蜂が現れて巣を見つけたとき、殺虫スプレーをかけたり、防護服を着用して巣を駆除する方法があります。ただし蜂の種類や時期によっては、自分で退治するのは危険です。
自分で安全に蜂の巣を駆除する方法について、駆除後の予防対策や業者に依頼する際の注意点を含めて解説します。
自分で蜂の巣を駆除する前に注意すること
自宅で蜂または蜂の巣を見つけたとき、自分の身を守るためにも、以下の点に注意しましょう。
蜂をむやみに刺激しない
蜂に遭遇した場合、手で追い払ったり、大声を出したりするのは危険です。危険を察知すると、警戒フェロモンを出して仲間が数十匹以上一気に集まって攻撃をします。蜂が近づいたら、走らず、大きな声を出さず、身を低くして静かに逃げましょう。
あわせて部屋の中に入ってきたときは、部屋の明かりを消して、静かに窓を開けて蜂が外に出ていくのを待つことが大切です。蜂を見失ってしまったときや夜が暗いときは、1か所だけカーテンを開けたり、外に懐中電灯を置いたりして明るい場所を1つ作っておくといいでしょう。
蜂の巣に近づきすぎない
蜂の巣を見つけたら、防護服の着用といった防御策を取らない限り、むやみに近づかないようにしましょう。近づいてしまうと、蜂を刺激することになり、攻撃してきます。まずは伏せてじっと動かず、ゆっくりと少しずつ後ろに下がって避難することが大切です。
自分で蜂を退治できるか判断する4つのポイント
自分で蜂を退治するにあたって、まずは安全に蜂の巣を駆除できるか確認することが大切です。下記4つのポイントを見極めたうえで、判断しましょう。
蜂の種類 | <自分で駆除できるレベル>
・ミツバチ:時期次第で可能 ・アシナガバチ:条件次第で可能だが、業者に依頼がおすすめ ・スズメバチ:基本的に業者に依頼 |
蜂が活発に活動する時期 | <自分で駆除するのを避けたほうがいい時期>
・ミツバチ:2~3月、10~11月 ・アシナガバチ:6~8月 ・スズメバチ:通年 |
蜂の巣ができた場所 | ・周りが広く、手が届く場所なら自分で駆除可能
・高所や狭い場所の場合は業者に依頼 |
蜂の巣の大きさ | ・直径5cm未満で、アシナガバチやミツバチの巣の場合、自分で駆除可能 |
1.蜂の種類
日本の家屋に巣を作る蜂は、主にスズメバチとアシナガバチ、ミツバチの3種類です。蜂の種類によって、攻撃性の高さや針の持つ毒性の強さが異なり、危険度には差があります。それぞれの蜂の見分けるポイントは、以下のとおりです。
スズメバチ | アシナガバチ | ミツバチ | |
色の特徴 | ・キイロスズメバチ:黒色に黄班
・コガタスズメバチ:黒褐色で腹部の各節に黄帯 ・オオスズメバチ:橙色の頭と黒の胸部、黄橙色の腹部 |
・セグロアシナガバチ:黄橙色の斑紋 ・フタモンアシナガバチ:鮮やかな黄色の斑紋 ・コアシナガバチ:黒色の体に黄色い斑紋 |
・ニホンミツバチ:夏は黄色の斑紋で冬になると黒っぽくなる ・セイヨウミツバチ:鮮やかなオレンジ色の斑紋 |
攻撃性 | 蜂の中で一番攻撃性が高い | 蜂の巣を刺激したり、急接近すると一斉に攻撃する | 刺激を与えると、攻撃をする |
毒性 | 強い | 強い | 弱い |
体の特徴 | ・アシナガバチと比べて胴体が太い
・素早く、まっすぐ飛ぶ |
・胴体にくびれがあり、ほっそりしている
・脚が長く、フラフラと飛ぶ |
・胴体は全体的に丸みを帯びている
・フワフワした毛が生えているものも多い |
体長 | 17~45mm | 11~26mm | 12~20mm |
基本的に自分自身で駆除するのを避けたほうがいいのが、スズメバチです。スズメバチやその巣を見つけたら、原則として業者に駆除を依頼しましょう。
アシナガバチは巣の位置や大きさの条件によって自分で駆除できますが、毒性の強さから業者に依頼したほうが確実で安全です。加えて、ミツバチも自分で駆除できますが、決して危険度がないわけではありません。心配なときは駆除業者に依頼することをおすすめします。
2.蜂が活発に活動する時期
蜂の種類や生態とあわせて、活発に活動する時期にも注意が必要です。基本的に春〜秋にかけて活動しますが、蜂の種類によって異なります。具体的な時期は以下のとおりです。
スズメバチ | アシナガバチ | ミツバチ | |
活動時期 | 4~11月下旬 | 4~11月中旬 | 1年中 |
