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お葬式の正しい服装とは?男性・女性ごとの身だしなみマナーや小物を紹介

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最終更新日: 2023年03月15日

急遽お葬式を執り行うことになった際や参列することになった際、「どんな服装なら失礼がないか」と悩まれる方も多いのではないでしょうか。

最近では家族葬のように、内輪の人たちだけで見送る葬式が増えています。そのため正式か略式か服装に迷うことも少なくありません。

基本的な葬式の服装や小物のマナー、身だしなみを確認しておきましょう。男性・女性・子どもに分けて紹介します。

この記事を監修した専門家

HIROKO MANNER Group 代表/一般社団法人 マナー&プロトコル・日本伝統文化普及協会 代表理事
西出 ひろ子

喪服に関する基本知識

葬儀の参列者

まずは喪服に関する基本知識を確認し、自分はどういった服を着用すべきか判断しましょう。

喪服と礼服の違い

正式な場にふさわしい服が「礼服」です。結婚式や入学式などの冠婚葬祭で、主役となる人や、会葬者を招く立場の人が着用する、正式な服装全般を指します。

喪服は礼服のジャンルの1つです。男性はブラックスーツを、女性はブラックフォーマルを通夜や葬儀といった弔事で着用するとされています。

喪服には「正喪服」「準喪服」「略喪服」がある

正喪服・準喪服・略喪服

喪服は男女ともに「正喪服」「準喪服」「略式喪服」と分類されており、葬儀における立場によって装いが決まっています

正喪服は喪服の中でもっとも格式が高く、喪主と三親等以内の親族が、通夜と葬儀・告別式で着用するものです。

準喪服は、正喪服の次に格式が高いとされています。三親等以外の親族と一般の参列者が着用するのが一般的です。ただし最近では、喪主や三親等以内の親族も、準喪服を着ることが多くなっています。

略喪服は一番格式の低い喪服です。近頃では、一般参列者でも準喪服が中心となっているため、あまり着ることはないでしょう。急いで通夜に駆けつけた場合や、三回忌以降の参列者の場合は、略式喪服でも構いません。

夏場と冬場の喪服の違い

喪服にはオールシーズン用と夏用の2種類があります。オールシーズン用はいわゆる秋春物で、1年を通して着られる仕様になっています。

夏場にオールシーズン物を着ても来ても問題ありませんが、暑い時期に向いた喪服のため夏用があることを覚えておくとよいでしょう。夏物は生地自体に、サマーウールなどの通気性のよい素材が使われており、ジャケットの裏地がない背抜きになっているのが特徴です。

夏場であっても、フォーマルな場ではジャケットを脱ぐことは控えます。ジャケットを脱がないのであれば、半そでシャツを着用しても問題ありません。

【男性】お葬式の服装マナー

喪服姿の男性

男性がお葬式で着用する喪服のマナーを解説します。基本的な服装マナーに加えて、靴や時計などの小物といった細かな身だしなみも確認しましょう。

【男性:喪主・親族】正喪服を着用

喪主と三親等以内の親族は、正喪服を着るのが従来のマナーです。一般的な男性の正喪服は、モーニングコートにベスト、縞模様のスラックスを着用します。

ただし最近は小規模なお葬式が増えていることや、モーニングコートを着る機会が少ないことから、ブラックスーツを正喪服として着用しても問題ありません。スーツの中は白無地のワイシャツと、黒無地のネクタイをそろえましょう。

【男性:参列者】準喪服を着用

男性がお葬式に参列する場合、準喪服であるブラックスーツを着ます

ブラックスーツは黒い生地の中でも「漆黒」「墨黒」といった、深い色の生地で作られています。同じ黒色でもビジネススーツの生地とは光沢や色の染め方が異なり、風合いや見た目が明らかに違うため、ビジネススーツを準喪服として代用するのは避けましょう

仕事帰りに通夜に参列する場合や急な弔問には、略式喪服にあたるダークスーツで参列しても、失礼にはなりません。ダークスーツとは濃紺・黒・チャコールグレーなどの、暗い色合いのスーツです。

【男性】靴・バッグなど小物類のマナー

喪服に合わせる靴は、黒色の本革製か合皮製で、内羽根式のストレートチップもしくはプレーントゥを選びます。靴下は黒無地で、椅子に腰掛けたときにすねが見えない長さのものを着用しましょう。

