この記事では、日本でも多く見られる種類の蜂の巣について、形状による違いや、もし蜂の巣を見つけたときの対応などを解説していきます。
蜂の巣の見分け方は?
スズメバチの巣は丸くマーブル模様、スズメバチの巣はシャワーヘッドのような形でたくさんの巣穴がむき出しになっています。ミツバチの巣は平らな板のような形に特徴があります。
駆除が必要な危険な蜂の巣の種類は?
危険なスズメバチとアシナガバチの巣は、働き蜂が羽化し大きくなる前に駆除する必要があります。スズメバチなどのより危険な蜂を寄せ付けてしまう可能性もあるため、ミツバチの巣も早めの駆除を心がけましょう。
「蜂の巣」の種類は?特徴と見分け方
蜂が飛び回っていると、羽音による不快感や、毒針を刺されないという不安を感じてしまいますよね。
日本でよく見かける蜂のうち、最も注意が必要なのは「スズメバチ」、次いで「アシナガバチ」という種類です。
この2種は毒性が強く、駆除は慎重におこなう必要があります。
とくに以下のような場合には、むやみに近づいたり、のぞきこんだりしないように注意しましょう。
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また「ミツバチ」はこれら2種に比べて毒性が弱いですが、時期や状況によっては厳重な注意が必要です。
蜂の巣を見つけたときには基本的に、安易な気持ちで「自分で駆除しよう」としないことを覚えておきましょう。
自分で蜂の巣を駆除できる状況や駆除方法についても後述しますが、その場合も防護服などの道具を用意して、万全な状態で挑む必要があります。
【注意点】
2000~2009年のあいだの死者数は218人(年平均約22人)にも及びます。 近年、スズメバチ等による死亡者数は減ってきているとは言われますが、それでも2019年の死亡者数は11人。 アナフィラキシーショックなどにより、死亡に至るリスクは誰にでもあるので注意しましょう。 参考:人口動態調査|厚生労働省 |
スズメバチの巣、特徴や注意点
スズメバチの種類と、巣が作られやすい場所
ベランダや軒下に白と茶のマーブル柄をした巣を見つけた時は、スズメバチの巣だと思って間違いありません。
スズメバチは毒性が強く、また非常に攻撃的な性格です。大きなものだと4cmを超える個体もいます。
とくに蜂の巣が球体型であれば、300~1,000匹を超えるスズメバチが住んでいる可能性も……。
巣が作られやすい場所 | |
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スズメバチの種類と、それぞれが巣を作りやすい場所を上記にまとめました。
もっとも危険度が高いと言われる「オオスズメバチ」は、土の中や屋根裏など、見えづらいところに巣を作ります。発見が遅れやすいうえ、凶暴性も高いのが特徴です。
「キイロスズメバチ」は木の穴・屋根裏のような閉鎖空間から、軒下・生垣といった開放空間までいたるところに巣を作ることができます。
段ボールや車体の隙間、自転車サドルの裏などにも巣を作ってしまうため、都会でも安心できません。
スズメバチの種類によって巣の形は微妙に違いますが、基本的にはどれも球体やとっくり・フラスコのような形をしています。
時期によって球体型・フラスコ型(とっくり型)に分かれる
スズメバチは、4月くらいから活動をはじめ、5~6月あたりに巣がカタチになってきます。
初期の巣は画像左のように、とっくりを逆さにしたような「フラスコ型」です。
この時期に巣にいるのは女王蜂と幼虫のみなので、羽のついたスズメバチが飛んでいることはありません。
7月くらいになると、働きバチの幼虫が羽化しはじめて、画像右のように丸い形状に変化していきます。9月以降には直径が1mを超えることも。
そのため早めの対処が必要です。普段から蜂が発生しやすい地域なら、5~6月のうちに家の隅々を点検しておきましょう。
