外壁塗装は、ただ塗料を塗ればいいというわけではありません。下地の状態を見極めて適切な準備をしなければ、どんな塗料も性能を発揮することができません。
その際に必要になってくるのがシーラーです。DIYで塗装を行う方はもちろん、そうでない方もシーラーについてしっかり理解しておきましょう。
この記事では、シーラーの特徴や必要性・DIYでの塗り方について解説していきます。
そもそもシーラーとは?何に使われるもの?
シーラーとは下塗りに使われる塗料のことです。
一般的に外壁塗装に使われる塗料は、大別すると上塗り材と下塗り材に分かれます。皆さんが普段イメージしている「色を付ける塗料」は上塗り材にあたります。
シーラーの語源は「seal」。「密封する」という意味で使われます。
シーラーの必要性!シーラーなしで塗装するとどうなる?
シーラーは外壁の外観を良くしたり、保護したりするために必須です。
シーラーを塗らずに上塗り材だけを塗っても、外壁が塗料を吸い込んでしまいます。そうすると本来必要な塗膜の厚みが得られないため、耐久性が下がります。また吸収される量も均一ではないので所々に色ムラが出てしまうんですね。
そこであらかじめシーラーを外壁に塗って吸わせておくことで、上塗り材をしっかり塗るための下地を作ることができるのです。
仮にシーラーを塗らず、ただ上塗り材だけを買ってきて外壁に塗り始めたとします。その場合、塗膜の耐久性が極端に低くなりすぐに剥がれてしまうでしょう。また下地の状態によっては塗料が乗らないということも。
外壁塗装を行う際に最も重要なのは下地の調整です。その下地をシーラーでしっかり作っておかないと、せっかくの塗装も無駄になってしまいます。
シーラーの効果や特徴
シーラーには以下のような効果があります。
- 上塗り材となる塗料をより密着させる
- 仕上げ材が過度に下地に吸収されるのを防ぐ
- 下地をしっかり整える
- 塗装した面から発生するアクやヤニを抑える
シーラーは白色もしくは無色のものが多いでしょう。白・無色のシーラーを塗った後に色の付いた仕上げ材を塗っていくと、塗っていない部分がはっきりと分かるからです。
シーラー以外の2種類の下塗り材!場合によっては「シーラー」と呼ばれることも
下塗り材は大別するとシーラー以外に以下のような種類があります。
- プライマー
- フィラー
他にも細かく分かれますが、ここでは代表的な2つについて解説したいと思います。
※施工業者によっては上記をまとめてシーラーと呼ぶこともあります。つまりシーラーという単語は、下塗り材の総称のような言葉として使われる場合もあるということです。
プライマー
プライマーは、主に金属への塗装を行う際に使用する下塗り材です。
錆(さび)を抑える錆止めが含まれているものもあり、ただ単に「錆止め」と呼ばれることもあります。金属の表面に塗ることで錆の浸食を防ぎ、仕上げ材をしっかりと定着させる接着剤の役割を果たします。
ただしプライマーは錆を除去できるわけではありません。あくまで錆を抑えるだけなので、すでに発生した錆は十分に除去した上で塗ることが大切です。
フィラー
基本的にはシーラーと変わりませんが、主にクラックと呼ばれるひび割れの起きやすい「モルタル外壁」に使用されることの多い下塗り材です。ひび割れの中に入り込み下地を補修すると同時に、仕上げ材(上塗り塗料)の接着力をアップさせます。
「補修力に特化したシーラー」と言い換えても良いでしょう。特にひび割れの多い下地に関しては、微弾性フィラーという下塗り材が用いられます。
シーラーの使い方・塗り方を解説
シーラーの使い方・塗り方を解説していきます。
まず最低限取りそろえておきたい道具は下記の通り。
はけ | 細かい部分を塗る際に必要です。 |
ローラーはけ | 基本的にはローラーはけで塗っていくことになるので、必須品になります。 |
ローラー用の長柄 | 高い所も塗れるようにローラーに取り付ける長柄です。 |
トレイ | ローラーはけに塗料を染み込ませるためのトレイです。ホームセンター等でDIY初心者向けに、ローラーとセットで販売されていることも多いでしょう。 |
マスカー | 養生テープとビニールが一体になっています。塗装部以外の養生に使用します。 |
マスキングテープ | 細かい部分を養生する際に使います。 |
高圧洗浄機 | DIYであれば家庭用のもので十分です。 |
それでは手順を見ていきましょう。
手順①外壁の洗浄や補修
外壁に付いている汚れや埃などは塗装に影響を与えるので、最初に可能な限り取り除きます。これが外壁塗装を行う前に行う最も大事な下地調整といえます。
シーラー塗装は上塗り材の性能を引き出すために行いますが、そのシーラーも十分性能を発揮できる状態にしておかなければいけません。その調整を洗浄で行うといったイメージですね。業者に依頼した場合は、高圧洗浄をかけてもらえます。
また外壁にシーラーの塗装だけではカバーできないようなひび割れなどがある場合は、別途補修をしておく必要があります。
手順②各部の養生
サッシまわり等がメインですが、塗料が付着してはいけない部分をマスカーで覆ったり、マスキングテープで養生したりします。
手順③シーラーの塗装
シーラーが缶に入っている場合は、開封前に缶を逆さにするなどしてよく混ぜてから使用してください。開封後はトレイにシーラーを移し、ローラーはけに染み込ませた後、余分な分を取り除いてから塗装します。
広い面はローラーで全体的に塗装してください。ローラーが入らない細かい部分に関しては、はけを使って塗り残しのないように塗ります。手の届かない高い所は、ローラーに長柄を装着して塗っていきましょう。
手順④上塗り材の塗装
シーラーの塗装と乾燥が終わったら、上記と同じ要領で上塗り材を塗って完成です。
そもそもシーラー塗装をDIYで行うのはできる?
