建物の外壁塗装というと、建物の見た目を良くするために行われる、色を付ける塗装を連想する人が多いかもしれません。しかし、意匠性や耐久性を高めるための「クリア塗装」を施すことも大切です。
最終更新日: 2025年05月28日
今回はクリア塗装を行うメリットや注意点を説明し、クリア塗装はどんな場面で有効なのか解説します。建物の劣化を防ぎ、耐久性を高めるために重要な作業なので、単価の相場も含めて詳しく見ていきましょう。
この塗料はいくら？
外壁のクリア塗装とは？
外壁のクリア塗装は「クリヤー塗装」と呼ばれることもあります。無色透明の塗料を使ってタイルなどの外壁をコーティングするために行う塗装です。クリア塗装によって建物をコーティングすることで、耐久性を高めるなどの効果が期待できるのです。
業者がクリア塗装を実施する際は「アクリル樹脂製のハケ」を使うのが一般的。アクリル樹脂製のハケは、使われている毛の1本1本が太く、塗装中に毛が抜ける可能性が通常のハケよりも低くなります。塗装にハケの毛が絡まなくなるため、美しく仕上がるのです。
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クリア塗装に使われる塗料の種類(グレード)と費用相場
クリア塗装の費用相場(価格)と耐用年数は、工事に使う塗料の種類(グレード)によって変わります。施行の出来を左右する重大なポイントでもあるので、塗料ごとの特徴を知っておきましょう。
| 種類 | 耐用年数 | 単価(1平方メートル) | 施行費用※ |
| アクリル塗料 | 5～7年 | 1,200～1,800円 | 10～14万円 |
| ウレタン塗料 | 8～10年 | 1,600～2,000円 | 13～16万円 |
| シリコン塗料 | 10～15年 | 2,200～2,400円 | 17～19万円 |
| フッ素塗料 | 15～20年 | 2,700～3,000円 | 21～24万円 |
※外壁面積が80平方メートルとして計算した場合
この他にも無機タイプやUVプロテクトタイプのクリア塗料があり、それぞれ単価が異なります。
クリア塗装を塗り替えるタイミングは？
クリア塗装には傷を修復したり、隠したりする効果はありません。そのため、劣化が起きる前に塗り替えるというのがクリア塗装を施す上でベストなタイミングです。
具体的には、クリア塗装が耐用年数を迎える前に塗り替えを依頼しましょう。
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外壁をクリア塗装する4つのメリット
外壁をクリア塗装するメリットは主に4つです。それなりの費用を支払ってでも業者に依頼する価値があるので、工事の内容を詳しく知っておきましょう。
外壁の意匠性(デザイン性)を保てる
クリア塗料(クリヤー塗料)は無色透明なので、外壁の意匠性を崩さずに塗装できることがメリット。たとえば木材や打ちっぱなしなどの素材や色・柄を生かしたまま、さらに美しく、そして耐久性を高めるための塗装ができます。
外壁にツヤのある光沢を出せる
クリア塗装に使われる塗料には「艶(ツヤ)あり」「3分艶」「5分艶」「7分艶」「艶消し」の5種類があります。種類によってツヤの風味が変わるため、建物に合った塗料選びが重要です。また「艶消し」を選ぶことで、ツヤの無いマットな仕上がりにすることも可能です。
外壁の耐久性が高まり、劣化しにくくなる
クリア塗料にはコーティング効果も含まれるため、外壁の耐久性を高めて劣化を緩やかにするというメリットも得られます。
チョーキングが発生しない
チョーキングとは、外壁の塗装が劣化して剥がれ、手で触ると塗料がチョークの粉のように指に付く現象です。クリア塗料でコーティングをしておけば、このようなチョーキングの発生を防ぐことができます。
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外壁をクリア塗装する際の3つの注意点
見栄えと機能の両面にメリットがあるクリア塗装ですが、いくつかの注意点も存在します。ここからは注意点を3つに分けて解説しましょう。
コーキング(シーリング)部分には塗装できない
コーキングとは、外壁のボードをゴムのような素材で繋いでいる部分を表す言葉です。コーキングに対してクリア塗装を行うと、塗膜が剥がれるなどの問題が生じる可能性があるため、表面を養生してから作業しなければなりません。
汚れ・ひび・補修跡などを隠す効果はない