危険な時期 | 6月下旬~10月 | 6~8月 | 2~3月、10~11月 |
スズメバチとアシナガバチは、夏から秋にかけて新しい女王蜂が羽化し、働き蜂が増えることから攻撃性が高まります。一方ミツバチは秋から冬にかけて、エサとなる花粉や花の蜜が少なくなるほか、春が近づくとエサを求めて活発になるため、攻撃的になります。
蜂が活発になる時期は、無理に自分で駆除しようとせず、専門の業者に依頼しましょう。
3.蜂の巣ができた場所
自分で蜂の巣を駆除する場合、巣ができた場所によって安全に駆除できるか判断しましょう。見極めるポイントは、以下のとおりです。
駆除業者に依頼する |
|
自分で駆除できる |
|
周りがひらけていて、踏み台や脚立に乗らなくても手が届く場所に蜂の巣があれば自分で駆除できます。反対に、屋根裏や床下など狭い場所は動きづらく、蜂が密集して刺される可能性が高くなるため、避けましょう。加えて高所に作られた蜂の巣も落下リスクが高く、刺されるリスクも上がるため、おすすめしません。
4.蜂の巣の大きさ
蜂の巣が直径5cmを超える場合、自分で駆除せず自治体や専門業者に依頼しましょう。大きさが5cm以上になると、女王蜂のほかにたくさんの働き蜂が活動を始め、蜂の数が一気に増えるからです。働き蜂は女王蜂に比べて攻撃性が高いので、巣を刺激すると大量の蜂に攻撃される危険性があります。
スズメバチとアシナガバチ、ミツバチの巣の大きさと特徴は、下記のとおりです。
スズメバチ | アシナガバチ | ミツバチ | |
駆除のしやすさ |
巣が30cmを超えると蜂の数も増えるため、非常に危険 | スプレーをかけて簡単に手で取り外せるタイプ | 巣の大きさが小さければスプレーで駆除できるが、ベトベトした蜜に注意が必要 |
巣ができやすい場所 | 天井裏、家の軒下、庭の木、生け垣など | ベランダ、エアコンの室外機、窓枠など | 石垣、植え込み、屋根裏、軒下など |
巣の大きさ | 最大で直径80cm | 最大で直径15cm | 最大で直径1m以上 |
巣の特徴 | ・初期はとっくりを逆さにしたような形
・酢が大きくなると球体になる ・色は茶色や薄茶色でマーブルのような模様をしている |
・傘を開いたときのような形
・巣穴がむき出しになっている ・巣の色は灰色や灰褐色 |
・平べったい板状
・何枚も並べて巣を作ることがある ・巣の色は作り始めは白色で、蜜が集まると黄色になる |
スズメバチは攻撃性が高くて毒性も強いことから、巣の大きさを問わず、駆除業者に依頼することが大切です。
アシナガバチやミツバチも蜂の巣の大きさが5cm以下で、殺虫スプレーの届く位置にある場合は自分で駆除できます。ただし巣の大きさが5cm以下であっても、屋根裏や2階以上の窓といった高所にある場合、殺虫スプレーが届きにくくて蜂に反撃される可能性があります。無理をせず、自治体や専門の駆除業者に相談しましょう。
自分で蜂の巣を駆除するための7つ道具
自分で蜂の巣を駆除できると判断できたら、駆除作業に取り掛かりますが、その前に以下のアイテムを準備しましょう。
1.防護服
2.養蜂手袋・長靴
手には蜂の針が通りにくい養蜂用の手袋を着用するのがおすすめです。ECサイトで購入できますが、用意できないときは厚手の軍手を2枚重ねて着用したり、革製の手袋を用意するといいでしょう。
足元には蜂を刺激することが少ない白色の長靴を着用しましょう。ズボンを袖の下に履いて、さらにその上からひもで縛って蜂が入らないようにすることが大切です。
3.エアゾール型の殺虫剤
殺虫スプレーは、合成ピレスロイド系の成分が含まれている蜂専用の商品を用意しましょう。ミツバチやアシナガバチ、スズメバチに対して高い殺傷効果を持ち、噴射して数秒経つと退治できます。
殺虫スプレーを用意する際、噴射距離の長いものを選んだり、2本用意しておくと安心です。
4.剪定バサミ
蜂の巣を落とすとき、手で直接落とすのは大変危険です。剪定ばさみを用意して切り取るといいでしょう。剪定ばさみがない場合は、ノコギリなどで代用できます。
5.懐中電灯
手元を照らすときに使用します。そのまま使うと、蜂が光に反応して突進することがあるので、光を照らすところに赤いセロファンを被せましょう。
6.虫取り網
駆除した蜂の毒針にふれたり、生き残った蜂に刺されたりする可能性があるので、虫取り網を用意しましょう。駆除した際、落ちてきた蜂を捕まえるために使用します。
