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弱溶剤塗料とは?種類の違い、メリット・デメリットがまるわかり【強溶剤との違いは?】

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最終更新日: 2023年03月31日

塗料には様々な種類があります。大きく分けると水溶性塗料、油性塗料(溶剤塗料)に分けることができます。

今回は、最近DIYなどでよく使われている油性塗料(溶剤塗料)の弱溶剤塗料について詳しく紹介しましょう。

弱溶剤塗料とは?「強溶剤」との違い

「塗料」の全体像

塗料の種類 油性塗料 水性塗料

塗料の分類を図に示すと、上画像のように分けられます。

おおきく「水性」「油性」に分かれ、油性のなかでもさらに「強溶剤」「弱溶剤」というふうに分類できるのです。

水性と油性(溶剤塗料)の違いは、塗料を希釈する(薄める)ために何をつかうのか。

油性塗料は、シンナー(溶剤)で薄めて使用するので「溶剤塗料」といいます。

一方で水性塗料は、水を使って薄めるものなので「水性塗料」といいます。

一般的に強溶剤は「ラッカー系」「シンナー系」などと呼ばれることがあります。弱溶剤の場合は「トシン系」と呼ばれるようです。

シンナー(溶剤)の特徴、メリット・デメリット

溶剤塗料 メリット・デメリット

油性塗料とは、シンナー(溶剤)で希釈してつかう塗料のことを指します。

そのなかでも、強いシンナーを使うものが「強溶剤塗料」、弱いシンナーを使うものが「弱溶剤塗料」というふうに呼ばれるのです。

そもそもなぜシンナーを使うのか。水性塗料と比べたときの特徴、メリット・デメリットは以下です。

【溶剤塗料のメリット】

  • 密着性が高い
  • 塗膜の耐久性が高く、長持ちしやすい
  • トタンやガルバリウム鋼板など、金属の建材と相性がいい
  • 乾燥時間が短いので、重ね塗りが時間短縮できる

シンナーは溶解力が強く、乾燥時間が短いことがメリットです。

塗料とシンナーを混ぜるとき、溶かす力が強いため、均一に攪拌(かくはん/混ぜあわせること)することができます。

そのため塗りムラの少なくすることができ、強い耐久性をつくりだすのです。

また揮発性(空気中に逃げる性質)が高いため、乾燥時間が短いことにより、塗装作業の時間が短く済みます。

【溶剤塗料のデメリット】

  • 建材のひび割れに弱い
  • 下地を溶かしてしまうことがある
  • 刺激臭がする
  • 人体、環境への悪影響に注意

シンナーは「VOC」と呼ばれる有害成分を排出するので、吸い込まないように注意する必要があります。

VOCは、「光化学スモッグ」という環境問題の原因になってしまう成分でもあるので、処分のときなどには環境面への注意も必要。

塗装するときには強い臭いがあるため、近隣住民への配慮も欠かせません

また溶剤塗料は、硬い塗膜を形成するというメリットがありますが、その硬さゆえにひび割れしやすい材料に塗るのはあまり適していません。

溶解力の高さも、デメリットにつながり得ます。下地を溶かしてしまう可能性があるのです。

弱溶剤塗料のメリット・デメリット

塗装 塗料 道具

弱溶剤塗料は、強溶剤と比べて「溶解力が弱いシンナー」を使います。

そのため、上記で触れたシンナーの特性はありつつも、臭いなどのデメリットを少なくできるのが特徴です

ただ溶剤塗料のメリットといえる効果も、すこし弱まってしまいます。

【弱溶剤塗料のメリット】

  • 臭いが抑えられる
  • 人体や環境への影響が少ない

【弱溶剤塗料のデメリット】

  • 乾燥時間は遅め
  • 塗膜の硬さは変わらないので、ひび割れに弱い

弱溶剤塗料は、乾燥時間は遅いですが臭いは弱く、安全性の高い塗料です。

溶解力は強溶剤より劣りますが、一般住宅の外壁塗装には弱溶剤塗料を使うのが一般的。

逆に強溶剤塗料は、毒性も溶解力も強すぎるため一般住宅には使われず、高層ビルや鉄橋などに使われることがおおいです。

樹脂、そして1液型・2液型ってなにが違う?

