開放的な雰囲気やおしゃれな見た目が魅力のアイランドキッチンにも、デメリットはあります。メリットと比較したうえで導入を決めましょう。
この記事ではアイランドキッチンの特徴から強みと弱みを解説します。リフォームの注意点も要チェックです。
アイランドキッチンとは?
料理を楽しみたい人に人気の「アイランドキッチン」は、どのようなキッチンなのでしょうか?定義と形態の特徴を紹介します。似たタイプとして知られる「ペニンシュラキッチン」との違いも押さえておきましょう。
アイランドキッチンの特徴
アイランドキッチンは4辺の全てが壁から離れており、独立した島のように見えるキッチンです。開放的な空間で動くスペースを広く取りたい人から、注目を集めています。
昔の日本でキッチンといえば、食べる場所とは区切られているのが当たり前でした。しかし時代の流れとともに台所やダイニングは、家族とコミュニケーションを取る場に変わっていきます。
日本でダイニングと台所の隔たりがなくなったのは、1950年代にできた公営住宅がきっかけです。その後は給湯器や電気コンロの開発を経てシステムキッチンの登場に至ります。
キッチンのタイプもアイランドキッチンを含めて、現在はさまざまな種類が採用されるようになりました。
ペニンシュラキッチンとの違い
アイランドキッチンと混同されやすい種類のキッチンとして知られているのが、「ペニンシュラキッチン」です。ペニンシュラ(Peninsula)は「半島」という意味の英語で、1辺が壁に付いた形のキッチンを指します。
ペニンシュラキッチンはアイランドキッチンに比べて、省スペースかつ低コストで設置できるのが大きな魅力です。換気扇を壁の近くに設置できるため、取り付けられる換気扇の種類が豊富という強みもあります。
しかし1辺は壁に付ける必要がある構造上、アイランドキッチンより動きやすさはやや劣るでしょう。
アイランドキッチンのメリット
アイランドキッチンは全ての面を壁から離すことで、多くのメリットを実現します。他のタイプのキッチンと比べたときの強みを把握して、リフォーム計画に役立てましょう。
家族とのコミュニケーションが増える
キッチン周辺に壁がないということは、カウンターキッチンなどに比べて料理中の視野を広く持てるということです。
視界が開けたアイランドキッチンからは、リビングにいる家族とコミュニケーションが取りやすくなるでしょう。小さな子どもがリビングで遊んでいても、常に注意を向けながら食事の準備ができます。
食事の準備をしている状態を家族が認識できるため、お互いに声を掛け合いやすくなるのもメリットです。配膳や片付けといった作業を分担しやすくなります。
複数人でも調理できる
アイランドキッチンは周囲360度に人が立てるスペースがある構造上、複数人での調理に向いているキッチンです。ホームパーティーを開いたときに、招待した人と一緒に食事の準備をするといった楽しみも増えます。
家族でも夫婦や親子でキッチンに立てると、コミュニケーションの幅が広がるでしょう。ただし子どもを育てている家庭の場合は、将来の状況も考えなければなりません。
ライフスタイルは時間をかけて移り変わっていくため、メインで料理をする人が変わる可能性もあります。将来的な家族構成も視野に入れて、キッチンのレイアウトを考えましょう。
おしゃれな空間を演出しやすい
アイランドキッチンは開放感だけでなく、スタイリッシュなデザイン性も追求して設計されます。色や素材の質感といった外観も多くの選択肢から選べるため、壁紙や床材など周囲の雰囲気と合わせたキッチン選びができるでしょう。
天板や扉の材質を自分好みにカスタマイズすれば、よりデザイン性の高い空間を演出できます。もちろん機能性との両立も可能です。手が届きやすい場所に収納棚を設置したり、冷蔵庫との行き来をしやすくしたりといった工夫次第で使い勝手がよくなります。
アイランドキッチンのデメリット
アイランドキッチンへのリフォームを考えている人は、どのようなデメリットがあるかも把握しておきましょう。理想の空間を実現するためにはメリットと課題を比較して、計画を立てていかなければなりません。
収納スペースの確保が必要
アイランドキッチンは壁と調理場の間にスペースがある分、調理中に手が届く場所に設置できる収納が限られます。配置によっては家事動線が長くなってしまい、料理に使う労力が増えかねません。
調理中にも取りやすいように天板に載せておくと、来客時に乱雑さが目立ってしまうという問題もあります。仮置きする食材をどのようにまとめるか、調味料や食器をどこに収納するかは事前に考えておきましょう。
リビングに臭いが広がりやすい
リビングとの間に壁や仕切りがないアイランドキッチンでは、料理中に発生した臭いがリビングに広がりやすくなります。油分が多く含まれた空気がキッチンから流れ出て、天井や壁・家具に油汚れが付いてしまうのもデメリットです。
また揚げ物をしたときは「油はね」が起こります。はねた油をさえぎるものがなければ周囲の床に油が散ってしまい、後の掃除が大変になる可能性もあるでしょう。オイルガードを設置するなど、可能な限りの対策を行っておくことをおすすめします。
広さによっては圧迫感が出る
