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葬儀で使う祭壇とは?選び方や費用を抑えるポイントを解説

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最終更新日: 2024年02月07日

葬儀で使用する祭壇とは、故人を供養するための供え物や遺影写真を置くため、葬儀場の正面に設けられた台のことです。

祭壇は宗教により種類が異なります。また統一された規格がないため大きさもさまざまです。祭壇の種類や価格相場、選び方のポイントを確認しましょう。

この記事を監修した専門家

株式会社SAKURA 代表取締役/一級葬祭ディレクター
近藤 卓司

葬儀の祭壇とは

豪華な祭壇

葬儀における祭壇とは、故人を供養するために供え物を置く台のことです

祭壇には統一された規格があるわけではなく、宗派や地域によってさまざまな種類があります。また設置する場所によって、常設の祭壇と仮設の祭壇があるのも特徴です。

葬儀で用いる祭壇や四十九日まで仏壇の前に置かれる後飾り祭壇が「仮設祭壇」、お寺の本尊を祀る須弥壇や家の中に置かれる仏壇が「常設祭壇」といえます。

昭和初期まではまだ土葬も多かったため、祭壇に祀るというよりは、遺体の枕元に通夜まで台を置く形が主流でした。火葬が一般的になると祭壇を家や葬儀場に設置する文化が定着したのです。

デザインや装飾は多様

葬儀で使う祭壇はかつては「白木祭壇」が主流でしたが、近年では花で作られた「花祭壇」というタイプが主流となっています

また型にとらわれることなく、故人が好きなデザインによる祭壇を選択するケースもあるようです。

元々は故人を弔うためのものであり、故人のための供え物を置く用途で使われていました。しかしデザインや装飾のバリエーションが豊かになるにつれ、故人の人柄やイメージを具現化する存在としても認知されています

祭壇の種類

一般的な祭壇の形式は以下の4種類です。それぞれの特徴を抑えましょう。

白木祭壇

白木祭壇
白木祭壇

「白木祭壇」は、仏式の葬儀において長く使われてきた祭壇です。その名の通り白木によって作られており、戦後から多用されるようになりました。祭壇の中央に遺影、周りに生花を飾る形式がよく見られます。

花祭壇

ダリアの入った花祭壇
花祭壇

花を主な素材として作られる祭壇が「花祭壇」です。造花を使うか生花を使うかの差はありますが、どちらも華やかな見た目で高い人気を誇ります。

かつては花祭壇は著名人の葬儀などでよく見られた祭壇ですが、現在は一般の方でも花祭壇を選ぶ人が多くなっています。宗派を選ばず使える祭壇でもあります。

神式祭壇

神式祭壇
神式祭壇

神式祭壇」は主に神式の葬儀で使われる、白木を使った祭壇の一種です。神式祭壇には昔から語り継がれている三種の神器を模したものを飾ります。三種の神器とは八咫鏡(やたのかがみ)・天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)、八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)の3つです。

また三宝という小さな台の上に、お酒や米、塩、魚の頭といったお供え物を置き、祭壇上に供えます。

キリスト教祭壇

キリスト式祭壇
キリスト式祭壇

キリスト教では「キリスト教式祭壇」を用います。教会の祭壇に簡素な飾り付けをし、ろうそくを祭壇の左右に設置するのがキリスト教式祭壇です。細かい決まりごとについては、神父や牧師と相談して決めます。

葬祭ホールなどで葬儀を行う場合は、花祭壇の中央に十字架を設置するケースもあるでしょう。

祭壇の費用相場は20万~80万円

通帳を見る人

葬儀の祭壇は白木の祭壇であれば、購入ではなく斎場又は葬儀社からのレンタルで利用します。祭壇の規模や形式による一般的な価格を確認しましょう。

なお葬儀社に葬儀を依頼する場合は、祭壇のレンタル代もプランに含まれていることがあります。費用相場を把握しつつ、実際の費用は葬儀のプランによることを覚えておきましょう。

