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キリスト教の葬儀の具体的な流れ。香典や服装などのマナーも解説

最終更新日: 2022年11月30日

キリスト教の葬儀は、死に対する考え方が仏教とは異なることから葬儀の流れやマナーが異なります。また仏式の香典に代わる「御花料」、焼香に代わる「献花」など、日本独自の風習があるのが特徴です。

キリスト教の中でも、カトリック・プロテスタント、また宗派によって流れや作法が少々変わります。キリスト教の葬儀の特徴やマナー、具体的な流れについて確認しておき、いざという時に慌てないようにしましょう。

この記事を監修した専門家

HIROKO MANNER Group 代表/一般社団法人 マナー&プロトコル・日本伝統文化普及協会 代表理事
西出ひろ子

キリスト教の葬儀の特徴

白い十字架と手

仏式と異なる点を踏まえながら、キリスト教の葬儀の特徴を紹介します。

死を不幸なこととは捉えない

キリスト教と仏教では、死に対する考え方に根本的な違いがあります。仏教では死を縁起が悪いことと捉えるのに対し、キリスト教では死を不幸とは捉えません。

そのため遺族に掛けるべき言葉も異なります。仏式の葬儀における挨拶では、故人が亡くなったことを悼む「ご愁傷様です」「お悔やみ申し上げます」などの言葉を使うのが一般的です。

しかしキリスト教では遺族に対し、お悔やみの言葉は使いません。死は不幸なことではないため、「お知らせいただきありがとうございます」「安らかに眠られますようお祈りいたします」といった言葉を使います。