ベルトは黒色で金具が目立たないものにし、ネクタイピンやカフスボタンは、基本付けないとされています

また男性はバッグを持たずに参列するのが一般的です。ただし数珠やハンカチなど小物が多いときは、黒いバッグを用意して問題ありません

腕時計はプレーンなデザインが好ましいとされています。デジタルウォッチやクロノグラフ、スマートウォッチなどは、カジュアルな印象があるため避けましょう。

髪型・その他身だしなみのマナー

髪型は清潔感が大切です。前髪が目にかからないよう、光沢や香りの強くない整髪料で整えましょう。

また不精ひげが伸びている場合は、きちんと剃って参列すると気持ちが伝わります。普段からひげを伸ばしている人は、清潔かつきれいに形を整え参列しましょう。

【女性】お葬式の服装マナー

喪服姿の女性

男性と同様、女性も立場によって着用する喪服が異なります。お葬式の場にふさわしい装いや小物、メイクについて解説します。

【女性:喪主・親族】正喪服を着用

喪主と三親等内の親族は正喪服を着用します。女性の正喪服は、ウールやシルクなどの高級生地を使ったワンピーススーツやアンサブルスーツで、艶を抑えた黒色の装飾がないデザインです。

また、ふくらはぎからくるぶし丈の長めのスカートを着用しましょう。喪主や親族は、参列者の応対に忙しく立ち回るため、動きやすいフレアスカートがおすすめです。パンツスーツはもっとも格下の略喪服であるため、正喪服として着用するのは避けましょう。

ただし小規模なお葬式では、喪主も準喪服を着用するケースが増えています。

【女性:参列者】準喪服を着用

女性の場合も、参列する際は準喪服を着用すると安心です。一般的にはアンサンブルスーツやツーピース、ワンピーススーツなどを着用します。装飾は、レースや縁取り、胸元の小さなリボンなど控えめであればOKです。

通夜に参列する場合は略式喪服でも構いません。略式喪服はダークカラーのワンピース・アンサンブル・ツーピースなどを選びます。

パンツスーツはカジュアルなイメージがあるため、基本的には避けた方が無難です。ただし仕事帰りの参列であれば、ダークカラーのパンツスーツでも失礼にならないでしょう。

【女性】靴・バッグなど小物類のマナー

靴は正式には、バッグと共布のパンプスです。しかし布のパンプスを準備するのが難しい際は、本革製か合皮製のパンプスで、ラウンドトゥかスクエアトゥを選びましょう。ヒールの高さは、3~5cmが歩きやすく、立っていても疲れにくいためおすすめです。ピンヒールやハイヒールは、歩くたびに音が響き華美な印象があるため避けましょう。

バッグは布製で光沢のない黒色のものを使います。ショルダーバッグ・トートバッグ・ブランドロゴが目立つバックは避けます。

ストッキングは黒色で喪服に合わせます。冬場は防寒対策でタイツを履いても構いませんが、薄めの60デニール以下のタイツがおすすめです。

喪服と服装と違い靴やバッグ・小物などは格式がありません。そのため一通り準備しておけばさまざまなシーンに利用できるでしょう。

喪服と服装と同様に、靴やバッグにも格があります。TPPPO(※)に合わせて選びましょう。

※TPPPO:time(時間)、place(場所)、position(立場)、person(人)、occasion(場合)の頭文字をとった略

【女性】アクセサリーのマナー

お葬式では、結婚指輪以外のアクセサリーは着けずに参列するのがマナーとされています。ただし洋装の喪服の場合、日本では涙を表すというイメージから真珠のアクセサリーを着ける人が多いです。

世界的には、喪服にはジェットをモーニングジュエリーとして合わせます。英国王室や日本の皇族の方も、ジェットを身につけている方が多いです。

ネックレスは一連で短いものを選びましょう。二重やロングタイプのものは「不幸が重なる」「不幸が長引く」といったイメージがあるため避けると良いです。真珠は白色か黒色のアコヤ真珠、タヒチ真珠が最適とされています。淡水パールは不ぞろいでデザイン性が高いことから、喪服には避けたほうが無難です。

ジェットや黒サンゴ、オニキスといった素材も、喪服に合わせるアクセサリーとされています。

またネックレスとイヤリングやピアスを一緒につけることがファッションのマナーとされているので、どちらか一方だけはつけないようにしましょう。ネックレスをつけるなら、イヤリングかピアスもつけます。ただしお肌のアレルギーなどの問題がある場合は、無理につけなくてもOKです。イヤリングやピアスは、動きのないタイプを選びましょう。