樹脂による塗料の違いは?

塗料 種類

塗料を決めるとき耐久性などの性能を比べるのなら、「油性(溶剤塗料)か水性」よりも、「どの樹脂の塗料にするか」という点に着目しましょう。

一般的に塗料を選ぶときには、まず「シリコン塗料」「ウレタン塗料」など耐久性や機能性から選び、そのうえで油性か水性かという点を決めていきます。

外壁や屋根の塗装につかわれる、おもな樹脂の種類・特徴は以下です。

費用相場 耐用年数
アクリル系 約1,200円~1,500円/㎡ 5~7年
ウレタン系 約1,600円~2,200円/㎡ 8~10年
シリコン系 約2,500~2,800円/㎡ 10~15年
フッ素 約4,000~5,000円/㎡ 15~20年
無機塗料 約4,500~5,500円/㎡ 20~25年

耐用年数が高い塗料ほど、値段の相場も高くなっていきます。

寿命が長い順に「無機>フッ素>シリコン>ウレタン>アクリル」というふうに、グレードが異なります。

よく使われるのは、耐用年数と価格をくらべて費用対効果にすぐれる「シリコン系塗料」か、少し値ははるけれど長持ちする「フッ素系塗料」などです。

これらの中からどの塗料を使うかを選び、塗る場所や目的によって「油性か水性か」また「弱溶剤か強溶剤か」を選びます。

【たとえば】

「新築から10年経った。初めて外壁塗装をするので、長持ちするフッ素塗料を選ぼう。この家は金属製の外壁が使われているから、水性よりも油性のフッ素塗料がいいかも。でも、においは抑えたいから弱溶剤にしよう!」

1液型と2液型との違いは?

悩む 女性

1液型と2液型という塗料の違いは、簡単にまとめると以下です。

  • 1液型:そのまま使える
  • 2液型:硬化剤を混ぜたら使える

塗料には、塗った後に固めるための「硬化剤」が含まれています。

1液型は、すでに硬化剤が微量に含まれているため、そのまま使用できます。(※水性塗料は水で、溶剤塗料はシンナーで希釈する必要はある)

扱いが簡単なので、DIYで外壁塗装をするときにはおすすめです。

2液型は、硬化剤を混ぜなければ使用できません。そのぶん、費用も1液よりは高くなってしまいます。

また、すぐに乾いてしまうため6~8時間以内に使い切らなければならず、扱いが難しいという特徴も。

ただし2液型のほうが塗膜は強く耐久性に優れているので、屋根や外壁に塗装するなら2液型のほうがおすすめです。

結局、どの塗料を使えば良いの?

油性塗料について
どの塗料を使えば良いのか

ここまで様々な外壁塗料の種類を紹介しましたが、結局何を使えば良いの?と疑問に思っている方もおられるでしょう。

たとえば同じ建物のなかでも「日差しなどのダメージを受けやすい場所は弱溶剤にして、外壁は通気性の高い水性にする」などの使い分けもできます。

最善は「プロの塗装業者に相談しながら、どこにどの塗料を使うかを決めていく」ことですが、この見出しでは弱溶剤・強溶剤・水性の大まかな特徴とおすすめの塗装場所をまとめます。

