引越しをするときには様々な手続きを行います。引越しに伴う手続きのうち、特に注意が必要なのは役所で行うものです。
役所での手続きは煩雑なものも多くあり、書類不備によって何度も足を運ぶことになるのは嫌ですよね。
この記事では、引越し時に役所で行う手続きの解説をしています。主要都市で手続きをする際の持ち物などもまとめているため、ぜひ参考にしてください。
▽ 引越しの流れの全体を知りたい方は合わせてこちらもどうぞ。
引越し時に必要な役所の手続き一覧と流れ
はじめに引越しに伴って必要になる手続きの流れについて解説いたします。
旧住所の役所で行う手続き
異なる市区町村へ引っ越す場合、まずは転出届を提出します。転出届は転出日の14日前から転出後14日まで提出できますが、提出忘れを防ぐためにも提出可能期間になったら早めに提出しましょう。
国民健康保険に加入している方はこの時、現在の保険証を返却します。
一部自治体では転出時に児童手当受給事由消滅届を提出します。
新住所の役所で行う手続き
異なる市区町村から引っ越してきたときは転入届を、同一市区町村内での引越しであれば転居届を提出します。
転入してきた方が手続きは多くなります。代表的な手続きは以下の通りです。
- 国民健康保険への加入
- 妊婦検診の補助券の切り替え
- 児童手当の請求
転居、転入問わず住所が変更された場合に行う手続きは以下の通りです。
- マイナンバーカードの利用継続申請
- 国民年金の住所変更
- 介護保険の住所変更
- ペットの登録情報変更
手続き期限は引越し前後2週間が目安
役所で行う手続きの期限は引越し前後の14日とされていることが多いです。
たとえば転出届は引越し当日の14日前から、転入届・転居届は引っ越し後14日以内の提出が義務づけられています。
引越しの前後14日は手続きで忙しくなることをあらかじめ把握しておきましょう。
役所の開庁時間・曜日を要確認
基本的に役所は土日・祝日には開庁していません。しかし一部の自治体では隔週や開庁時間を短くして土曜日にも書類を受け付けていることがあります。
また市役所や区役所だけではなく、市民事務所・区民センターなどでも引越しの手続きを受け付けている自治体もあります。
役所に行けないという場合でもほかの施設であれば手続きができる可能性があります。詳細は転出入先の自治体のホームページを確認しましょう。
以下は代表的な都市の受付時間です。
世田谷区役所(東京都) | 港北区役所
(神奈川県横浜市) |
港区(愛知県名古屋市) | 東大阪市役所(大阪府) | |
開庁時間 | 月曜日~金曜日
8:30~17:00 |
月曜日~金曜日
8:45~17:00 |
月曜日~金曜日
8:45~17:15 |
月曜日~金曜日
9:00~17:45 |
土日・祝日の対応 | 第3土曜日を除く土曜日
9:00~17:00 |
第2・第4土曜日
9:00~12:00 |
なし | 第4土曜日
9:00~12:00 |
役所以外の受付場所 | あり(区内10か所) | なし | あり
転出入は土日も受付 |
あり(市内8か所) |
住民票の異動手続き
住民票に関する手続きは引越し手続きの基本ともいえるものです。この手続きに不備があると引越しの予定全体がずれてしまうため、手続きの順番や必要なものをしっかり確認しておきましょう。
どの届けを提出する場合でも共通して必要になるものは以下の通りです。
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、在留カードなど)
- 転入または転居者全員分のマイナンバーカードまたは住民基本台帳カード(住基カード)
- 転入または転居者全員分の特別永住者証明書または在留カード(外国籍の方のみ)
手続きに印鑑が必要な自治体もあります。記入を間違えたときの訂正にも使えるため、引越しの前後には認印を1本持ち歩くようにすると、急に印鑑が必要になったときも慌てずにすみます。
異なる自治体に引っ越すなら転出届・転入届を提出する
大阪市北区から東京都千代田区のように、旧居とは違う自治体に引っ越してきた場合には該当する窓口に転出届と転入届を提出します。
横浜市緑区から同市港北区に引っ越した場合も、転出届と転入届を提出する必要があります。
提出先 | 必要なもの | |
転出届 | 旧居のある役所 |
|
転入届 | 新居のある役所 |
|
同じ自治体内で引っ越すなら転居届を提出する
東京都千代田区内で引っ越すなど、引越し前後で役所の管轄地域が変わらないときは、転居届のみを提出します。
転居届は役所などの受付窓口で配布しています。自治体によってはフォーマットを配布しています。ダウンロードして印刷し、事前に記入した上での持参を推奨しています。
マイナンバーカードを使った転出入手続き
電子証明書が有効なマイナンバーカードを持っているのであれば、マイナポータルを利用して引越しの手続きの一部を簡略化できます。
マイナポータルからは転出届を提出することができます。転入届は直接窓口に提出しなければならないため、来庁予定日時の申請ができます。
引っ越す人を申請するときには、住民票に記載されている通りに正確な情報を入力する必要があります。住民票の写しを用意することをおすすめします。
マイナンバーカードがあれば住民票の写しはコンビニで取得できます。引越し手続きでは住民票を使用することが多いため、あらかじめ取得しておくとスムーズに手続きができます。
転出届の提出 | 転入届を提出する際の来庁予約 | |
注意点 | 新住所を入力するため、引越し先が決まってから申請する | 引越しから14日以内に転入届を提出する |
なお、マイナンバーカードを持っていても、従来のように窓口での手続きが可能です。
