マンションを売却する際は、プロの手によるハウスクリーニングを行った方がよいのでしょうか?ハウスクリーニングをすべきケースと不要なケース、メリットや注意点まで解説します。物件を清潔な状態にして、購入希望者に好印象を与えましょう。
マンション売却時のハウスクリーニングは任意
マンションを売却する際、ハウスクリーニングを業者に依頼するかどうかは任意です。物件に生活感や汚れが残っていても、そのまま売却活動はできます。
ただ、マンション売却時には購入希望者にマンションの室内を見せる『内覧』を行います。内覧時に部屋が汚れていると、購入希望者に悪い印象を持たれかねません。
そのため内覧前にハウスクリーニングを行っておくと、購入希望者に「清潔感がある物件だ」「大切に使用されていた」など、好印象を与えられる可能性が高くなります。
自分で念入りに掃除をしてもよいですが、個人でできる掃除には限度があります。プロの業者にハウスクリーニングを依頼した方が、確実にきれいになるでしょう。
マンション売却時にハウスクリーニングをした方がよいケース
マンション売却時にハウスクリーニングを業者に依頼した方がよいケースを紹介します。購入希望者の内覧に対応する前に、ハウスクリーニングを終わらせておくとよいでしょう。
- 部屋が非常に汚れている
- 築年数が比較的浅い
部屋が非常に汚れている
部屋が非常に汚れている場合、自分で大掃除をしても落としきれない汚れが残ってしまいます。例えば床や天井の汚れ、浴室や洗面所などの水回りのカビ、キッチンの油汚れやコゲなど、非常に汚れている箇所が多い場合は、ハウスクリーニングをした方がよいといえます。
落としにくい汚れが多く残っている状態で内覧を行うと、汚れを理由に購入希望者が値引き交渉をしてくる可能性があるためです。自分で落とせない汚れがある場合は、プロの手で清潔にしてもらうとよいでしょう。
なおペットを飼っている場合は、においや汚れが残る可能性があるため、きれいに見えてもハウスクリーニングを依頼するのがおすすめです。
築年数が比較的浅い
築年数が比較的浅いマンションを購入する人は、購入後にリフォームを行わないケースが多い傾向にあります。購入希望者は「この部屋にそのまま住むシーン」を想定しながら、内覧時に部屋の状態をチェックします。
購入希望者に清潔感のある部屋だと思ってもらうためにも、ハウスクリーニングをして、確実にきれいにしておくことが大切です。
築年数が比較的浅く汚れていないマンションでも、プロの手で清潔にすれば、「築年数が浅い上に、とても清潔なマンション」と、購入者に好印象を与えられるでしょう。
マンション売却時にハウスクリーニングをしなくてもよいケース
売却する物件があまり汚れていない場合や、築年数が古い物件を売却する場合など、マンション売却時にハウスクリーニングを業者に依頼しなくてもよいケースもあります。それぞれについて詳しく解説します。
- 部屋があまり汚れていない
- 築年数が古くリフォーム前提の購入希望者が多い
部屋があまり汚れていない
普段からこまめに掃除を行っており、すみずみまで手入れの行き届いた部屋は、ハウスクリーニングをしなくてもよいといえます。物件全体があまり汚れておらず、清潔感がある場合は、内覧前に自分で掃除するだけでOKです。
物件全体はきれいなものの、水回りのカビや油汚れなどの落ちない汚れ、天井のような掃除しづらい部分など、部分的に気になる場所もあるでしょう。その場合は「キッチンだけ」「水回りだけ」と、部分的にハウスクリーニングを依頼するのも一案です。
築年数が古くリフォーム前提の購入希望者が多い
築年数が古く、壁や床、設備などが老朽化しているマンションに関しては、ハウスクリーニングの効果はあまり見込めません。修繕や交換などの対処が必要になるので、ハウスクリーニングよりもリフォームが必要になるためです。
しかし築年数が古いからといって、売却活動の際に費用をかけて自分でリフォームをする必要はありません。なぜなら築年数が古いマンションの購入希望者は、自分好みにリフォームやイノベーションを行う前提で、購入を検討しているケースが多いためです。
購入希望者は自分でリフォームすることを想定し、安く購入したいと思っているので、売手が費用をかけてハウスクリーニングをしても、あまり意味がありません。
マンション売却時にハウスクリーニングを行うメリット
マンション売却時のハウスクリーニングは、義務ではありません。しかしプロの手によるハウスクリーニングを実施すると、さまざまなメリットが得られます。
- 印象が良くなり購入希望者が集まりやすい
- 早く売れる可能性がある
- 値引き交渉を防げる可能性がある
