蜂は人間にとって、死の危険もあるほど恐ろしい昆虫です。毒を持つ蜂で代表的なスズメバチとアシナガバチについて、特徴や見分け方などを解説します。
アシナガバチとスズメバチの見分け方は?
巣の形状で見分けましょう。アシナガバチの巣はシャワーヘッドのような形で、巣穴が露出しています。スズメバチの場合は、丸くてマーブル模様なのが特徴です。またアシナガバチはスズメバチよりも細身で、後肢が長いです。
どっちの方が危険性が高い?
スズメバチの方がアシナガバチより危険性が高いです。スズメバチは毒性が強いうえに、好戦的だからです。
アシナガバチとスズメバチとの違い
アシナガバチ | スズメバチ | |
---|---|---|
体長 | 2~2.5mmほど:細身で長い後肢が特徴 | 3mm以上:日本で最も大きなハチのひとつ |
巣の形 | シャワーヘッド型 | 初期(4~6月頃)とっくり型、フラスコ型
繁殖期(7~10月)球型 |
性格 | 刺激しなければほとんど襲ってこない | 獰猛で巣に近づくと攻撃してくる |
餌 | ケムシやイモムシ、樹液など | ケムシやアオムシなど |
巣を作る場所 | 木の枝や軒先など様々な場所 | おもに狭い閉鎖空間
木の枝・家屋の軒下 |
まずはじめに、アシナガバチとスズメバチとの違いを、一覧形式でまとめました。
体長で見分けるのは難しいですが、巣の形状が全く異なります。アシナガバチの巣は、シャワーヘッドのような形で、巣穴が露出しています。スズメバチの場合は、丸くてマーブル模様なのが特徴です。
ただしスズメバチの巣は、土の中や床下など、隠れた場所に作られることもあるので気づきにくいのも特徴です。
スズメバチの特徴と見分け方
スズメバチは凶暴な性格で、毒性も強く刺されると生命を落とす危険もあります。スズメバチの個体や巣の特徴、見分け方について解説していきます。
巣は入口が一つの「球型」や「とっくり型」
スズメバチの巣は特徴的な形をしており、容易に見分けることが可能です。作りはじめのころは、とっくりや丸底フラスコをひっくり返したような形をしており、先端が出入口になります。やがて大きくなると、バレーボールのような球状になるでしょう。
巣の表面はベージュ色と茶色が混ざったマーブル模様で、ひと目でスズメバチの巣とわかるほど独特な色合いです。巣の材質は、削り取った木の繊維を唾液のたんぱく質で固めたもので、紙とよく似ています。
ただし閉鎖空間に巣を作る種類のスズメバチも多く、そもそも巣自体を発見しにくいケースが多いです。
大型種は4cm以上になることも
日本のスズメバチ類は、大型のスズメバチ属、中型のクロスズメバチ属、そして小型のホオナガスズメバチ属に分けられます。
このうち成虫のサイズが最も大きいのはスズメバチ属のオオスズメバチで、女王蜂の体長は4.0~4.5cmと巨大です。
次に大きいのはヒメスズメバチで、およそ2.4~3.7cm程度になります。
刺傷事故の多いキイロスズメバチは、サイズは2.5~2.8cmとやや小ぶりです。
体表が黒く見分けがつきやすいクロスズメバチは、体長が1.0~1.8cmとかなり小さくなります。
獰猛な性格で攻撃性が高い
数ある蜂の中でも、スズメバチは攻撃性の高さで知られています。とはいっても、人間をいきなり襲ってくるわけではありません。
スズメバチが凶暴になるのは、巣や仲間を攻撃されていると感じた場合です。大きなアゴをカチカチと鳴らして威嚇し、それでも収まらない場合に攻撃してきます。
蜂は攻撃のターゲットを定めると針から毒液を噴射します。この毒液には敵の存在を知らせるフェロモンが含まれており、仲間が匂いを嗅ぎつけて集団で敵を襲うのです。
スズメバチの針は何度でも刺すことができるため、多くの蜂に襲われると恐ろしい被害を引き起こします。
アシナガバチの特徴と見分け方
性格は比較的おとなしいアシナガバチですが、蜂毒アレルギーを起こす毒針があるため、油断はできません。ここではアシナガバチの巣や個体の特徴に迫ります。
巣は巣盤がむき出しの「シャワーヘッド型」
アシナガバチの巣はシャワーヘッドのような形が特徴で、最終的には10~15cmほどの円盤状になります。スズメバチのような外側の殻がないため、無数の六角形の巣穴が確認できるでしょう。巣は軒下やベランダなど雨風をしのげる場所によくできます。
