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開業届を税務署に提出しましょう|なぜ提出すべき?どこに出す?

最終更新日: 2020年01月20日

税務署に開業届を出すことで、青色申告の65万円控除を受けられるようになるなど様々なメリットがあります。

この記事では個人事業主が開業届を提出した方が良い理由や、税務署に開業届を提出する方法について詳しく解説していきます。

この記事を監修した税理士

高崎文秀税理士事務所 - 東京都文京区本郷

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開業届は提出することをおすすめします

開業届は提出することをおすすめします
開業届は提出することをおすすめします

個人事業主として開業したら、開業届を税務署へ提出した方がよいでしょう。開業届は提出しなくても特に罰則はありません。

しかし提出しないことによって、提出すれば得られるはずのメリットが得られなくなってしまうでしょう。提出することによってそれほど大きなデメリットはありませんので、よほど提出したくない事情がない限りは提出することをおすすめします。

 開業届の提出期限は開業日から1ヶ月以内

所得税法第229条には、「新たに事業所得、不動産所得又は山林所得を生ずべき事業の開始等をした方」は「事業の開始等の事実があった日から1ヶ月以内」に開業届を提出しなければならないと明記されています。

なお提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限です。ちなみに開業届の正式名称は「個人事業の開廃業届出書」です。

開業日には法的な決まりはありません。初めて事業を開始した日でもよいですし、初めて売上があった日でも構いません。いずれにせよ個人事業主として事業を開始したら、自分で決めた開業日の1ヶ月以内に開業届の提出を行うことが法律で義務付けられています。

出さなくても罰則などはないが…

開業届を提出する主な役割は以下の2つです。

  1. 税務署への通知
  2. 開業の証明

個人事業主は法人とは異なり登記などの手続きがないため、個人で事業を行なっているという証明が何もありません。

税務署としても、管轄する地域で事業を行う個人事業主を把握しておかないと事業者などに対して通知を行うことはできません。そのため法人登記の代わりに税務署へ「開業しました」ということを知らせてもらう必要があり、その書類が開業届なのです。

また個人事業主として開業しても、やはり法人のように登記があるわけではないので、「事業を行なっている」という客観的な証明書類がありません。開業届を税務署へ提出して税務署の収受印を受けることで、個人事業主も外的に「事業主として独立している」という証明をすることが可能です。

銀行口座を作る時や、事業資金融資を受ける時には個人事業主としての証明が必要ですが、この時に開業届は重要な証明証書として扱われます。

開業届の提出は所得税法で義務付けられています。しかし開業届を提出しなくても特に罰則はありません。ただし開業届を提出していないとしても、事業で利益をあげた場合には確定申告から逃れることはできません。確定申告を行う際には開業届の提出は必須で、提出していない場合には提出した後に確定申告を行う流れになります。

確定申告の時期は税務署はかなり混み合っていますので、この忙しい時期に開業届を提出するよりは、いずれ提出するのであれば開業日から1ヶ月以内の早い段階から提出してしまった方がよいでしょう。

開業届を提出するメリット

開業届を提出することによって、以下のようなメリットがあります。

  • 開業から2ヶ月以内に青色申告承認申請書を同時に提出することにより、青色申告を行うことができる
  • 屋号の銀行口座を作成することができる
  • 事業者としてクレジットカードの審査対象になる
  • 事業資金融資の対象になる

開業届と同時に青色申告承認申請書を提出した場合、その後は青色申告が可能です。ちなみに青色申告には以下のようなメリットがあります。

  • 65万円または10万円の控除を受けることができる
  • 家族への給与を経費に計上できる
  • 赤字を3年間繰り越すことができる
  • 30万円未満の減価償却資産を全額経費にできる

この他、開業届を提出することによって「個人事業主として開業している」という客観的な証拠になるので、屋号での銀行口座の作成や、ビジネスクレジットカードの審査対象です。

さらに個人よりも有利な金利でお金を借りることができる銀行の事業資金融資も、開業届があることによって融資対象となります。

個人事業主の方の中には「開業届を提出すると支払う税金が増える」と思っている人もいるようです。しかし税金は所得を得たら必ず申告しなければならず、開業届を出そうが出すまいが、利益が出ているにも関わらず確定申告をしなければ脱税になってしまいます。

開業届を出そうが出すまいが支払わなければならない税金は変わりませんし、青色申告承認申請書を同時に提出した場合には、青色申告による控除がある分税金は得をすることが多いと考えた方がよいでしょう。

開業届を提出するデメリット

開業届は法律に基づいて提出しなければならない書類です。しかし提出することによって以下のようなデメリットもありますので、提出する際にはデメリットもよく確認してから提出しましょう。