【女性】髪型・その他身だしなみのマナー

ロングヘアはおくれ毛のないようにまとめると、清潔感と故人への敬意も感じさせます。大切なことは、故人の方へのお悔やみの気持ちをどのように表現するか、という気持ちからなる外面です。

ヘアカラーは明るすぎるとかえって目立ってしまいます。時間に余裕があれば落ち着いた色に染め直したり、気になる場合はヘアスプレーで代用したりするだけでも雰囲気は変わるでしょう。

また特に日本では、人前に出るときにお化粧をするのが、相手に対する配慮とされる傾向にあります。弔事の化粧方法は、全体的に色味を抑えた「片化粧」「薄化粧」が一般的です。

ベースはマットなファンデーションを使い、チークやハイライトは入れず、全体的に艶を抑えたメイクにしましょう。リップはベージュまたは薄いピンクを選び、アイメイクも薄めにします。またアイラインは引かずに、気になる人はマスカラをつけるだけではっきりとした目元になるでしょう。

ネイルは透明が無難ですが、ベージュや薄いピンクは許容範囲とされることもあります。しかし本来は塗らないのが望ましいことを覚えておきましょう。手袋でネイルを隠す工夫はできますが、手袋をしながらの焼香は基本的には行いません。

【子ども】お葬式の服装マナー

焼香する女の子

赤ちゃんや子どもも喪服は大人ほど厳しい決まりはありません。一般的なマナーについて確認しましょう。

赤ちゃんの服装

赤ちゃんの喪服は大人ほど厳格なルールがありません。本来は黒色やダークグレー、濃紺といった色合いの服が適していますが、白色やベージュ、淡いブルーでも問題ないとされています

着慣れていない服にぐずることもあるため、普段着でも構いません。ただし派手なデザインは避け、落ち着いた色味で無地の服を選びましょう。よだれかけやブランケットも喪服に合わせて、無地でトーンの低い色で揃えると良いですね。

また正式な席では靴下を履かせます靴下を嫌がる赤ちゃんもいると思いますが、保護者の方が知識として知っておくと良いでしょう。靴を履かせる場合は、布製の白色や黒色の無地のものを選ぶと安心です。

ただし赤ちゃんが違和感や不快を感じることのない状態で参列できる方が大切でしょう。状況によって、靴下や靴を無理に履かせることはありません。

児童や学生の服装

児童と学生は男女ともに、制服が礼服となります。制服がない場合は、以下のように揃えておけば問題はないでしょう。

  • 男の子:黒色、紺色、ダークグレーのジャケットとズボン
  • 女の子:黒色、紺色、ダークグレーのワンピース・ジャンパースカート

インナーは白無地のシャツやブラウス、ポロシャツでもOKです。

足元は黒い革靴(ローファー)に、黒色・濃紺・白色で無地の靴下を合わせるのが一般的です。スニーカーソックスやニーハイソックスといった、極端な丈の靴下は、カジュアル過ぎる印象があるため避けましょう。

スニーカーしか用意できない場合は、汚れていない無地の白色や黒色の靴を選びます。

和装の喪服のマナー

喪服姿の男女

洋装の喪服が一般的になり、和服の礼装である「紋付羽織袴(もんつきはおりはかま)」を見かける機会も減りました。

和装の喪服は、格式の一番高い正喪服にあたります。和装の喪服を着用する際のマナーを見ていきましょう。

喪主・親族の和装の喪服のマナー

男性は黒無地に五つ紋付の羽織と、細いストライプ柄の袴を合わせます。黒い鼻緒の草履に、白色の足袋で揃えましょう。羽織はオールシーズン着られる羽二重という生地を着用します。また夏物として平絽(ひらろ)や駒絽(こまろ)といった、涼し気な生地を着用しても良いです。

女性は黒無地染め抜き五つ紋に、白い長襦袢(ながじゅばん)、黒無地の帯と帯留めを合わせます。男性と同様に、足元は黒い鼻緒の草履と白色の足袋を着用しましょう。

和装の喪服では実家や嫁ぎ先の家紋を付けるのが習わしでしたが、現代ではレンタルが増えているため、一般的な家紋が付いた喪服を着ても差し支えないとされています。

なお和装では、結婚指輪以外のアクセサリーは付けないのがマナーです。また普段着の和装では帯に扇子を挿すこともありますが、喪服の場合、暑くて必要ではない限り扇子を持たないとされています。