亡くなる前から葬儀が始まる

仏式や神式の場合、危篤状態の間は、家族や親族だけで患者と最後の時間を過ごすのが一般的です。葬儀は、亡くなった後に行います。

一方キリスト教では、患者が危篤になった時点で神父や牧師を呼び、儀式が執り行わるのが特徴です。完全に亡くなる前から葬儀が始まる点で、仏式や神式と大きく異なります。

ご逝去前に行われる儀式の内容は、カトリックとプロテスタントで異なってくるため注意しましょう。

葬儀の流れ【カトリック】

百合の花

キリスト教の葬儀の流れについて、まずはカトリックの進め方を見ていきましょう。

病者の塗油・聖体拝領

カトリックでは、亡くなる前に信者の額に聖油を塗る「病者の塗油」、パンと葡萄酒を与える「聖体拝領」を行います。

「病者の塗油」は病気の治癒を祈る儀式、「聖体拝領」は復活の保証を得る儀式です。

納棺・通夜の祈り

臨終に至った際には、祈りを唱えて神の恵みを願いながら祝福します。納棺時は故人に十字架やロザリオを持たせ、周りを花で飾るのが一般的です。

カトリックの通夜は「通夜の祈り」と呼ばれ、自宅や教会で行われます。キリスト教では本来通夜はなく、日本の風習に合わせて執り行われるものです。

「通夜の祈り」では聖歌斉唱、聖書朗読、神父の説教などが行われます。軽食を振舞うことはありますが、お酒は出しません。

葬儀・告別式

カトリックの葬儀は故人が所属していた教会で行うのが一般的です。葬儀では入堂式、葬儀のミサ、赦祈(しゃとう)式が行われます。

入堂式 聖歌の斉唱
神父・遺族・棺入場
神父による開式の辞(棺に聖水をかける)
葬儀のミサ 言葉の典礼、感謝の典礼
赦祈式 神父による祈祷
聖歌の斉唱

葬儀のミサでは故人の復活と、永遠の命が祈られます。赦祈式は故人の生前の罪の許しを請う儀式です。

葬儀後の告別式では、入堂聖歌・聖歌の斉唱・告別の祈り・弔辞弔電の紹介・献花・遺族の挨拶などが行われます。献花は仏式での焼香にあたるものです。

火葬・追悼の儀式

キリスト教は本来土葬を基本としますが、日本では大半の自治体で土葬が認められていないため、火葬が一般的です。火葬では神父と遺族が祈りを捧げます。

納骨の時期について特にルールはありません。カトリックでは仏教の命日である「昇天記念日」の1カ月後に行われる、「追悼ミサ」で納骨を行います。

昇天記念日の1年後は、死者のためのミサが大々的に行われます。カトリックでは毎年11月2日を死者の祈念日とし、特別なミサが行われることも覚えておきましょう。

葬儀の流れ【プロテスタント】

協会と青空

一般的なプロテスタントの葬儀の流れを紹介します。プロテスタントには数多くの宗派があるため、流れに迷ったら教会に確認しましょう。

聖餐式(せいさんしき)

信者が危篤を迎えたら、牧師を呼んで「聖餐式」を執り行います。パンと葡萄酒を信者に与え、安らかに天に召されることを祈る儀式です。

臨終後は、仏式の「末期(まつご)の水」にあたる唇を湿らせる儀式を行います。納棺の際には、白い布をかけて周囲を白い花で埋めるのが一般的です。

前夜祭

納棺後は通夜にあたる「前夜祭」の準備を行います。

前夜祭は、牧師や遺族で讃美歌斉唱、聖書朗読、お祈りや献花を行う流れです。その後、軽食を囲んで茶話会が行われることもあります。

葬儀・告別式

プロテスタントでは葬儀と告別式が同時に行われます。一般的には一同着席・聖書朗読・説教・賛美歌斉唱・弔辞弔電代読・祈祷・献花・遺族の挨拶・出棺の順で進みます。

教会ごとに葬儀の内容が違うケースもあるため、事前に確認しておく必要があるでしょう。

カトリックほど伝統を重んじる傾向はないため、教会で行うことにこだわる必要はありません。葬祭ホールや自宅などさまざまな場所で行われることも、プロテスタントの葬儀の特徴です。

火葬・記念式

出棺から火葬までの流れは、カトリックとほぼ同様です。火葬場で牧師と遺族で祈りを捧げ、火葬後に骨上げをして喪主が骨壺を自宅に持ち帰ります。その後に、食事会を行うこともあるでしょう。

プロテスタントでは、カトリックの追悼式にあたる儀式を「記念式」と呼びます。最初に記念式を行うタイミングはカトリックと同様、昇天記念日の1カ月後です。

召天記念日が終わった後は、特に決まりはありませんが1・3・5・7年後等に記念式を行う場合があります。教会で記念式を行うことは少なく、自宅や墓前で行うのが一般的です。

キリスト教葬儀の香典マナー

御花料とカーネーション

キリスト教では、香典にあたるものを一般的に御花料と呼びます。

仏式の葬儀における香典は本来焼香で使う線香代として包むものです。キリスト教ではその焼香の代わりに献花を行うため、「御花料」といいます。

キリスト教葬儀の御花料について、金額の相場や封筒の書き方、お返しをどのように考えればよいのかを確認しましょう。

御花料の金額の相場

キリスト教葬儀の御花料の金額は、一般的な仏式の葬儀と同じ考え方で問題ありません。三親等以内の親族なら5万~10万円、それ以外の親族の場合は1万~3万円が相場の目安です。血縁関係が近いほど金額も高くなります。

知人・友人の身内が亡くなった場合は5,000~1万円、近所や職場の人に不幸があった場合は3,000~5,000円が目安と考えてよいでしょう。

仏式や神式の葬儀と同様、実際に包む金額は個人・遺族との関係性や自分の年齢・立場により変わります。生前特にお世話になっていた場合は、多めに包んでもよいでしょう。

金封(香典袋)の書き方とマナー

御花料として現金を包む際に使う金封(香典袋)は、百合や十字架が描かれた不祝儀袋を用意しましょう。水引が付いていたり蓮の花が描かれていたりするものはNGです。キリスト教用の金封が見つからない場合は、白色無地の封筒でも構いません。

表書きは「献花料」または「御花料」とすれば、カトリックとプロテスタントのどちらでも使えます。表書きの下には差出人をフルネームで書きましょう。全て黒色薄墨で書くのがマナーです。

また日本では新札を入れると、わざわざ新札を用意していたと捉えられ、亡くなることを待っていたようなイメージを遺族に与えてしまう、と言われています。新札を使う場合は、一度折り目を付けてから入れると安心です。

香典返しは必要?