  • 失業保険を受けることができない
  • 配偶者の社会保険等の扶養に入ることができない場合がある

会社を退職すると失業保険の給付を受けることが可能ですが、退職後すぐに独立して開業届を提出してしまうと、失業保険の給付を受ける資格を喪失してしまいます。

失業期間を経てから開業しようという人は、すぐに開業届を提出せずに、給付期間が経過してから開業届を提出した方がよいでしょう。

またこれまで配偶者の社会保険等の扶養家族として生活していた人が開業する場合には、開業届を提出したことによって扶養の資格がなくなって扶養を抜けなければならないこともあります。

一定以下の所得でも個人事業主として開業した場合には扶養の資格があるかどうかについては健康保険組合の規定によって異なりますので、これまで配偶者の扶養だった人は、配偶者の健康保険組合の規定をよく確認してから開業届を提出した方がよいでしょう。

個人事業主として真面目に事業を営み、利益の拡大を目指すのであれば、失業保険も扶養もほとんど関係ありません。このため開業してから一定期間を経過してしまえば、開業届を出すことにデメリットは何もないと言えるでしょう。

開業届を出してデメリットがあるのは、会社を退職して間も無くの時期だけです。

税務署に開業届を提出する流れ

開業届を提出するまで
開業届を提出するまで

それでは、実際に開業届はどのように提出するのは、どのように記載するのか、どこの税務署へ提出するのかということについて見ていきましょう。

開業届は非常に簡単な書類で、提出方法もシンプルです。書き方や提出場所などについて具体的に解説していきます。

 開業届の書き方

開業届の用紙は税務署に置いてある書類に記入するか、もしくは国税庁のウェブサイトからダウンロードして記入することができます。

参考:個人事業の開業・廃業届出書|国税庁

開業届に記載する内容は以下の通りです。

  • 書類のタイトル:「開業」に○印
  • 納税地:仕事場ではなく、個人事業主の住所を記載
  • 税務署:納税地に記載した住所の所轄税務署を記載
  • 提出日:書類の提出日を記載するが記載しなくてOK
  • 氏名:本名を記載。ペンネームや屋号がある場合は屋号欄に屋号やペンネームを記載
  • 個人番号:マイナンバーを記載
  • 職業:仕事内容がわかればOK。特に決まりはない
  • 屋号:あれば記載。なければ省略可
  • 届出の区分:「開業」に○印
  • 所得の種類:該当するものがあればチェック
  • 開業日:開業した日を記載。開業日は自分で決められる

基本的には難しい内容は1つもありません。屋号が決まっている場合には、ここで屋号を記入し、まだ決まっていないのであればこの段階では空欄でOKです。

マイナンバーが必要になりますので、手元にマイナンバーカードやマイナンバー通知カードを用意しておきましょう。

 開業届はどこの税務署に提出するの?

開業届は住所の所轄税務署へ提出を行います。

どうしても事務所などがある住所管轄の税務署へ提出したい場合には、事務所や店舗の住所を管轄する税務署へ提出しても受け付けてくれるとは思いますが、原則的には自宅住所地の所轄税務署へ提出するものだということは覚えておいた方がよいでしょう。

町村が同じでも、管轄の税務署が異なることもありますので、自分の管轄の税務署がどこなのかということは国税庁のウェブサイトから検索してから提出するようにしてください。

参考:税務署の所在地などを知りたい方|国税庁

国税庁のウェブサイトでは郵便番号から管轄の税務署を探すことができるので、間違いなく最寄りの税務署を探すことができ便利です。

開業届の提出方法・持ち物

開業届を提出する方法には「税務署へ直接持参する」「税務署に郵送する」「税務署の時間外収受箱に投函する」の3つがあります。それぞれについて見ていきましょう。

<税務署へ直接持参する場合>

税務署で直接開業届を提出する場合は、以下の持ち物が必要です。

  • 印鑑
  • マイナンバーが分かるもの
  • 身分証明書

印鑑は開業届に漏れなく押印がある場合には必要ありませんが、漏れがあった場合にはその場で押印が必要になりますので一応持って行った方がよいでしょう。

また開業届に記載されているマイナンバーの確認を税務署が行うので、マイナンバーカードや通知カードが必要になります。マイナンバーカードは身分証明書にもなるので、マイナンバーカードがある人は、印鑑とマイナンバーカードだけを持参すればOKです。マイナンバーカードがない人は通知カードと運転免許証などを持参しましょう。

なお開業届を提出するために費用は一切かかりません。手数料もなければ収入印紙代なども必要ありませんので、開業届は税務署に無料で提出することが可能です。

また直接提出する場合には、事前に税務署の受付時間も確認しておきましょう。

  • 受付時間:8:30~17:00
  • 閉庁日:土日祝日

受付時間内であれば開業届提出の受付のみならず、相談窓口での相談にも対応してくれます。何かわからないことがあれば、税務署に足を運ぶと良いでしょう。

<税務署へ郵送する場合>

忙しくて土日しか空いていない場合や、家の近くに税務署がない場合は開業届を郵送しましょう。開業前の忙しい時期に税務署まで足を運ぶ余裕がないという人も多いかもしれませんが、郵送であれば時間がある時に曜日を気にせず提出することができるので安心ですね。