お葬式にあると便利なグッズ

折りたたみ傘

お葬式当日、天候に恵まれるとは限りません。暑さ対策や寒さ対策に役立つ、便利グッズを紹介します。

扇子・傘・コート

夏の暑さを和らげるには、扇子がおすすめです。喪服に合わせる扇子は、黒い骨の白色か黒色の無地です。なお扇子を使う際、せわしく扇ぎパタパタと音を立てるのは、周囲の人に迷惑をかけるため控えましょう。和服を着用しているときは、袖口のところから軽く仰ぐのがマナーです。

雨が降りそうな日は、折りたたみ傘を忘れずに持って行きましょう。黒やグレー、紫など暗い色で無地のものが、ふさわしいとされています。長傘も同様に地味な色のものが望ましいですが、持っていないときは透明ビニール傘でも問題ありません。

冬場はコートも必要です。襟や袖に飾りのないものが一着あると、慶弔どちらでも使えます。フォーマルウェアにはウールやカシミアを使った、礼装用のコートを揃えましょう。

喪服はどこで買える?

通販

喪服は以下のようなさまざまな店で扱っています

  • ネット通販
  • ファストファッションショップ
  • スーツ量販店
  • 百貨店
  • レンタル

ネット通販

ネット通販の良い点は、在庫切れが少なく気に入ったデザインがあれば、短期間で入手可能な点です。一方で試着できないため素材や、着心地が分かりにくい点がデメリットといえます。

ファストファッションショップ

ファストファッションショップでは上下込みで10,000円前後と、比較的安価に喪服を用意できるのが魅力です。ただし化繊を使用しているため、着用する場面には注意が必要です。

スーツ量販店

スーツ量販店は高級素材の喪服も扱っており、価格も手頃で、近頃は女性のフォーマルウェアも扱っています。一般のスーツに比べ売り場が狭く、選べる範囲が限られることも少なくありません。

百貨店

百貨店では高級感があるさまざまなデザインの喪服を用意しています。比較的値段が高めなものが多いですが、ネクタイやバッグ、靴なども一緒にそろえられるので便利です。

レンタル

喪服をレンタルで用意する選択肢もあります。数千円でバッグや靴、アクセサリー、ストッキングもセットでそろうため、利用者が増えています。サイズ管理が難しい子ども用の喪服は、レンタルもおすすめです。

正しい服装マナーで葬儀に参列しよう

ネクタイと数珠

現代、お葬式で着る喪服は、以前ほど厳格ではなくなっています。基本的なブラックスーツやブラックフォーマルを着用し、華美な装飾を控えれば失礼はないでしょう。

本記事で解説した男性、女性、子供の一般的な喪服のマナーを参考に、周囲の方に配慮した服装で故人を見送りましょう。

ミツモアで葬儀・お葬式を依頼する

監修者:西出 ひろ子

HIROKO MANNER Group 代表
ウイズ株式会社 代表取締役会長
HIROKO ROSE株式会社 代表取締役社長
一般社団法人 マナー&プロトコル・日本伝統文化普及協会 代表理事

葬儀会社などの企業にて、お客様の心に寄り添う営業接客・接遇研修や、マナーコンサルティング、マナー研修を行う。「めざせ!会社の星」 (Eテレ)、「芸能人品格チェックスペシャル」 (ABC朝日)、「なないろ日和」(テレビ東京)などのテレビ番組にてお葬式や喪服のマナーについての出演、監修など多数。NHK大河ドラマや映画、CMなどでは超一流俳優や女優へのマナー所作指導実績数日本NO.1。

著書・監修
国内外でマナー本100冊以上。著者累計100万部以上のマナーの専門家。
  • 『お悔やみのマナー』 (アドレナライズ) 2013/9/24発行
  • 『知らないと恥をかく 50歳からのマナー』(ワニブックス) 2020/8/25発行
  • 『気くばりにいいこと超大全』(宝島社)2022/6/15発行

など多数

コメント
葬儀は故人と今世における最期の対面の場です。喪服を着ることで、故人への敬意と悲しみの気持ちを服装でも表します。マナーはTPPPOに応じてその型は変わっても良いものです。しかし葬儀の場合は、基本のマナーをおさえた上で、周囲を不快にさせることなく、失礼のない身だしなみで参列する配慮が大切ですね。