キリスト教の葬儀には香典返しにあたる習慣がありません。しかし日本の風習にならい、宗派にかかわらず御花料を受け取った場合は記念品を返すのが一般化しています

御花料のお返しをするタイミングは、カトリックでは昇天記念日の1カ月後の追悼ミサ、プロテスタントの場合は同じく昇天記念日の1カ月後の記念式が行われるときです。

お返しの品物の表書きは「志」または「粗供養」とし、喪主の名前で贈ります。お返しにかける金額の相場は仏式の場合と同様、御花料の金額の1/3~1/2が目安です。

キリスト教葬儀の献花・供花

木の机の上に置かれた白いカーネーション

仏式の葬儀と同じく、キリスト教の葬儀にも故人に花を手向ける習慣があります。葬儀中に行う献花の手順と、葬儀に供花を送る際のマナーについて解説します。

献花の手順

キリスト教では焼香の代わりに献花を行います。焼香は故人を弔う行為ですが、キリスト教で祈る対象は神のみであり、焼香で神以外のものに祈るべきではないと考えられているためです。献花は焼香に代わる日本独自の風習であり、海外ではほとんど行われません。

献花は焼香と同様、喪主・遺族・親族・参列者の順に行います。白いユリやカーネーションを、祭壇に1人1輪ずつささげるのが一般的です。

献花をする人は遺族に一礼し、係の人から花を受け取ります。花の部分が右側になるように両手で持ち、献花台では茎が祭壇のほうへ向くように花を捧げましょう。一礼して黙祷したら前を向いたまま後ろに数歩下がり、再び遺族に一礼して自分の席へ戻ります。

葬儀に供花を送る場合

供花とは親族や個人の関係者から送られる花のことです。一般的には祭壇の周囲に飾られます。仏式では送った人の名札を供花に添えますが、キリスト教の場合は名札を付けないのが基本です。

白いユリ・カーネーションが、キリスト教の供花としてよく選ばれています。仏式の葬儀で多く用いられる輪菊は敬遠されるため注意が必要です。

葬儀に供花を送りたい場合は、葬儀が行われる場所に直接送る必要があります。キリスト教の葬儀に送る供花は、フラワーアレンジメントを施したバスケットフラワーにするのが一般的です。

キリスト教葬儀の服装

黒いスーツ姿の女性

キリスト教の葬儀にはどのような服を着ればよいのでしょうか。キリスト教葬儀の服装について解説します。

基本的には仏式や神道と同じ

キリスト教の葬儀の服装は、基本的に仏式や神式と同じで問題ありません。一般的な葬儀で着用する喪服を用意しましょう

男性ならダークスーツや黒のフォーマルスーツを着用し、白のワイシャツと黒のネクタイ・靴下・靴を合わせます。女性の場合は黒のスーツやアンサンブル、バック・ストッキング・靴も黒に統一しましょう。

金属製のアクセサリーや革製品は身に着けないのがマナーです。ベルト・腕時計・バックも派手にならないものを選ぶ必要があります。

なおカトリックの葬儀では、喪主や親族が正喪服のトークハットを着用するのが一般的です。

数珠は不要

キリスト教の葬儀に数珠は不要です。数珠は仏具の一つであり、仏式の葬儀で用います。キリスト教の葬儀中に数珠を使うことはありません。

キリスト教にはロザリオという祈りを唱える時に使う用具があります。ネックレスのような形をした、数珠と十字架を組み合わせたような道具です。

キリスト教の葬儀にはロザリオを持参すればよいというイメージを持たれがちですが、ロザリオはカトリックでのみ使われる点に注意しましょう。自分がキリスト教信者ではない場合も、無理にロザリオを用意する必要はありません。