7.ゴミ袋・ホウキ・ちりとり
駆除した蜂の巣を入れるときに使用します。巣の大きさによっては重くなる場合があるので、なるべく丈夫な商品を用意するといいでしょう。
蜂の巣の残骸や蜂の死骸を集めるときに使用します。蜂を刺激しないようになるべく白や淡い色の商品を用意すると安心です。
自分で蜂の巣を駆除する方法と予防対策
蜂の巣の駆除に必要なアイテムを用意したら、細心の注意を払って作業を行いましょう。自分で駆除する具体的な方法は、下記のとおりです。
1.巣の表面に少し離れた位置から殺虫スプレーを噴射する
防護服や手袋、長靴を着用したら、巣の表面に殺虫スプレーを噴射します。このとき、足元に照らしていた懐中電灯を消して、巣から2〜3m離れた場所から噴射することが大切です。
蜂は大きな羽音を立てて一斉に飛び出してきますが、怯まずに2~3分間は噴射し続けましょう。数秒でも殺虫成分が蜂の体に付着すると、攻撃しなくなって死に至ります。
2.少しずつ巣に近づいて殺虫スプレーを噴射する
蜂の巣の表面にスプレーをかけたら、少しずつ巣に近づき、巣穴に向かってスプレーを噴射しましょう。働き蜂が巣穴から次々に飛び立とうとしますが、殺虫成分によって弱って落ちていくため、噴射し続けます。
3.剪定ばさみで蜂の巣を落とす
蜂の巣から蜂が落ちていなくなったら、剪定ばさみで根本から蜂の巣を切り落としましょう。剪定ばさみがないときは、長い棒などでつついて落としても問題ありません。その際、下にゴミ袋を敷いておくと、簡単に処分できます。
4.巣や蜂の残骸を集めてゴミ袋に入れ、殺虫スプレーをかける
蜂の巣や蜂を駆除したら、ほうきとちりとりで残骸を集めてゴミ袋に入れます。このとき、蜂の死骸を素手で触らないようにしましょう。反射でお腹が動き、毒針に刺さる可能性があるからです。ゴミ袋の中に入れた後も、袋の中に殺虫スプレーを噴射しておくと安心です。ゴミ袋を閉じたら、燃えるゴミとして処分しましょう。
5.蜂の巣があった場所に1~2週間継続的に殺虫スプレーを噴射する
蜂は巣があった場所に戻ってくることがあり(戻り蜂)、巣がないことに気づくと凶暴化して襲ってくるケースがあります。駆除した後も蜂の巣を作らせないように予防対策を行うことが大切です。
蜂の巣を落として駆除が終わったら、蜂の巣があった場所に殺虫スプレーをかけましょう。駆除した日から1〜2週間続けると、同じところに蜂が巣を作るのを防ぐ効果が高まります。
あわせて、蜂が来ないように予防効果のある殺虫スプレーをはじめ、木材から得られる木酢液やハッカ油など、蜂が嫌う匂いを週に1回ほど庭やベランダに撒いておくと安心です。
さらに換気扇や通気口、エアコンの室外機のパイプから蜂が侵入することがあります。天井換気扇や通気口、室外機のパイプ付近に網目の細かい防虫ネットを敷いて、蜂の巣を作らせないようにしましょう。
自分で蜂の巣を駆除するときの注意点
自分で蜂の巣を駆除するとき、下記3点に注意しましょう。
1.夕方から夜にかけての時間帯に駆除する
自分で蜂の巣を駆除する前に実施する時間帯を確認しましょう。具体的には、夕方から夜の時間帯(日没から2〜3時間が目安)がおすすめです。
なぜなら蜂は、朝や昼の時間帯に巣を離れて活動していることが多く、夕方から夜の時間帯になると、巣に戻って休憩するからです。加えて日没後は周囲が見えにくく、動きが鈍くなるため、巣と蜂を効率的に駆除できます。
ただし暗い時間帯で作業するため、明るいうちに巣の位置を確認しておきましょう。
2.香水など蜂を刺激するものは身に着けない
あわせて蜂の巣駆除を行う際、香水や整髪料など強い匂いのするものは身につけないようにしましょう。蜂は巣の近くで動くものや刺激を与える相手に攻撃を行うため、強い匂いがすると蜂に攻撃材料を与えてしまいます。
また汗の臭いも反応するため、駆除する前にシャワーで体を流しておくのもおすすめです。ただし体を洗う際、ボディソープやシャンプー、コンディショナーは使わないようにしましょう。
3.甘い香りが出るものは置かない
蜂は甘い香りに反応して集まってきます。巣を作らせないようにするため、お菓子の食べかすやジュースの飲み残しなどは庭やベランダなどに放置せず、処分しましょう。加えて、甘い香りがする洗剤や柔軟剤も、蜂が反応する場合もあるため、避けたほうが安心です。
駆除中に蜂に刺されたらどうする?