アイランドキッチンを設置するにしても、本来の空間が狭ければかえって圧迫感が出てしまう可能性があります。アイランドキッチンを設置できるかを判断するには、その建物の間取りや台所周辺の広さが重要です。
狭い間取りでどうしてもアイランドキッチンにしたい場合は、脚が付いたタイプのキッチンにする・天板以外の部分をコンパクトにするという選択肢もあります。キッチン自体のボリュームを抑えれば空間を広く見せられるでしょう。
部屋の間取りや広さはキッチンをリフォームするうえで欠かせない要素のため、業者にもはじめにしっかり伝えておきます。
リフォームする際の注意点
キッチンのリフォームを行うに当たって、いくつか注意しておきたいポイントがあります。スムーズに使い勝手がよいキッチンにリフォームするためには、丁寧な計画が必要です。
通路のスペースも計算に入れる
アイランドキッチンは広い空間に設置しなければ、圧迫感が増してしまいます。設置を検討するときはキッチンそのものの大きさだけでなく、「通路として確保するスペース」も視野に入れて必要な広さを計算しましょう。
複数人が一度に通るために必要な通路幅は、一般的に90cm以上です。幅2mのアイランドキッチンを設置するのであれば、両側の通路幅を入れて最低でも幅3m80cm以上のスペースが必要になります。
排水管や換気ダクトの移動工事が必要
壁付けキッチンからアイランドキッチンにリフォームするときは、どうしても排水管やダクトの移動が必要になります。移動にも工事費はかかるので、予算に組み込んでおきましょう。
家の構造や配管などが原因で天井や床下部分のリフォームができない場合は、アイランドキッチンの設置自体が難しくなってしまう可能性があります。事前に業者と打ち合わせを行い、現場の確認も依頼して導入を決めると安心です。
適した高さのキッチンを選ぶ
システムキッチンに備え付けられている天板やカウンターの高さには、80~90cmほどの範囲である程度のバリエーションが用意されています。リフォームするときは使いやすい高さを選ぶのがポイントです。
高すぎると食事の準備や洗い物がしづらくなりますし、低すぎると腰痛の原因となる恐れがあります。メインで料理をする人の背丈に合わせて高さを選びましょう。
最適な高さを算出する際には一般的に、「身長÷2+5cm」という式を使います。ちょうど腰に負担のかからない位置に、天板やカウンターが来る高さを算出できるはずです。
アイランドキッチンにリフォームしよう
アイランドキッチンの導入計画を立てたら、リフォーム業者に施工を依頼しましょう。工事にはどの程度の費用がかかるのでしょうか?業者の選び方・要望の伝え方とともに紹介します。
アイランドキッチンのリフォーム費用は?
アイランドキッチンの費用はキッチンそのもののグレードやデザイン性・機能性によって、大きく変動します。スタイリッシュなデザイン・機能性が高いものは、本体の価格が高額になるため注意しましょう。
リフォームには本体価格だけでなく、配管や換気扇の工事などの料金が上乗せされることになります。住宅の間取りや配管によっても変わるので、一概にいくらとは断定できません。
ただ1,200,000~2,200,000円ほどが平均の価格帯のようです。施工を頼む業者によっても費用に差が出るため、事前の見積もり依頼と業者の見極めは大切です。
より詳しくキッチンリフォームの費用について知りたい方は以下の関連記事を参考にしてみてください。費用を安くする方法についても紹介しています。
見積もり依頼は複数の業者へ
業者ごとに得意な施工方法や所有している技術は異なります。1社に限定するのではなく複数の業者に見積もりを依頼すると、適正価格を見極められるだけでなく要望に応えられる業者が見つかりやすくなるでしょう。
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希望は具体的に伝えるのがおすすめ
業者との相談や打ち合わせを行うときは、「キッチン本体をどのような配置にしたいか」「冷蔵庫をどこに置くか」など具体的な希望を伝えるのがポイントです。施工してから使いにくさに気づくというトラブルを防げます。
そのままでは実現が難しい要望についても、具体的に希望を伝えておけば業者が代替案を提示してくれるケースも少なくありません。
「絶対に譲れない部分」「条件が合えば実現したい部分」といったように優先順位を付けておくと、業者との打ち合わせがよりスムーズに進むでしょう。
アイランドキッチンで理想の空間を実現
アイランドキッチンは部屋の中に島のように設置する、開放的なキッチンです。家族とコミュニケーションが取れる・複数人で調理ができるなど、暮らしを豊かにするメリットが多くあります。
一方で手近に収納スペースを設置しにくい・臭いがリビングに漏れやすいなどのデメリットも考えなければなりません。ただ工夫によってカバーできる弱みも多いため、業者に相談したりよく計画を練ったりして対策を考えましょう。
施工を依頼するときは複数の業者から見積もりを取り、自宅のキッチンリフォームをかなえられる依頼先を探します。要望を具体的に伝えて打ち合わせを進めれば、理想の空間を実現できるはずです。
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