家の軒下だけでなく、庭に植えている木なども注意して観察しましょう。
【注意点】
スズメバチの巣は外皮が厚く、中まで薬剤をしっかり散布するのが難しいです。 また攻撃性や毒性が高い種類が多く、非常に危険なため、業者に駆除を依頼するようにしましょう。 |
以下の記事では、スズメバチの巣を自分で駆除する場合の方法や、巣の構造まで詳しく解説しています。
アシナガバチの巣、特徴や注意点
アシナガバチの特徴
アシナガバチは毒性の強い針をもち、刺されたときの腫れ・痛みは相当なものです。
基本おとなしい性格ですが、8月後半以降には攻撃的になります。2.6cmほどの大きさで、スズメバチよりは小さめ。
なかでも「セグロアシナガバチ」や「キイロアシナガバチ」は、とくに強い毒針を持っているので要注意です。
くれぐれも巣を刺激しないように注意しましょう。また駆除の際にも、慎重におこなう必要があります。
アシナガバチの巣の特徴、作られやすい場所
アシナガバチの巣の特徴を、以下にまとめます。
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アシナガバチが作る巣は、六角形の穴がむき出しになっていて、逆さまのおわんや、シャワーヘッドのような形をしています。
巣の平均的なサイズは直径15cmほどですが、ヒメホソアシナガバチの巣などは60cmほどまで大きくなることも。
アシナガバチの巣がよく作られる場所は、軒下、ベランダ、室外機、物置、樹木の下など。
風通しの良い開放空間が多いので、比較的見つけやすい場所にあります。
ただし巣が15cmくらいの場合にはなかなか見つからないこともあります。
ミツバチの巣、特徴や注意点
ミツバチの特徴
ミツバチは毒性が低く、スズメバチやアシナガバチと比べると危険度は小さめです。
1.3cmほどの大きさで、花のまわりを飛び交う、毛深い種類です。
おとなしい性格なので、こちらから刺激を与えなければ指されることもありませんが、2~3月と10~11月の間は狂暴になるので注意が必要。
また屋根裏などに巣が出来てしまうと、ハチミツが垂れて天井に染みになったり、アリやゴキブリがたかったりと、思わぬ二次被害につながることも。
さらにミツバチはスズメバチの捕食対象なので、巣を襲うことがあります。
その場合、ミツバチによる被害はなくても、やってきたスズメバチから被害を受けることがあるのです。
そのためミツバチの巣は、状況によっては駆除した方が安心です。
ミツバチの巣の特徴、作られやすい場所
ミツバチの巣は六角形が規則正しく連なっており、「ハニカム構造」と呼ばれる強固な作りが特徴です。
そのほかのミツバチの巣の特徴や、作られやすい場所をまとめると、以下のようになります。
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ミツバチは、幼虫を育てるためだけでなく、花からとった蜜を保管しておくために頑丈な巣をつくります。
平らな板のような形で「巣板」と呼ばれ、板が何枚か並んでいるのが特徴。
最初は小さな巣でも、女王蜂は毎日1,500〜2,000個の卵を産み続けるほどの繁殖力があります。
ハチの数が多くなるにつれ巣も急激に大きくなっていきます。最大のものでは横幅1mを超えることも。
またミツバチの巣は、閉ざされた狭い場所に作られやすいです。家の中だと例えば、屋根裏や床下、また石垣や植え込みなどが挙げられます。
放置しておいても大丈夫な種類の「蜂の巣」
日本にはスズメバチやアシナガバチ以外にも、さまざまな蜂が生息しています。
危険性の低い蜂も多くいるため、種類によっては巣を放っておいても問題ない場合があります。
実は危険性が低い、クマバチ
丸いフォルム、黄色い毛が特徴的なクマバチは、北海道から九州までひろく分布しています。