キリスト教の葬儀にかかる費用相場

パールのネックレスと白い花

キリスト教の葬儀を執り行う場合の、費用相場と葬儀社の選び方について解説します。

費用の相場

キリスト教の葬儀にかかる費用は、一般葬で35万~100万円が相場の目安です。式場利用費・物品費・遺体管理費・火葬費・飲食費・返礼品費などが含まれます。

各種儀式を行う神父・牧師や、葬儀場で演奏を行うオルガン奏者にもお礼を渡す必要があります。これは仏式の葬儀のお布施や心付けに該当する費用です。

キリスト教葬儀の費用は、一般的な日本の葬儀に比べて安く抑えられる傾向があります。読経や戒名が不要で宗教者への謝礼が高額ではないことや、通夜振る舞い・精進落としといった飲食費を抑えられることが主な理由です。

優良な葬儀社の選び方

キリスト教葬儀を業者に依頼する場合は、キリスト教の葬儀に慣れている葬儀社を選びましょう。キリスト教の葬儀は仏式や神式と異なる点が多く、実施される機会も少ないため、実績のある業者を選ぶのがおすすめです

見積もりの金額や内訳がきちんと示されているかもチェックしましょう。複数の業者から相見積もりを取って比較すれば、適正な費用で葬儀を行ってくれる業者を見つけやすくなります。

葬儀業者から相見積もりを集める際には、ミツモアの利用がおすすめです。簡単な情報を入力するだけで、最大5社から一括で見積もりを集められます。チャットでやり取りができるので、キリスト教の葬儀に慣れているか、対応が良いかといった点も確認できるでしょう。

ミツモアで葬儀・お葬式を依頼する

迷った際は教会・葬儀社に相談するのもおすすめ

教会内の様子

キリスト教の葬儀は仏式や神式と異なる点が数多くあります。カトリックとプロテスタントでも考え方や葬儀の進め方が違うことに注意しなければなりません。

宗派によっても異なります。葬儀を執り行う立場で対応に迷った際は、教会や葬儀社に相談の上、準備を進めましょう。

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監修者:西出 ひろ子

HIROKO MANNER Group 代表
ウイズ株式会社 代表取締役会長
HIROKO ROSE株式会社 代表取締役社長
一般社団法人 マナー&プロトコル・日本伝統文化普及協会 代表理事

葬儀会社などの企業にて、お客様の心に寄り添う営業接客・接遇研修や、マナーコンサルティング、マナー研修を行う。「めざせ!会社の星」 (Eテレ)、「芸能人品格チェックスペシャル」 (ABC朝日)、「なないろ日和」(テレビ東京)などのテレビ番組にてお葬式や喪服のマナーについての出演、監修など多数。NHK大河ドラマや映画、CMなどでは超一流俳優や女優へのマナー所作指導実績数日本NO.1。

著書・監修
国内外でマナー本100冊以上。著者累計100万部以上のマナーの専門家。
  • 『お悔やみのマナー』 (アドレナライズ) 2013/9/24発行
  • 『知らないと恥をかく 50歳からのマナー』(ワニブックス) 2020/8/25発行
  • 『気くばりにいいこと超大全』(宝島社)2022/6/15発行

など多数

コメント
キリスト教の死に対する考え方は、仏教や神道と異なります。しかし最低限、押さえておきたいマナーが存在することは同じです。キリスト教も、その宗派に応じた考え方が異なります。それぞれの宗派に応じた進め方やマナーを表現してまいりましょう。

なお自分は仏教徒だからといって、キリスト教式の葬儀、告別式に参列する際に、数珠を持っていくことはしません。マナーとは相手の立場に立つことです。お相手の宗教宗派に合わせることがマナーとなります。