蜂の巣の駆除は、小さいうちにできるだけ早く行うのがポイント。自分で駆除できるのか?巣作りを防ぐにはどうしたらいいのか?を解説します。
作り始めの巣の特徴は?
作り始めの巣には女王蜂しかいません。まだ働き蜂が活動を始めておらず、女王蜂が単独でせっせと巣作りを行っている段階です。そのため巣のサイズは5cm前後と小さいのも特徴です。
蜂は何月頃に巣を作り始める?
4〜5月にかけて女王蜂がゆっくりと巣を作り始め、6月に入ると働き蜂が営巣に加わります。働き蜂が活動を始めると巣作りのスピードが速まるため、あっという間にサイズが肥大化します。
【蜂の種類別】作り始めの巣の特徴とは?
蜂の巣を自力で駆除できるかどうかは、巣が「作り始め」か「作りかけ」かで変わってきます。見分ける際のポイントは、「時期・働き蜂の数・巣のサイズ」です。
以下の表で2つの段階の巣の特徴を確認してみましょう。
作り始めの巣 | 作りかけの巣 | |
時期 | 4〜5月 | 6月 |
働き蜂 | いない(女王蜂と幼虫のみ) | いる |
サイズ | 4〜6cm | 10cm〜15cm |
「作り始めの巣」は、女王蜂が1匹で巣作りをしている時期を指します。営巣のスピードはゆっくりで、大きさも4〜6cmと比較的小さいのが特徴です。
冬眠から目覚めたばかりの女王蜂は、大人しく攻撃性が低いです。そのため作り始めの巣であれば、比較的ラクに駆除することができます。
「作りかけの巣」は、女王蜂にプラスして働き蜂も巣作りをしている時期です。巣の周りを働き蜂が飛び回っていれば、作りかけの巣と判断しましょう。
働き蜂が増加すると、巣が大きくなるスピードもそれだけ速くなります。働き蜂は攻撃性が強いので、自力での駆除は危険度が増します。
スズメバチの巣
作り始め | 作りかけ |
4〜5cm | 5〜15cm |
スズメバチの巣は、作り始めはフラスコを逆さまにしたような形状をしています。
幼虫が羽化して働き蜂になると、巣は急速に大きくなり、最終的にはマーブル模様の大きなボール状になります。巣穴が1つしかないため巣の周りに働き蜂が見えないこともありますが、油断は禁物。働き蜂が飛び回っていなくても、巣の中には数匹の働き蜂が潜んでいるのです。
スズメバチの巣の駆除はとても危険です。蜂の王様的な存在のスズメバチは体長が約2〜4cmほどあり、強力なアゴと毒を持つことで知られています。毎年スズメバチに刺されて命を落とす事故が後を絶たないほど、人間に対して攻撃的です。
またスズメバチの毒針は、ミツバチのような引っかかる部分(かえし)がついていません。そのため何度でも刺せるという特徴を持っています。
アシナガバチの巣
作り始め | 作りかけ |
4〜5cm | 5〜10cm |
アシナガバチの巣は大きくても10cm程度と、スズメバチに比べてかなり小ぶりです。お椀を逆さまにしたような形をしており、下から覗くと六角形のたくさんの巣穴が確認できます。
アシナガバチは名前の通り長い手足が特徴的で、体長は11〜26mmほど。身体には黄色と黒の縞模様が見られます。性格はおとなしく、巣に近づいたり刺激したりしないかぎり襲ってくることはほぼありません。
ただし巣が大きくなる6〜8月ごろは、攻撃性が高まるので駆除には注意が必要です。最盛期にはおよそ50匹もの働き蜂が活動しています。また毒性はスズメバチよりは低いものの、アナフィラキシーショックを起こす可能性があるため危険度は高いと言えます。
ミツバチの巣
ミツバチの巣は板が垂れ下がったような形になっており、たくさんの巣穴が見られるのが特徴です。大きさは最大で1mに及ぶこともあります。
ミツバチの巣には作り始めの段階がありません。いつ発見しても作りかけの巣と判断してOK。ミツバチは女王蜂も働き蜂も巣の中で越冬する習性があるので、初期から女王蜂と働き蜂が共同作業を行います。そのため、どの段階でも常に働き蜂が活動を続けているのです。
基本的にこちらから攻撃を与えない限り、ミツバチの方から襲ってくることはありません。しかし危険性は低いと言われているミツバチであっても、油断はできません。安易に近づいて攻撃されるとミツバチが判断すれば、刺されることが考えられます。
4~5月の作り始めの巣(5cm前後)はどう駆除したらいい?