巣は木の内側の皮などの繊維を素材にしており、唾液に含まれるたんぱく質などを混ぜて作られます。スズメバチの巣より繊維質が多く、まるで和紙のように丈夫なのがアシナガバチの巣の特徴です。
体は細身で大きさは2.5cm前後
アシナガバチも分類上はスズメバチ科のため、見た目はスズメバチとよく似ています。虫に詳しい人でないと見分けるのは難しいかもしれません。違いは体つきです。アシナガバチは比較的身体が細身で、体長も2.5cm程度とスズメバチよりひと回り小さくなります。
名前の由来になっている長い後肢も、見分けるポイントになります。飛ぶ時の姿勢もアシナガバチは独特です。脚をだらりと垂らしてふらふらと飛び、あまり小回りがきかないのがアシナガバチの特徴です。
おとなしい性格で攻撃性は低め
アシナガバチの外見はスズメバチと似ていますが、性格はかなり異なります。アシナガバチは攻撃性が低く、こちらから巣に近づきすぎたり、刺激したりしない限り、襲ってくる可能性は低いでしょう。
ただし時期によっては注意が必要です。巣が出来上がる梅雨から初秋までの間は、巣や食料、女王蜂を守るために防衛本能が高まります。幼虫から成虫になる個体も多くなっているため、この時期のアシナガバチの巣には安易に近づいてはいけません。
アシナガバチは益虫と言われている
先述のとおり、アシナガバチは基本的におとなしい性格なので、巣を刺激しない分には攻撃される心配はありません。
それどころか、農作物や庭木などについた毛虫やイモムシを食べたり、花粉を運んだりしてくれます。畑や菜園を所有している方、もしくは近くにある方はアシナガバチの巣は駆除せずに放置しておくのも一つの手です。
しかし、よく近づく場所や通り道に巣ができてしまった場合は、畑や菜園を持っていても駆除することをおすすめします。
また、アシナガバチは木酢液の臭いを嫌うので、巣を作られたくない場所に木酢液を設置することで新しい巣が作られる可能性を減らすことが可能です。
刺された場合の危険性の比較
蜂に刺されると激烈な痛みだけでなく、場合によっては生命に関わる危険もあります。ここでは蜂毒によるアナフィラキシーショックについて解説していきましょう。
どちらもアナフィラキシーショックに注意
スズメバチもアシナガバチも、蜂毒によるアナフィラキシーショックに注意する必要があります。
アナフィラキシーショックとは、体内に侵入したアレルギー物質に複数の臓器が過敏に反応し、ショック状態に陥る症状です。重度の場合は血圧低下や呼吸困難、意識障害などを起こし、死に至る危険もあります。
蜂毒によるアナフィラキシーショックは、刺されてから短時間で症状が現れる場合が多く、速やかな対処が必要です。体内に蜂毒が入ってから、再び入った場合が危険なため、複数回刺されるとリスクが高まります。
ただし初めて刺された場合でも、蜂毒の量が多い場合は、アナフィラキシーショックを引き起こす可能性があります。
毒性に違いはある?
スズメバチとアシナガバチを比較すると、スズメバチのほうが毒性が強くなります。
成分はハチ毒キニン・セロトニン・ヒスタミン・マストパラン・ポリアミン類・ヒアルウロニダーゼ・アンチゲン5など共通の成分も多数です。
痛みで言えば、セロトニンなど痛みの原因になる成分が多い、チャイロスズメバチが最も強いと言われています。
ただしアシナガバチも痛みは強烈なため、決して安全ではありません。スズメバチもアシナガバチも、蜂毒によるアナフィラキシーショックの報告があるため、巣の駆除などを行う際は万全の注意を払ってください。
危険な蜂を見分けて早めの対処を
日本にいる蜂でとくに注意が必要なのは、スズメバチとアシナガバチです。
スズメバチは最大で4cm以上になる種もあり、獰猛な性格で人間も容赦なく襲います。独特なマーブル模様の巣を見つけたら、決して接近しないようにしてください。
アシナガバチは比較的おとなしいですが、巣を刺激すると攻撃してくる場合もあるため、油断は禁物です。
どちらも毒性が強く、蜂毒アレルギーによるアナフィラキシーショックを起こすと、生命を落とす危険があります。
蜂の巣を見つけたときは、無理をせず業者に駆除を依頼するのがおすすめです。10cm以下のごく小さい巣であれば自力で駆除することも可能ですが、刺されないように防護した上で、細心の注意を払って作業を行わなくてはなりません。
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