郵送の場合には漏れなく書類を記載し、マイナンバーが分かる書類と身分証明書の写しを同封して税務署へ郵送するようにしてください

封筒には管轄税務署の住所を書き、宛名は「○○税務署 御中」としましょう。また「開廃業届書 在中」と書くと良いでしょう。

また控えを返送してもらう必要があるため、切手を貼った返送用封筒を同封してください

<税務署の時間外収受箱に投函する場合>

営業時間内には税務署に行けないが家の近くにあるという方は、税務署の時間外収受箱を利用しましょう。時間外収受箱とは、営業時間外にも書類を提出できる税務署の外のポストのことです。

時間外収受箱に提出する書類は郵送の場合と同様です。封筒に開業届や身分証明書の写し、返送用封筒を同封して投函しましょう。

開業届と一緒に税務署に出すと楽な書類

せっかく忙しい中税務署へ足を運ぶのであれば、開業届と一緒に以下の書類も提出してしまった方が良いでしょう。開業届と一緒に提出した方が良い書類としては以下のような書類があります。

  • 青色申告承認申請書
  • 青色事業専従者給与に関する届出書
  • 給与支払事務所等の開設届出
  • 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

青色申告を行うには、「青色申告承認申請書」の提出が必要です。

また配偶者や子供などを従業員として雇う場合には、「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出が必要で、社員やバイトなどを雇う場合には「給与支払事務所等の開設届出」、従業員から源泉徴収を行う場合には「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」の提出をしておくと源泉徴収事務が楽になります。

従業員等を雇わないとしても、青色申告をする場合には「青色申告承認申請書」の提出だけは必要になります。自分の事業で提出が必要な書類は何かをよく確認して、一度の税務署への訪問で必要な書類を全て提出することができるようにしておいてください。

 開業届の控えは大切に保管しましょう

開業届の控えは、個人事業主の「事業を営んでいる」という証明になる書類です。

銀行から事業資金融資を受ける場合や、事業者クレジットカードを発行する場合、屋号の口座を作成する場合、また大手ECサイトに店舗を持つ場合にも提出を要求されることもあります。

開業後に何かと必要になる書類ですので、税務署から受け取る控えは大切に保管しておくようにしてください。したがって届出書は2部作成して税務署に提出し、1部は控え用として税務署の収受印がついたものを返却してもらう必要があります(郵送による提出の場合は切手を貼った返信用封筒の同封が必要)。

営業許可が必要な業種を営む場合には営業許可証などの重要書類と一緒に保管しておくとよいでしょう。なおもしも手元にない場合には。税務署から再発行してもらうことは可能です。

ただし再発行手続きは、税務署に対して個人情報の開示請求という請求を行う必要があり、手数料が300円で再発行までは1ヶ月程度の時間がかかってしまいますので、できる限り開業届の控えは紛失しないように大切に保管するようにしてください。

まとめ|事業の立ち上げに不安があれば税理士にご相談を!

開業届をはじめ、事業をはじめる場合には様々な書類の提出が必要です。

開業前は、このような書類の用意よりも、店舗や取引先の確保などの実務的な準備に時間がかかりますし、経営者としてはできる限り実務的な準備に時間をかけるべきでしょう。

立ち上げを不備なく進めたいのであれば、また少しでも立ち上げに不安があるのであれば税理士に相談するのがお勧めです。

監修税理士のコメント

高崎文秀税理士事務所 - 東京都文京区本郷

特別な理由がない限り、開業したらすぐに開業届は提出すべきです。さらに「青色申告承認申請書」などの書類も一緒に提出することによって、税制上の優遇措置も受けられます。これらをまとめて提出してしまえば一度の手間で済みます。我々税理士も、開業したばかりの方の顧問となった場合、最初のタスクとして、税務署への届出書の提出を行っています。顧問税理士がいない方でも、届出書の作成自体は難しいものではありませんので、上記の記事を読んだ上で是非チャレンジしてみましょう。
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この記事を監修した税理士

高崎文秀税理士事務所 - 東京都文京区本郷

高崎文秀(たかさきふみひで)文京区水道橋駅近くで、低価格で品質の高いサービスをご提供する税理士事務所を運営。起業家向けに月額1万円、決算料なしからの税務顧問を提供する。 創業したばかりでお金と時間に余裕がない、という方でも経理、節税、税務調査などを心配せず、本業に集中して頂き、1日でも早く事業を軌道に乗せて頂くことをコンセプトしている。事務所HP : https://ft-taxacc.com/
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