通常の塗装は汚れ・ひび・補修跡に色を付けることで隠せますが、クリア塗装は透明なためこれらの効果を生み出せません。これらの問題を隠すためには、クリア塗装の前に色を付ける塗装が必要です。
外壁の種類・状態によっては塗装できない可能性がある
クリア塗装はすべての外壁に施せるわけではありません。以下のような種類・状態の外壁には塗装できない可能性があるため注意しましょう。
特殊コーティングが施されている外壁
サイディングには、フッ素や光触媒などでコーティングされたものがあります。こういった外壁に対してクリア塗装を行っても、塗装が剥がれる可能性が高く、意味を成しません。
劣化が激しい外壁
前述したとおりクリア塗装には着色効果が無く、劣化した状態を隠せません。汚れや色落ちなどの状態がそのまま透けて見えてしまうため、あらかじめ修復が必要です。
ひび割れが起きている外壁
クリア塗装には、ひび割れ(クラック)を補修するような効果は一切ありません。ひび割れの上からクリア塗装を行っても見栄えはまったく改善されないので、事前にコーキング材を充填するなどして補修しましょう。
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クリア塗装はこんな外壁に向いている！
クリア塗装が特に向いているのはどんな外壁なのでしょうか。クリア塗装と相性が良い4種類の外壁を紹介していきましょう。
タイル調などのサイディング外壁
タイル調、レンガ調といったサイディング外壁にクリア塗装を施すと、その意匠性を保ちつつ外壁を保護できます。独自のツヤを与えることにより、さらにサイディング外壁のポテンシャルを引き出せるでしょう。
モルタル外壁
セメントに砂と水を混ぜた素材を「モルタル」と言います。モルタルはザラザラとした見た目で、塗膜の表面にも傷が付きやすいことが欠点です。クリア塗装をすることにより、モルタルの魅力を残しつつ表面を保護できます。
打ちっぱなしコンクリート
おしゃれな「打ちっぱなし」ですが、そのままでは汚れが付きやすく、雨水等が染み込みやすいため建物を傷めてしまいます。クリア塗装を行えば無駄な色付けをせずに表面を保護でき、耐用年数を伸ばすことが可能です。
木材部分にも使用できる！
クリア塗装は木材部分にも有効です。窓枠やウッドデッキなどに木材を使用している場合や、ログハウスにも積極的に活用しましょう。木材は特に劣化が進みやすいため、カビやコケ、水から木材を守るクリア塗装は必須と言えます。
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クリア塗装に使われる代表的な4つの塗料を紹介
最後に、クリア塗装を実施する際に使われることが多い塗料を4つご紹介します。それぞれ特徴が異なるため、業者と相談しながら使用する塗料を決めましょう。
ピュアライドUVプロテクトクリヤー(日本ペイント株式会社)
ピュアライドUVプロテクトクリヤーの特徴は、紫外線吸収剤を含んでいることです。UVによるダメージを軽減できるため、色あせを防ぐ効果があります。ツヤ消し・ツヤ無しの2種類があり、後者であれば光沢を抑えたい場合の相性が良いでしょう。
SKシリコンクリヤーW(エスケー化研株式会社)
原料にアクリルシリコン樹脂を採用し、主流であるアクリル・ウレタンを樹脂系のクリア塗料よりも耐久性を高めています。汚れの付きにくさにも定評があり、12～15年という比較的長い耐用年数を持った塗料です。
パワーアシストクリヤー(水谷ペイント株式会社)
窯業系サイディング外壁専用の塗料です。シリコン変性樹脂塗料を使用していることが特徴的で、耐久性を高めると同時に、高級感や質感を長期間キープする効果が期待できます。
無機ハイブリッドクリヤー(株式会社アステックペイント)
20年以上という長い耐用年数を持ち、この間の光沢保持率は80％を維持する高品質なクリア塗料です。光沢の質感は2種類から選べるため、外壁の種類や建物全体とマッチするタイプを選べるでしょう。
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ミツモアでクリア塗装に対応している外壁塗装業者を探そう！
外壁のクリア塗装は、外壁の意匠性を保つため、そして耐久性を高めるために不可欠なものです。耐用年数は使用するクリア塗料の種類(グレード)によって変わりますが、5～15年を目安に塗り替えを依頼すると良いでしょう。
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