機能的側面を重視するなら弱溶剤塗料

ガルバリウム外壁の建物

耐久性や機能性を求めるなら、弱溶剤塗料がおすすめです。

樹脂によって耐久年数は変わってきますが、水性塗料よりは長持ちするものが多く、メンテナンスコストが抑えられます。

また強溶剤に比べて価格が安く、環境や人体に影響が少ないので、安心して使うことができます。

さらに2液型のものを選ぶことで、より耐久性の長さを実感しやすいうえ、仕上がりもキレイに。

とくにトタンやガルバリウム鋼板など、金属の外壁・屋根を使っている場合は、検討の余地アリです。

金属建材でなかったとしても、紫外線のダメージで劣化しやすい屋根や、沿岸部の地域で塩害を受けやすい建物などに適しています。

関連記事

環境・人体への影響・においなどが気になるなら水性塗料

外壁塗装

シンナーの刺激臭や、小さい子供への影響、近隣住民への影響を考えるのなら、水性塗料がおすすめです。

水で塗料を希釈(薄める)ので、人体や環境に影響が少なく臭いも気になりません。

塗る場所としては、金属以外の屋根・外壁であれば特におすすめ。

一般住宅によくつかわれるサイディング外壁やモルタル外壁などは、経年劣化でひび割れ(クラック)することがあります。

そうなったとき、油性塗料は塗膜が硬いので影響を受けてしまいますが、水性塗料は柔軟性があるので影響を受けづらいのです。

また水性塗料は通気性に優れているため、熱や湿気を集めやすい軒天(はみ出した屋根の下側)などに塗装するのにも向いています。

強溶剤塗料を使うことはある?

高層ビルを見上げる

弱溶剤塗料のメリットは、「強溶剤のデメリットを軽減できる」という点が大きいです。

もしも強溶剤の主なデメリットである「刺激臭」「人体・環境への悪影響」が気にならない立地条件・施工状況のときには、油性塗料の効果をより強く発揮できます。

ただし強溶剤塗料は、住宅に使われることが少ないということを覚えておきましょう。

「毒性が強く、厳重な注意が必要であること」また「下地の塗料を溶かしてしまう溶解力の強さ」などから、一般的な家屋にとっては非常に扱いづらいものなのです。

ほとんどの場合は、高層ビルやタワー、鉄橋などに用いられます。

もしも強溶剤塗料を住宅に使うとしたら、プロの塗装業者に依頼して、くれぐれも細心の注意を払いながら作業してもらいましょう。

おすすめの弱溶剤塗料

弱溶剤塗料と言っても様々な種類があり、商品ごとに特徴や値段が違うので、選ぶ際迷ってしまいますよね。ここでは、おすすめの弱溶剤塗料を紹介します。

ロイヤルセラクリヤー

ロイヤルセラクリヤー
菊水化学工業 ロイヤルセラクリヤー 3分艶 3kgセット

ロイヤルセラクリヤーは、弱溶剤2液型のシリコン樹脂オールマイティークリヤー塗料です。

こちらは菊水化学工業から出ている塗料で、サイディングボードや、磁器質タイル用のクリヤー塗料となっています。

塗料というと色が付いているイメージですが、この塗料は無色透明です。

なので、元々ある外壁を生かしながら新築当時のようなクリアで美しい仕上がりになります。

FOR PRO

ニッペ FOR PRO
ニッペ FOR PRO

FOR PROは、ニッペホームペイントから出ている弱溶剤形ウレタン塗料です。この塗料は屋外はもちろん、屋内でも使える弱溶剤の艶有り塗料です。

戸建住宅はもちろんのこと、マンションなどにも使える耐久性の強いウレタン塗料です。

年数が経つと生えてくる藻やカビを防いでくれる機能があります。

セラミタウンマイルド

セラミタウン
セラミタウンマイルド艶有 (SR-411) 4Kg

セラミタウンマイルドは、一液ファインセラミック系特殊塗料です。

この塗料は、ファインセラミック技術により、かなり高い耐久性が魅力の弱溶剤塗料となっています。

また特殊設計されているので、たばこのヤニ、あく、カビ、藻などの付着を防止してくれる機能が付いています。

RSゴールド F

日本ペイントから出ている弱溶剤2液型のフッ素樹脂塗料です。この弱溶剤塗料は、色や光沢が長続きし、さらに汚れも付きにくくしてくれる優れもの。

かなり高いグレードの弱溶剤塗料となっており、塗る時はお金がかかりますが、メンテナンス代の事を考えるとかえってお得かもしれません。

セラスタールーフ

セラスタールーフは、ジャパンカーボラインから出ている弱溶剤2液型無機塗料です。カーボライン社と言うのは、世界的に有名な重防食塗料メーカーです。

空港などでも使われており、かなりの耐久性が期待できる弱溶剤塗料となっています。日光があたり、劣化しやすい場所におすすめです。

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