色あせ |
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艶引け |
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コケやカビ |
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チョーキング |
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早急に対処する必要性は低いものの、なかには劣化が進行している場合があります。メンテナンス時期を逃さないようまずは外壁塗装業者に相談し、必要に応じて診断をしてもらうと良いでしょう。
外壁塗装で劣化を改善するメリット
外壁の劣化は、気付きにくい方も多いのではないでしょうか。塗装の剥がれやひび割れなど、一見して劣化と分かる症状だけでなく、ひと目では分かりにくい劣化もあります。
しかし、「見た目は問題ないから」と外壁の劣化を放置することにはリスクを伴います。劣化を放置せず、定期的に外壁塗装するメリットとして、次の3つがあげられます。
外観がきれいになる
まず、もっとも分かりやすいメリットは外観がきれいになることです。経年劣化による汚れやひび割れが消えるうえ、機能性の高い素材であれば遮熱などの効果も期待できます。
以前と同じ色を選んだり、ワントーンで統一していた外壁に部分的な挿し色を入れてツートンカラーにしたりするのも良いでしょう。
外壁塗装の色の選び方については、下記のページで解説しています。注意点もまとめていますので、ぜひご覧ください。
外壁そのものの劣化を抑えられる
経年劣化によって、外壁にはひび割れや剥がれなどの傷みが生じます。そのひび割れや剥がれから建物の内部に雨水が侵入すれば、カビや腐食など傷みの原因になりかねません。
外壁の劣化を抑えるためのコーティングとしても、外壁塗装は重要です。防水や防カビ効果を付与できるだけではなく、素材によっては遮熱効果も期待できます。遮熱効果は室内の温度上昇を抑えるうえ、外壁自体が熱で傷むことも防いでくれます。
様々な影響を未然に防ぐことができる
外壁塗装で建物を守ることには、将来的に生じるコストを軽減できるメリットもあります。たとえば劣化を放置して雨漏りに発展すると、屋根や外壁に加えて天井や床の修理が必要となるかもしれません。外壁塗装にかかる金額以上の費用がかかる場合もあります。
ほかにも、ひび割れなどから害虫が侵入するおそれがあります。シロアリが侵入して建物の構造部を食い荒らされてしまえば、駆除やリフォームにまとまった費用が必要です。
外壁の劣化にともない生じるトラブルや、補修や駆除などによる大きな損失を未然に防げることも外壁塗装の大きなメリットです。
外壁塗装をなるべく長持ちさせるポイント
外壁塗装のメンテナンス時期を迎えるまでなるべく長持ちさせるためには、以下のポイントを意識しましょう。
- 耐久性が高く、周辺環境に合った塗料を選ぶ
- 優良な外壁塗装業者に施工してもらう
- 家の周りの風通しをよくする
- カビやコケを定期的に掃除する
- 定期的にメンテナンスを行う
それぞれのポイントを詳しく解説します。
耐久性が高く、周辺環境に合った塗料を選ぶ
使用する塗料の種類によって塗替えが必要になる時期が異なるため、耐久性の高い塗料を使用すれば外壁塗装を長持ちさせることができます。たとえばシリコン塗料やフッ素塗料は耐久性が高いです。
周辺環境と相性の良い塗料や適切な施工時期を見極めるのも大切です。たとえば川沿いの高湿な環境にある家には乾燥しやすい時期に防カビ性能が高い塗料で施工するなど、どのような環境かによって相性の良い塗料や適切な施工時期は異なります。
塗料の性能や施工時期を理解するためには専門的な知識も必要になるため、わからないことがあればまずは外壁塗装業者に相談してみましょう。
優良な外壁塗装業者に施工してもらう
高品質な仕上がりを実現するためには、優良な外壁塗装業者に依頼することも大切です。優良な外壁塗装業者かどうかは、住まいの診断や見積・施工時期の提案、施工しているときの対応力で見分けられます。「価格が安いから」という理由だけで決めるのではなく、必ず対応力まで見極めることが必要です。
数多の外壁塗装業者のなかには、経験や知識が乏しい業者も少なからず存在します。施工不良を起こしたり施工時期を見誤ったりで劣化が早まる事態は避けたいものです。
家の周りの風通しをよくする
家の周りの風通しをよくすることも、外壁塗装を長持ちさせるために欠かせないポイントです。湿気が多い場所は外壁塗装にカビが発生しやすく、メンテナンス時期が早まります。
外壁の近くに物が置いてある場合は梅雨の時期とくに風通しが悪くなり、塗装が早く劣化してしまうことがあるので注意しましょう。雑草が生い茂っている場合もジメジメとした空気が滞留しやすいため、外壁塗装の寿命に悪影響を及ぼします。物を置かず風通しの良い環境を維持できれば、外壁塗装を長持ちさせることが可能です。
定期的にメンテナンスを行う
外壁の状態を保つためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。業者に依頼するメンテナンスもありますが、個人で行えるメンテナンスも多くあります。