印象が良くなり購入希望者が集まりやすい
ハウスクリーニングをしてから内覧に挑むと、清潔で明るい部屋を購入希望者に見せられます。購入希望者に「きちんと手入れされている、きれいな部屋だ」と、好印象を持ってもらえば、購入の決断につながる可能性が高まるでしょう。
引越し前で売却予定の物件にまだ住んでいるときに内覧を行う場合は、床や水回りだけでもハウスクリーニングを依頼すると、清潔な印象を購入希望者に与えられます。
部分的に清潔にするだけでなく、リビングや寝室など居住空間の荷物を整理し、片付けておくことも重要です。いくら床や水回りなど部分的に清潔にしても、雑然とした部屋のままで内覧を行うと、購入希望者に与える印象が悪くなってしまうためです。
早く売れる可能性がある
ハウスクリーニングを行って清潔な部屋であることをアピールできれば、購入希望者が集まりやすくなり、早く売れる可能性が出てくる点もメリットです。
床や壁、水回りなどが汚れていると、内覧を行っても購入に至らないケースがあります。手入れが行き届いていない部屋という、マイナスの印象を購入希望者に与えてしまうためです。
手入れが行き届いている清潔な部屋は、購入希望者にプラスの印象を与えます。「他の希望者で決まってしまうかもしれない」と考え、購入への決断の後押しになる可能性もあるでしょう。
悪印象を与える汚い部屋は売れ残りやすいですが、清潔な部屋なら早く売れる可能性があるのです。
値引き交渉を防げる可能性がある
購入希望者は値引き交渉をして、マンションを安く買いたいものです。マンション購入時に値引き交渉が入るケースは珍しくないため、値引きを考慮した価格設定にする売主も存在します。
周辺の物件相場よりも価格が高い場合や、売り出してからのタイミングを見て、値引き交渉をされるのが一般的です。
しかし売り出したマンションに目立つ汚れがあると、「汚れているので値引きしてくれませんか」「ハウスクリーニングが必要なので、そのぶん安くできませんか」と、値引き交渉の材料になってしまいます。
ハウスクリーニングが完了している清潔な部屋なら、値引き交渉の要因にならないため、想定外の値引き交渉を防げる可能性があります。
マンション売却時にハウスクリーニングを行う注意点
業者にハウスクリーニングを依頼し、マンションを清潔にするメリットは大きいですが、注意点もあります。下記の2点を踏まえた上で、信頼できる業者を探しましょう。
- クリーニング費用は売主負担
- クリーニング作業で設備が傷つく恐れがある
クリーニング費用は売主負担
業者に依頼してハウスクリーニングを行う費用は、売主である自分が負担します。
クリーニングする部屋の広さや場所、汚れの程度、居住中か空き家かによって、費用が異なります。物件全体のハウスクリーニングを依頼すると、1LDK~3DKだと5万~8万円程度、3LDK~5DKは7万~12万円程度です。
業者によって費用が異なるため、依頼を検討している場合は、複数業者に見積もりを依頼する『相見積もり』を検討しましょう。無料で使える一括見積もりサイト『ミツモア』なら、質問に答えるだけで、最大5社から見積もりが届きます。
しかしハウスクリーニングに費用をかけても、売却価格にその金額を上乗せできるわけではありません。物件の汚れ具合や周辺相場、売却価格などを併せて考慮し、ハウスクリーニングの予算をあらかじめ決めておくとよいでしょう。
クリーニング作業で設備が傷付く恐れがある
ハウスクリーニングを依頼した業者が、作業中に物件の設備を傷付けたり壊したりする可能性があります。プロが慎重に作業をしても、ミスが発生する可能性はゼロではないためです。
ハウスクリーニング業者を探す場合、『賠償責任保険』に加入しているかどうかを必ず確認しましょう。保険に入っている業者に依頼すれば、万が一の場合も修理代などが保証されるためです。
賠償責任保険に入っていない業者だと、傷付けたり壊したりした場所の修理代を保証してもらえるとは限りません。売主の自己負担で、業者が損壊した部分を修理しなければならないケースもあります。
万が一の可能性を考慮し、ハウスクリーニングを依頼する業者が賠償責任保険に加入しているかどうかを、必ずチェックしましょう。
マンション売却時はクリーニングを上手に使おう
マンション売却時のハウスクリーニングは義務ではありませんが、プロによる清掃で物件を清潔にしておけば、購入希望者に好印象を与えられます。
ハウスクリーニングが施された物件なら、購入希望者は「手入れが行き届いている」と魅力的に感じ、購入に向けて後押しになる可能性もあります。
マンションを早く売却するためにも、あらかじめ予算を決め、業者にハウスクリーニングを依頼するのがおすすめです。