マイナンバーカードの手続き
マイナンバーカードをお持ちの場合は、引越し後に手続きをしないとカードが失効してしまいます。
再発行には費用と時間がかかりますから、転入届や転居届を提出したときに同時に手続きをすることをおすすめします。
住所変更・継続利用手続き
受付窓口 | 新居のある自治体の担当窓口 |
必要なもの |
|
手数料 | なし(記載欄満了以外の理由による再発行は有料) |
代理人による申請 | 可(本人に照会文書が発送される) |
転入届や転居届を提出した際、同時に住所変更と継続利用の手続きを案内されることがほとんどです。
変更手続きの中で発行時に設定した暗証番号が必要になります。マイナンバーカードの暗証番号は複数ありますが、この手続きで利用するのは数字4桁の住民基本台帳用暗証番号です。
署名用電子証明書の再発行
署名用電子証明書は、氏名や住所などの情報に変更があったとき自動的に失効します。このままではe-taxの申請など、インターネット上で書類を作成して提出する手続きが利用できなくなります。
再発行には英数字6~16桁の署名用電子証明書暗証番号が必要です。
代理人申請の場合、再発行手続きに文書での照会が必要となります。即日には完了しませんのでご注意ください。
国民健康保険・年金の住所変更手続き
国民健康保険の住所変更手続きは、役所に転入届・転居届を提出するタイミングで同時に行うことをおすすめします。そうすることで何度も役所に足を運ぶ必要がなくなります。
国民健康保険の住所変更方法
同一市区町村内で引っ越すのであれば、住所変更手続きが必要です。
持ち物は国民健康保険証と本人確認書類です。本人確認ができた場合は新しい保険証が即日発行されます。
現在住んでいる自治体から転出するときには、いったん現在加入中の国民健康保険から脱退します。国民健康保険は自治体単位で加入しているため、現在持っている保険証をそのまま利用することはできません。
役所の窓口で現在の国民健康保険証を返却します。資格喪失証明書が発行されるので、引越し後に手続きが終わるまでなくさないように持っていてください。
引越し後、新居のある自治体の役所で国民健康保険の新規加入手続きを行います。
代表的な都市の役所において、必要となる持ち物は以下の通りです。
世田谷区(東京都) | 横浜市(神奈川県) | 名古屋市(愛知県) | 東大阪市(大阪府) | |
他市区町村から転入したとき |
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職場の健康保険をやめたとき |
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以下のうちいずれかひとつ
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国民年金の住所変更方法
国民年金の第1号被保険者は変更届を役所の窓口に提出します。なおマイナンバーと基礎年金番号を紐づけているのであれば、住所変更届を提出する必要はありません。
ご自分のマイナンバーが基礎年金番号と紐づいているかを確認するには、ねんきんネットを確認するほか、年金事務所への来所・電話によって確認できます。
国民年金の第1号被保険者とは、自営業者、農業者とその家族、学生、無職の人などです。
会社員や公務員は勤め先に引っ越したことを伝える
社会保険や各種共済組合、厚生年金に加入している会社員や公務員は引っ越したことを必ず勤め先に通知しましょう。
担当部署に連絡をすれば、個々人で行う手続きは特にありません。
介護保険の住所変更手続き
引っ越す本人や家族が介護保険に加入している場合は住所変更の手続きが必要です。
手続き内容は国民健康保険の住所変更手続きとあまり変わりません。国民健康保険との違いは、手続きが必要になるのは自治体が変わるときのみであるという点です。
まず、旧居の自治体窓口で介護保険被保険者証を返却し、資格喪失の手続きをします。このとき介護保険受給資格証が交付されます。
引っ越した後は新居のある自治体窓口で介護保険受給資格証を提出し、要介護・要支援認定を申請してください。
妊婦・子供に関する手続き
妊婦や子供がいる家庭で、異なる市区町村に引っ越すときはいくつかの手続きが必要です。
検診補助券の切り替え
受付窓口 | 新居がある自治体の対応窓口 |
必要なもの |
|
手数料 | なし |
検診補助券は自治体が独自に発行しているもののため、異なる自治体のものを利用することはできません。役所の担当窓口に申し出て、未使用分を交換してもらいましょう。
検診補助券の交換時には、母子手帳(母子健康手帳)、未使用分の検診補助券、印鑑(シャチハタを除く)が必要です。
転入届を提出しに行ったときに同時に手続きをすると、役所に足を運ぶ回数を少なくできます。
児童手当の受給手続き
引越しに伴う児童手当の手続きは自治体によって異なります。重要なことは転出日の翌日から15日以内に手続きを行うことです。
児童手当には15日特例というものがあり、転出日の翌日から15日以内に手続きを済ませれば、転入日が月の後半であっても申請月の翌日から手当を受けられます。申請が遅くなれば手当を受給できない月が発生するため、早めに申請をしましょう。
必要書類が揃っていなくとも申請ができる自治体もあります。もし転入日までに必要書類を用意できていなくても、転入届を出す際に申請の可否を尋ねてみましょう。足りない書類は後日提出で問題ないとしているかもしれません。
同一市区町村内で引っ越す場合は窓口に住所変更を提出するだけで手続きが完了します。
主要都市に転入し、児童手当の手続きをする際に必要な書類は以下の通りです。