ここでは外壁のメンテナンス方法について解説します。
カビやコケを掃除する
外壁についたカビやコケを一定の時期に掃除することで、外壁塗装の持ちは改善します。
高圧洗浄機を買ったりブラシや洗剤を使ったりすれば、自分で掃除することも可能です。雨の多い時期は外壁を軽く水で流すなど、簡易的なセルフメンテナンスも欠かせません。自分で掃除する際は、外壁専用の洗剤を使うようにしましょう。
ただし外壁塗装の掃除を1人で行うのはかなり手間がかかるので、効率を重視する場合は専門業者に掃除を依頼するのも手です。費用はかかりますが時期を問わず確実にカビやコケを除去できます。
部分的な補修を行う
軽度のひび割れや欠けを放置していると、内部に水や汚れが入り込む原因となります。建物全体の劣化や、外観も悪化してしまうため、可能な範囲で定期的に補修を行うのがおすすめです。
補修には専用のコーキング材などを使用します。こまめにひび割れを補修しておくと外壁塗装を行った後に長持ちしやすくなります。
優良な外壁塗装業者の選び方
優良な外壁塗装業者を選ぶ際は、以下の4点を判断基準にすると良いです。
- 相見積もりをとって比較する
- 担当者の対応を見る
- 保証内容を確認する
- 施工実績や資格の有無を確認する
それぞれどのような判断基準なのか解説します。
相見積もりをとって比較する
見積もりをとる際は1社だけに依頼するのではなく、複数社に相見積もりをとりましょう。
複数社の見積もりを比較すれば、価格相場や対応力の差が明確になります。見積もり価格が極端に安すぎる・高すぎる外壁塗装業者には注意が必要です。
見積書の記載方法も優良な外壁塗装業者かどうか見分けるポイントになります。優良な外壁塗装業者の見積もり書は材料費と工事費が別項目になっていて、それぞれ金額の内訳が表記されているのが特徴です。一方で悪徳業者は材料と工事費をひとまとめにして一式で表記されていることが多いです。
担当者の対応を見る
外壁塗装業者の担当者がどのような対応をしているか確認することも大切です。
時期を問わず高品質な施工ができる外壁塗装業者の担当者は、スケジュール管理能力に優れています。施工する地域の気候条件を熟知していて、時期に応じた臨機応変に対応できる担当者に依頼しましょう。
施工時の対応にもポイントがあり、優良な外壁塗装業者は施工するときに必ず「下塗り」「中塗り」「上塗り」と3回に分けた外壁塗装を行います。1回塗り終わるごとにしっかりと乾燥させる必要があり、施工時期や気候条件に応じて適切な乾燥時間を確保しなければなりません。
3回塗りを行う外壁塗装業者かどうか見極めるためには、担当者に直接聞いたり見積書を確認したりする方法が有効です。担当者の回答が「1回塗りです」という場合や見積書に上塗り塗料しか記載されていない場合は、塗り回数が守られていない可能性があるため注意しましょう。
保証内容を確認する
塗装を依頼する業者の補償内容を確認することも重要です。法律では工事保証をつける義務はありませんが、多くの業者で独自の保証制度を設けています。
工事保証は、大きく分けると「塗装業者の自社保証」と「メーカー保証」の2種類です。自社保証は塗装業者が独自に設けている制度で、定期的なアフターフォローや期間内の無償補修などがあげられます。
依頼する塗装業者に工事保証制度があるか、どのような内容かを事前に確認しておくと、安心して依頼できます。しかし、トラブルの原因によっては有料となるケースもあります。保証内容とともに料金が発生する対応範囲についても確認しましょう。
メーカー保証は、塗料を製造しているメーカーが設けている保証制度です。メーカーが提示している正しい使用方法を守っている場合に適用できます。メーカー保証を利用できる業者であれば、正しい施工方法で塗装してくれるといえます。
施工実績や資格の有無を確認する
優良な外壁塗装業者か見極めるためには、これまでの施工実績や資格の有無も確認することも必要です。施工実績やスタッフの保有資格は会社のホームページに記載されていることが多いので事前に目を通しておきましょう。
住まいの診断を行うスタッフが外壁劣化診断士や建築士の資格を持っていると、豊富な知識により適切なアドバイスをもらえる可能性が高いです。資格を持たない知識不足のスタッフが診断すると、外壁塗装の施工内容や施工時期を見誤るリスクが高まります。資格を持っているかどうかは優良な外壁塗装業者を見分ける1つの判断材料になるでしょう。
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外壁塗装は、建物を長持ちさせることを主な目的として行うメンテナンスです。外壁塗装を怠ると、外壁だけでなく建物自体が大きなダメージを受ける恐れがあります。
外壁塗装が必要になる時期は、塗料の耐用年数から判断するのが基本です。外壁の状態も普段から小まめにチェックし、劣化が進んでいるなら早めの塗装を検討しましょう。
そこで重要なのが、相見積もりです。複数の業者から提示された見積額を比較検討し、納得できる費用で依頼をしましょう。
ミツモアでは豊富な経験と知識を持ったプロに外壁塗装の見積もりの依頼ができます。まずはプロに相談をしてみてはいかがでしょうか?