20万〜80万円が相場

葬儀の規模ごとの祭壇の相場は以下です。

  • 一般葬:30万〜80万円
  • 家族葬(小規模な葬儀):20万~50万円
  • 大規模な葬儀:100万円~

規模によるものの、およそ20万〜80万円が相場と考えておきましょう。安いものであれば10万円~ですが、規模としてはかなり小さいものになります。一般的な葬儀場のサイズを考えると、20万円以上かかるでしょう。

なお仏式葬儀では白木祭壇と花祭壇が一般的ですが、花を使う量が多い分、花祭壇の方が高くなる傾向です。祭壇は、規模が大きくなるほど高額になるため、大規模な葬儀だと100万円以上かかるケースもあります。

花祭壇は季節によって費用が高くなる場合も

生花祭壇の場合、葬儀を行う時期によっても価格が変動する点を覚えておきましょう。生花にはそれぞれ見頃の季節があり、シーズン外の花は高くなってしまうからです。

たとえば故人が好きだったひまわりを使いたいけれど、葬儀が春に行われるといった場合は、遠方から取り寄せるなどの手間が発生します。そのコストにより金額が上昇するという仕組みです。

祭壇選びの4つのポイント

神式祭壇
神式祭壇

祭壇を選ぶポイントはいくつかあります。葬儀の規模や宗派によって、選び方は異なるでしょう。代表的な祭壇の種類と併せて、選び方を説明します。

故人や遺族の宗教・宗派

仏式・神式・キリスト式で使用すべき祭壇は大きく異なるため、まずは宗教ごとの祭壇を選択しましょう。

また仏式の中でも、宗派によって使用する祭壇が異なることがある点に注意しましょう。

たとえば日蓮正宗祭壇の場合、白木祭壇を樒(しきみ)という植物で飾った「日蓮正宗祭壇」を使用します。樒が利用されるのは、枯れない植物なので邪気を祓う力があるとされているためです。

樒(しきみ)
樒(しきみ)

式場の広さ

祭壇には統一された規格がありません。そのためお葬式の規模に見合ったものを選ぶとよいでしょう。広い式場を利用する場合には、祭壇も大きなものにした方がバランスが取れるのでおすすめです。

式場が広いにも関わらず小さい祭壇にしてしまうと、広過ぎる空間が残り、寂しさを感じさせてしまいます。

少ない人数で規模の小さい葬儀を行う場合は、祭壇も小さいものでよいでしょう。大きい祭壇では式場に入れること自体が困難なケースがあるためです。

祭壇は大きくなればなるほど、価格も高くなる傾向がある点に注意しましょう

故人の好み

故人の好みに合わせたデザインで選んでも良いでしょう。

白木祭壇は、厳かなムードにする力があります。葬儀社からレンタルして使う場合がほとんどです。花祭壇は白木祭壇よりも自由度が高いでしょう。費用や宗教にもよりますが、故人の好きだった花や色を反映することが可能です。

オリジナルの祭壇を使うケースも考えられます。たとえばガラスで祭壇を作るといったように、型にとらわれない形式です。故人のイメージや好みをより強く反映できるでしょう。ただし菩提寺との兼ね合いもあるため、事前に葬儀社や寺院と相談する必要があります。

葬儀場によっては対応できない場合に注意

葬儀場側で準備できる祭壇が白木祭壇のみなど、葬儀場により対応できないケースがあります

生花祭壇がよいなど希望がある場合、事前に連絡して、準備してもらわなければなりません。対応できないといわれた場合は、会場の変更も視野に入れる必要があるでしょう。

またサイズも同様で、特定のサイズからしか選べないケースがあります。デザインやサイズにこだわりがある場合は、なるべく早めに葬儀社へ確認するのが大切です。

葬儀社選びも合わせて行おう

人さし指を立てる女性

祭壇は単体で購入するのではなく、葬儀を執り行う一環でまとめて葬儀社に手配してもらうケースが多いです。そのためまずは依頼する葬儀社を決めてから、祭壇についても相談するのがおすすめです。