女王蜂が単独で巣作りする時期が駆除のねらい目
4〜5月あたりになると、越冬した女王蜂が巣作りできそうな場所を探し始め、6月にかけて巣を作っていきます。
実は冬眠から目覚めて日が浅い女王蜂は、体力が落ちており攻撃性も弱まっているのが普通です。もし防護服や殺虫スプレーが自宅にあれば、作り始めの巣と女王蜂を自力で駆除することも可能です。
もちろん攻撃的でない女王蜂にも毒性はあり、刺されたらアナフィラキシーショックなどのリスクがあります。不安を感じる方は無理せずプロに依頼しましょう。
業者に依頼して駆除するのが確実な方法
蜂の巣は大きくなって個体が増えるごとに危険度が増します。小さいうちに駆除しましょう。
女王蜂しかいない巣は危険度が低いとはいえ、刺されるリスクもゼロではありません。蜂の巣がごく小さく、駆除しやすい位置にある場合以外は、基本的に自力での駆除は避けたほうが無難です。
特にスズメバチは万が一刺されたときのリスクが高いので、作り始めの巣であっても業者に依頼するのが安心でしょう。
駆除費用の目安は、アシナガバチの巣で6,000円~、スズメバチの巣で10,000円~程度が目安です。作り始めの小さい巣であれば、大きさに応じた追加料金も基本的にかかりません。
土の中にできた巣は安易に触らない
蜂は土の中に巣を作る場合もあります。地面を蜂が這っていたり、土の中から蜂が飛び出してきたりする場合は、巣が土の中にあるかもしれません。もし自宅の庭の地面で蜂を発見したら、付近の土は安易に触らないようにしましょう。
土の中に巣を作る蜂は数種類存在します。実はオオスズメバチもその一種。うっかり土の中のオオスズメバチの巣を土いじりで触ってしまうと、危険な状況を招きます。
外から見えず駆除も難しいため、専門の業者に相談するのが適切です。
6月以降の10cmを超える巣を自力で駆除するのは危険
働き蜂がいる6月以降は危険度が高い
初期の巣作りは、女王蜂単独で比較的スローペースです。しかし6月ごろに働き蜂が加わると、営巣の速度が一気に加速します。ちょっと前までゴルフボールくらいの大きさだったのが、気がついたら何倍ものサイズになっていた、というケースも珍しくありません。
しかも働き蜂が増えると蜂の防衛意識が高まり、同時に攻撃性も激しくなります。女王蜂のみで小さな巣のときとは、まるで別物と考えたほうがよいでしょう。
特にスズメバチの場合は発見した巣が大きいと非常に危険なため、自分で処理するのは厳禁です。
蜂の巣駆除は自治体でも対応可能?
蜂の巣の駆除は、自治体によって対応が異なります。
受け付けてくれないケースもあれば、相談のみ対応しているケース、危険なスズメバチの駆除のみ可能なケースなどさまざま。
無料で受け付けているところはほとんどありませんが、スズメバチの駆除費用の一部を補助してくれる自治体もあります。また駆除の際に必要な防護服の貸し出しや、業者を紹介してくれるところもあります。
蜂の巣駆除を検討しているなら、一度住んでいる地域の行政機関に問い合わせてみましょう。
賃貸の場合は大家さん・管理会社に連絡しよう
賃貸に住んでいて蜂の巣駆除を考えているなら、まずは大家さんや管理会社に連絡しましょう。
そのときの状況にもよりますが、駆除費用を一部負担してくれる場合があります。マンションのエントランスなどの共有部分に巣がある場合などが、このケースに当たります。しかし専有部分や借家に蜂の巣が作られた場合は、自己負担となることがほとんどです。
危険な蜂の巣駆除は業者に依頼しよう
たくさんの働き蜂が活動している時期の巣を駆除するには、業者への依頼が安全・安心です。10cm以上の作りかけの巣を自力で駆除するとなると、蜂に刺されるリスクは避けられません。さいあく命を脅かされる危険性も考えられます。
またたとえ小さな蜂の巣でも殺虫剤が届かない高所にあれば、自力での駆除は厳しくなります。脚立からの落下や蜂の反撃に遭うリスクがあるため、基本的に蜂の巣駆除は、専門業者に任せるのが安心です。
蜂の巣駆除の相場はどれくらい?
