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戒名は自分で付けられる?戒名の付け方と注意点を解説。

最終更新日: 2022年12月23日

戒名は故人の死後、仏弟子となり浄土に送るために与えられる名前です。仏弟子となるには、名前を師匠から授けられる必要があります。そのため原則、戒名を自分で付けることはできません

戒名を自分で付ける場合、仏式葬儀においては使用できず、死後のペンネームという位置づけになるでしょう。

戒名の構成と、気を付けるべきポイントを解説します。

この記事を監修した専門家

葬送儀礼マナー普及協会 代表理事
岩田昌幸

戒名とは?自分で付けられる?

墓地にいる僧侶

戒名とは仏門に帰依した人に与えられる法名のことで、狭義では授戒した人に与えられる名前のことをいいます。

本来、戒名は生前に入信して与えられるべき性格のものです。しかし葬儀では、死後も生きている者として扱い、戒名を授けて仏弟子にして浄土に送るために「授戒」が行われます。

これを「没後作僧」といい、現代では授戒は引導と共に葬儀の中心をなすものとして位置づけられています。つまり戒名は仏弟子とするために師匠から与えられる名前であるため、基本的には自分でつけることはできません

ただし戒名に入れたい文字があるなら、菩提寺(懇意にしているお寺)に相談すれば文字を入れるなど配慮してもらうことは可能です。

仏教徒ではない場合や、菩提寺がない場合はご自身で付けても問題ありません。しかし戒名というより死後のペンネームになってしまうのであまり意味がなく、あえて付ける人は現実にはそう多くないでしょう。

戒名の構成

戒名と仏像

戒名の構成要素は基本的に「院号」「道号」「戒名」「位号」の4要素です。「〇〇院(院号)△△(道号)□□(戒名)大姉(位号)」というように、つなげて表記されます。

院号

院号は「〇〇院」のように表され、社会や寺院に大きな貢献をした人に付けられる称号です。元来は上皇の居所を指す言葉で、平安時代ごろは上皇や皇族の戒名に用いられていましたが、近世では民衆の戒名でも利用されるようになりました。

院号よりもランクの高い院号として、「〇〇院殿」と記される院殿号もあります。しかし実際には院殿号を授かる人は少なく、院号を付けられるのが一般的です。また院号すら記されない戒名も珍しくありません。

道号

院号を付けない場合は、道号が冒頭の言葉となります。道号は故人の特徴を表す2語の漢字です。元来は修行を通して、悟りを開いた人に与えられる名前でした。

道号には故人の性格と人柄のほか、職業や趣味に関連する文字が入ります。地域に関する海・山・谷や、住居を表す斎・宅、人と性格を示す翁・老・光が使われるパターンも多いでしょう。

戒名

戒名はあの世における新しい名前です。4つの構成要素の中でもとくに重要なパーツと言えます。道号と同じく、2語の漢字を付けましょう。

戒名の1文字目には尊敬する人物、あるいは経典・御仏から1文字を借りる形で付けるのが一般的です。日蓮宗では「日」が用いられたり、先祖代々受け継いでいる1文字が付けられたりするケースも見られます。

戒名の2文字目は、故人の生前の名前から取った1文字です。また故人の特徴を表す文字が採用されることもあります。

位号

位号は戒名のランクを表す要素で、ランクが高い順から「院居士・院大姉」「院信士・院信女」「居士・大姉」「信士・信女」です。

適切な位階は宗派や社会への貢献度、信仰心の強さによって決まります。また僧侶に戒名を付けてもらう場合は、お布施の金額によっても左右されるでしょう。

なお未成年には上記の位号を付けません。水子には「水子」、3歳以下の子どもには「嬰子・嬰女」、5歳以下なら「孩子・孩女」、15歳以下には「童子・童女」の位号が付けられます。

宗派ごとの戒名の違い

焼香

戒名の構成と付け方は、同じ仏教徒でも宗派によって異なりますそもそも戒名と呼ばない宗派もあるので注意しましょう。浄土真宗では「法名(ほうみょう)」、日蓮宗では「法号」と呼ばれます。

たとえば浄土真宗の法名は目的や意味合いが異なるほか、基本構成も院号以外はまったく異なる形です。「院号・釋号・法号」で構成され、さらに釋号は「釋〇〇」と記載されます。

戒名の文字数だけでなく、使われる文字もさまざまです。自分で戒名を付けるときは宗派を確認した上で、ルールに従う必要があります。

菩提寺があるなら相談を

寺院と青空

仏式葬儀では、故人に対する戒名の授与が必須です。もし付けてほしい戒名や、希望する漢字があるなら、菩提寺に相談しましょう。ただ菩提寺で葬儀や納骨をしてもらうには、菩提寺の決まりに従う必要があります。

また菩提寺がなくても、仏式葬儀の場合は、自分で付けた戒名を納骨する寺院に認めてもらうのは難しいです。葬儀社に葬儀全般を依頼している場合は、事前に相談しておくと良いでしょう。

戒名は原則僧侶から授かるもの

蝋燭

戒名は仏弟子になった証であり、原則僧侶から授かります。そのため、厳密には戒名を自分で付けることはできません。

ご自身で付けたい場合は、本来の戒名の意味ではなくペンネーム的な立ち位置になることを覚えておきましょう。なお戒名の構成に則った名前を考えたいだけであれば、戒名の自動生成ツールを使う手もあります。(参考:自動生成・戒名メーカー)

菩提寺があるにも関わらず、戒名を自分でつけて無宗教葬や散骨を行いたいといった場合は、事前の相談と理解を得ることが必要です。まずは葬儀社や菩提寺に相談しましょう。

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監修者:岩田 昌幸

葬送儀礼マナー普及協会 代表理事

葬送儀礼(臨終から葬儀、お墓、先祖供養等)が多様化している中で、「なぜそのようにふるまうのか」といった本来の意味を理解し、そうした考え方や習慣を身につけられるよう「葬送儀礼マナー検定」を実施しています。メディア監修多数、終活・葬儀・お墓関連セミナーも実施しています。

コメント
戒名の本来の目的や意味を考えると、なぜ菩提寺につけていただく名前であるのかわかります。付けてほしい漢字があるときには事前に相談しておきましょう。

参考:一般社団法人葬送儀礼マナー普及協会