葬儀社を選ぶときに重視したいポイントを解説します。

複数の葬儀社から相見積もりを取得

まず気になるのは価格面でしょう。1社だけで決めず、複数の会社から相見積もりを取得し比較することをおすすめします

相見積もりを取った場合と取らなかった場合とでは、平均すると数十万円ほど費用が変わるともいわれています。最低でも2社から見積もりをもらうようにしましょう。

見積もりに含まれている費用を確認

見積もり時にはなかったはずの追加料金が発生し、結果として高額になるトラブルが発生するケースもあります。見積もり内に含まれているもの、追加料金が発生するものを確認しておきましょう

見積もりと実際に請求された金額が異なっていた場合、内訳を見て相違点をチェックするのが重要です。違いを見つけたら、事前に説明があったのかどうか、法外な料金になっていないかを確認し、場合によっては相談窓口などに連絡しましょう。

特に事前の見積もり額が異様に安い「一式○円」と表記されているものの、おもてなしや心付けに別途料金が発生するといったものが、トラブルになりやすいケースです。

スタッフの対応が丁寧かも確認

見積もりを頼んだ際に丁寧に説明してくれるかという点や、契約を急かされないかといった点も見ておきましょう。スタッフの対応が丁寧であれば、実際の葬儀も親身になって不備なく行ってくれる可能性が高いです

葬儀には慣れていない人が多いため、いろいろと疑問点も生じるでしょう。それに対して丁寧に答えてくれるところを選ぶことが大切です。価格が安いからといって適当な対応をするところは、トラブルの元になりやすいので注意が必要です。

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祭壇は希望と予算を考慮して検討しよう

豪華な祭壇

葬儀で使われる祭壇には白木祭壇や生花祭壇など、いくつか種類があり、また葬儀場の規模によってもサイズが変わります。葬儀場によって用意できるものとできないものがあるため、事前に確認しておくことが大切です。

祭壇は規模が大きくなるほど高額になります。そのためコストダウンしたい場合は、葬儀の規模を再検討するのもおすすめです。小規模の葬儀で小さい祭壇にすれば、数十万円が節約できる可能性もあるでしょう。

祭壇には多様な種類があるからこそ、納得のいく葬儀にできるよう、希望と予算のバランスを考えるのが重要です。葬儀社に相談の上、葬儀の規模や予算をすり合わせていきましょう。

葬儀社に相見積もりを取る場合は、「ミツモア」の利用がおすすめです。希望条件で検索すれば、最大5社からの見積もりを一括取得できます。気になる会社とはチャットでやり取りできるので、十分に比較検討した上で決められるでしょう。

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監修者:近藤 卓司

株式会社SAKURA 代表取締役
厚生労働省認定 一級葬祭ディレクター

1964年東京都生まれ、中央大学卒。大手互助会で大型葬儀や社葬、合同葬を担当。独自の音楽葬スタイルを研究し、世に広めるため家族葬専門葬儀社を経て株式会社 SAKURAへ転職。2012年代表取締役に就任後、音楽葬プランの立ち上げ、日本のおもてなしの原点である茶道の取り入れを含め、葬儀プランをすべて見直す。これまでに3,000名以上のお葬式を手掛ける、現役の一級葬祭ディレクター。

著書・監修

  • 『わたしの葬式心得』(幻冬舎) 2016/07/01発行

コメント
最近では、生花祭壇が主流になっていると言えるでしょう。生花祭壇は花の種類やデザインを自由に選択できるので、故人にふさわしい祭壇装飾が可能です。ただし、菩提寺などの司式者の確認が必要なので注意しましょう。また公営斎場では、常設の白木祭壇を使用しなければならない所もあるので確認が必要になります。寺院会館なども同様です。生花祭壇を選ぶ前に、葬儀社に相談すると良いでしょう。

近年では、花の栽培・管理技術の進化や流通経路の発展により、たいていの花を仕入れる事が可能となってはいます。ただし生花祭壇に使用するには枯れやすいなど、不向きな花もあるので注意が必要です。葬儀の祭壇を選ぶコツは、予算を含めた要望を葬儀社に伝えて、理想の祭壇をつくりあげて行くことです。