世田谷区(東京都) | 横浜市(神奈川県) | 名古屋市(愛知県) | 東大阪市(大阪府) | |
転出時の手続き | なし | なし | 児童手当受給事由消滅届の提出 | 転出する旨を伝えて書類を受ける |
必要なもの |
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郵送で申請する場合は以下のコピーを同封する
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受付窓口 |
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マイナポータルを利用した申請 | 可能 | 可能 | 可能 | 可能 |
転園・転校手続き
子供がいる家庭であれば、転園・転校手続きも忘れずに行いましょう。手続きをスムーズに行うためにはいくつか気をつけるべきポイントがあるため、忘れずにご確認ください。
保育園・幼稚園の転園手続き
転園の手続きは自治体や園によって異なります。まずは現在通っている園に問い合わせましょう。
保育園や幼稚園の転園に関しては、引越し先の施設の定員に空きがあるかという点も重要です。定員に空きがないため転園できないというケースも考えられます。引越しが決まったら早い段階から転園先を探し始めるようにしましょう。
保育園や幼稚園の転園については、以下の記事もあわせてご覧ください。
小中学校での転校手続き
小中学校に通学している子供がいる場合は、まず学校側に転校することを伝えましょう。在学証明書と教科用図書給与証明書が発行されます。
引越し後は15日以内に転入手続きを行います。役所の窓口で手続きができます。
高校での転校手続き
高校は義務教育でないため、小中学校のように公立校に転入できるとは限りません。定員に空きがある学校を探し、学力試験を受ける必要があります。
欠員募集の問い合わせ先は、公立高校であれば各都道府県の教育委員会、私立高校であれば都道府県私学協会です。
学校側に用意してもらう | 自分で用意する | |
必要書類 |
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印鑑登録の手続き
転出届を出した時点で印鑑登録が破棄されるため、新居のある自治体で改めて印鑑登録を行いましょう。
印鑑登録では住所の情報は登録されないため、同一市区町村の中で転居したときは住所変更手続きなどは必要ありません。
以下の表は主要都市において、印鑑登録手続きに必要なものをまとめたものです。自治体によっては手数料を徴収しています。
世田谷区(東京都) | 横浜市(神奈川県) | 名古屋市(愛知県) | 東大阪市(大阪府) | |
必要なもの |
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手数料 | 100円 | – | なし | – |
代理人による申請 | 可能
※即日登録は不可 |
可能
※即日登録は不可 |
可能
※即日登録は不可 |
可能
※即日登録は不可 |
参考:
ペットの登録情報変更手続き
動物愛護法改正により、2022年6月1日からペットショップ等で販売されている犬や猫について、マイクロチップ装着が義務化されました。義務化以降にペットショップからペットを購入したのであれば、マイクロチップに飼い主の情報を登録してあります。
引越しなどで登録情報に変更が生じた場合、30日以内に環境省データベースから情報変更手続きを行う必要があります。環境省データベースから情報を変更したのであれば自治体への届け出は不要です。
マイクロチップを装着していない犬、または飼い主の情報を登録していない状態で犬を飼っているのであればお住まいの自治体に届け出を出す必要があります。
改正動物愛護法施行以前から、民間業者のマイクロチップデータベースを利用しており、そちらに情報を登録している場合も自治体への届け出が必要となるケースがあります。
世田谷区(東京都) | 横浜市(神奈川県) | 名古屋市(愛知県) | 東大阪市(大阪府) | 環境省データベース | |
必要なもの |
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※登録証明書に記載 |
受付窓口 |
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※郵送手続きは不可 |
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ウェブサイト上 |
手数料 | なし(鑑札の再交付は1,600円) | なし(鑑札の再交付は1,600円) | なし | なし(鑑札の再交付は1,600円) | なし |
代理人に役所手続きをしてもらうときに必要なもの
代理人に手続きをしてもらうときには、提出書類に加えて以下のものが必要になることが多いです。
- 委任状
- 代理人本人の本人確認書類
本人が申請したときは手続きが即日完了するものであっても、代理人からの申請では時間がかかるものもあります。また手続きによって代理人として認められる範囲が異なります。
特に注意が必要なのはマイナンバーカード関係の手続きです。マイナンバーカードには用途が異なる4種類の暗証番号があります。家族全員分のカードの住所変更を行うときには、それぞれのカードの暗証番号が必要です。
複数回入力を間違えるとロックがかかってしまうため、あらかじめ暗証番号をメモしておくなど、スムーズに手続きができるように工夫をしましょう。
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