蜂の巣を自分で駆除しているとき、蜂に刺されてしまったら、下記のステップで対処しましょう。
あわてず安全な場所に避難する
蜂に刺されたら、冷静になって静かにその場から離れましょう。慌てて手で振り払ったり、走り回わったりすると、さらに蜂を刺激してしまい仲間の蜂を読んで集中的に攻撃してきます。巣の近くで大声を出したり、強い振動を与えたりしないように姿勢を低くして、避難しましょう。
刺された箇所の応急措置を実施する
避難したら、水道水で刺された箇所をよく洗い流しましょう。針が残っている場合はピンセットで取り除きます。患部に腫れや痛みがある場合は、冷水や布で包んだ保冷剤で冷やしたり、ステロイド外用剤を塗って様子を見ます。
毒液や毒針を吸う専用の器具があれば、皮膚内の毒を吸い出せます。ただし口で毒を吸い出そうとすると、傷口から蜂の毒が侵入して口の中がしびれる危険があるため、やめましょう。
症状が悪化した場合は医療機関を受診する
蜂に刺された後、呼吸が苦しくなったり、めまいや嘔吐といったアナフィラキシーが疑われる症状が出た場合、すぐに医療機関を受診しましょう。
特に今までにアナフィラキシーを発症したことのある人は、重症化するリスクが高くなります。少しでも身体に異変を感じたら、ためらわず救急車を呼びましょう。
アナフィラキシーが起きなかった場合でも、数日経過しても患部の腫れがひどくなったり、ステロイド外用剤を塗っても症状が改善しない場合は、医師の診察を受け治療することが大切です。
蜂の巣駆除を業者に依頼する場合の費用相場
自分で蜂の巣を駆除するのが難しい場合、専門業者に依頼しましょう。蜂の巣の大きさや場所、繁忙期などによって異なりますが、費用相場は下記のとおりです。
蜂の巣の種類 | 費用(蜂の巣の1個あたり) |
スズメバチ | 10,000~50,000円 |
アシナガバチ | 10,000~25,000円 |
ミツバチ | 10,000~20,000円 |
- 現地調査(蜂の巣がある場所や種類、大きさなど)
- 近隣への声かけ(駆除作業の説明など)
- 蜂の巣の駆除
- 駆除後の掃除
- 再発防止作業
蜂の巣駆除業者を選ぶ際のポイント3選
蜂の巣を専門業者に駆除を依頼するとき、下記3点を確認しましょう。
1.業者からの返答と対応の速さ
蜂の巣の駆除業者を選ぶ際、メールや電話などの返答が早く、希望の日時で対応してもらえるかどうか確認しましょう。時間が経つほど、蜂の巣は大きく成長するため、その分駆除にかかる費用が上がる可能性があります。現場にもよりますが、年中無休で即日対応してもらえる業者に依頼すると安心です。
2.手厚いアフターフォローの有無
蜂の巣の駆除作業が完了できても、一時的に撤退した蜂が戻る「戻り蜂」が発生する場合があります。業者を選ぶ際、無料で戻り蜂を駆除したり、再度蜂の巣を作らせない予防対策の実施といったアフターフォローを受けられるか確認しましょう。
3.相見積もりで金額や条件で納得のいく業者を選ぶ
専門業者に蜂の巣駆除を依頼するとき、複数の業者から見積もりを取りましょう。作業内容や費用などを比較・検討したうえで決めることができ、完了後に高額な費用を請求する業者を見極められます。あわせて、以下の項目も実施しているか確認しておくと安心です。
- 無料で現地調査を行う
- 契約前に料金や作業内容について説明する
- 見積もりが確定した後に追加料金を請求しない など
自分で蜂の巣駆除が難しいならプロの業者に依頼しよう
自分で蜂の巣を駆除する方法について解説しました。蜂の種類や活発に活動する時期、蜂の巣の場所など、状況によっては自力で駆除するのは困難です。もし安全に退治することが難しい場合は無理をせず、自治体または専門の駆除業者に相談しましょう。
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