体長2〜3cmとやや大きめな蜂ですが、臆病な性格をしており、また毒性も弱いためあまり警戒する必要がありません。
クマバチの巣は、樹木や廃材に穴を空けて作られます。
単独行動を基本としているため巣のサイズは非常にコンパクト。巣に近づくだけでは攻撃してこないので、放置しても問題ありません。
クマバチは4月に冬眠から目覚め、6~7月にかけて巣作りをします。
日曜大工などで余った木材などを庭に放置している場合は、穴が空いていないか確認してみましょう。
子を育てるために巣を作る、ジガバチ
ジガバチは体長1.5cmほどで華奢な外見をした蜂です。
クマバチと同様に単独行動をし、小さなツボ型の巣を作るのが特徴。
土と唾液を混ぜたもので巣を作り、一見すると鳥の巣のようにも見えます。
ジガバチはエサとする昆虫を捕獲するための毒針を持っていますが、こちらから攻撃をしない限り人を刺すことはありません。
またジガバチが巣を作るのは、幼虫を育てるためです。そのため土のカタマリに見える巣があっても、その中には幼虫しかいない可能性があります。
危険性は低いので、むやみに駆除するのではなく、成虫するまで放置してあげましょう。
キノコのような巣をつくる、マルハナバチ
マルハナバチは、2cmほどの大きさで、全身毛におおわれた見た目です。
土の中に巣をつくり、見た目は「キノコの傘が集合している」よう。
羽音が大きく、見た目もいかついので怖いかもしれませんが、こちらから手を出さない限りは攻撃してきません。
むやみに駆除しようとせず、放置してあげましょう。
「蜂の巣」を見つけたときの対処法
自宅の近くや生活圏で、蜂の巣を見つけたときにはどうすればよいのでしょうか。
いずれの種類のハチだとしても、基本的には近づかないようにして、遠くから巣の形状などで確認しましょう。
危険な種類のハチであれば駆除のための連絡をし、待っているあいだも巣に近づかない・刺激しない、というのが鉄則です。
安全なハチかどうか確認するときには、スマホカメラなどを使い「巣を拡大・ズーム」して、距離をとりつつ把握しましょう。
以下では、蜂の巣の発見場所ごとに、駆除までの流れや注意点を紹介します。
一軒家など、持ち家の場合
一軒家など、持ち家に住んでいる場合には、すぐに駆除業者に連絡をとりましょう。
蜂の巣を駆除するのは、土地所有者や建物の管理者の責任なので、自治体などに連絡しても対処してもらうことはできません。
また、もしも毒性が強いスズメバチなどだったとき、自分の家族はもちろん、近隣住民にまで大きな被害が及ぶ可能性があります。
家主が管理を怠ったことが原因で隣人がハチに刺されれば、裁判で損害賠償が認められるケースも。
すみやかに駆除業者に連絡し、対処してもらえるまでは巣に近づいたり刺激したりしないようにして待ちましょう。
マンションやアパートなど、賃貸の場合
マンションやアパートなどの賃貸に住んでいる場合には、管理会社や大家さんに、蜂の巣の駆除をする責任があります。
そのため賃貸の共用部分に蜂の巣を見つけたら、まずは管理会社に連絡をとりましょう。
ただし、室内に蜂の巣が出来た場合には、入居者に責任があります。その場合は、すみやかに駆除業者に連絡しましょう。
またベランダ部分にかんしても、入居者負担になるケースが多いです。
駅や公園など、公共施設の場合
自宅ではないものの、自分の生活圏に蜂の巣があるのは危険をともないます。
街路樹や公園などに蜂の巣を見つけたら、該当地域の役所へ連絡しましょう。
公共施設では、蜂の巣を駆除する責任は区・市町村にあります。
自宅とは違って自分自身への被害は小さいため「面倒くさい」と思うかもしれません。
しかし地域に住む一員として、また自分自身が被害を受けるリスクを減らすためにも、自治体に連絡することを推奨します。
蜂の巣を予防することはできる?