シーラー塗装をDIYで行うのは不可能ではありません。しかし難易度はかなり高いのであまりおすすめはできません。特別な理由がない限りは、専門知識と技術のある業者にお願いした方が良いでしょう。
塗装業者には、素人では扱いが難しい下塗り材・上塗り材を扱える技術と知識があります。
下地の種類や状態によっては、さまざまな下塗り材(シーラー)を使い分ける必要があります。高品質を求めるのであれば当然、下塗り材の性能などに詳しくなければいけません。さらにシーラーを塗るのか、プライマーやフィラーがいいのかといった判断も、知識や経験がないと容易に行えるものではありませんよね。
扱いが難しい塗料を使用したり、適切な塗料を選んだりといったことは素人では難しいでしょう。
とはいえDIYでシーラーの塗装を検討していた方の中には「なるべくお金をかけたくない」と考えている方もいますよね。そのような場合はぜひミツモアを利用してみてください。
ミツモアはあなたの地域や求める条件を入力するだけで、複数の塗装業者から簡単な見積もりがもらえるサービスです。以下のようなメリットがあります。
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DIYで使用するなら、シーラーの選び方に工夫が必要
どうしてもDIYでシーラー塗装をしたいなら、以下の3点を満たしたものを選ぶのがおすすめです。
- 上塗り材に対応したもの
- 「1液性」と書かれたもの
- 水性のもの
本来シーラーは単体で選ぶものではありません。必ず上塗り材に対応した塗料を選ぶようにしましょう。上塗り材に対応していないシーラーで下塗りをすると、施工後に不具合が起こる可能性があります。
また本来シーラーも含め塗料というものは、主材と硬化材を混ぜ合わせた上でシンナーなどの溶材で希釈する(薄める)必要があります。しかしこの作業はDIYでやるには難易度が高く、失敗してしまいがち。
そこで活躍するのが「1液性」「水性」という条件を満たしたシーラー。
「1液性」と書かれた塗料であれば、既に主材と硬化材が混合されているんです。そのため自分でこの2つを混ぜ合わせる必要がありません。
さらに「水性」であれば、シンナーではなく水道水で希釈できます。場合によっては希釈せずに使用できるものもあります。
「1液性」かつ「水性」のシーラーは、扱いやすい分他のシーラーに比べて性能が劣ることも多いでしょう。ですからあくまでDIY向けと考えてくださいね。
おすすめのシーラー(1液性かつ水性)を紹介
水性シリコン浸透シーラー 日本ペイント株式会社
大手塗料メーカー、日本ペイントの販売している下塗り塗料です。戸建て住宅の外壁に対しての使用を想定しています。
水性/溶材 | 水性 |
1液/2液 | 1液 |
適用下地 | 外壁窯業サイディングボード・モルタルなど |
色相 | 乳白色 |
希釈 | 無希釈 |
水性ミラクシーラーエコ エスケー化研株式会社
建築系塗料の大手メーカー、エスケー化研の下塗り塗料です。多くの下地に対応している製品になります。
水性/溶材 | 水性 |
1液/2液 | 1液 |
適用下地 | コンクリート、セメントモルタル、スレート板、各種旧塗膜など |
色相 | 透明、シロ |
希釈 | 既調合 |