業者に頼むとなると気になるのは費用ですよね。
駆除料金は「基本料金+追加料金」で決まります。費用相場は総額でおよそ10,000〜50,000円くらいです。
追加料金は巣の大きさや場所、出張費などで変化します。狭い場所や閉鎖空間にある巣は割高になるケースが多いです。また巣のサイズが大きく危険度の高いスズメバチは、高額な追加料金が課されることがあります。
詳しくは以下の記事で解説しているので、参考にしてみてください。
蜂の巣を自力で駆除する方法
蜂の巣がまだ小さい時期に自力で駆除するやり方を解説します。
殺虫剤や装備類など万全の準備をし、正しいやり方で処理を行いましょう。
駆除するときの注意点
蜂の巣を駆除する際は以下の3点に注意しましょう。
- 駆除に適切なタイミングを確認する
- 強いにおいがするものはつけない
- 死骸には直接さわらない
作り始めの巣を駆除するときは、女王蜂が巣の中にいることを確認します。巣だけでなく女王蜂を駆除しなければ、再度同じ場所に巣が作られてしまいます。
作りかけの巣を駆除するときは、日没後2〜3時間後がベストなタイミングです。日中は働き蜂が餌を求めて巣から出ています。そのため昼間に駆除を行っても意味がありません。
香水やヘアスプレーなどの使用を避けることも大切です。強いにおいを発するものは、蜂を興奮させる要因になります。
また駆除後の死骸に直接さわるのは危険です。蜂の死骸は、触れた刺激で針が飛び出る仕組みになっています。
準備するもの
安全に蜂の巣を駆除するためには、準備をしっかりと行うことが大切です。以下の道具を準備した上で駆除に取り掛かりましょう。
駆除に必要な道具
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殺虫剤は薬液の飛距離が長いタイプがおすすめです。薬液がジェット噴射で一直線に飛んでいく殺虫剤を選びましょう。
防護服は専用品が最適ですが、ない場合は蜂の針を通さないような厚手の素材にすると安全です。服だけでなく帽子や軍手、目を守るゴーグルなどのアイテムも準備します。
日没後に作りかけの巣を駆除する場合、懐中電灯はマストアイテムです。使用するときは、光を弱めるために事前に赤いセロハンを懐中電灯に被せておきましょう。こうすることで、光に向かって蜂が飛んでくる心配がありません。
駆除の手順
作り始め・作りかけどちらも基本的な駆除の手順は変わりません。
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殺虫剤が届く位置まで巣から離れ、風がある場合は風上方向から巣に向かって殺虫剤を噴射します。作り始めの場合は、女王蜂が出てくるまで噴射し続けます。働き蜂がすでにいる作りかけの場合は、2〜3分ほど噴きかけましょう。中にいた蜂が驚いて飛び出してくるかもしれませんが、慌てずに殺虫剤を噴霧し続けるのがポイントです。
巣の中まで殺虫剤が行き渡り、中の蜂の反応がなくなったら、長いハサミや棒で巣を落とし用意してある袋に入れます。もし地面に死骸が落ちていたら、トングで拾って回収しましょう。手で触ると、飛び出た毒針が刺さる可能性があり危険です。
ゴミ袋は可燃ごみとして処分します。
刺された場合の対処法
もし蜂に刺されたら、すぐに応急処置を施したあと医師の診察を受けましょう。
女王蜂は働き蜂のように積極的に攻撃してくるわけではなく、巣の周囲を飛び回るといった威嚇を行います。そのため大きな巣より刺される危険性は少ないです。
しかし万が一蜂に刺されると強烈な痛みを伴い、患部が腫れてきます。
まずはできるだけ早く毒を吸い出し、体内の毒を減らすことが重要です。その後刺された部分が腫れたり痛んだりした場合は、氷嚢などで冷やしましょう。腫れや炎症がひどい場合は皮膚科へ行き、ステロイド軟膏や抗ヒスタミン剤などを処方してもらいます。
最も危険なのは蜂毒アレルギーによるアナフィラキシーショックです。蜂毒にアレルギーがある人が刺されると、短時間で全身のじんましんや嘔吐、浮腫、血圧低下、呼吸困難などを起こし、死に至る危険性もあります。
こうした反応は刺されて15分ほどの短時間で現れることが多いため、刺されたら迅速な対応が肝心です。
蜂の巣作りを予防する方法
せっかく駆除したのに、また翌年に巣作りをされたら面倒なことになりかねません。遠くに出かけていた働き蜂が戻ってきたり、退治したのとは別の新たな女王蜂がやってきて巣を作り始める可能性が考えられます。
再び駆除する必要がないように、駆除後はしっかりと予防を施すことが大切です。
ベストな予防時期は4月
蜂の巣作りを予防する適切な時期は4月です。スズメバチやアシナガバチの巣が作り始められるのは4〜5月にかけてがほとんど。冬眠から出てきた女王蜂が巣作りに取り掛かる前に予防を行う必要があります。
4〜5月を過ぎると予防の施しようがないので注意しましょう。働き蜂が羽化して巣作りに加わるので、巣の肥大化も急速に進みます。
再発防止に効く予防法3選
蜂の巣が再発するのを防止する方法として、以下の3つがあります。
- 蜂が巣を作りやすい場所にスプレーをまく
- 定期的に水をまいて乾燥を防ぐ
- 防虫ネットを張る
以下のような蜂が巣を作りやすい場所にあらかじめ殺虫剤をまいておくと、蜂が寄りつくのを防ぐ効果が期待できます。蜂は安全な場所に巣を作るので、「安全ではない」と認識したところに営巣することはありません。殺虫剤に持続効果はないので、1〜2週間おきにまき直す手間が必要です。
蜂が巣を作りやすい場所
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また水をまいて乾燥を防ぐ方法も効果的です。蜂は日当たりの良い乾燥した場所に巣作りを行います。ただし湿気が長続きすることはないので、植物の水やり時などのついでに定期的に行うことを心がけましょう。
防虫ネットを用いて巣作りを防止することもできます。巣が作られやすい場所に網目の細かいネットを張って、再発を防ぎましょう。防虫ネットがないときは、大きめのビニール袋やゴミ袋で覆いガムテープでとめておくだけでもOKですよ。
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