蜂の巣は作られる前に防ぎたいですよね。ハチが嫌いなニオイや成分を使って、なるべく寄せ付けないようにすることが可能です。
以下の記事では、蜂の巣が作られやすい場所と巣作り防止に効果的なアイテムを紹介しています。
以下では「ハッカ」と「木酢液(もくさくえき)」を紹介します。どちらも、ハチが動き出す4月ごろに使用すると効果てきめんです。
ハッカのニオイ
人間にとっては「いい匂い」であるハッカですが、ハチにとっては刺激が強く、忌避剤として有効です。
またハチ以外にも、ゴキブリや毛虫など様々な種類にたいして虫除けの効果があるとされています。
森林が近い地域や、毎年ハチが発生する地域などに家があるなら、ハッカスプレーを試してみて損はありません。
木酢液(もくさくえき)のニオイ
木酢液(もくさくえき)を使って、ハチが好かないニオイを出すこともできます。
「酢」という字が入っているように、スッパイにおいが特徴です。この香りが煙と近いため、山火事と勘違いして虫が寄り付かなくなるのです。
木酢液も多くの害虫に有効で、毛虫などに対しても効果があります。
予防のための手入れ・点検すべき場所は?
ハッカや木酢液を使うにしても、「蜂の巣」が出来やすい場所を把握して対策しなくては意味がありません。
とくに気を付けるべきポイントを以下にまとめます。
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これらの場所は、とくにハチが活性化しだす4~5月には、定期的な点検・予防をしておきましょう。
蜂の巣駆除は自分でもできる?
「蜂の巣」駆除は危険度が高く、最悪の場合には死亡事故にもつながってしまうため、基本的には自分でおこなうことをオススメできません。
以下の記事では、蜂の巣を自力で駆除するか、業者に依頼するかの判断基準を解説しています。
ただし知識を深めたうえで、きわめて慎重におこなうのであれば、以下のような条件なら自分で駆除することも可能です。
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ハチの数が増えると凶暴性が増しますが、その目安となるのが巣の大きさです。
目安としては15cm程度までであれば、そこまでリスクは高くないこともあります。
またハチは日中に活動し、夜に巣へ戻ります。そのため日没後、目安としては21時以降に作業することで、比較的安全に巣を駆除できるのです。
駆除するときには、「防護服」が必須です。購入すると5万円以上しますが、自治体によっては貸し出してくれるところも。
ただし防護服を着ていても刺されることがあるため、下にはツナギやレインコートなど、肌が露出しない服を重ね着するとよいでしょう。
また整髪料や香水、汗のニオイなどに対し、ハチは敏感です。なるべく無臭の状態で挑みましょう。
おおまかな手順は以下。
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完全な防備体制を整えたうえで、蜂の巣から2~3mの位置まで近づきます。
初めに巣の表面、徐々に巣の入り口近くへ、そして巣穴から中に殺虫スプレーを噴射していきます。
このとき、スプレーが切れてしまうことがないよう、2~3本用意しておきましょう。
最後は懐中電灯をつけて、残ったハチを集めたところに殺虫スプレーを噴射。
ハチが全滅したことを確認して、蜂の巣を落とし、ゴミ袋で回収します。
【注意点】
死んだ直後のハチを触ると、針が刺さることがあります。油断せず、ハシやトングを使って拾いあつめましょう。 また巣を駆除して一週間は、たまたま外に出ていたハチが戻って来て、再び巣を作る可能性があります。ハッカや木酢液などで予防しておくと安心です。 |
ミツモアで「蜂の巣」駆除の見積もりを依頼しよう!
この記事では、「蜂の巣」の種類からハチの危険度や特徴を見分ける方法を紹介しました。
十分に気を付けながら、危険なハチなのか放っておいてもよいハチなのか判断して、必要に応じて駆除の依頼をしましょう。
持ち家や、アパートの自室内などに蜂の巣ができたときには、自分で駆除業者に依頼する必要があります。
もしも放置して自分以外に被害が及ぶと、法廷トラブルにも綱がってしまうので、早急に対処しましょう。
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「蜂の巣」の駆除を検討している人は、ぜひミツモアを試してみてください。